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4-3.在宅での療養環境を整えるには

住み慣れた場所といえども、安心して療養できる状態を整えるには少し時間がかかります。どんな点に配慮して療養する環境を整えればよいか、ここで確認しておきましょう。

4-3-1.どの部屋をおもな療養場所にするか決めましょう

患者Sさん妻夫の療養場所はどのように整えたらよいでしょうか。


相談員NさんSさんがご自宅に戻られたあと、おもにどのお部屋で過ごされるかは決まっていますか?


患者Sさん妻自宅は木造の家屋で、これまで、夫が寝室として使っていたのは2階の和室なのですが、階段や廊下には手すりがありませんし、狭いトイレや浴室、ところどころにある段差なども、そのままでは苦労するかもしれません。

相談員Nさんそうですね。もし可能なら、リビングやトイレなどに近い1階のお部屋に療養場所を移されたほうが、Sさんも安心ですし、ご家族も楽かもしれません。Sさんとも相談して、まずはどの部屋をおもな療養場所にするかを決め、そのうえで生活の動線に沿って、安心安全な療養環境を整えていきましょう

患者Sさん妻あと、これまではベッドではなく布団を敷いて寝ていました。


相談員Nさん介護保険を使えば、安価で最新の使いやすい介護用電動ベッドなどの福祉用具のレンタルや購入ができます。また、浴室やトイレなどの住宅改修では、一部費用の給付を受けることができます。ベッド周りやトイレなどにレンタルの手すりを設置するだけでも、ご本人の生活の質(QOL)を大きく上げたり、ご家族の介護の負担を減らしたりすることができますよ。

患者Sさん妻介護用の電動ベッドも借りられるのですか。


相談員Nさんはい、レンタル可能です。楽な姿勢をとれるよう、上体を起こす背上げ機能や膝を立てたりする機能に加え、介護者の負担軽減を考えて、ベッドの高さを変える機能もついていますので、レンタルするととても便利です。ベッドの幅や長さ、付属品など、種類もさまざまなので、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談してみましょう

4-3-2.介護保険でレンタル・購入できる福祉用具

患者Sさん妻福祉用具は、ほかにどのようなものがあるのでしょうか。


相談員Nさん体の向きを整えるときに使用するクッションや、床ずれを予防するための用具(エアマットレス、ウレタンマットレスなど)、歩行器車いすなど、さまざまな用具があり、レンタルしたり購入したりすることができます。ポータブルトイレなどのトイレ用品、入浴用の椅子や浴室用手すりなどの入浴用品は、衛生面への配慮からレンタルはできず、一部負担で購入することになっています。ほかにも便利な福祉用具がありますから、Sさんの体の状態と住宅環境に合わせて、ケアマネジャーや訪問看護師と相談しながら必要なものを少しずつ調整していくのがよいと思います。

患者Sさん妻わかりました。まずは夫の部屋を決めて、そこから、リビングやトイレ、浴室などへの動線を考え、手すりをつける場所や、そのほかに必要なものを揃えていくという感じですね。本当にやることがいっぱい……。

相談員Nさんはじめからすべてを揃える必要はありませんし、使ってみたらちょっとイメージと違ったり、ご本人にとって使いにくかったり……ということもありますので、試したり、相談したりしながら少しずつ整えていくことで大丈夫ですよ。レンタルの介護用ベッドや福祉用具は、実際に使ってみて、より使いやすそうなものに変更することもできます。わからないことは在宅支援チームのスタッフになんでも聞いて構いませんから、こまめに連絡をとり、Sさんの状態に応じてその都度調整していきましょう。

介護用ベッドと手すり
掲載日:2024年06月20日
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