災害医学論文集(災害事例別) 明石市民夏まつり花火大会雑踏事故(2001) |
目次: 第32回明石市民夏まつりにおける花火大会事故調査報告書、治療学、日本災害看護学会会誌、日本集団災害医学会誌
■第32回明石市民夏まつりにおける花火大会事故調査報告書
■治療学
■日本災害看護学会会誌
(明石市民夏まつり事故調査委員会、2002 年1月)
特集【災害医療 危機管理の視点と組織作り】
Abstract:2001年7月21日明石市JR朝露駅から花火会場に通ずる歩道橋上で発生した群衆雑踏事故(死者11名,負傷者247名)時の救急医療対応について次項にしたがって報告した.1)花火大会の事前準備状況と事故原因について,2)雑踏事故発生時の歩道橋の状況,3)救急通報,救急隊の出動と雑踏事故発生時の状況,4)現場トリアージと傷病者搬送,5)本集団災害における総傷病者の概要,6)考察.
Abstract:日本災害看護学会ではネットワーク活動の一環として明石市花火大会・歩道橋事故のおりに対応にあたった病院に聞き取り調査を行った.その結果,中・小規模病院の中にはマンパワー確保のために緊急呼び出しを行うなど,対応に苦慮したところも見受けられた.対応にあたった看護婦の中には心理的な苦悩を覚えた人も少なくなく,フォローの重要性が示唆された.災害時緊急対応の経験や対策本部設置の実践からマニュアル等について見直し・検討を行っている病院も多数あった。
Abstract:2001年7月21日開催された兵庫県明石市民夏祭りの花火大会の花火打ち上げ終了直後に,JR朝霧駅から花火会場に通じる歩道橋(幅6m,長さ106m,階段幅3m)上において,群衆雑踏事故が生じ,多数の死傷者(死者11名,負傷者247名)が発生した.本集団災害時の救急医療対応との問題点を検討した.その結果,(1)災害に対する適切な医学管理計画を周辺の救急医療体制能力を考慮して予め策定しておく必要がある,(2)消防庁,警察庁及び医療機関との間に協力体制,連絡体制を確立する必要がある,(3)救急医を現場に迅速に派遣する体制を整備する必要がある,及び(4)救急隊に救急時のトリアージに関する継続的な教育とトレーニングを行う必要がある,と考えられた.