快晴
快晴(2012年12月7日)
放射線健康相談において,クライアントのカウンセラーへの信頼はなにに依存するでしょうか? リスクコミュニケーションの視点からは,カウンセラーの能力の高さ,動機づけ(誠実さ),価値観の共有,の3点が指摘されます.南相馬での場合,カウンセラーとの価値観の共有がもっとも大きそうです.カウンセラーと同じ価値観を共有していると感じるとき信頼感がうまれてくる傾向があると思います.
これは逆にいうと,いま南相馬でいきていくということに同意できないひとには,カウンセラーへの信頼感はそもそも生じえません.被曝にたいする不安で遠くに避難しているひとたちに,カウンセラーが信頼と安心をあたえることはむずかしいのです.
でもそれはしかたのないことだし,当然のことでもあります.カウンセリングは説得の技術などではなく,クライアントがすでにもっている答えをただひきだすだけです.
新生児の4〜5%にはなんらかの生まれつきの病気があります.それはあくまでも確率的なものであり,基本的にはさけることができません.それに比べれは,何千人,何万人としらべてはじめて明らかになる低線量被曝のリスクは,現実的にはほぼ無視できるものでしょう.
もちろん無視しましょうといっているわけではありません.そうではなくて,問題はそういったリスクをひきうけることが,妊娠して出産し,そしてわが子をもつということそのものなのだろうということです.リスクをひきうける覚悟がないカップルは,実体のない風評におどらされたり,マスコミの喧伝する新しい検査にとびつくことになります.
きょうの南相馬の空は雲ひとつない快晴でした.
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カウンタ 1803(2012年12月7日より)