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仕事と生きづらさ ~罹患から7年経って~
私はがんに罹患して丸7年が経ちましたが、5年前に転職を経験しています。前職はがんの治療についても理解がある職場でしたが、「年齢的にスキルアップを目指すなら、飛び立つ勇気も必要だ」と決心して転職を決めました。
7年経って思うことは、AYA世代はがんになってからのその後の人生が長く、生きづらさを感じる場面に遭遇することです。
私が7年目に直面した問題は、がん患者の雇用問題です。私は肺に転移したがんを摘出してから4年が経ち、以前と変わらぬ生活を送っています。しかし、現在の職場で仕事中に腰を痛めたことから労災申請する流れになり、労災がきっかけで会社から「雇用を継続するのは難しい」と告げられました。詳しい説明を求めると、労災の当事者ががんを患っていることを伝えたところ、国からがん患者を雇用することの責任問題について指導を受け、重く受け止めたと。
しかしその後の話し合いや主治医の協力の結果、退職勧奨はなくなりました。ただし今後半年ごとに「治療の状況や就業継続の可否についての主治医意見書」を主治医にお願いすることで、就業の継続が可能となりました。
今回の件を通して、がん経験者であることを打ち明けるリスクについて身をもって感じました。目の前で元気に仕事をこなしていても、社会では転移したがん患者は労働者としては認めてもらえないかもしれないこと。しかし実際には一度転移した人でも10年以上生きて、健常者と変わらない生活を送っている方がいます。
この経験から一時は、前職を辞めたことを後悔する思いがこみ上げてきました。やはりがん患者を受け入れてくれる職場を辞めるべきではなかったのだと。
ただ時間が経つと、今の職場で求められた主治医の意見書はがん患者を受け入れるために必要だったのだと、会社の立場も理解できるようになり、転職を後悔することもなくなりました。 一時は精神的に落ち込み、自暴自棄になりましたが、7年間で培ってきたがん仲間、がん相談支援センター、病院スタッフなど、多くの方に相談して乗り越えることができました。一人では解決できないことも、周りにSOSを求めればきっと誰かが助けてくれます。これからの日本が、今よりも生きやすい社会になりますように。