michi
6年ぶりの職場復帰
罹患してから今日までの9年で一番大きな変化があったのは、働き方でした。
がんと診断を受けた時、フルタイムで働いていた仕事を一度退職しました。希少がんゆえ中々診断がつかず、痛みで出社できずに休みがちに。緊急入院から期間の目途が立たない治療が始まり、復帰の目途が立たないなかで休み続けることが負担で「約束事は治療をがんばるだけにしたい」という理由での選択でした。
メリット・デメリットを吟味した上での選択でしたが、治療が一区切りしてしばらくすると「治療と仕事の両立」という報道や取り組みがきこえてくるようになり「治療中に退職した自分は弱かったのか?」と自分を責め、復帰しなくてはと焦るようになりました。でも「すぐ再発して迷惑をかけるだろう」という不安の方が強く、復帰できませんでした。
治療終了から1年間は「人生の夏休み」と決めて心身の回復に専念。その後は同じ仕事をフリーランスという形で再開し、今の自分の体調でも責任を持ってできる仕事を単発で受け、体力の回復に合わせて少しずつ仕事量を増やしました。
フリーランスの仕事は充実していましたが、がん罹患前の仕事のやりがいが忘れられない気持ちもありました。治療から丸5年経ち、体力も回復。「この先生きること」も考えられるようになったタイミングで仕事を整理し、治療後から始めた仕事の実績をまとめて職を探し、縁あってがん罹患前に働いていた職場に戻ることができました。
随分遠回りの6年ぶりの職場復帰でしたが、もし6年前の自分が休職・復職を選択していたら、罹患前と同じように働けない自分を責めて退職し、その職場には戻れなかったと思います。職場の理解やサポートがあってこその復帰で感謝しかありませんが、恩返しの意味でもがんばって働くことで、患者がその時々の自分ができることを少しずつ積み重ねて生き・働く機会や選択肢が社会に増えてゆく一助になれたらと思います。