Y.S.
ハンディを抱えながらの就職活動
私は大学3年生のときに横紋筋肉腫という診断を受けました。腫瘍が直腸の近くにできてしまったため、直腸ごと腫瘍を摘出し人工肛門になりました。さらに、このときの手術が原因で人工膀胱になりました。2年に及ぶ治療を経て復学しましたが、治療の後遺症に悩まされる生活が数年の間続きました。
入退院を繰り返す生活が続いていて、就職することにためらいがあったこともあり、修士課程修了後も大学院に残り、博士課程へ進学するという選択をしました。
博士課程の標準年限は3年間。3年目を迎え、就職を考えなければならない場面がやってきました。がんを経験し、身体に障害がある私が就職するためには、多くのハードルがあるであろうことは容易に想像がつきました。
もちろん、大学に残って研究生活を続けるという選択肢もありました。しかし、同年代の研究者のレベルの高さ、待遇の不安定さなどを考えると、企業に就職した方がいいだろうという結論に達しました。それに加えて、医療に関わる業界で専門知識を活かしたいという気持ちが芽生えていました。
この頃の私は様々なことに悩まされており、指導教員の目の前で涙してしまうこともあるくらい精神的に参っていました。体調を理由にして進学という決断をしたことを後悔することもありました。病気にならなければと思ったことも一度や二度ではありません。
予想通り、就職活動では多くの企業に書類選考で落とされました。しかし、そんな中で内定を出してくれた企業がありました。最終面接では、同じ障害をもった人が社内にいるから大丈夫という言葉もかけていただきました。
無事に学位も取得し、いまは医療機器メーカーで研究職として働いています。障害を抱えながら仕事をすることは大変な面もありますが、周囲の協力を得ながら日々業務にあたっています。
2017年執筆