「”Is there a doctor on board?” 高度3万フィートのオンコールに自信を持って手を挙げられる医師になるために」

米国内科学会日本支部年次総会 講演開催報告

埼玉医科大学病院 総合心療内科 山田悠史

米国内科学会日本支部年次総会におきまして、「”Is there a doctor on board?” 高度3万フィートのオンコールに自信を持って手を挙げられる医師になるために」というタイトルで講演を行いました。我々国際交流プログラム委員会では、国際交流にとって最も大切なツールの一つ、医学英語の教育を行うことを念頭に、今回の講演を企画しました。医学英語を使う状況を思い浮かべる中で、委員から、日本における航空機内救急に関する知識、教育の乏しさの指摘があり、ここに焦点を当てることになりました。

IATA(国際航空運送協会)によれば、世界の航空旅客数は2018年に40億人を突破し、さらに増加の一途をたどっています。常時5,000機以上の旅客機が高度30,000 フィートの上空を飛行し、1日あたり1,000万人が機内という閉鎖空間で数時間から十数時間を過ごします。そこで問題となるのが航空機内救急(In-flight medical emergencies; IME)です。過去の統計によればIMEは平均約600便に1件発生するとされ、毎日約1,000件のIMEが世界のどこかの上空で起こっている計算になります。このようなIMEに対して自信を持って対処できる術を身につけていただくことを目標に講演を行いました。

当日は、朝一番の企画にもかかわらず50名を超える聴講者が集まりました。講演は、短時間のアイスブレークのあと、元演劇部の牧石委員長扮する医師の乗客が、筒泉副委員長扮するシンガポール人の乗客リチャードの失神に対応するという寸劇で始まりました。元客室乗務員 の駒崎クララさんにもご協力いただき、本物の客室乗務員さながらの演技をしていただきました。寸劇での3名の迫真の演技は、すぐに聴講者の心を掴み、笑いも交えながら航空機内救急の理解にお役立ていただけたのではないかと思います。また、寸劇の合間にレクチャーを挟む形式で進め、山田より最新の文献に基づくIMEの基礎知識や対応方法についての講義、IMEで想定される英語表現の講義を行いました。また寸劇のあとには、元客室乗務員の星山芳実さんから、IMEにおける客室乗務員の役割、メディカルキットについて、航空機内の医療支援体制、医師登録制度についての解説が行われました。医師だけによる講演とせず、お二人の客室乗務員経験者にもご参加いただくことで、より深みのある内容になったのではないかと思います。

機内での急変は、ある日突然遭遇するものであり事前準備が欠かせません。ところが、今回のような医師を対象としたIMEのワークショップやセミナーはほとんど開催されていないのが現状です。今回ご参加頂いたことにより、聴講者の皆様にとって、IMEへの認識を広げる、また医師としての素養を広げる絶好の機会となったのではないかと考えています。そして、我々にとってもこのような活動を国内でさらに広げていくよいきっかけとなりました。

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