目次: Annual Review循環器、Endocrine Journal、ERマガジン、Expert Nurse、The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine、Journal of Occupational Health、JJNスペシャル、Neurosonology、LiSA、Medical Practice、Therapeutic Research、Vascular Lab、愛知学院大学論叢 心身科学部紀要、麻布大学雑誌、安全と健康、医学図書館、医学のあゆみ、石川看護雑誌、いのちとこころを救う災害看護、医薬ジャーナル、医療看護研究、医療と検査機器・試薬、インターナショナルナーシングレビュー、エマージェンシー・ケア、オペナーシング、沖縄県立中部病院雑誌、香川労災病院雑誌、神奈川県立よこはま看護専門学校紀要、神奈川県臨床工学技士会誌、金沢大学つるま保健学会誌、看護、看護教育、看護実践の科学、看護人材教育、看護展望、看護部マネジメント、看護・保健科学研究誌、感染と消毒、救急医学、救急医療ジャーナル、教育と医学、クリニカルスタディ、「緊急被ばく医療」ニュースレター、外科治療、月刊福祉、検査と技術、口腔衛生学会雑誌、国士舘大学体育・スポーツ科学研究、国立高知病院医学雑誌、心と文化、こころの科学、こころのりんしょうa・la・carte、コミュニティケア、歯界展望、自衛隊札幌病院研究年報、思春期学、静岡県立大学短期大学部研究紀要、児童青年精神医学とその近接領域、集団精神療法、15年戦争と日本の医学医療研究会会誌、循環器画像技術研究、食品衛生学雑誌、寿泉堂病院年報、順天堂医学、尚絅学院大学紀要、助産師、人工臓器、心身医学、診断と治療、心的トラウマ研究、腎と透析、精神医学、精神科、精神科看護、精神看護、精神科治療学、精神保健福祉、全国自治体病院協議会雑、善仁会研究年報、仙台赤十字病院医学雑誌、地域救急災害医療研究、地域保健、東京都医師会雑誌、透析ケア、中毒研究、調剤と情報、電子情報通信学会誌、東京都病院薬剤師会雑誌、糖尿病ケア、トラウマティック・ストレス、都臨技会誌、ナーシング、ナーシングケアQ&A、ナーシング・トゥデイ、長岡看護福祉専門学校紀要、長野県透析研究会誌、長野赤十字病院医誌、難病と在宅ケア、新潟県厚生連医誌、日赤医学、日本医事新報、日本遠隔医療学会雑誌、日本看護学会論文集、日本看護歴史学会誌、日本救急看護学会雑誌、日本航空医療学会雑誌、日本交通科学協議会誌、日本災害看護学会誌、日本集団災害医学会誌、日本手術看護学会誌、日本手術看護学会発表集録集18回、日本小児腎不全学会雑誌、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌、日本精神科看護学会誌、日本赤十字秋田短期大学紀要、日本赤十字看護学会誌、日本透析医会雑誌、日本内科学会雑誌、日本旅行医学会学会誌、日本の論点2008、日本臨床内科医会会誌、日本臨床皮膚科医会雑誌、榛原総合病院学術雑誌、病院設備、兵庫県全外科医会会誌、兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要、広島医学、福祉介護機器Technoプラス、福島県農村医学会雑誌、プチナース、プレホスピタルMOOK、プレホスピタル・ケア、分子精神医学、法医学の実際と研究、防衛衛生、訪問看護と介護、北海道農村医学会雑誌、保健医療科学、保健師ジャーナル、保健の科学、宮城大学看護学部紀要、民医連医療、薬学雑誌、薬事、山形県医師会学術雑誌、山梨透析研究会会誌、臨床看護、臨床心理学、臨床外科、臨床透析、臨床放射線、臨床麻酔
■Annual Review循環器
■Endocrine Journal
■ERマガジン
■Expert Nurse
■JJNスペシャル
■The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
■Medicina ■Neurosonology
■LiSA
■Medical Practice
■Therapeutic Research
■Vascular Lab
■愛知学院大学論叢 心身科学部紀要
■麻布大学雑誌
■秋田大学医学部保健学科紀要
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■石川看護雑誌
■いのちとこころを救う災害看護
■医薬ジャーナル
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■エマージェンシー・ケア
■オペナーシング ■沖縄県立中部病院雑誌 ■外来看護新時代 ■香川労災病院雑誌
■神奈川県立よこはま看護専門学校紀要
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■看護
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■感染と消毒
■救急医学
■教育と医学
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■月刊福祉
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■検査と技術
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■こころのりんしょうa・la・carte
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■児童青年精神医学とその近接領域
■集団精神療法
■寿泉堂病院年報
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■順天堂医学
■尚絅学院大学紀要(Research Reports of Shokei Gakuin College)
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■心的トラウマ研究
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■精神医学
■精神科看護
■精神看護
■精神科治療学
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■全国自治体病院協議会雑誌
■善仁会研究年報
■仙台赤十字病院医学雑誌
■地域保健
■調剤と情報
■電子情報通信学会誌
■東京都医師会雑誌
■透析ケア
■糖尿病ケア
■都臨技会誌
■トラウマティック・ストレス
■ナーシング ■ナーシングケアQ&A
■ナーシング・トゥデイ
■長岡看護福祉専門学校紀要
■長野赤十字病院医誌
■難病と在宅ケア
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■日本手術看護学会誌
■日本手術看護学会発表集録集18回
■日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌
■日本精神科看護学会誌
■日本赤十字秋田短期大学紀要
■日本の論点2008(東京、文藝春秋、2008)
■日本透析医会雑誌
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■日本旅行医学会学会誌
■日本臨床内科医会会誌
■日本臨床皮膚科医会雑誌
■脳神経外科ジャーナル ■榛原総合病院学術雑誌
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■兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要
■広島医学
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■プレホスピタル・ケア
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■北陸と公衆衛生 ■保健医療科学
■保健師ジャーナル
■保健の科学
■宮城大学看護学部紀要
■民医連医療
■薬学雑誌
■山形県医師会学術雑誌
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■臨床心理学
■臨床精神医学 ■臨床放射線
■臨床麻酔
Abstract:東欧ではChernobyl災害で甲状腺癌(TC)発生増加を来した。そこで我々の施設で1982〜2006年に診断したTC351例について検討した。TC診断時期を1982〜1986、1987〜1991、1992〜1996、1997〜2001、2002〜2006年の5期に分けて比較した。当施設のTCsは文献と同様であった。5期の比較では、濾胞癌の比が減少し、他のTCsは変化しなかった。乳頭状微小癌の比は増加し、一方古典的癌は減少し、TC診断年齢は有意差がなかった。Chernobyl災害の影響があるとすれば診断時年齢が若くなる可能性があり、濾胞癌の比の減少はヨード補給によるかもしれない。乳頭状微小癌の増加は診断精度の関与が考えられた。更にトルコのTC疫学的調査が必要である。
特集・災害医療に役立つ医療人になるために
特集・非常時 病院と患者とあなたを守るために
Abstract: 病院は患者を救う施設であることから、災害時においても患者を守れる"強く・つぶれない"建物構造設備が求められる。患者に危害を与えてはいけない。災害時に病院機能を維持し、診療機能を継続するための計画(BCP)が必要である。
Abstract:災害時の病院機能維持には堅牢な建物、設備であることが前提であることは言うまでもない。病院での電気や水、ガスなどライフラインの寸断は病院機能に大きな支障をもたらすこととなり、ライフラインの確保とバックアップは重要である。また、建物や設備などの破損の早期復旧、安全確認への人的バックアップ体制も災害時での病院機能維持には欠くことのできないことである。当院では、新潟県中越地震(図1)と中越沖地震という2度の大きな地震を経験し、備えが必要であることと、ある程度の対策がとれていれば大丈夫ということの両面が明らかになってきた。本稿では、基幹災害拠点病院としての当院の備蓄状況とライフラインのバックアップについて紹介する。
Abstract:災害発生時の心構えとは「とっさの気転と妥協の即応性」(榊原弥栄子、神戸市立中央市民病院)非常とは日常でないこと。当然、"普段できること"ができず、"いつもは考えられない事態"が次々と折り重なって到来し、現場は騒然となる。したがって、平時からの対応を検討立案しておくことはきわめて重要だが、そうは言っても紙の上だけの「病院防災計画(マニュアル」」の何と多いことか。計画には合理的な骨格をもたせることと、そして何より、想像力豊かで柔軟性が必須である。一方、災害訓練と言えば、シナリオがあって大規模災害であっても整然と進行させる参加者の意識を無視した訓練がいまだ存在している。訓練立案者には参加者の意識を引き出す技量能力が求められる。想定する災害を実感的イメージとして、立案者、参加者ともにどのくらい共有できているか。これだけで訓練の意義が大きく変わる。
Abstract:災害にもさまざまあるが、本論では、医療機関で予想される災害としてまず火災と地震を想定する。というのも、この二つが頻度的にも多く、かつ対応の緊急性も高く、それゆえに訓練もよく行われていて対策が周知しやすいからである。そして、その対応策は他の災害でも応用がきく、と考えているからである。また、被災部署としては手術室を想定する。当然であるが、そこにいる患者は数が少ないながら、最も逃避能力が欠如した一群だからである。そして手術室の避難対策を考えることは、ICUや一般病棟の重症患者にとっても有益なことだからである。もし手術室で被災することに利点があるとすれば、手術部内にいる人数を正確に把握しやすいこと、そして患者が勝手に移動しない、つまり行方不明者が発生しにくいことである。逆に言うなら、病棟では発災時に病棟内不在の者や勝手に逃げ出す人がいて、その把握が著しく困難なのである。以下本稿では、災害時についての対応を考える。
Abstract:「病院は災害に強く、安全である」という神話はもともと存在しない。あったとしても、それはまったくの誤解である。免震構造を採用した病院はいまだ少数派だし、出入り自由でセキュリティー対策が甘い病院を爆破することなど、素人でも簡単である。あなたが働く手術室や集中治療室は、病院のなかで最も周囲からセパレートされており、あたかも安全な牙城と誤解してはいないか。ハイテクを誇る手術室や集中治療室こそ、最も「孤立」する可能性が高い場所にほかならない。ハイテクと安全性とはまったく別問題である。災害時の情報交換は常に課題であり、完全な手段はない。だからこそ、まさかの時には的確な情報を発信し、関係者の間で共有することがキーとなる。あなたの牙城を孤立させないために…。
Abstract:本調査研究は、5・17に大学キャンパス近辺で発生した発砲立てこもり事件に伴う、学生の生活状況、通学の不便さ、心身の調・不調の認知とそれらへの対応、さらに大学がとった臨時休講措置に対する要望などについてのアンケート調査(項目数22項目)を実施した。調査への参加者は、(1)群:日進キャンパスの「臨床心理学」受講学生N=100、(2)群:楠元キャンパスの「臨床心理学」受講学生N=148であった。調査時期は、事件発生から4〜7日後であった。結果は、(1)群が(2)群に比べて、全ての項目に0.1%〜5%水準で有意差が見られた。(1)群は、生活状況に不自由・不都合、通学への不便さ、心身の不調(食欲不振、睡眠不調、不安など)を経験したことが判明した。また事件熟知の手段に、友人間の対話や携帯電話での連絡、大学のWeb Campus掲示板、テレビのニュース報道などで知ったことが判明した。"こころの問題"は、概して深刻な問題は伺えなかったが、今後さらに追跡的に調査をすることが指摘された。
Abstract:呼吸器科病棟の特性に適合した災害マニュアルを作成し、災害マニュアルに沿った教育とシミュレーション実施訓練を行い、これらの有用性と問題点を明らかにすることを目的に以下の研究を行った。Y総合病院呼吸器科病棟(病床数48床)、勤務看護師22名を対象にした。Y総合病院の防災マニュアルを基準にして、酸素カード、非常用持ち出し物品、NPPV対応、人工呼吸器停電時の対応などが記載された呼吸器内科病棟専用災害マニュアルを作成した。スタッフ教育としては、災害マニュアルを用い、臨床工学技士、呼吸療法認定士、在宅酸素機器メーカー担当者、病棟看護師から組織された研究チームにより、平成18年7月〜9月までに計6回講習会を開催した。平成18年9月22日、防災訓練時に、呼吸器内科病棟内にて、携帯酸素ボンベ使用、車椅子、NPPV使用のそれぞれ模擬患者を設定し搬送するシミュレーション実施訓練を行った。災害マニュアルに基づく教育、実施訓練の前後で13項目からなるアンケート調査を行った。その結果、スタッフ間の対応および患者への対応の項目はともに、スタッフ教育後に統計学的に有意に改善した。実施訓練後、スタッフ間の対応および患者への対応の項目はともに、教育前あるいは教育後に比べて改善傾向にあった。本研究の結果、呼吸器内科病棟スタッフが災害時に的確に対応するためには、呼吸器内科病棟に適合した災害マニュアルを利用した教育とシミュレーション実施訓練を継続して実施することの重要性が示唆された。
Abstract:救急ヘリコプターの目的は大きく分けて2つある。第一は患者搬送時間の短縮であり、アメリカのような国土の広い国で実施されている施設間搬送や救急現場から外傷センターなどへの直接搬送である。この場合の医療スタッフは、かなりの治療が可能なパラメディックやフライトナースなどである。日本においてはこの業務は主として消防・防災ヘリコプターが担当している。第二は傷病発生現場での治療を目的としたヘリコプターシステムであり、ヨーロッパで多く実践されている。この場合の医療スタッフは医師が中心であり、現場においてかなりの治療を実施することが特徴である。日本ではこの業務を実施しているのがドクターヘリである。
Abstract:MIMMS(major incident medical management and support)とは、大事故災害時に医療活動にかかわるものを対象とした大事故災害時の医療対応を教育・訓練するシステムである。MIMMSでは、すべての大事故災害時に共通する原理原則としてCSCATTTの頭文字で表される。(1)command(指揮・命令)、(2)safety(安全)、(3)communication(情報伝達)、(4)assessment(評価)、(5)triage(トリアージ)、(6)treatment(治療)、(7)transport(搬送)、の7つを優先事項としている。災害現場用のMIMMSコースと受け入れ病院用のhospital MIMMSコースがあり、CSCATTTに準じた講義、"table top exercise"とよばれる模型を使った訓練や討論などを行う。日本でも2005年にMIMMS日本委員会が設立され、その普及に向け活動を開始している。
Abstract:災害派遣医療チーム(DMAT)とは、「大規模事故災害、広域地震災害などの際に、災害現場・被災地域内で迅速に救命治療を行えるための専門的な訓練を受けた、機動性を有する災害派遣医療チーム」で、1チーム5名で、医師を中心に看護師や調整員(事務員)などの医療従事者から編成される。厚生労働省は全国1,000チーム(常時200チーム出動可能体制を目標)を養成する計画である。想定されるおもな任務は、近隣大規模事故災害対応として災害現場でのトリアージ、治療、閉鎖空間の医療など、地震などの広域災害発生時には被災地内医療機関の支援、患者後方搬送、広域医療搬送などである。政府は東海地震、東南海・南海地震または首都直下地震が発生した場合、自衛隊航空機を使用した全国規模の患者搬送(広域医療搬送)を計画している。DMATはこの広域医療搬送計画においても活躍することが期待されている。
Abstract:大地震発生時に適切に救急医療を実施するには、想定される患者の数と重症度の程度、受け入れ医療機関の体制を理解しておく必要がある。一般に地震災害の様相は、マグニチュードや震源の位置・深さなどの物理現象としての地震の特徴に加え、その影響を受ける対象地域の自然環境特性と社会環境特性から構成される地域特性によって決定される。そこで本研究では、現在発生が危惧されている首都直下地震を対象に、救急医療の対象となる患者の発生と分布、受け入れ医療機関の体制の評価法に関して報告する。さらに、病院が準備すべき災害対応マニュアルのあり方に関しても紹介する。
Abstract:能登半島地震における訪問看護ステーションの被害状況と初動を明らかにすることを目的として,能登半島地震において震度5以上であった石川県内の10市町にある訪問看護ステーションの管理者を対象者として調査を行った.その結果,回答が得られた7つの訪問看護ステーションの建物・設備・備品の被害状況は,一部損壊2ヶ所,設備・備品の転倒・落下1ヶ所で,4ヶ所には被害がなかった.地震発生時の管理者の所在は,4名が自宅であり,すぐに利用者の安否確認のための家庭訪問や電話連絡,職場への出勤,職員の安否確認,自宅の被害状況の確認を行っていた.そして,能登半島地震後に,管理者は【利用者・家族への対策】【災害時の行動の確認】【連絡網の作成・見直し】【マニュアルの作成・見直し】を行っていた.また,今後改善したい点としては,【地域の関係機関との連携】【訪問看護ステーションにおける対策】【利用者・家族への対策】があげられていた.(
Abstract:本研究は,本学の能登半島地震への健康管理チーム派遣の経験を踏まえ,本学の災害時対応における備えについて考察することを目的とした.健康管理チーム派遣に関する準備については,大方の者が物資と身繕い・服装の準備をしており,派遣にあたり心がけていたことがあった.調整に当たった者は,健康管理チーム派遣がうまくいくように調整役割をとっていた.派遣に関する援助活動の上で困り事があった者が多かったが,参加してよかった・また参加したいと考えている者が多かった.健康管理チーム派遣への本学の備えについては,「不十分」・「わからない」の意見が多かった.しかし,備えの必要性の有無については,多くの者が必要ありと答えていた.
:能登半島地震被災地における地域看護学実習において,学生が捉えた被災地住民の援助ニーズと保健師の役割を明確にする.被災地で実習し同意の得られた14名の学生の実習記録から,(1)被災地住民の生活状況と援助ニーズ,(2)保健師による個別支援,(3)保健指導技術,(4)保健師の地域保健活動,に関する事項を取り出し内容を分析した.学生は,被災地住民の生活状況の困難な側面を把握するとともに,「住民同士のネットワーク」「今後の生活に前向きな考え」という,地域住民の持つ力・可能性を捉えていた.被災地における地域保健活動として,「住民が必要時身近に相談できるサービスを創る」「必要な社会資源の利用を勧め,関連職種と連絡・調整する」「地域サポート体制をつくる」なども捉えられていた.地域看護学実習担当教員としては,被災地での健康課題と地域保健活動に身を置くという実習の意義に価値を見出し,実習指導方法を検討する必要があると考えられた.
小野真理子・監修 いのちとこころを救う災害看護、東京、学習研究社、2008
特集・救急医療・災害医療と薬剤師
Abstract:現代の救命救急医療は、多くの専門分野が有機的に連携する「総合的チーム医療」である。従って、薬剤師も救急医療の現場では「チーム医療の一員」として業務を行う。救命救急センターでは先端的な医療機器を用いた集中治療が行われ、また個々の患者に多くの診療科が介入する頻度が高いなどの理由により、医薬品の管理や使用について院内の他部署とは自ずと留意点も異なる。また、薬剤の適正使用に関する役割が中心であることは同じであるが、医薬品中毒症例やTDM(therapeutic drug monitoring)などについては、より直接的な診療参加を求められる。そのためには、薬剤師は個々の患者の経時的な病態変化を把握していることが重要である。薬剤師が他職種に対して、率直に助言し教育を行う環境を整えることは、そのまま医療安全管理となる。救急診療チームが専従の薬剤師に期待し、そして要求するものは大きいかもしれないが、今後、薬学部6年制などの変革を経て、他職種の信頼に応える薬剤師が数多く輩出されるものと考えている。(
Abstract:救急医療では、迅速に"必要な治療を施行する"判断が求められる。三次救急医療を担う新潟市民病院救命救急センターでは、薬剤師が急性中毒医療において薬毒物分析を担当し、「治療に直結する重要な情報提供の担い手」として活躍している。業務を始めた1999年4月から2007年10月までに分析依頼があった779症例のうち430症例は服毒物の情報がないケースであり、原因不明症例が急性中毒であることを明らかにする定性分析の需要が半数以上を占めていた。また、アセトアミノフェン、グルホシネート、サリチル酸、パラコート、メタノール、エチレングリコール中毒では全例で定量分析も行い、治療方針を速やかに決定している。分析結果は報告するだけではなく「確定診断でよいか」、「臨床との矛盾はないか」、「追加の分析はないか」、「治療法は」と積極的に臨床へ関わることで、薬剤師は中毒と治療に関わるあらゆる情報を迅速に収集・提供する役割を担うことができる。(
Abstract:災害とは、日常のシステムや環境が破壊され、その地域社会が独力では健全性を維持できない状態を言う。発災とともに医療需要は急激に増大し、その一方で供給能力は低下する。災害時に必要な薬剤は"死蔵"しておくのではなく、日常的に流通・更新されてゆく備蓄として確保すべきで、温度管理が必要な薬物や法的規制のある薬物には、格段の配慮が必要である。被災した場合であれ、被災地支援に出動する場合であれ、適切な薬物の選択、整理、在庫管理、処方上の助言、服薬指導などが薬剤師の業務となる。内容は日常と同じであっても、災害時には多くの制約的因子が加わるので、治療の優先順位にからんで厳しい決断を迫られることが多い。目標は「防ぎ得る死」を可能な限りゼロにすることである。(
Abstract:災害医療は、被災地域の医療が麻痺した状態から軌道に乗るまで、限られた医薬品、物資、そして人材で行わなければならない。そのような状況の中、薬剤師が救援活動に参加することは、被災者の健康維持につながるこの災害医療をより効果的に、円滑に進めるために必要であると考える。そのために、専門家として求められること、薬剤師としてできることを認識し、計画・準備・活動することが重要である。本稿では筆者が国内外での活動を通して得られた薬剤師の役割、そしてその意義について、赤十字の活動、日本赤十字社医療センターの取り組みを含めて述べる。(
Abstract:救急外来における看護師の対応の円滑化に関わる要因を明らかにすることを目的に、看護体制の異なる2つの三次救急医療施設(首都圏の新型救急医療センターを有する三次救急施設(A病院)、地域の災害拠点・救急基幹病院(B施設))において、急性冠疾患(ACS)で緊急入院した2事例(胃痛を訴えて直接来院した患者。救急隊からのACS疑いの連絡を受け、待機して迎えた患者)について、後方視的に比較、分析した。その結果、看護師の対応の円滑化に関わる要因として、以下の9つが明らかになった。1)事前情報の程度。2)ACS対応パターンの存在と周知の程度。3)受け入れ準備の程度。4)医師-看護師の情報共有。5)対応する医師の専門領域と患者の病態のマッチング。6)受け入れ時間帯と勤務者の状況。7)看護師自身の判断に基づいた自主的な行動。8)看護師間の臨床判断の共有と役割分担。9)事務職員・警備員等の協力の有無。
特集・災害時におけるPOCT
Abstract:原爆投下後の広島における看護活動を明らかにすることを目的に、1945年8月6日の原爆投下後に現地で看護職として働いた経験のある看護師3名、保健師1名、助産師1名へ半構成的面接を行うとともに、関連文献を検討した。その結果、医療資源や人手が極端に不足する状況の中でも看護職は、日常の知恵や経験、日常品や薬草といった活用可能な資源を用いて柔軟に対処することの重要性が示唆された。
Abstract:2004年の台風23号の兵庫県への接近に伴い、明石川が警戒水位に達したため避難勧告が出されたが、実際に非難した住民はわずか5.1%であった。そこで今回、避難勧告が出された地域の2818世帯を対象に避難勧告に対する認識と行動を明らかにすることを目的にアンケート調査を実施し、481世帯より回答を得た(回収率17.1%)。その結果、回答者のうち避難勧告を知っていた者は409名で、避難勧告により避難した者は104名、避難しなかった者は375名であった。避難しなかった者は、自宅が浸水することはないと判断し、2階など逃げる場所があることなどから家に留まる方が安全であると考えていたことが分かった。
Abstract:災害発生をより具体的にイメージするためICUにおいて災害シミュレーションを実施した。そして、効果を確認するため、実施前後の災害に対する意識と災害に関する知識の変化を調査した。対象はICUスタッフ延べ53名で、ICU経験年数は平均3.2年であった。その結果、1)災害発生時の行動に関する知識の正解率はシミュレーション実施後上昇し、災害看護について考えるきっかけとなった。2)視認性の高い掲示としてアクションカードを導入したところ全員が活用できており、より効果的な行動がとれたと考えられた。3)マニュアル作成だけでは実際の行動にはつながらず、人間の記憶は常に忘れ去られるものであることから、様々な視点から状況を判断し、瞬時に行動するために定期的なシミュレーションで経験を重ねる必要があると思われた。4)ICUという緊急性が高く、急変時にも迅速に対応しなければならない環境下ではクリティカルな患者の搬送介助や常に優先順位を考えることが、予備知識には影響されず、災害時の行動として発揮されるものと考えられた。
Abstract:在宅における腹膜透析(PD)患者に対し災害時における緊急離脱法等を含めた指導を行いながら、安全に対処できるようにマニュアルを作成したので報告した。1)PD患者10名に災害に対する意識調査を行ったところ、災害についての関心や不安を示す割合は大きかったが、災害時の必要物品の準備がほとんどできておらず、危機感は乏しいと考えられた。2)災害時に病院スタッフは被災者や入院患者の対応に追われることは明確であるため、患者の安否の確認と物品の配送は災害時のシステムが確立されている業者に依頼することとした。3)患者の反応を確認しながら、切り離しのシミュレーションを行ない、更に個別性も含めた指導を進めた結果、活発な意見が交わされ、貴重な情報交換の場となった。4)患者の意見を取り入れ、写真を取り入れる等を行なった実践的なマニュアルが作成されたが、今後は避難先でも安全にPDが実践できるようなマニュアルを作成する必要があると考えられた。
Abstract:模擬傷病者を設定しトリアージシミュレーション教材(10事例)を用いた災害トリアージ演習における看護学生の学びを明らかにすることを目的に、災害看護論を履修した本学(看護専門学校)3年次生へアンケート調査を実施した(回答73名)。その結果、救護班の役割を通して学生は、看護師としての【責任と自覚】【優先順位の必要性】【判断能力が重要】【声かけの必要性】【役割分担の重要性】を学び、模擬傷病者役を通して救護班の関わりに敏感に反応する【不安】と【安心】の心理状況を体験していることが分かった。また、救護班役と傷病者役を全員が体験することで、傷病者に関心を寄せ、傷病者を尊重した関わりの必要性について学ぶことができていた。
Abstract:3年課程看護専門学校における災害看護教育での学生の学びを明らかにすることを目的に、本学3年次生へ自由記述によるアンケート調査を実施し、72名より有効回答(92.8%)を得た。内容分析の結果、災害看護学の授業で過去に起こったいくつかの災害状況に触れることで、【災害の種類が分かる】など、災害のイメージができ、さらに、トリアージ演習での体験が、看護者としての視点を養ったり、被災者の立場から心のケアの大切さを実感する学びへとつながっていることが分かった。
Abstract:能登半島地震被災4ヵ月後の自宅生活者の暮らしと健康の実態を報告し、現状を示すと共に、早急に解決すべき課題について検討した。調査参加者は男性23名、女性40名、平均年齢は男性74.9歳、女性70.5歳で、65歳以上は50名であった。47名が一人暮らしや夫婦世帯であった。被災場所は約1/4が屋外で、地震による怪我は少なかったが、9割以上が何らかの家屋被害を受けていた。General Health Questionnaire 28の結果から、自宅で生活する住民にも身体的症状や不安不眠を訴える人が50%以上いることが分かった。身体状況の不調は高齢の地域住民たちの心身機能を容易に低下させる恐れがあり、定期的な健康状態の確認が必要である。体重減少は4人に1人が自覚しており、震災による影響が考えられた。
Abstract:2007年3月25日に輪島市を震源に能登半島を襲った能登半島地震時に体験した実習計画を中心とする教育計画の変更への対応過程と、その中から抽出された大規模地震災害直後の地域看護実習実施時の課題の分析を行った。その結果、震災直後の1週間の主たる課題は、地震災害後の余震や再震の発生リスクが不明であること、実習地域や施設の被害状況が分からないことなどにより実習の中止・変更などの判断が困難であった。このような状況下で課題に対して最も重要な対応は、正確な情報の入手・蓄積による多角的、具体的な課題及び対応策の検討であった。実習施設の変更や学生配置の判断に役立った情報は実習地域の被害規模と実習施設がどれだけ災害救護に時間を費やさなければならないか、災害時という非常時において実習学生数がその施設の従来の実習学生数よりも多人数・多グループであっても受け入れ可能と判断してくれるかにあった。大規模災害の発生による教育計画の進行の遅れは、学生が実習準備にかける学習の遅れに関連していることが示唆された。以上より、大規模災害の発生による教育計画の進行の遅れに対する配慮としては到達水準や評価水準の変更を行う際には、学生の学習意欲や学習効果、達成感を損なうことなく負担軽減が図れるような指導・教育方法の検討を進める必要があると考えられた。
特集・基礎教育編 カリキュラム改正を見据えた災害看護の授業づくり
Abstract:重症心身障害者(児)病棟の床上浸水時に看護師がとった対処行動を、社会的支持(マスコミからの情報、または身近な看護師長・同僚・他病棟の看護師などからの援助)との関連から明らかにすることを目的に、1998年9月24日から25日の未明にかけて高知県内で発生した集中豪雨による某病院の重症心身障害者(児)病棟における床上浸水時に勤務していた看護師12名を対象に半構成的面接を実施した。内容分析の結果、看護者は不安と恐怖の中で当直師長や他病棟の夜勤看護者・一部の事務職員、2名の医師の社会的支持を受け、床上浸水を経験したことのある看護者の判断を信頼して行動をともにし、重症心身障害者(児)病棟の120名の生命を守ることができたことが分かった。
Abstract:重症心身障害者(児)病棟の床上浸水時に看護師がとった対処行動を、社会的支持(マスコミからの情報、または身近な看護師長・同僚・他病棟の看護師などからの援助)との関連から明らかにすることを目的に、1998年9月24日から25日の未明にかけて高知県内で発生した集中豪雨による某病院の重症心身障害者(児)病棟における床上浸水時に勤務していた看護師12名を対象に半構成的面接を実施した。内容分析の結果、看護者は不安と恐怖の中で当直師長や他病棟の夜勤看護者・一部の事務職員、2名の医師の社会的支持を受け、床上浸水を経験したことのある看護者の判断を信頼して行動をともにし、重症心身障害者(児)病棟の120名の生命を守ることができたことが分かった。
Abstract:平成18年2月に北陸道で発生した61台の多重衝突事故に対する富山県立中央病院救命救急センター(センター)の対応を報告した。事故全体での救急搬送患者は重症4名、中等症4名、軽症23名であり、このうちセンターには重症2名、中等症2名、軽症1名が搬送された。事故の触知から32分後の第1報の時点で消防機関・医療機関ともに災害と認識し、医療救護班を現場へ出動させ、以後現場の救急隊や医療救護班、市消防局と双方向性に連絡をとった。現場ではファースト・セカンドトリアージが行われた。センターでは医師11名、看護師5名、放射線技師2名のスタッフが3名1チームの医療チームを形成し、救急専任医がセンター内全体の指揮をとった。平成13年の高速バス事故と比較していくつかの改善が見られたが、今後も計画-実施-評価-改善サイクルに基づいた院内・医療圏全体での災害訓練の実施、災害対策マニュアルの改善が必要である。
特集・災害発生!そのとき、あなたができることは? 想像してみよう災害のこと
特集・災害時要援護者支援の実際
Abstract:災害医療教育の必要性が強調・認識され、医療従事者に対する社会の期待は確実に高くなっている。救急医・外傷医はもちろんのこと、外科医を含めた医療従事者にとって災害医療の修得はもはや必須事項である。そのためには災害医療は特別な医療対応ではなく、日常診療の延長線上にあることを意識し、日頃から準備・訓練しておくことが重要である。
Abstract:災害医療の急性期には多数の外傷患者を対象にして救護医療活動がなされる。災害現場で行うトリアージや治療には外傷初診診療の標準が応用される。さらに、救護者や医療機関内で行う創傷処置や手術では、限られた医療資源の中で蘇生と感染予防対策を最優先する。その際、ダメージコントロールとしての危機管理や簡略手術が役立つ。
Abstract:2004年10月に発生した中越地震が、被災地域の児童・生徒の口腔保健状況に与えた影響について検討するため、震源地域に相当する4地域(N,O,T,U地域)の小・中学校における学校歯科健康診断結果を、地震前後で比較検討した。DMF者率、処置歯率、DMFTの比較から、次のような結果を得た。1.被災地域では処置歯率の減少が観察され、T地域を除く小学校6年生(p<0.01)、U地域を除く中学校3年生(p<0.01)など、、全28学年単位中10学年単位で地震前後の間に有意差が認められ、4被災地合計でみても小学校4年生(p<0.01)など全7学年単位中5学年単位で地震前後の間に有意差が認められた。2.全県の処置歯増加数に占める4被災地の割合は、地震後に小学校の3学年単位で減少が認められ、小学校3年生(p<0.05)など3学年単位で地震前後の間に有意差が認められた。3.全県のDMF歯数の増加にとめる4被災地の割合は、地震後に中学校の2学年推移で増加が認められ、地震前後間で有意差(p<0.01)が認められた。4.DMFT増加率は、地震後に中学校で増加傾向が観察できる以外、明確な変化は認められなかった。これらの点から、地震が被災地の処置歯率減少に影響している可能性が示唆され、今後の地震災害対策を歯科保健医療の面から検討する際に、学校歯科保健への影響についても留意する必要があると考えられた。
Abstract:応急手当講習が防災意識に関してどのような効果をもたらすか検討した。総合危機管理講座(公開講座)の応急手当講習を受講した大学生211例と一般住民4例を対象とした。応急手当講習を実施し、応急手当講習会前後に防災意識の指標として、人や社会に尽くす実践に関する自記式のアンケートを実施した。応急手当講習を受講することにより、応急手当の手技に対する自信度や人や社会に尽くす実践に関する意識が向上した。応急手当講習を受講することにより、救護に対する意識や災害時のボランティア活動への参加意識が向上した。応急手当講習を受講することにより、救護に対する意識や災害時のボランティア活動への参加意識が向上していることから、応急手当講習は防災意識を向上させる効果の高い手法であることが示唆された。
Abstract:著者らの施設の外来維持血液透析患者10名を対象に半構成的インタビューガイドに基づいた面接を行い、在宅時に地震が発生した場合に考える気がかりな事について検討した。インタビュー内容を分析した結果、外来維持透析患者が考える気がかりな事として、1)防災意識、2)自己管理、3)知識不足、4)あるがまま、5)非現実的、6)医療者側への依存、7)死に対する不安、8)施設への依存、9)防災時の通信知識、10)道路状況に対する不安の10カテゴリーが抽出された。
特集・EMDR トラウマ治療の新常識
特集・思春期におけるトラウマとPTSD
Abstract:新潟県中越地震後に行われた「子どものこころのケア活動」について報告し、わが国の災害後の子どものケア活動について、問題点等の検討を行った。今回の支援活動において「相談所活動」や「巡回相談活動」で診察・相談の対象として児童の特徴として分離不安、不眠、不穏が高率に認められた。地元の援助ニードに即した「子どものこころのケア活動」を行うためには、地元の専門機関や多のケア・チームと余震の大きさ・頻度・期間、地域の復興状況、相談活動の必要性、乳幼児検診への相談活動の必要性、地元機関への引き継ぎが必要なケース、などについての情報交換や協議を定期的に行っていくことが必要であった。そして地元の専門機関や保護者への啓発活動を終結時まで活発に行うことが、ケア・チームが撤退した後の子どものメンタルヘルス活動を地元機関が担って行くためにも重要と考えられた。
Abstract:放射線部門における災害対策の現状についてアンケート調査を行った。関東地域(東京・神奈川・千葉・埼玉・山梨)の1都4県の災害拠点病院等の192施設を対象とした。回答98施設中、関東地域の災害拠点病院73施設より得られたデータを用いた。血管造影検査中に、災害がおきた場合の取り決め・マニュアルは、整備されていない施設が60%であった。血管造影検査施行中の地震を想定したシミュレーション(訓練)については、未実施の施設が88%であった。緊急電源から、60%以上の施設で循環器X線撮影装置への電力の供給がなかった。耐震工事を行っている施設が19%、その中で基準を明確にして耐震工事を行っている施設が1%であった。CT検査室が災害時に十分な機能を保持し有益な画像情報が提供できる環境整備が行われていなかった。
Abstract:『子どもの命の輝きのために』とのタイトルで平時の救急医療の現況と災害時の医療の特殊性について報告します。大都市の小児救急医療の現場では救急医療体制の整備のために病院小児科の集約化・重点化が進みつつあるように見えますが、過疎地域では医師不足から病院小児科の縮小・閉鎖が相次いでいます。このような地域格差の存在と改善されないままの劣悪な勤務環境から小児救急医療は破綻寸前にあります。救急医療体制の崩壊を食い止めるためには、病院小児科の集約化・重点化をさらに進めることに加え、内科的疾患のみならず、外傷、中毒、熱傷等の外科や集中治療の疾患にも対応することが必要です。このためには小児救急医療の教育・研修カリキュラムの提示と教育の過程を通した救急を支える人たちの<救命の連鎖>が不可欠であると考えます。また、災害救急医療の中でクラッシュ症候群と震災後ストレス障害(PTSD)の把握は救命とその後の微笑みの回復のために必須であり、疾病や災害から子どもを守る視点は小児の成育においては重要なことです。
Abstract:仙台基督教育児院日誌等の育児院資料である第一次資料を基に、1933年宮城県三陸海岸沿いで発生した海嘯の被災地に開設された仙台基督教育児院での事業に参加した旧職員に聞き取り調査を行い、被災地臨時託児所の事業の具体的な運営方法や保育の内容・保母の勤務状況を明らかにした。また、3ヵ月間の育児院自体の運営について、措置制度以前の当時の児童保護の状況を検討した。そして、臨時託児所の事業を戦前期の児童保護事業の枠組みのなかで意義付け、今日の児童福祉制度の枠をこえる施設の地域貢献事例としての要素を考察した。
Abstract:当院心療内科では、社会のニーズに応えるために以下のさまざまな活動を行っている。1.自殺予防のための危機介入:併設の三次救命救急センターでは、重症の自殺未遂患者にリエゾンとして関わり、早急に患者・家族と面接し、精神科医につなぐことで、自殺再発予防に努めている。2.グリーフケアの啓蒙:医療従事者のみならず、地域の援助職(保健師・福祉施設職員・教師など)や一般市民に向けても、講演活動を行い、啓蒙・普及に努めている。3.災害医療への急性期からの介入:JR福知山線脱線事故への関わりから、災害急性期においても「遺族の視点」を視野に入れた活動が重要であると痛感した。こうした中で、災害救急医や法医学者などとともに「災害時におけるグリーフケア」に関する勉強会を立ち上げた(DMORT研究会)。各自が自身の専門分野や身近なテーマを通して、多種多様な社会のニーズに応え、発信していくことに留意すべきである。
Abstract:阪神・淡路大震災の時、私は県立の精神科病院の管理者であった。震災4日目になって突如、精神科医療の需要が増大した。新規入院患者数は平時に約3倍となった。当時の入院患者は、平時のそれとは随分異なった症状を呈した。すなわち、1)緊急入院例のほとんどは、かつて病歴があった。2)躁状態、緊張病性昏迷あるいは興奮の病像が多かった。その多くが短期間で寛解した。3)統合失調症の入院例では、具体的な震災被害を受けた人に多かった。4)気分障害は当事者ではなく、マスコミ報道などに反応したと思われる例が多かった。5)平時では問題にならない行動が事例化することが多くあった。全国からの救援精神科医療チームが、入院を回避するのに大きな貢献をした。本稿では、上記の震災後状況における典型的な4症例の経過報告をした。(
Abstract:近年、デブリーフィングの無効性あるいは有害性に関する報告が相次いでいるなか、米国では、「サイコロジカル・ファーストエイド(心理的応急処置)」が大規模災害直後の適切な早期介入として各種ガイドラインで推奨されるようになった。この度われわれは米国立PTSDセンターの推奨する「サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き(PFA)」の日本語翻訳版を作成した。PFAは、エビデンスが報告されている災害やテロ直後の援助方法をモジュール式にまとめたマニュアルであり、被災直後のストレスを緩和し、適応的な対処法を強化することを目的とする介入方法が8つの段階に分けてまとめられている。PFAには援助者が被災地で直面しうる様々な状況が細かく記述されており、通読するだけでも、被災地へ入ることへの準備ができるようになっている。PFAを普及させることは、啓発活動としても大きな意義があると思われる。(
Abstract:交通災害被害者の心身への影響を調べるため、JR福知山線脱線事故被害者を対象とし、3年計画の前方視的研究を行っている。本稿では、調査2年目(事故後2年半)における協力者の状況を報告した。平成18年(2006年)度調査協力者の72.4%にあたる42名から協力を得た。調査時点でのPTSD(部分PTSDを含む)診断と関連のある要因は、性別、年齢、乗車位置などではなく、慢性的な痛みや生活の質(QOL)の低下であった。また、事故被害の影響が長期化する中で、慢性的な痛みや生活の質の低下が日常化している現状も伺えた。中・長期的な支援を考える際には、被害の影響が日常化するために訴えにくくなっている問題にも焦点をあてていく必要がある。
Abstract:著者らの東海CAPD看護研究会災害対策チームでは、CAPD(持続的外来腹膜透析)患者のための災害時対策手帳を作成するとともに、看護師がこれを用いて患者を指導するためのマニュアルも併せて作成し、東海地区の病院を中心に配布しており、今回、上記のツールを用いて実際に災害指導を行った12施設の、指導した看護師30名と指導を受けた患者184名を対象にアンケート調査を行った。その結果、作成したマニュアル、PD災害対策手帳は標準化された内容であり、実際の使用に際しては、地域性や患者層に合わせて各施設で追加、変更を行う必要があると考えた。
Abstract:PTSDが医学的診断として定着して以来、少なからぬ犯罪被害者や事故被災者が精神科治療を受けるに至っている。本報では大学病院精神科における最近10年間のPTSD患者の受療状況を調査し、病状・治療の現状について検討するとともに、被害者・被災者における精神科医療の課題について検討した。その結果、対象者の主訴としては睡眠障害が最も多く、不眠の他、悪夢や中途覚醒がよく訴えられていた。事件・事故から時間がたって受診する者が多く、ことに性暴力やいじめ・体罰で受診が遅れる傾向にあったが、それらの約半数は併存疾患を有していた。さらに、PTSD患者の中には、PTSD症状のために転居を余儀なくされたり、職を追われたり、家族との生活がままならなくなるなど、被害後に生活状況が悪化している者が多いという問題が示唆された。また、約3割の患者が法的保障問題を抱えていた。
特集【災害時の対応と日常の備え】
特集・地震・火災発生!そのときどうする
Abstract:学校における体罰やいじめ、事件、事故などの遭遇によってトラウマ反応を示す子どもがいる。本調査では、大学病院における過去5年間の児童思春期例で、学校でトラウマティックな出来事に遭遇してPTSDと診断された子どもの後向き研究を行い、それらの特徴を考察した。子どものPTSD診断においては、その前提となる「例外的に強いトラウマ(ICD-10)」の外傷的出来事の判断の難しさに加えて、症状の呈し方が様々であることが挙げられた。また学校災害では、学校に行きたいのに症状出現によって行けないといったPTSD特有のジレンマがあり、トラウマ症状に応じた個別対応が必要であることが明らかになった。医療機関の対応としては、子ども達の回復を第一にした関係機関との連携が欠かせないと考えられた。
Abstract:大崎市民病院の中で当分院は宮城県北部鳴子地区の医療を担っている。平成19年2月17日、鬼首地区と鳴子地区をつなぐ国道108号で土砂崩落災害が発生し、鬼首地区が陸の孤島となり、主要道路の遮断は住民の生活に多大な影響を与えた。鬼首地区は山間部で、人口の約36%を65歳以上の高齢者が占め、住民は医療に対する不安を抱えていた。そこで、当分院では医師・看護師・事務職員を現地に派遣し、住民の継続医療を提供するために巡回診療を実施したのでここに報告した。
特集・自然災害時の保健師活動
Abstract:<Point>(1)震度5強までの揺れに襲われた場合は、透析室に大きな被害(透析不能になるような被害)が出ず、震度6弱以上の揺れであれば、一定の確率で一時的に透析不能となるような被害が出ることがわかっている。(2)震度6強までは「4つの基本的対策」で被害の大半を防げることが実証されている。
Abstract:<Point>(1)日本透析医会の災害時情報ネットワークは、支援の中核としての役割を担えるようになっている。(2)震度6強までは「4つの基本的対策」で被害を完封できることが実証済みだが、今後震度7にも対応できるように、災害対策を発展させる必要がある。(
安全という根拠からみた血液透析 透析中・透析後に起こりやすいトラブル 透析中の災害
シリーズ・今こそ取り組む災害時糖尿病対策
Abstract:救援者が活動する災害現場においては、多様なストレス因子が存在する。災害医療においては、負傷者の緊急度や重症度を評価した上で治療の優先度を決めることが原則だが、救援者はその過程において、日常とは全く異なる緊迫した状況に身を置き、混乱と悪条件のもとで悲惨な現場や死に立ち会うことも多く、過酷なストレスを経験する。そのため、救援者は隠れた被災者となりうる可能性が高く、こころの専門家による介入が必要となる場合も多い。筆者は2005年4月25日に発生した福知山線列車脱線事故において、現場での救援活動を経験したので報告するとともに、今後の課題を提示する。
Abstract:新潟県中越地震後に災害地域の重症心身障害児(者)(重症児者)214名を対象として、地震の影響と思われる身体や行動の変化を調査し、重症児者における災害後のストレスの特徴を検討した。その結果、59.3%に何らかの変化がみられ、身体の変化として45.8%に上気道症状、消化器症状や重症児者特有の症状を認めたが、その殆どは一過性であった。一方、行動の変化として29.9%に不眠、物音に敏感などの不安や恐怖反応を認め、その殆どは地震後早期から出現して長期化する傾向にあった。重症児者では地震の影響が高頻度に認められ、その主症状は身体の変化として表出されやすく、コミュニケーション能力、居住空間の変化、家族の心理状態によっても左右された。早期の保護および医療を含めた濃厚な介護が必要と考えられた。
Abstract:中越地震発生から1年4ヵ月経過し、地震を体験した看護学生80名を対象としてアンケート調査を行い、震災1年経過による学生の心的外傷後ストレスの影響を検討した。心的外傷後ストレス障害診断尺度17項目を用いて評価した結果、震災後のストレスなしと震災1年経過のストレスなしは有意な関係にあり、震災1年経過によるストレスありは前年度よりも34%減少していることから、学生は震災のストレスに対するスキルを徐々に体得していると考えられた。教員は「再体験」「回避」「生理的過緊張」の各ストレス反応が正常な生理的反応であることを共通認識し、学生がストレスと上手に付き合うスキルを育成するよう継続してかかわっていく必要があると考えられた。
Abstract:黒エリアの検討課題について報告した。方法は平成18年に多数傷病者受け入れ訓練を行い、訓練実施後に黒エリア担当の医師1名、看護師7名、事務員、臨床心理士各1名を対象に、「黒エリアについて気付いたこと」を自由筆記法により調査した。その結果、ラベル総数は107枚、12のカテゴリーに分類された。1)黒エリアのスペース確保、2)遺体安置所のスペース確保、3)搬送経路の検討、4)死亡宣告まで・宣告後の家族への対応、5)遺体の配慮・死後の処置、6)家族の受付体制と待機場所の確保、7)遺体・家族の帰宅について、8)身元不明者の確認、9)救急蘇生せずに死亡確認してよいのか・訴訟にならないのか、10)死体検案書の記入時期、11)無線がつながりにくく、本部や他エリアに連絡がつかない、12)黒エリア内の指揮・命令系統が不明確、であった。以上、これらを踏まえて、今後は災害時の倫理委員会設置と活動規定を災害マニュアルに盛り込むことも必要だと考えられた。
特集・難病患者の在宅での緊急対応
特集・JA新潟県厚生連における災害対策について
Abstract:平成16年10月23日、当院の所在する新潟県小千谷市を震度6強の揺れが襲った。ライフラ
インはすべて途絶する中、幸にも建物の損害がわずかであった当院では、相次いで運ばれてくる負
傷者の対応に追われた。今回医療従事者としてこの地震を振り返った。災害時の体制の確認、設備
などの補強、備蓄医薬品の検討などが検討課題として挙げられたが、混乱きわまる災害時に必要な
ものは何よりも冷静な判断力であると感じた。
Abstract:2006年1月、新潟県豪雪による孤立集落秋山郷における救護活動に、赤十字医療救護班として参加した。僅か3日間であったが、研修医1年目で初めての医療救護活動の経験を報告した。災害時の医療救護活動で求められたものは、「信頼関係」であった。医療以外のことに対しても積極的に活動すること、被災者との会話にはじっくり時間をかけること、救護活動には多種多様なニーズがあるということを、今回の救護活動から学んだ。
Abstract:我々はブロードバンド時代の衛星利用在宅医療システムを開発してきた。その機能要件は(1)テレビ会議機能、(2)生体モニター保存機能、(3)DICOM画像保存参照機能、(4)電子カルテ機能であった。衛星通信とインターネットを利用する在宅医療システムはそのまま災害時医療にも有効と考えた。また、平時に使用している在宅医療システムを災害時に用いることは維持管理、職員研修上も有効と考えられた。そして、共用することは経費的にも有効であり、実際に鳥取県の防災訓練で使用して評価した。結果としては民生用の室内使用目的の機器であり、改良は必要であるが十分利用できるものと判断できた。
Abstract:総合防災訓練に負傷者役として参加した学生の重症度の差は、体験内容や抱いた感情にどのような影響をもたらすか検討した。合同総合防災訓練に負傷者役として参加した都内看護専門学校学生7校107例を対象とした。殆どの学生に被災経験がなかった。重症・中等症役を体験した学生の方が、軽症役の学生より有意に恐怖感や苦痛を感じる体験をし、負傷者役割の違いにより災害へのイメージに差が出る結果となった。被災者体験で得られる対象理解について、被災者体験での不安感や不快感は、悪天候の中での訓練ではあったが、先行文献と同様の内容が実感できていた。救助者の支援を受ける体験をすることが、対象理解には効果的であった。被災者として支援を受ける体験により、救助された人の満足感や救急隊員・医療関係者への信頼感を感じることができた。
Abstract:専門家によるスーパーバイズを受けながら、災害看護の講義と演習による教育プログラムを実施した。学生の学びを分析し、災害看護の授業展開の有効性と課題を見出した。看護専門学校2年生32例を対象とし、講義終了後のレポート(自由記載)を質的帰納的に記述する研究デザインとした。講義終了後のレポート(自由記載)から、学びに関する53の記述を取り出し小カテゴリとした。カテゴリの類似性を検討し、22の中カテゴリが得られた。さらに意味内容を分析し、最終的に「救護者に必要なスキル」「トリアージに必要なスキル」「救護チームに必要なスキル」「応急処置に必要なスキル」「看護職の役割」「被災者への配慮」「救護者の理解」の7つを抽出した。演習を通し、安全・コミュニケーション・トリアージ・トリートメントなど、急性期災害医療の原則を学ぶ機会になった。
Abstract:経験学習理論にもとづき、災害看護教育プログラムを開発した。訓練から10ヵ月を経過した学生の手記をもとに、アセスメントを試みた。看護師養成所の2年生30例を対象とした。分類した項目は延べ56項目、1人あたり平均1.8項目であった。災害場面は29項目、日常場面は27項目あった。災害場面は、「災害看護への興味の深まり」、「災害時の自己の役割を考えている」、「災害時の精神面のケアの重要性の実感」の3つの下位カテゴリ、日常場面は「日常の学習態度の変化」、「実習などの実際の場面での心がけ」、「家族を視野に入れた看護の重要性の実感」の3つの下位カテゴリに分類された。「学生の成長のアセスメント」意味単位に分けられた学生の手記は2グループ、7カテゴリに分類された。「認知」は見方、知識技術、自己知、「情意・行動」では学習、応用意欲参加意欲に分類できた。
Abstract:火災訓練後に行った看護師アンケートをもとに安全な避難方法について検討し、以下の示唆を得た。火災発生時には「通報」→「初期消火」→「患者・付き添い家族の避難」の順序で行動する。安全確認の方法として「ベッドでの指差し・声だし確認」と「点呼による人数確認」は不可欠である。誰でも落ち着いて行動できるための防災マニュアルが必要である。ベッドサイドに避難用品の準備が必要である。
Abstract:リハビリテーション専門病院の小児科に入院または通院している児の家族49名にアンケートを行い、「災害時不安に思うこと」「災害への対策をしているか」「災害発生時、医療機関への連絡方法は決まっているか」「災害時の対応を医療機関に確認したことはあるか」「災害に関して看護師に何を求めるか」などについて調査した。結果、災害時不安に思うことは「避難所での生活」と答えた人が最も多く、次いで「食事・経管栄養」、「内服」の順であった。災害への対策を「している」と回答したのは12名(24%)であった。医療機関への連絡方法が「決まっている」と回答したのは1名(2%)のみであった。災害時の対応を医療機関に確認したことが「ある」と回答した人は一人もいなかった。看護師に求めることは「災害時の子どもの看護」が最も多く、次いで「備えについての指導」、「対策についての指導」、「災害時の安否確認」、「災害についての情報提供」の順であった。
Abstract:ISO9001を取得しているA病院では2005年から、スタッフ一人ひとりの能力を項目別に俯瞰できる『力量評価表』を用いて師長が定期的に看護師の力量を評価してきた。評価方法は4段階評定(「指導できる」「一人でできる」「指導の下にできる」「できない」)で評価する。今回、『力量評価表』の17ある大項目のうち、これまでの集計で全体の成績が最も低かった《防災管理》の評価結果を提示した。《防災管理》の具体的評価6項目において「指導できる」もしくは「一人でできる」と評価された看護師の割合は以下のとおりであった。<緊急時の一斉召集放送(コールQ)依頼>81%。<コールQ発令時の対応>83%。<停電時の対応>65%。<災害発生時の行動>60%、<非常用電源の選択>75%。<消火器の定位置の把握>78%。
Abstract:1891(明治24)年10月の濃尾地震(死者7273名)における日本赤十字社の災害救護活動の実際を、日本赤十字社病院の医師で現地に出張して救護活動を行った小山善氏が残した記録などをもとに検討、報告した。小山は、警察官など現地の人々と良好な関係を築き、協力を得ながら活動し、復興に向け早期から町医者など現地の専門家をサポートしており、生活復興についても、高齢者、子ども、貧民など災害弱者と呼ばれる人たちへの特別な配慮が必要であることを書き留めていた。
Abstract:東京Disaster Medical Assistance Team(DMAT)は、平成16年から東京都の事業として設立され、当初の目的は地震や火災等大規模災害において多数傷病者発生時に現場で医療を提供し、より多くの被災者の命を救うことであった。しかし、災害現場に出場している東京消防庁の指揮本部長の判断で、現場での医療が必要と判断された場合にも出動要請が可能となっている。昭和大学病院ではDMATの基本単位である医師1名、看護師1名よりも医師を1名多く派遣してDMAT活動を行い、これまで16回の出動を行った。その中で自動車による交通事故現場で救助隊と連携活動を行った1事例を紹介した。本事例はTRISS法による予測救命率が29%と非常に重篤な状態で救命できなかったが、受傷早期から医療を展開することで救命率を上昇させる可能性があることが示唆された。具体的な実地活動を重ねることによって、消防側とDMAT側で問題点を抽出し、連携を深める必要がある。
Abstract:本研究は赤十字の国際救援活動に貢献できる人材育成のために大学卒業時に必要とされる基礎的能力を明らかにし、それらの能力を育成するための一貫した構成内容の教育プログラムを検討した。赤十字国際救援経験者である看護師10名に半構成的インタビューを実施した結果、赤十字国際救援活動に貢献する人材としての基礎的能力として(1)知識(2)実践能力(3)人間性が求められることが明らかになった。また、教育プログラムを検討した結果、現在選択科目である英語・看護英語は必修、国際看護学演習は米国とアジア諸国を選択、赤十字救急法は必修科目に変更した。将来国際救援活動を希望している学生に対し、1年次から、語学教育とボランティア活動の奨励を中心に特化した履修モデルに基づき履修指導の強化を図る。赤十字系看護大学における看護基礎教育では、国際救援活動へのモチベーションや意欲を高められるように大学と赤十字施設との連携をとりながら教育プログラムを構築することが必要と示唆された。
Abstract:インドネシア共和国ナングロ・アチェ・サラーム・バンダアチェにおいて、看護専門学校が看護教育に災害看護教育を導入するに当たり、その支援を適切に行うための資料を得ることを目的として、現地の看護の実態調際を行った。調査は、バンダアチェに所在するA病院外科病棟に入院している患者及び患者に関わる全ての援助者を対象とし、2006年から2007年にかけて計4日間、参与観察により実施した。災害看護教育導入支援計画作成に当たって、留意すべき以下の点が明らかとなった。(1)災害時急性期のトリアージに必要とされるフイジカルアセスメント技術の修得を図る(2)災害看護に限定した知識技術支援のみではなく、感染防止や安全・安楽の視点等の看護の基本的知識・技術の確認を行う(3)看護師として主体的な判断と行動をとることの必要性についての理解を得る(4)バンダアチェの医療看護の目指すべき方向を踏まえる。(
Abstract:目的:大規模災害の発生直後は、平時以上に看護師間の情報交換が重要となり、情報量の増加に見合った病院内テレコミュニケーション・システムの補完が必要となる。本研究はそのような状況で、通常のテレコミュニケーション・システムが機能しなくなった場合の代替システムとして特定小電力無線電話が看護師のコミュニケーションを支援し、医療活動の円滑な運営に貢献できるかを、平時の重症患者一斉移動の機会を通して考察することを目的とする。方法:病院新築に伴い重症患者20名を一斉移動する状況下で、患者搬送の統制を担当する看護師5名がコミュニケーション手段として無線電話を使用した。無線電話による通話はすべて受信専用機で傍受し、データとして記録した。また無線電話を操作した看護師に対してアンケート調査を実施、それらを分析した。結果:重症患者20名の安全確保し、効率的に移送するために、5名の看護師は移送開始から終了までの時間のおよそ1/3に相当する時間、無線通信を行っていた。またアンケート調査では、無線電話以外に情報を伝送する手段がないこのような場合、テレコミュニケーション・システムとして、無線電話は有効との結果が得られた。考察:今回の一斉患者移送は、災害時医療としてのTransportation(移送)の状況とはまったく同じではないが、通常のテレコミュニケーション・システムが麻痺した災害時に必要となる患者Transportationをサポートする上で無線電話によるテレコミュニケーションの有用性が示唆された。さらに今回重症患者搬送時、搬送全体に要する時間のおよそ1/3に相当する総無線通信時間が必要になる事がわかった。これはこのような状況ではいかに通信の問題が重要かを示すと同時に、災害対策等のため無線電話を準備する際、必要となる通信回線数を予測するための重要な基礎データとなると考えられた。
Abstract:ドクターヘリ法の成立から全国的整備に関する国の基本的な枠組みが示された。各地域で消防防災ヘリに医師を同乗させた方式のドクターヘリ的運用が試みられているが、レスポンスタイム、搬送件数、搬送形態などから見ると消防防災ヘリは救急患者搬送に関してドクターヘリに及ばないのが事実であり、現時点では、これが消防防災ヘリの限界である。しかし、救急搬送の広域化が進み、ヘリによる救急活動の役割は今まで以上に重要となるため、消防防災ヘリの限界を認識するとともにドクターヘリとの協力体制の構築は必要で、地域に見合ったよりよい救急医療体制の再構築が望まれる。
Abstract:航空機事故の大半は、空港での離着陸時に発生している。羽田空港を管内に持つ蒲田医師会は、過去に2つの大きな航空機事故を経験している。そのため、他の医師会に比べて空港における航空機事故(以下、空港災害)に関して、以前より初療の重要性、トリアージ等に高い関心を持っており、災害時医療のほとんどの部分を医師会が担うという考えで資器材の備蓄や訓練、行政との協定など積極的に対応し、空港災害対策を充実させ現在に至っている。しかし近年、救急救命士の業務範囲の拡大、災害時医療のトレーニングを受けたDMAT(医師・看護師等で構成された専門チーム)の創設など、災害医療をとりまく環境の変化(整備)から、空港災害における地区医師会の役割は大きく変化し、以前に比べてその範囲は限定的なものとなっている。今後は、主にトリアージ後の負傷者の2次トリアージと中等症、軽症に対する地元2次救急医療機関への案内と処理、そして死亡群に対する遺体安置所の提供などに限られると思われる。
Abstract:コルブの経験学習理論に基づいて災害看護教育プログラムを開発し、災害拠点病院でのトリアージ訓練に患者・家族役として参加した看護師養成所3年課程の学生32名を対象にプログラムを実施し、その効果をアンケート調査により検討した。その結果、プログラムにおけるジグソー学習を取り入れたグループセッションでの振り返りにより、以後の看護学習への動機づけ、災害におけるトリアージへの理解の広がり・深まりが得られていることが窺えた。
Abstract:訪問看護提供機関における災害対策の実態などを明らかにすることを目的に、A県内の訪問看護提供機関の管理者を対象にアンケート調査を実施し、48件の回答を得た(回収率53.9%)。その結果、災害対策マニュアルがある訪問看護提供機関は約3割で、機関内の災害対策として実施されているのは、多い順に、職員の連絡網、避難場所・避難方法の把握、災害訓練、物品の備蓄、建物・備品の安全対策、であった。また、利用者・家族に対する災害対策は、停電時の対応、情報リスト、安否確認の方法、物品の備蓄、災害訓練、の順に実施されていた。
Abstract:阪神・淡路大震災における西宮市の事例に基づいた来院傷病者数を予測モデルに、アンケート調査を加えることによって他都市でも同様の予測が可能となる新しいモデルを考案した。このモデルは、住民アンケート調査によって得られる医療機関選択の予想からロジスティック曲線による医療ポテンシャルの計算を行うことで、対象地域全体における来院傷病者数を予測するものである。愛知県豊田市に適用した結果、傷病者集中による混乱リスクを負う医療機関の存在を示すことができた。対策として応急救護所やヘリポートの展開方法について議論すべきことを述べた。
Abstract:2005年4月25日、JR福知山線脱線事故(以下JR事故)が発生した。関西労災病院では、77名の患者の診療に当たり、当学会のJR福知山線脱線事故調査委員会報告でも示されるように「preventable death」がなかったという観点からは一定の評価がなされた。しかし、いくつかの課題も生じた。その課題を改善するためには、平素から訓練することが必要と考えた。JR事故後、段階的に院内研修を行い、院外研修や学会にも積極的に参加した。集大成として実践型の災害訓練を行った。訓練後、アンケートを行い、当院で行った災害対策について評価した。大部分の職員が訓練に対する満足感や必要性を認識したものの、実際に参加できた職員の割合は限られており、普及に関する新たな問題が生じた。より充実した災害医療体制を構築するために、組織的に取り組み、具体的な研修カリキュラムを提案しつつ活動することが重要であると思われた。
Abstract:我々は、2005年のパキスタン地震後、国際赤十字委員会(:ICRC)の下、カシミール地方チナリでBasic Health Unit(:BHU)への支援を行った。現地では被災地震以前は政府機関の支援の下、Lady Health Worker(:LHW)が基礎保健を支えていたが、地震後は停止していた。ワークショップ等でのLHWとの情報交換や、村訪問で、ICRCの基礎保健計画の調査票と独自に作成した質問紙を使用、基礎保健調査を行った。その情報から3つのデータベースを作成し、後続班にLHWへの医薬品供給等を依頼する等、今後の継続的かつ効果的な援助のための基盤作りを行った。交通事情の悪い地域ではBHUの支援だけでは主に近隣の住民しかカバーできない。既存の人的資源を支援すれば、より多くの人々に受け入れられやすく、かつ効果的に支援を行う事が可能となる。国際救援の場でも、発災直後から地域独自の人的資源を探して支援する事が必要である。
Abstract:減災のためには、一人一人の意識を高めるだけでなく、地域全体で平常時から取り組むことが重要である。そこで我々は、個人および地域全体の減災意識を高める目的で、災害看護の視点から、災害(地震)の備えチェックシステムの開発を行った。このシステムは、災害への備え度が点数で自己評価でき、同じ居住地域の人とも比較できるものである。また、県や全国の状況と比較することで、競いながら減災への行動変容を促すものである。2006年4月下旬にWeb公開してから、12月末までにシステムを利用した人は、628人であった。2回以上の回答があった258人について、初回の点数と現在の点数を比較したところ、総合得点と、災害への備えの5要素中の3要素において、統計学的に有意な改善がみられた。以上より、このシステムを継続的に利用することで、減災意識が高められると思われる。今後、さらなる普及を目指して、システムを改善していきたい。
Abstract:静岡県は東海地震に対する準備を30年行ってきた。しかし災害医療の目的であるPreventable Deathを防ぐという意味では決して万全とはいえず、被災地内の医療を機能させるためには市民の役割が不可欠と我々は考えた。静岡市(合併前の旧静岡市を指す。以下同)で、平成14年から毎年行われている医療者と市民との訓練の目的は、市民への災害医療の啓発と同時に、災害時の市民の自立を促すことであった。我々医療者の呼びかけに応える形で、平成18年度に一連合町内会による自立した体制を作る訓練が行われた。この町内会と病院が連携して訓練することにより、被災時に必要な医療の流れを我々は確認することができた。被災地内の医療のあり方に方向性を示唆する訓練だったと考えている。ここに至る過程と、今回の訓練について報告する。
Abstract:地震災害が頻発し、病院では地震発生時の多数傷病者受入れ体制の整備が急務となっている。今回、我々は2年間で計8回の災害訓練を通じて、災害カルテの整備と多数傷病者受入れ対策の整備を行った。災害時用診療録を作成し従来の災害対応マニュアルに則り行った初めの訓練では情報が錯綜し大混乱に陥った。その結果を踏まえて自由記載欄を多くした新災害時用診療録および検査伝票などを含めた新災害カルテセットを作成した。また診療録記載のコンセプトを変更し現場ですべての記載を行わない方針とした。そして検査科、放射線科とも協力し患者受付および検査受付の運用方法を変更した。結果、当初大混乱に陥った訓練と同内容の訓練を行い情報伝達の点において大きな改善を得ることができたので報告する。
Abstract:名古屋第二赤十字病院は日本赤十字社の一員として海外での災害救援、紛争犠牲者に対する医療救援など、国際医療救援という重要な任務を担っている。派遣先は災害地域、紛争地域、途上国など衛生環境の低下した地域がほとんどであり、救援活動を行う者の感染症対策が重要となる。ところが医療救援活動の海外渡航の決定は出発までの日数が短く、推奨されている間隔で必要な予防接種をすべて完了させることは困難なことが多い。したがって派遣対象職員に対してあらかじめ必要な予防接種を計画的に行い、派遣決定時に最大の免疫状態を期待できる計画的な予防接種が必要である。今回、名古屋第二赤十字病院国際医療救援部における国際医療救援予防接種プログラムを作成したので報告する。予防接種プログラムの接種ワクチンは、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、ジフテリア、ポリオ、狂犬病、黄熱の7種類とした。予防接種プログラムに参加した職員は男性14名、女性14名の計28名であった。推奨されている間隔で必要な予防接種をすべて完了させるには、約9ヵ月を要した。プログラム中に重篤な副反応は認めず、プログラム参加職員の海外派遣では感染症の問題は生じなかった。今回、作成した予防接種プログラムは、国際医療救援を行う上で標準的な感染症対策として有効なプログラムであると考える。
Abstract:【はじめに】地震災害では医学的な援助だけではなく、工学、理学的な援助も必要となる。ジャワ島中部地震に対して神戸大学として多分野にわたる総合救援活動を行ったので紹介する。【活動】第1陣の医療チームと第2陣の工学系研究者とが合流し、多角的な調査を行った。以降、第9陣まで派遣を行っている。医療チームが工学系研究者と情報交換を行い、地質学的な地震発生の特徴と現地特有の建築様式を理解しながら、調査活動が行えた。この第1、2陣の調査結果から地元大学、JICAと協力してリハビリ支援、小児の心理的支援、建築再建支援を中心に援助を現在も行っている。【結論】海外広域災害においては医学的な支援だけでなく、多方面からの綿密な情報交換を行い、援助を行うことによって地元の要望に一層近い活動が可能となる。神戸大学では、災害直後の短期援助だけではなく、長期にわたって多方面と協調した活動を実施中である。
Abstract:大規模災害等で大量の傷病者が発生した場合、医療の現場や患者とともに散在している情報を共有することができれば非常に有効である。その一つの試みとして、2006年9月に実施された自衛隊中央病院における大量傷病者受け入れ訓練において、デジタルペンを用いたトリアージタグ入力システムを使用した。このシステムでは、(1)特殊な紙トリアージタグにデジタルペンを用いて手書き入力するだけで入力情報が携帯電話等を通じて送信され、サーバに蓄積される、(2)入力情報には、OCRにより文字認識させる区分を設定できるが、文字認識が不可能でも画像情報として蓄積され閲覧可能である、(3)サーバに蓄積された情報はインターネットを通じてどこからでも閲覧・検索ができる。このシステムは、紙トリアージタグシステムの無理のない拡張になっており、しかもシステムが動作しなくても、少なくとも紙トリアージタグは残り、今まで通りの運用が可能である点で耐故障性が高い。試用した結果、基本的な問題はなく、有用であることが確認できた。
Abstract:日本DMAT隊員養成研修が当センターにおいて、2006年9月より西日本会場として開始された。日本DMAT隊員のうち、調整員は医師・看護師以外の病院職員で構成されており、現時点ではその7割を事務職員が占めている。しかし、この研修や運営を通じて調整員の構成において、コメディカルを含めた多職種での構成の必要性を感じた。今回、西日本会場での調整員受講者に対してアンケートを行い、DMAT研修における調整員の現状と今後の方向性について検討した。その結果、多くの受講者が職種にとらわれず、あらゆる職種での構成が必要であり、これによりチームの活動がより充実されると感じていた。DMAT調整員の役割は多種多様であり、多くの資質・能力が求められ、医療機器知識・医療専門用語といった多くの医療知識も必要とされるため、日常、医師や看護師とともに医療に従事し、患者にも接触しているコメディカルの必要性が高いと考えられた。
Abstract:災害時においては、受入病院側の体制に余計な負担をかけないためにも、一般診療所や病院の医師の協力も必要と思われる。岐阜市では、「岐阜市医師会災害医療救護マニュアル」なるものを作成し、災害時には効果的な医療活動が行えるような準備を行ってきた。しかし、災害医療に関心を持っているのは、一部の医師会員のみであり、ほとんどは無関心であると思われる。その原因に医師会員らが、災害医療の現場の流れ、全体像を知らないことがあげられる。今回我々は、医師たちが現実に災害医療現場でどのような働きをすべきなのかという観点から、岐阜市医師会員を対象に、英国MIMMSを取り入れた約2時間30分の「医師会向け災害医療コース」を開発し、さらに講習用DVDなどの配布も行った。そして、その後の岐阜市合同災害訓練において、円滑な医療行動をもたらすことができた。
Abstract:2003年、シリア政府の日本国への医療援助要請を受け、救急医療体制支援・専門家として、シリア北部のハッサケ県立病院へ出向し、救急医療体制の支援とレベルアップ、難民支援の後方病院としての医療レベルアップの指導を行った。ハッサケ県立病院は医療水準の高い病院ではないが、アル・ホール難民キャンプ・支援病院として、地理的に最適な病院であった。今回のミッションではJICAの研修で日本を訪問した医師の協力が大きかった。今後、現地医師・看護師を日本の救急病院へ研修に派遣し技術指導をすると、技術移転がスムーズに行えると思われた。シリアへ出向して5年半以上が経過し、その時の支援が継続はしていないが、当時のシリア国民の友好を思い出すとともに、混迷する中東情勢に接するにあたり一刻も早く中東に平和が訪れることを願う。
Abstract:香川県内ではDMAT活動を基本とした災害時医療訓練として、高松空港航空機事故消化救難総合訓練、香川県総合防災訓練など9つの訓練が2年間に開催された。DIGを基本とした図上訓練が3回開催されているが、医療スタッフだけでなく、消防や警察、行政、自衛隊、空港関係者、鉄道関係者などが参加し、香川県内での災害時医療活動の共通認識を持つことができた。自己申告型模擬患者を用いたトリアージ訓練ではスタッフ配置や物品などに関する具体的な反省点を確認できた。トリアージタッグを用いた訓練では住所や連絡先の記入率が極端に悪く、昏睡患者の氏名記載方法が統一されていないことがわかった。【結語】香川県内においてはDMAT活動を基本にした災害時医療訓練が認知されつつあり、従来の訓練では明らかでなかった問題点も確認されつつある。
Abstract:災害対応モードに入った病院の機能レベルをDH Levelと称して、5段階に分類した。病院が被災している場合は、DH level1[避難]、2[閉鎖]、3[受入]、被災していないか、被害がごく軽微な場合をDH level4[開放]、5[派遣]とした。被災情報を収集し、DH Levelを決定することで、対策本部が最初に行うべきことが明確になると考えられた。また、各DH Levelについて、具体的な対応をあらかじめ網羅的に整理しておくことにより、本部が行う対応を明確にできると思われた。さらに、DH Levelは、状況に応じて変更しうるし、上位目標とすることもできる。例えば、発災直後はとりあえず、Level2[閉鎖]から始めてもよい。DH Levelが院内に周知されることにより、職員全員が共通の状況認識をすることができ、本部以外の現場での個別の判断も可能になる。DH Levelの宣言は、病院の状況判断であり、意思表示であり、全病院的かつ包括的な指示でもある。DH Levelの考え方は発災直後の病院機能の早期立ち上げに有用と考えられた。
Abstract:F病院の手術室看護師20名を対象に、災害時(地震直後)の行動に関する認識について質問紙調査を行った。その結果、役割別の行動特徴は次のようなものであった。[リーダー看護師]医療スタッフの安否を確認し、メンバー調整、器械の割り振り、手術再開に向けた部屋の確保など人的・物的資源の調整を行う。[器械だし看護師]手術器械・機器の落下防止に努めるとともに、手術野・器械類の清潔を保持し手術再開できるようにする。[外回り看護師]患者の状態を確認し、酸素供給ができるよう準備する。[フリー看護師]リーダーの指示を受けて必要な場所に行き伝達・応援する。
Abstract:文部科学省は今後30年間にマグニチュード7クラスの首都圏直下型地震発生の可能性は70%であるという予測を発表している。今後の東京はまさに災害準備期にあり、医療を提供する病院施設においても常日頃から体制を整えておくことの必要性が叫ばれている。しかし、保護室や施錠している扉を多くもつ構造に加えて、拘束などの特殊な治療環境の患者が存在する精神科病棟においては、災害発生時の対応の遅れが大惨事につながりやすい。今回、精神科病棟内で火災を想定した避難訓練を実施し、参加したスタッフから「防災訓練を行ってみて、感じた点や気づいた点について」という内容の自由回答形式の質問紙調査を行った。集められたスタッフの回答の中から、精神科における災害時の対応について特徴的なものを抽出し、類似したものをまとめてカテゴリー化し、精神科病棟での災害時対策の特殊性について検証した。その結果、精神科病棟における災害時対応の特殊性について、以下の内容があげられた。1.閉鎖的な構造上、円滑なスタッフ間の情報伝達を可能にするためには適切な手段の選択やマニュアルを重視した内容の考慮が必要である。2.避難誘導の優先順位を決定する際に混乱を招きやすいことを考慮し、スムーズに実施するためには、日頃からスタッフの認識を統一させる必要がある。3.身体拘束や隔離など患者救出を障害するものが多いため、効果的な物品の選定や設置場所、使用方法についての確認は不可欠であり、また、常に最適な手段や方法が選択されるよう心がけなければならない。4.災害発生時、パニック期以降の予測も含めた重点的な精神的フォローが欠かせない。5.災害に対するスタッフの意識向上や円滑な災害時対応を行うためには、日頃から災害マニュアルの周知徹底を図り、体験的な防災訓練を定期的に実施することが有効である。病院の危機管理能力が厳しく求められる現在、病院・診療所などの施設において、有効な防災訓練の実施は必須であると言える。そのためには災害対策について、勤務しているスタッフの意識を高めることができるような訓練内容を取り上げるべきである。
Abstract:2007年10月に災害時における透析施設と透析患者との情報伝達の実態を把握し今後の災害時透析医療対策に資する目的で「災害時の緊急連絡体制」についてのアンケート調査を、透析患者では5都県6施設の患者713人を対象に実施し回収された507名について、透析施設では日本透析医会の会員施設1049施設を対象に実施し回収された542施設について解析した。更に各都道府県の情報伝達について日本透析医会各支部を対象にアンケートを実施し37支部中回収された30支部について解析した。その結果、患者アンケートでは災害時の連絡体制に不安を抱く患者は全体で47.0%おり、地域別では新潟県が55.7%と最も多く、次いで東京都50.3%・石川県47.4%・兵庫県47.1%・福岡県31.3%の順であった。治療を受けている透析施設の災害状況を患者側から情報収集する方法に関して最も多かったのは「自分で病・医院へ問い合わせる」76.9%で、次いで「病・医院からの連絡がある」49.5%、「テレビ・ラジオなどマスコミからの情報」48.1%の順であった。自助の高さや医療機関への信頼の高さ、更にマスコミ情報への期待が表れている結果であり、行政活動や患者同士の連絡はあまり期待されていない現状がみられた。透析施設アンケートでは血液透析療法を中断又は延期、透析依頼するような災害経験のある施設は10.1%(55/542)であり、「患者の安否確認」「職員の安否確認」「ライフラインの被災情報入手」「透析施設間の連絡体制」及び「関連施設・行政機関との連絡体制」のいずれにおいても90%以上の透析施設で危機意識を感じていた。都道府県支部へのアンケート結果では「透析医療施設の被災状況を把握するための情報収集システム」を都道府県支部で作成していたのは15支部(50%)であり、実際の経験がある13支部中「災害状況把握のための情報収集を都道府県透析医会が実施した」のは8支部(北海道・愛知・石川・兵庫・岡山・広島・徳島・福岡)であり、「日透医災害HP」を利用したのは13支部中1支部(新潟)のみであった。以上より、いずれにしても早急に今後取り組むべき課題が多い現状が明らかとなった。
Abstract:災害時人工透析提供体制の確保には、「情報収集・情報提供」、「水・医薬品等及び医療機関の確保」、「患者の移送」および「避難場所・救護所等での対応」が必要である。福岡県医師会透析医会(以下、福透医と略)は緊急通行車両の事前登録、携帯電話の災害時優先登録、会員間の携帯電話一斉連絡メールシステム、人工透析患者への携帯メールによる災害緊急情報の提供、九州全県の協力体制のための透析医会連絡協議会設立を行った。
Abstract:平成20年6月21日、クオリティホテル神戸において、第9回災害情報ネットワーク会議が54名の出席を得て開催された。会議では、「平成19年能登半島地震時の対応と情報伝達について」と題して、石川勲先生より特別講演をいただいた。また、各支部からの年次報告、情報ネットワーク本部からの平成19年度活動報告、日本財団助成「災害支援船事業」3年間の成果、岩手・宮城内陸地震に関する緊急報告が行われた。9月2日には、第9回災害時情報伝達訓練が実施され、過去最高となる41都道府県、902施設の参加となった。
Abstract:榛原総合病院透析センターの災害対策を検討した。患者へは「血液回路からの離脱方法の指導」「防災パンフレットの作成」を行った。スタッフへは「患者情報のデータ化」「報告・指示系統の確認」「防災マニュアルの改正」「避難袋内容物の再点検」を行った。また、医療機器の地震への対策を強化した。災害対策の検討を行う中で、患者・スタッフ共に防災に対する意識の向上がみられた。防災意識を高く保つには、患者・スタッフ合同で定期的に防災訓練を行っていくことが必要だと考えられた。
特集・病院の水害対策
Abstract:本研究では、がん医療を担う施設において、外来通院治療を受けているがん患者が、災害時に治療を継続するためのシステムと災害への備えを明らかにし、その上で、外来通院治療を受けているがん患者が治療を継続できるシステムのあり方について提示することを目的とした。近い将来に災害が起きることを想定して対策を講じている地域がん診療拠点病院をはじめとする5つの医療施設において、災害対策に詳しい担当者12名を対象に、外来通院治療を受けているがん患者が、災害時に治療を継続するためのシステムの内容と、施設における災害への備えの内容について、1時間程度のヒヤリング調査を実施した。その結果、災害時に継続治療を必要とする外来患者を把握するシステムや、災害時に外来化学療法を受けている患者や麻薬を使用している患者の治療継続のためのシステムを備えている施設はなかった。しかし、ヒヤリング結果より、災害時のシステムとしては確立されていないが、平常時のシステムを活用し、災害時に継続治療の必要な患者を把握することが可能な手段・方法として、1)平常時に各専門職が得る患者情報を使用して患者を把握する、2)電子情報媒体を使って患者を把握する、3)診療記録や名簿等の紙媒体から患者を把握する、という3つのルートが考えられるということが明らかになった。また、今後は、がん診療連携拠点病院制度のネットワークを生かし、がん専門病院として、災害時も、がん治療の拠点として期待できることが考えられるとともに、災害時に外来化学療法を受けている患者や麻薬を使用している患者の治療継続については、患者・家族のセルフケア能力を高めておくことが必要であることが示された。
Abstract:本研究の目的は、2004年に本研究プロジェクトが作成した災害時版患者用パンフレットを検討することである。調査は、Web上での研究協力の呼びかけに賛同した33名を対象として、筆者らが作成したパンフレットを洗練するための構成的質問と自由記載によるデータ収集をWeb上で行った。データ分析は、構成的質問については記述統計を、自由記載内容についてはカテゴリー化を行い、分析した。その結果、絵や文字の大きさの適切さについては、19人(58%)が「適切である」と回答し、13人(39%)が「まあまあ適切である」と回答していた。表現の適切さについては「適切である」という回答が18人(55%)、「まあまあ適切である」という回答が14人(42%)であった。また、実際の生活に対する有用性に関しては、19人(58%)の回答者が「実際に使えそうだ」と答えていた。絵や文字の大きさ、表現の適切さ、実際の生活に関する有用性については、いずれも32人(97%)が適切、まあまあ適切、実際に使えそうだと回答しているが、量の適当さについては「適当である」という回答が19人(58%)、「多い」と回答した人が14人(42%)であった。また、パンフレットで役に立つ情報は、災害時に自己対処する方法・食事に関する情報・災害に備えたがん療養中の自己管理の方法・化学療法に関する知識・その他に分類された。以上の結果から、パンフレットの量については改善の必要性が示唆されたが、その他の表面妥当性については概ね適切であった。パンフレット中の役立つ情報として、災害時に自己対処する方法や災害に備えたがん療養中の自己管理法が上位に挙げられたことは、「がん患者のセルフケア能力を高める」ことに本パンフレットが活用できることを示唆していた。
Abstract:災害発生時にも適切に対処できるよう手術室独自の防災マニュアルを作成し、防災訓練を実施した。手術室のスタッフは麻酔科医師2名、看護師18名、看護助手1名で、ベッド数は5台、年間手術件数は約1900件である。防災マニュアルには災害時の役割、停電時のマニュアル、避難時持ち出し物品、避難経路を記した。訓練は手術室が出火元で患者は手術中であり、緊急閉創して避難するという設定で行ったが、実際の閉創の時間は省かれており、行動レベルでのマニュアルの必要性や日常の避難訓練の重要性を認識した。患者の安全を確保して確実に非難させるためにも、的確な連絡・報告、看護師の熟練した対応や初期消火が必要であり、手術室の特殊性を生かしたマニュアルの見直しと定期的な防災訓練、スタッフの意識向上が重要である。
シリーズ・災害看護って何だろう?
救急現場学へのアプローチ
Abstract:災害救援業務において、遺体を扱う業務は最も過酷な職務の一つである。遺体と関わることの強烈な衝撃ゆえに、どんなに訓練された救援者であっても、著しい心身の反応が出ることは珍しくない。著しいストレスを受けても多くの者は完全に回復するが、一部の者においてはトラウマ(心的外傷)を受傷し、ストレス関連障害やうつ病へと発展することが知られている。過去の報告では、遺体との関わりが多ければ多いほど救援者の心理的影響が多大となることが指摘されており、大量の遺体を目撃したり長時間接したりする状況ではトラウム受傷のリスクが高まることが指摘されている。衝撃的・予期出来ない状況で遺体に遭遇するなど意外性が大きい状態ほど、救援者への心理的反応が大きいことも報告されている。また、遺体の特徴として、子供の遺体など、感情移入しやすい遺体や遺留品では救援者への影響が甚大である。本稿では、遺体関連業務に関する過去の報告を検証し、救援者に生じうる反応を記した。その上で、業務における心理的負担を可能な限り軽減するための対処方法をまとめた。
Abstract:平成16年6月〜17年1月に透析室看護師7名(平均年齢37.6歳、平均経験年数16年、透析経験年数5.7年)を対象に、災害に対する意識調査を2回の災害訓練の前後で比較した。災害訓練は、1回目では、事前にマニュアルで行動を確認していたが、状況判断ができないスタッフがいた。それを踏まえ、役割分担の確認やビデオ学習を行った結果、2回目ではイメージが具体的になり、互いに声を掛け合い、透析装置の設定だけでなく穿刺部位を確認する行動が見られた。訓練前の不安内容として患者のパニック5名、透析装置の操作5名、緊急離脱方法5名、役割分担・協力体制5名、避難・誘導方法3名であった。訓練後は透析装置操作が3名と減少したが、他の内容は変化がなく、地震以外の災害にも全員が不安や不明点があると回答した。また災害マニュアルの保管場所を知らないが1名、読んだことがない2名いたが訓練後は全員読んでいた。以上より、災害発生時のイメージ化と関心を高めることが重要と考えた。
特集・災害時に保健医療従事者は何をすべきか 期待と現実のGap
Abstract:保健師による被災地支援活動の現状と課題を明らかにするため、阪神淡路大震災以降に国内で発生した自然災害10事例について、保健師の活動および県外保健師の派遣支援に関する各種記録・活動報告書を収集し、分析した。その結果、保健師の活動は被災の程度や地域特性に応じて被災直後から中長期にわたり実施されていた。具体的な活動内容は「直接的支援」「情報収集・分析」「ニーズ集約」「計画策定・評価」「関係機関連携のための調整」に大別することができた。迅速かつ効果的に専門性を発揮した活動を行うためには、特に県保健所が被災地自治体の支援拠点として、情報連絡体制、指揮命令系統の確立や職員の動員方法などの機能充実を図ることが必要であると思われた。
Abstract:災害ボランティア活動の実際や、ボランティアに期待されている役割、限界などについて明らかにするため、平成19年の能登半島地震、中越沖地震の発生直後に現地調査を行うとともに、災害ボランティア団体関係者へのインタビュー、学術文献による調査、インターネットでの調査などを行い、以下の結論を得た。ボランティアには「機動性」「柔軟性」「莫大な人数」という特徴があり、その役割として避難所等における活動のほか在宅被災者のニーズ調査、被災者への情報提供、災害以外の健康危機対応などが期待されている。一方で、ボランティア活動の統率、地区組織活動の活性化、安全衛生といった課題を抱えている。
特集・あなたのまちに地震が来たら? 2度の震災を乗り越えた新潟に学ぶ震災対応
Abstract:地震災害時の被災地自治体保健師と派遣保健師の役割分担や連携について検討することを目的に、医中誌による文献検索などで得られた36件を分析した。その結果、派遣保健師は主として直接的な支援活動を重点的に担い、被災地保健師は、直接的支援活動を派遣保健師と協働することに加え、被災者のニーズの集約や中長期的な支援計画の策定、関係機関等との連携や調整、さらには通常業務の再開などの役割を主体的に担うことが、より効果的・効率的な支援につながると考えた。
特集・救急・災害医療の現状と課題
Abstract:薬事法第49条第1項における例外事項として「大規模災害時において医師等の受診が困難な場合、又は医師からの処方箋の交付が困難な場合、薬剤師が患者に対し必要な医薬品を販売すること」が認められている。2007年3月25日に発生した能登半島地震被災地において、高齢者を中心とした慢性疾患治療の実態を調べた。更に、この例外規定を実行するために不可欠なかかりつけ薬局とお薬手帳の普及実態を調査した。対象は、被災地区で開業又は勤務する薬剤師5名と保健所勤務の薬剤師1名、保健師2名である。その結果、能登半島地震被災地では医薬分業やお薬手帳の普及が進んでいないこと、薬剤師、かかりつけ薬局、お薬手帳等の意義について住民の認識が低いことが明らかになった。
Abstract:兵庫県内の基準薬局160店舗の薬剤師及び小・中・高等学校から無作為に抽出した80校の養護教諭を対象として、災害時における学校薬剤師の必要性に注目したアンケート調査を行った。その結果、阪神淡路大震災時に学校薬剤師であった「当時の経験者」18人のうち、実際に活動したのは6人と少なかった。災害発生後の避難所における環境衛生管理等は極めて重要であり、学校薬剤師が活動の中心となる必要があるが、十分に機能していないことが明らかになった。学校薬剤師としての活動に対する認知度は大震災時には低かったが、今後日常の学校薬剤師活動を活性化させることでその認知度を増す努力を継続させる必要がある。
Abstract:著者等の施設の血液浄化療法室全スタッフ(看護師9名・臨床工学技師7名)を対象に透析終了後、通常通り返血を行い抜針時に「止血バンドによる緊急離脱法」訓練を各自3回行い、地震など災害時の緊急離脱における止血バンドの有用性について検討した。その結果、延べ48名中34名(70.8%)が上手く止血できており、少しの出血・A側の漏れ・バンドがはずれ出血などが11名(22.9%)でみられた。止血バンドを使用した抜針方法を経験して81.3%が「抜針後患者がすぐ行動できる」「患者の両手がフリーになる」などの理由からは良かったと回答し、16名中14名がこの訓練は有意義であったと回答した。以上より、紙面上のマニュアルを作成するだけでなく、このような訓練を通じて現実味のある対策を検討することが重要と考えられた。
特集・日本災害看護学会「災害看護メッセージ-備え-」