練馬光が丘病院 初期研修医1年目
後藤 寿郎
米国内科学会(ACP)日本支部の若手医師部会(Resident Fellow Committee:RFC)は、2020年11月21日(土)に第6回RFCセミナーを開催いたしました。本セミナーは、内科系各分野の専門家を講師としてお招きし、講演やACPの生涯学習教材MKSAP等を用いた「弾丸診断道場」を通じて、若手医師の臨床能力の向上を図ることを目的に、年2回程度開催しているものです。
今回のテーマは「GIM×感染症」で、矢野晴美先生(国際医療福祉大学医学部感染症学教授)と加藤幹朗先生(筑波大学医学群感染症科)をお招きしました。今回は新型コロナウイルスの影響を受けて初のweb開催となったことで、学生から若手医師、ベテラン医師まで、全国から100名以上の方々に熱心にご参加いただき、チャットでも多数の質問やコメントが飛び交う大盛況となりました。
第一部はナイジェリア人の下痢を題材とした、メッセージ性のある症例検討会で、加藤先生にコメンテーターを務めていただきました。「非常に悩ましい症例に出会った時こそ、培養し薬剤感受性判定をする」という感染症診療の基本原則に立ち返ることが大切であるということを再認識しました。
第二部では、矢野先生から抗菌薬についてレクチャーいただきました。講義内では「病態」「微生物」「抗菌薬」の3つを結びつけて考えることが、改めて強調されていました。十分に病歴を聴取して臨床経過全体を把握し、広く鑑別を挙げ、想定される微生物と適切な抗菌薬を選択することを学びました。医学生は症例をベースとしながら薬理機序や微生物といった基礎医学と臨床医学のつながりを意識し、初期研修医は疾患ベースに、後期研修医以降は臨床微生物学の強化を意識した勉強をしよう、と具体的なアドバイスもいただきました。
第三部は、毎回好評の「弾丸感染症道場」です。米国内科学会公式問題集(MKSAP)を用いて、取り上げた4題一つひとつに関して先生方から教育的なコメントをいただき、知らないと解決できない臨床課題について、参加者の理解もきっと深まったことと思います。
RFCでは、今後も若手医師や医学生がワンランク上の診療を目指せるような、明日からの診療に役立つ知識やテクニックを学べるイベントを行っていきます。それと同時に、海外を目指す方々のプラットフォームであり続けられるよう努めます。2021年6月には、初めての試みとなるA C P日本支部年次総会のオンライン開催が予定されております。関心のある方はぜひご参加ください。