C.S.
治療の選択~情報・決断~
私は、自分のがんが見つかった時、がんについて多少の知識がありました。そのことにより、メディアなど限られたものからの情報による情動的な恐怖やパニックはありませんでした。そして、当時は自分なりに冷静な判断ができていると感じていました。しかし今振り返ってみると、様々な偏りを持っていた事に気が付きます。
多くの方と同じように、情報を得てそれをもとに考え、選択するわけですが、私には、どこか頑なさや傲慢さ、短絡さがありました。治療の選択肢がまだ複数あることに対しての油断もあったのだと思います。
標準治療が進むにつれ、世にある「自然療法」に心が惹かれ、自分の自然治癒力を試したいという気持ちになりました。そして、そちらの選択を3ヶ月間と期限を決めて実行に移しました。自分の意思を尊重できたという納得感もありましたが、それと比例して、進行への恐怖、周囲からの孤立感・孤独感も大きくなりました。
結果的にはがんは大きくなり、「これでは間に合わない」と実感し、標準治療を再開しました。根気強く話し合いに応じて下さった主治医の先生には、心から感謝しております。この経験から、少ない情報や「抗がん剤を最初から否定する」など偏った価値観で、治療を選ぶ危うさを実感することになりました。また、副作用や後遺症を伴うがんの治療には、その後もその体と生きていく自分が後悔を残すことのないよう、治療の決断にしっかり参加することがとても大切だと感じました。
2018年執筆