N.Y
不幸ではなく、不運だっただけ ~同じ病気がつないだ夫婦~
自分の場合は高校2~3年の際に闘病生活を送り、退院後、抗がん剤の副作用で髪が元通りに生えてこないことがとても悲しかったことを覚えています。ウィッグも購入し、被って高校に登校していましたが、見た目ですぐに分かってしまい、見た目にとてもコンプレックスがありました。
さらに、病気の影響もあり、いつ再発するかも分からなかったので、誰かを好きになったり、交際等は避けていました。病気により精子をつくる機能が失われている可能性が高いとのことで、20歳の時に調べてもらった結果、その機能が失われてしまっていることがわかりました。それからは、過去に凍結した精子はあったものの、今後、再発のリスクや子供が作れないことを思うと、病気になったことがない健康な子と付き合ったり結婚したりすることは、相手への負担が重いんじゃないかと勝手に決めつけ諦めていました。その考えのまま、就職し、理学療法士として少しでも自身と似た経験をした方々を助けたいと日々取り組んでいた際に、主治医の先生から体験談を医療職にむけて講演してほしいとの依頼がありました。その講演の中の企画で、自分と同じ時期に同じユーイング肉腫に罹患した女性と初めて出会い、対談しました。その女性は現在の妻です。当時、対談以外ではほとんど話さずに終わってしまったのですが、妻からメールが届き、メールのやり取りをするようになりました。自身と同じ病気を同じ時期に罹患していたこともあり、すごく心を開きやすかったです。彼女が明るく前向きな性格で、病気のことを一切気にせず、ありのままの自分を好きになってくれ、自分を前向きにしてくれたおかげで、自身の見た目にも自信を持ち、一生一緒に付き合っていきたいと、恋愛や結婚に踏み切ることができました。
妻と出会わなければ、きっと見た目のコンプレックスや病気の不安で、恋愛や結婚は考えられなかったと思っています。
その後3年間交際し、結婚に至り、現在、結婚生活4年目になります。結婚にあたり、お互いのユーイング肉腫が再発しないかどうかが一番の不安や心配事でした。一年に一度の検診の際は、二人で励まし合いながら、ドキドキして診察を受けていました。主治医の先生や看護師さんとは長い付き合いで、結婚式にも来ていただいた関係性もあったため、すごく励まされていました。また、互いが抗がん剤治療を長期間にわたり行っていたため、子供が出来にくい体になっており、将来子供をどうするかという話し合いは妻とよく行いました。自分は治療により精子機能が無くなってしまったため、子供を作る際は凍結精子を利用するしかなく、妻も治療により妊孕性が落ちている状態でした。初めは、子供を作らなくても二人で幸せに過ごせたらいいかな、なんて思っていましたが、周りの同世代の友人たちがどんどんと子供ができている様子を見るうちに、私も妻も子供が作れるなら作りたいという気持ちが芽生え、凍結精子を利用した不妊治療を考え始めました。妻の体は治療により妊孕性が落ちていたため、不妊治療を行うのであれば、なるべく早く行わなければいけなく、結婚したタイミングからすぐに不妊治療に取り組みました。ただ、3年程、不妊治療を続けましたが、なかなか子供を授かることはできず、妻の精神面も不安定になり、金銭的にも厳しくなってしまい、話し合い、不妊治療をやめる決断をしました。子供を諦めるわけでなく、二人で話し合い、現在は養子縁組にて子供を迎え入れる決断をし、それに向けて動いています。
結婚については、お互いの両親や友人にもすごく歓迎して頂き、特に反対の声もなかったです。当時からお世話になっていた、主治医や看護師さん等も結婚式に来ていただいたことが、自分はとても嬉しかったです。病気になったことは不幸ではなく、不運であっただけ。その後の行動や出会いで幸せになることはできると思いました。