災害医学・抄読会 080328

医師に必要な災害医療の知識

(小林誠人.臨床麻酔 32巻臨時増刊 491-500, 2008)


災害時における体系的対応

 災害時対応では、現場の要求を分析し適切に対応する必要がある。そのためには体系的対応を明文化しマニュアル化する必要がある。

【体系的対応の基本原則(CSCATTT)】

(1) Command & Control(指揮・統制)

 災害現場では各職種、各機関ごとにCommander(指揮官)が任命される。Commandは各機関内の「縦」の連携を指す。また災害現場の総括指揮は単一の機関が担当し、この機関が現場のControl(統制)にあたる。Controlは関係各機関の「横」の連携である。災害現場では医師および医療チームは医療指揮官の指示に従い、各々独自の考えでの行動は慎まなければならない。

(2) Safety(安全)

 災害時には救助者自身、災害現場、傷病者の安全の考慮、確保が重要である。救助者自身の安全が最重要であり、そのための個人装備、防護具が必要になる。災害現場の安全は統制機関の指示によるzoningにより確保される。救助者自身の安全が確保できない場合は、要救助者がいようとも状況によっては退避を行う。

(3) Communication(情報伝達)

 効果的な災害対応の成否を握る。情報を共有し、各機関および他機関で確認、指揮官や統制機関により調整されることにより効果的な対応が実践される。

 共有すべき情報内容は、METHANE M(Major incident);大事故災害・集団災害、E(Exact location);正確な発災場所、T(Type of incident);事故災害の種類、H(Hazard);危険性、A(Access);到達経路、N(Number of casualities);傷病者数、E(Emergency services);緊急サービス機関

(4) Assessment(評価)

 この評価は正確である必要はなく、経時的に評価され修正されればよい。医療チームの活動内容を含めた全ての災害対応がこの評価に基づき決定、指示される。

 CSCAが確立、実行されてはじめて後述するTTTが実践される。

(5) Triage(トリアージ)

 限られた人的・物的医療資源を用いて、最大限の救命を得るために、傷病者に対する治療・搬送順位を決定する必要がある。この選別過程をトリアージという。医療支援の第一段階である。

〈トリアージの場所、方法〉

 一次トリアージ:主に救急現場や病院搬送時に施行され、迅速性・簡便性・再現性が要求される。START方式が用いられる。気道、呼吸、循環、意識といった生理学的評価に基づき、1人に対して1分以内に評価し、行うべき処置は気道の開放と外出血に対する止血のみである。

 二次トリアージ:主に現場応急救護所や病院内で施行され、致死的損傷の評価が必要である。この結果が搬送、治療の優先順位につながる。

 傷病者はカテゴリ−に分類され、この結果を他の医療従事者に伝えるためトリアージタッグが使用される。トリアージカテゴリー:赤(最優先治療群、重症群/生命にかかわる重篤な状態でただちに処置・治療を行えば救命可能)、黄(非緊急治療群、中等症群/治療・搬送が必要であるが治療開始が遅れても生命に危険が無い。バイタルサインが安定している)、緑(救急搬送不要群・軽症群/通院治療が可能)、黒(不処置群、死亡群/生命徴候がない)

(6) Treatment(治療)

 医療支援の第2段階であり、治療対象は一次あるいは二次トリアージで「赤」「黄」タッグ傷病者である。災害現場では病院への搬送に耐え得ることを目的にする。災害現場、応急救護所での治療は全脊柱保護の概念と共に、気道・呼吸・循環の安定化に限定される。生命に直接影響の無い処置(創被覆、外固定)などは機能障害を最小限にすること目的とする。

受け入れ病院での対応では、日常的に傷病者を同時に何名受け入れ可能か、手術可能かをシュミレーションしておく必要がある。

(7) Transport(搬送)

 医療支援の第3段階であり、「正しい傷病者」を「適切な時間内に」「適切な医療機関」に搬送することが目的である。消防機関が担当する。搬送先病院はできるだけ広域に選定を考慮する。ヘリコプター搬送も有用である。

災害対応の決定

 (1) 公的支援要請:迅速にこれに従う。どのクラスの医師が何名、何の医療手段を用いて出動するか明文化しておく。交代時期、交代要員、出動時の保障についても決めておく。

 (2)自発的支援決定

災害発生時における各機関での対応

 4つの組織内で医師は活動する。

 (1)災害現場指揮本部:現場対応全体の統制、災害現場の中枢となる。

 (2)医療救護班:医療指揮官の指示に従う。応急救護所、ヘリポート、救出現場

 (3)情報指令センター

 (4)受け入れ医療機関

災害時対応のための日常診療と訓練

 日常から医師、看護師が救急現場に頻繁に出動し、救急隊を含めた消防関係者と共に活動するシステムが構築・浸透している必要がある。


災害現場管理 a.大規模災害時の現場指揮について

(田島松一.プレホスピタルMOOK 4 多数傷病者対応、永井書店、東京、2007、p.19-24)


 兵庫県尼崎市での列車脱線事故後、東京消防庁では「大規模救助事象及び多数傷病者発生時の救助救急活動体制に関する検討会」を設置し、より安全で迅速かつ効率的な救助救急活動体制を目的に、部隊の出場制度と各隊の活動基準の一部を見直し、複雑かつ大規模な災害現場で機能的に対応できるよう充実強化を図った。

 災害現場に立つ指揮者は、過去の貴重な災害事例の教訓から大規模災害特有の特徴をよく理解し、日頃から指揮者として必要な心構えと災害時の各活動組織などの機能と役割を十分理解し、災害対応に活かしていくことが重要である。

指揮者として必要な心構え

1.落ち着きと冷静さ

 指揮者はいかなる場合でも、部下の前で決して慌てず、冷静さと落ち着きをなくしてはならない。災害現場では決して走らず、要救助者の状況、消防隊の活動状況、今後の災害進展予測、野次馬・関係者・報道機関の状況、活動上の危険要因など災害全般を冷静に把握する必要がある。現場では曖昧な情報が氾濫するため、指揮者自ら動いて現場確認し、情報を集めることも忘れてはならない。

2.命令の仕方

 命令は部下に対し確実に内容を伝達することが目的であり、相手の目を見て、言葉尻を明確に断定的な表現で結論を一言で言う必要がある。また、最終的な判断には専門家の意見に耳を傾けることや、支援スタッフによる客観的な助言を受け入れることも重要である。

3.責任は責任者にある

 消防活動における結果評価は、自分の目の届かないところで起きたトラブルなども含めすべて指揮者の責任である。そのため、現場に上級階級の者がいても遠慮することなく与えられた自己の責任を全うすればよい。

4.意思疎通が大切

 消防活動は、部隊活動であり、各級指揮者の協力がなければ十分な成果は望めない。部下との関係はパートナーと考え、平素から消防活動に対する自分の考えや基本方針を示し、しっかり意思疎通を図っておくとよい。

5.常に安全な消防活動を目指す

 各隊長・隊員はそれぞれであり、人格や経験、能力も異なる。指揮本部長は、大規模災害現場において安全管理面ですべての隊員を把握することは困難であり、小・中隊長に活動の節目ごとに隊全体の安全確認を習慣づけておくことが重要である。

大規模災害時の各級指揮者の役割

1)指揮本部長

 現場指揮本部において災害現場の最高指揮者として、消防活動全般にかかわる活動方針決定のもと、厳格な安全管理体制下で要救助者の早期救出を主眼に、指揮体制の確立、局面指揮の強化、活動スペースの確保、関係機関との相互連携を図り、集結したすべての消防部隊の能力を最大限に発揮させることを主たる任務とする指揮者である。また多数傷病者が発生した災害現場では、災害実態の早期把握に努め、救急指揮所、現場救護所、搬送ポスト、部隊集結場所、ヘリコプター臨時離着陸場、救急隊搬送経路、警戒区域・活動区域の設定、現地幕僚などによる局面指揮体制の確立、惨事ストレス対策チームの派遣要請なども行う。災害規模や社会的影響などに応じ、大隊長、署隊長、方面隊長、消防総監が指揮本部長となる。

2)救助指揮担当隊長

 指揮本部長の命を受け、救助局面の活動方針を決定し、救助活動隊、医療関係者などの関係機関の活動指揮および活動管理を任務とし、救助活動区域内への進入統制や必要資器材などの要請を行う。

3)救急指揮所担当隊長

 指揮本部長の命を受け、救急指揮所において救急活動方針の決定のもと各救急隊長などを指揮し、現場に出場した医療関係者との連携を図りながら救急指揮所および現場救護所の統括管理を行う。

4)最先到着した各隊長

 災害現場に最先到着した隊長は、隊種別の如何にかかわらず、災害発生場所、災害概要、要救助者数、傷病者数、傷病程度などを把握し、応援要請の要否を含め警察本部(本庁)に早い時点で現場即報を行う。

  1. 先着中隊長:部隊長が到着までの間、先着救急隊長と連携を密にして、指揮本部長(大隊長)の任務を代行する。
  2. 先着特別救急隊長:部隊長が到着までの間、救助局面の総括に当たる。
  3. 先着救急隊長:救急指揮所担当隊長が指定されるまでの間は総括救急隊として救急活動全般の総括的な立場として、傷病者数および傷病程度の把握、現場報告、必要部隊などの要請、二次的災害発生の危険のない場所での現場救護所の設置準備、トリアージ方法の選択・決定、後着救急隊などへの指示を行う。

5)東京DMAT(Disaster Medical Assistance Team)連携隊長

 東京DMATの活動に対して、指揮本部からの下命事項の伝達、指揮本部への活動状況報告、活動隊に対する医学的アドバイスの伝達、活動支援、安全管理などを行う。東京DMATは、指揮本部長の指揮下で災害現場および現場救護所などにおいてトリアージや医療処置を実施することとなっており、指揮本部長は東京DMATに活動範囲を明確に指示し、東京DMAT連携隊長を通じ、安全管理を徹底する。

他機関との連絡調整

 大規模災害、NBC(Nuclear、Bio-Chemical)災害などの災害現場において、関係相互機関の円滑な連携を目的に、必要に応じて現地連絡調整所が設置される。その場合は、指揮本部長が現地幕僚の中から連絡員を指定し現地連絡調整所に派遣する。調整事項として、関係機関個々が有する情報の共有、各関係機関の役割と活動範囲の分担、各種警戒区域の確認、救急搬送医療機関の確保、臨時へリポートの設置・運用、広報内容の調整などが挙げられる。


JR福知山線列車脱線事故の死体検案

(長崎 靖ほか.日本集団災害医学会誌 12: 20-24, 2006)


遺体の検出及び検案

 平成17年4月25日午前9時18分頃、兵庫県尼崎市久々知3丁目にてJR福知山線上り快速列車(7両編成)が脱線転覆した。同日午前10時、兵庫県警本部に検視総括班が設立され、午前10時50分から、現場への検視斑派遣が始まった。午後0時、県警鑑識班による実況見分が開始され、午後0時10分、遺体安置所が設立された。現場で死亡と確認された遺体は、当初事故現場近くの自動車修理工場敷地に仮安置し、午後から警察車両で遺体安置所に移され、検視・検案・修復・個人識別が行われた。25日午後からは、現場から搬出された遺体は保健所医師によって死亡が確認された後、遺体安置所に移された。

 検案に携わったのは、法医認定医である監察医5名(兵庫医大2名・神戸大2名・兵監医1名)、神戸大の法医認定医1名、法医学教室員3名、(兵庫大2名・神戸大1名)及び兵監医の非常勤職員2名であった。その結果、4月25日午後3時から、4月28日午後6時まで、延べ35名のスタッフによる24時間検案体制を敷くことが出来た。なお、この間に検視に動員された警察官は延べ238名であった。

 今回、県警は業務上過失致死傷による立件を視野に入れており、刑事訴訟法第229条にもとづく検視ではなく、刑事事件の証拠収集活動である死体の実況見分を行った。実況見分では死体のおかれていた状況も含めた見分によって証拠として価値を高めるが、遺体の搬出が生存者の救出と並行して実施されたため、検視担当捜査員の到着を待っての遺体搬出は不可能であり、結果として、乗車位置や発見時の状況の把握が困難な遺体が多数認められた。

 実際の検案に際しては、全例、人体図に損傷の種類とその程度、触知出来た骨折、鼻口・外耳道からの漏出物及び注射針による髄液検査・胸腹腔穿刺の結果などを記録として残した。一方、身元不明の遺体については、血液型検査・陳旧性瘢痕など身体特徴の記録・年齢の推定及び歯牙の治療痕などの個人的特長を記載したデンタルチャートの作成を行った。

検案結果

 死亡した乗客106名(司法解剖となった運転士は除く)のうち、100名は神戸大学医学部若しくは遺体安置所にて観察医による検索を受けた。6名は病院搬送後死亡した。106名の直接死因は、頭部損傷42名、頸部損傷14名、胸腹部損傷22名、骨盤骨折6名、窒息19名、外傷性ショック・挫滅症候群3名であった。監察医が検案した100名の検案日別検案数は、25日男性29名・女性23名、26日男性11名・女性8名、27日男性11名・女性9名、28日男性5名・女性4名であった。このうち頭蓋骨折が触知で来たのは45名、頸椎骨折は29名、多発肋骨骨折は55名、骨盤骨折は38名、大腿骨骨折は12名、これらの骨折を3ヶ所以上伴っていたのは19名、逆にこれらの骨折が触知できなかったのは9名であった。平成18年11月末時点で判明している乗客の乗車車両は、1両目42名、2両目57名、3両目3名、不明4名で1両目では骨盤骨折が、2両目では頭蓋骨骨折が多い傾向が認められた。

考察

 多数の死亡者が発生した場合、現場に近く、検視・検案業務、遺体安置場所及び遺族控え室が分離でき、検視・検案に必要な照明設備などが整っている遺体収容施設が望ましい。

 初日に搬出された女性の過半数が検案時身元不明であったが、これは男性が免許証や携帯電話などをポケットに入れているのに対し、女性は身元判明の手がかりになるものをバッグなどに入れており、遺体と一緒に搬出されなかったことも影響した。2日目以降は、帰宅せず病院にも収容されていない行方不明者の情報が寄せられ、遺体安置所の壁一面に写真や血液型その他身体特徴を記入した情報が張り出された。今回は、当初、血液型判定用抗血清を持参しなかったため、現場での迅速な血液型判定ができなかった。個人識別対策として、現場に血液型判定セットを持参するとともに、後日発見されうる部分遺体に対するDNA検査のために、欠損部分のある遺体については血液あるいは口腔粘膜細胞の保存が必要と考えられた。

 検案結果から、AIS-90を用いて重症度を評価した報告は本邦ではまだない。したがって、検案所見をどのようにAIS-90のコードに当てはめてゆくかが問題であり、今後、法医学的な検討も必要と考えられた。外表の損傷は、概ねそのままAIS-90でコード化できるが、出血量は不明であるため、死斑が極端に弱い例は20%以上の出血と考えた。骨折は、頭蓋の線状骨折は検案からの診断は困難であるが、頭蓋骨や骨盤の粉砕骨折、多発肋骨骨折および四肢の骨折の診断は比較的容易である。逆にいえば、触知可能な頭蓋骨折は粉砕骨折などAIS3点以上と考えられた。頭部や胸部の重篤な臓器損傷は、骨折の程度および脳脊髄液,胸腔穿刺の結果からある程度推定可能であるが、腹部の損傷は、外表所見からの推定や腹腔穿刺による確認も困難であった。そのため実際の損傷より重症度が低く算定される可能性が高い。また、眼瞼結膜や口腔粘膜の状態、顔面などの欝血や外傷の状態から直接死因が窒息死と判断された遺体があったが、外傷性窒息はAIS-90では評価するコードがなく、結果としてISSが低く算出された。実際、検案所見のみからでは、臓器の損傷程度、特に腹部臓器の重症度は不明瞭であることなどから、必ずしも死亡者のISSが高値を示さなかった。また、過去に監察医務室において解剖された頸部あるいは胸腹部圧迫による窒息死亡例の剖検記録をもとに、損傷をAIS-90でコード化した結果、ISSが0点あるいは1点と算出された例が認められたことから、外傷性窒息はISSによる重症度評価にはそぐわないと考えられる。ただ、検案所見から計算したISSが実際以上に重篤に評価されることはないと考えられることから、preventable trauma deathの検証にはある程度有用と考えた。今後、preventable trauma death検証の重要性は増大すると思われるが、ISS低値例については解剖や遺体の画像診断も視野に入れるなど、新たな評価方法の検討が必要と考えられる。


災害時の対応―現在 (5)透析室・機械室の環境整備と器材・医薬品のデリバリー 1)機器

(木下 博ほか.臨床透析 22: 1539-1544, 2006)


はじめに

 地震被災時には、透析患者とスタッフの安全の確保と透析患者の生命維持が必要とされる。本稿では実際の被災状況の調査結果および加震試験結果を踏まえ、透析室・機械室に設置する機器に関する事前対策のポイントについて記載する。

1.透析室内の機器への対策

 まず考えるべきは、透析装置の移動・転倒防止による安全確保である。

 一つ目のポイントは、キャスターはフリーかロックか、ということである。透析装置の場合、キャスターを固定すると加震試験で装置が突っかかるような動きを示し、キャスターをフリーにした場合と比べ挙動が不安定であった。過去の地震災害状況でも、キャスターがフリーになっていた透析装置のほとんどが転倒を免れている。ベッドの場合、加震試験での安定性は固定してもフリーでも同様であるが、移動距離は固定したほうが少なかった。したがって、透析装置のキャスターはロックしないが、日常の乗降時の安全性からも、ベッドのキャスターはロックすることとする。

 二つ目のポイントは、装置とベッドの設置方法である。装置とベッドが離れると血液回路に負担がかかるため、装置とベッドが一緒に動く構造が良い。また、ゲル状シートやボルトによる固定、重量物を装置に乗せない配慮も重要である。

2.透析調整室(機械室)設置機器への対策

 次に、機械室設置機器への対策を考える。ここでのポイントは、建物への固定や免震装置の採用などの転倒防止策である。機械室機器は大型で移動することはないため、ワイヤー固定、床面固定、ゲル状シートでの粘着などを行う。また、多量の水、薬品を使用しているため、床面の防水加工も必要とされる。

3.配管・配線等の対策

 続いて、配管・配線損傷の対策について考える。過去の地震災害では、機器への直接的被害よりも接続された配管の損傷による施設稼動不全が多い。被害防止のためのポイントは、塩ビ管などの剛性の高い配線材料を装置に直接配管せず、接続する配管に多少のフレキシビリティを設けることである。フレキシブルチューブのような軟らかい配管素材を使用し、地震発生時に力が一点に集中しないようにする。

4.災害時における透析装置の復旧体制

 最後に、災害時における透析装置の復旧体制について考える。まずは被害状況の正確な確認を行い、復旧可否の判断、復旧に要する時間、必要部品・部材の把握、確保を行う。交通状況の等のインフラの状況確認を行い、搬送手段やルートの決定、発送作業を行う。災害に備え、部品・部材をメンテナンス拠点に在庫しておくことも必要である。医療器材工業会(医器工)のホームページに、メンテナンス緊急連絡先が掲載されているので確認しておく。

まとめ

 医療機関がそれぞれの透析室・機械室の状況に応じた適切な地震対策を選択・実施し、不測の事態に備えることが重要である。機器を含め透析設備に関する、より効果的で施工が容易な総合的な地震被災時の事前対策が望ましい。


災害支援のケアマニュアルの作成 2看護師のマニュアル

(京極多歌子.EMERGENCY CARE 2007新春増刊 Page 233-240)



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