がんの在宅療養 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクトfacebook

2-5.放射線療法を通院で受ける

放射線療法は、 X線やγガンマ、粒子線などの放射線を利用して、がん細胞の遺伝子を傷つけてがん細胞を死滅させる、がんの三大療法のひとつです。近年では、ほとんどの放射線治療を外来で行うことができるようになり、多くの患者さんが通院で治療を受けています(ただし、連日治療が続くなどで、自宅との往復が困難な場合などでは入院による治療も行われています)。

***

相談員NさんTさんは、手術後に放射線治療を受ける予定になっていましたね。


患者Tさん手術の際の検査結果を見て……ということになっていますが、今のところその予定です。まだ先なので、実感は湧きませんが、治療期間はどのくらいになるのでしょうか?

相談員Nさんがんの種類や部位、広がり、放射線の照射方法(治療計画)などによるため一概には言えませんが、一般的には、1回(1日)だけの照射で終わる場合もあれば、数週間から1~2か月にわたって行われる場合もあります。1回の照射にかかる時間は5~ 10分程度ですが、正常な細胞にできるだけ放射線を当てないようにするために、治療用ベッドの上で、体の向きや位置の調整などが念入りに行われます。

患者Tさん以前、私の職場にも、放射線治療でがんの治療を受けた方がいましたが、その方は、治療のあるときは何日か連続で半休をとって午前中に治療を受け、午後は出社していつもどおりに働いていました。少しだるそうにしている日もありましたが、見た目には何も変わらないので、がんの治療中だなんて、信じられない気がしました。本人も「治療といっても、僕は横になってじっとしているだけ」「合間の休日は普通にゴルフしたりしてる」なんて言っていました。

相談員Nさんそうですね。手術と違って臓器を取り除くことがなく、また、がんのある部位をピンポイントで治療する方法のため、がん治療のなかでも、体への負担が小さい治療法とされています。ただ、Tさんの場合は、術後照射といって、手術と組み合わせての放射線治療が予定されているので、働き方なども含めて、担当医や放射線治療医とよく話し合ったうえで治療を受けられるとよいと思います。比較的負担の小さい治療法ではありますが、放射線療法でもやはりいくつかの副作用が起こることがあります。

放射線療法のおもな副作用

治療中~治療後早期に現れる副作用

  • 疲労感や倦怠感
  • 照射部位の赤み、かゆみ、ヒリヒリ感
  • (照射部位により)吐き気やむかつき、口内炎、のどの痛み、唾液の減少、下痢、脱毛など局所の症状 など

半年~数年後に現れることのある副作用

  • 照射部位の皮膚の乾燥・色素沈着
  • 放射線肺臓炎(肺炎)
  • (照射部位により)骨壊死、生殖機能への影響(不妊) など

患者Tさん治療を受けて時間が経ってから起こってくる症状もあるのですね。


相談員Nさんもちろん、これらすべての症状が必ず起こるわけではありませんし、一般的に照射の範囲が狭いほど、影響を受ける範囲が小さくなります。放射線治療の現場では、治療技術の進歩とともに、これらの副作用を回避したり軽減したりするためのさまざまな工夫もなされていますが、心配ごとや不安に思うことがあれば、担当医や放射線治療医、看護師などに遠慮なく尋ねてくださいね。

患者Tさんわかりました。


相談員Nさん職場の方がおっしゃっていたように、放射線治療に関しても、体調に問題がなければ、普段どおりの生活――治療の合間に運動したり、食事についても、医師や看護師から特段の指示がなければ、食べやすいものを食べやすいように摂って構いません。ですが、放射線療法では、治療回数を重ねていくことで、徐々にだるさや疲労感が出てくることがあります。そうしたときにはやはり無理をせず、体を休めるようにしてください。

家族からの説明
掲載日:2024年06月20日
アンケートにご協力ください
「がんの在宅療養」ウェブサイトについて、あなたのご意見・ご感想をお寄せください。
アンケートページへアンケートページへ