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Posted on January 20, 2018March 27, 2018 by Oshima

ACP日本支部国際交流プログラム 研修報告書

ACP日本支部国際交流プログラム 研修報告書

藤崎智礼
派遣期間 2017/10/31~11/21

2017年11月、ACP日本支部国際交流プログラムを通じて、ハワイでHospital MedicineとFamily Medicineの研修をさせて頂きましたので報告させて頂きます。


<Hospital Medicine>

Hospital Medicineの研修はThe Queen’s Medical Center(QMC)でホスピタリストである野木真将先生(Dr.Nogi)のシャドーイングを行う形で行いました。

ハワイは、人口のうち大まかにアジア人が40%、白人が25%、ハワイアンやポリネシアンが10%、ヒスパニックが10%、黒人が数%を占め全米平均と比較して大きく違う特徴のある人口形態をしていますが、米国がミクロネシアやパラオ、マーシャル諸島と結んだ自由連合盟約に含まれる医療支援協定を前提として、QMCはその地域における最大の病院として国籍、人種、宗教など多種多様なバックグランドを持つ患者の受け入れを行っていました。広域から受け入れを行う病院であるため複雑な病態の患者が多く、ホスピタリストが幅広い疾患の診療を行う所を見学する事が出来ました。強く印象に残ったのは、 数多くのコンサルタントとディスカッションしながら治療方針を決定していくホスピタリストの診療スタイルでした。例えば、リンパ腫のある患者の癌治療についてはOncologistやRadiologist、抗がん剤副作用の強い嘔気についてはPalliative care team、発熱性好中球減少症についてはInfectious disease doctorというように、数多くのコンサルタントと協議しながら共に診療に当たっていました。その中で、ホスピタリストには各分野の専門医から信頼を置かれる知識と、 チームの指揮者として各専門医を指揮し協和音のとれた医療を行うリーダーシップ能力が求められていました。また、様々な人種や民族的背景をもつ人々がミックスされた特徴的な人口構成をもつハワイでは、疾患の治療だけではなく患者の価値観や社会的事情など患者全体像を踏まえた治療ゴールを設定する高い能力が求められ、病院やその地域の医療資源に詳しいホスピタリストが、様々な職種、かかりつけ医、家族とチームを作り、最良の治療選択ができるようにコミュニケーションのハブ役としての大きな役割を果たしていることを学びました。

全米では、誕生から約20年を経た2016年度にホスピタリスト総数が50,000人を超え、 米国内科サブスペシャリティー最大の規模を誇る循環器内科医の総数22,000人をはるかに上回る数となったとNEJMで報告されています。ホスピタリスト雇用により、医療費削減、入院日数削減、医療の質向上、患者満足度増加といった結果が出ており全米の約75%の病院でホスピタリストが積極的に雇用されているようです。また、外来診療がなく入院診療に専念できる事、7日勤務/ 7日休みというワークライフバランスの保たれたシフト制度などが人気であり増加の要因となっているようです。ホスピタリスト制度には、入院と外来診療の継続性の分断や専門医との診療領域オーバーラップなどのデメリットの指摘もありますが、やはり、医療のパフォーマンス向上に繋がるメリットが多いため今後も総数が増加していくと予想されているようです。日本には入院治療のみ行う医師は少ないですが、超高齢化社会で多疾病罹患を抱える高齢者の入院が増加しているため、米国ホスピタリストのような各専門医の方針をまとめ治療方針を統括する医師の必要性が今後さらに高まり、その数も米国の前例のように増加していくのではないかと思いました。

 

<Family Medicine>

Family Medicineの研修はハワイ大学ジョンAバーンズ医学部の家庭医学臨床教授である渡慶次仁一先生(Dr. Tokeshi)のシャドーイングをする形で行いました。1日の基本的なスケジュール としては、朝4時頃から入院患者回診をして、その後、6時30分からモーニングレクチャーを受けて、8時30分から外来を見学するというものでした。担当患者の緊急入院などに備えて、Eating and Sleeping: Optional.というモットーのもと24時間オンコール体制で研修に臨みました。

ハワイ大学医学部の一期生であるDr. Tokeshiは、約40年間老若男女問わずあらゆる健康問題を扱い、今では5世代に渡り診療している家族もあるそうです。プライマリケア医師(PCP)として個人、家族、そして地域を対象として、長い期間に渡り継続的な人間関係を保ち、診療期間の短い他の専門医と異なるアプローチで臨床問題を扱っていることがよく分かりました。また、ハワイ在住の日系人には移民や真珠湾攻撃の歴史など独特な歴史・文化的背景があり、戦争に多大な影響を受け生きてきた方が多く、若い方であっても先祖の移住や戦争の歴史を抜きにしてはアイデンティティーを語れない方が多くいらっしゃいました。そのような社会歴は特に細かく聴取されており、健康問題を文化的、社会的要素などの観点から理解し包括的にアプローチしている事が非常に特徴的でした。今回、それらの特徴や能力がハワイの家庭医療においては特に重要であることを学ぶことができました。

家庭医が大きく関係するプライマリケア(PC)という視点で米国全体に目を向けると、公的な皆保険はなく高額な医療費に備えて各個人が保険会社と契約を結ぶのが基本で、多疾病罹患のある高齢者や低所得者が保険に加入して治療を受けるには厳しい現状があるそうです。2010年にはオバマケア法が成立し2020年までの医療保険加入率増加を目指すように米国の医療制度改革が進められ、医療費削減や公平さに繋がると期待されています。一方、日本には国民皆保険制度がありますが、総合診療(家庭医や病院総合医を含んだ名称)の専門医制度が始まったばかりで家庭医学の専門医育成プログラムは確立されていません。日本の患者は医療へのゲートキーパーであるかかりつけ家庭医を持たず、医療へのフリーアクセスを通して臓器疾患ごとに専門医を受診することが少なくありませんが、多疾病罹患をもつ高齢者が急増している日本では、ハワイの家庭医のような、臓器だけではなく人を人として診る、全人的な側面からあらゆる臨床問題を束ねて対応することのできる地域に根ざしたジェネラリストの必要性が今後さらに高まっていくと思われます。日本でもこれから専門医研修制度が確立され家庭医の役割を果たす訓練された医師が数多く誕生していくのかもしれません。

 

<教育>

米国の医学教育について学ぶことも出来ました。ハワイ大学医学部はProblem Based Learning(PBL)という教育制度をいち早く取り入れた全米でも人気の高い医学部であり、Dr.Tokeshiの診療所でも水曜日の午後など外来診療のない時間を利用してハワイ大学医学部1年生に対して、呼吸器疾患を持つボランティア患者の問診と身体診察を行うPBL方式の実習が行われていました。AsthmaやLaugh syncopeなどを既往にもつ興味深い症例について、数時間かけて網羅的に問診、身体診察、カルテ記載、症例プレゼンテーションを行う実習が行われ、その後人工呼吸器を実際に装着してモード設定を学ぶ時間が設けられていました。また、プレゼンテーションの教育も重要視されており、医学部1年生がほとんど完璧な、流れるような症例プレゼンテーションを行っており感心しました。このように早くから課題となるテーマを与える事で学生の能動的な姿勢や感心を引き出していく事がPBLの本質・ 目的であり、ハワイ大学医学部で重要視されている教育スタイルであることを学びました。ハワイ大学では、講義に加えてこのように診療所などの現場に出て実際に患者を問診診察する教育スタイルが昔から当たり前のように行われているそうです。この点は、受動的で座学中心、知識の暗記に偏りがちな日本の教育制度と対比的な所だと感じました。William Oslerの“Listen to your patient, he is telling you the diagnosis.”という名言がありますが、まさに最高の教師である患者から疾患について学ぶ環境が用意されていました。医学部1年生は週に数回このようなPBLを行っているそうです。また、臨床教授として約40年間に渡り家庭医学の教育に力を注いでおられるDr.Tokeshiの診療所での研修はThe Tokeshi Dojo(道場)として有名で、共に研修したハワイ大学3年生の医学生は、外来で問診してカルテを記入し、バイタル測定、 採血などの手技を行いながら、入院患者の入院管理や入院・ 退院サマリー記載など忙しく実戦力として働いていました。このように、医学部1年生の時から実際に臨床の現場に出て、卒業時には即戦力となるように考えられたアウトカム重視の実用的な教育が行われているように感じました。また、内科レジデントの勉強会に参加する機会がありましたが、レジデントによる症例プレゼンテーションが行われ、 症例や論文について活発な議論が行われていました。主訴から鑑別疾患を挙げ、問診や身体診察、検査を通して鑑別を絞り込み診断に結びつけていく臨床推論の訓練や、論文を引用し診療に批判的吟味を行う機会が多く用意されていると感じました。それらの点は米国医学教育の長所であり、そのような機会が少ない日本の医学教育に取り入れるべき点だと感じました。限られた時間ではありましたが、日米医学教育の違いについて学ぶよい機会となりました。


最後になりましたが、ハワイで、Hospital MedicineとFamily Medicineについて深く学ぶ事が出来ました。人種、民族的背景、地理的背景、経済的背景など様々な視点から米国の医療制度をのぞき込む事が出来たと思います。そして、医学教育制度についても日米を比較して学ぶ事が出来ました。このような学びの多い充実した研修の機会を与えてくださったDr.Nogi、Dr.Tokeshi、そしてACP 関係者の皆様に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

2018年1月 藤崎智礼

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