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4-5.支え合いの場を利用しましょう

4-5-1.患者さん・ご家族同士の支え合いの場

患者Sさん妻在宅支援チームの皆さんがとてもよくしてくださって、夫も病院にいたときより生き生きして見え、最初の頃のような不安はなくなってきました。ただ、娘や息子も「お父さん全然元気そうだね」なんて言って、私の話をあまり聞いてくれなくなりました。ケアマネジャーさんや看護師さんが来たときにお話しできるのはうれしいのですが、皆さんが帰ったあと、ふと寂しさがこみ上げてきたり、本当に自分が看てあげられるのだろうか……と気持ちが落ち込むときがあります。

相談員Nさんそうなのですね。慣れないご自宅での介護で、気持ちが折れそうになったり、孤独感を覚えることがあるのですね。

患者Sさん妻知り合いやご近所に在宅療養しているご家庭もないし、この先どうなっていくのか……なんて考えてしまいます。

相談員Nさん無理にというわけではないのですが、もしご興味があれば、がん患者さんやそのご家族同士が当事者の視点で話をしたり、交流することができる「支え合いの場」を活用されるのもよいかもしれません。

患者Sさん妻支え合いの場……?


相談員Nさん具体的には「患者会(家族会)」「ピアサロン」「ピアサポート」といったものです。がんという同じ病気を経験したご本人やそのご家族同士が、お互いの体験を語り合ったり、自分の悩みを聞いてもらうことで、抱えている不安や問題を解決する糸口を見つけたりすることができます。「悩んでいるのは自分だけではないんだ」「一人ではないんだ」と感じられるだけでも、気持ちが楽になるようです。「ピア」は「仲間」という意味で、当事者同士の交流には、心の負担を軽くしたり、癒やしたりする大きな力があります。当事者同士でなければわかり合えない苦労や心境を打ち明け合ったり、先輩患者さん・ご家族から療養生活のヒントを得られたりと、医療者などから得られる情報とはまた違った観点で、がんの療養を捉えるきっかけになるかもしれません。

患者Sさん妻そういえば、病院の掲示板に「がん患者さん・ご家族のピアサロン開催」という張り紙を見たことがあります。

相談員Nさん病院などの医療機関が患者会や支援団体などと共催で定期的にサロンを開いていることもありますし、患者会や支援団体が公民館などの施設を利用して、独自に交流会や勉強会などを開いているケースもあります。近年では、インターネット上のコミュニティサイトを通じて患者さん同士がコミュニケーションをとったり、オンライン交流イベントも多く開かれているようです。

患者Sさん妻このところ家からあまり出ることもなかったので、気分転換を兼ねて病院のピアサロンへ行ってみようかしら……。外出中、ヘルパーさんに来ていただくこともできますよね? 大丈夫だとは思うのですが、夫を一人にするのは少し気が引けるので……。

相談員Nさんもちろんです。ケアマネジャーや訪問看護師に相談してみてください。ご家族にもホッとする時間や弱音を吐く場所が必要です。在宅で療養された患者さんのご家族のお話なども聞けるかもしれませんね。

さまざまある「支え合いの場」

患者会
同じ病気を経験した人が集まり、当事者同士で交流する機会をもつなどの活動を行っている団体。がんを対象とした患者会は全国各地に数多くあり、特定のがんの患者会や、がんの種類を問わない患者会、家族会や遺族会なども展開している会、オンラインでも交流の機会を設けている会など、それぞれに特徴があります。

ピアサロン(患者サロン)
患者さんやその家族などが病気のことを気軽に、本音で語り合う交流の場で、病院や自治体、患者会、支援団体が主催または共催したりして、支え合いの場が設けられています。

ピアサポート
患者さんやご家族の不安や悩みに対して、がんサバイバー(がん経験者)が自身の経験を踏まえながら、個別に相談にのったり、話し相手になってくれる支え合いの場で、医療機関や地域の公共施設などで活動が行われています。

患者サロン
掲載日:2024年06月20日
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