げんきちゃん
自分の居場所
「はやく高校生に戻りたい。」「病気になる前の生活を取り戻したい。」
その気持ちが、辛い治療を頑張る気力となっていました。
高校にいけば、また友達と楽しい毎日が戻ってくると信じていました。
なので、体調が万全でなくても、繰り返される入退院の合間をぬって、登校しました。
しかし、クラスメイトは、私ががんの治療で休んでいることを知りませんでした。
月に数日しか登校しない私とクラスイトとの間には、次第に溝ができ、会話が続かなくなりました。
結局、登校しても、誰とも会話ができず、ひとり教室の隅で席に座って時間を過ごしました。
抗がん剤の副作用による外見へのコンプレックスも相まって、
自分の境遇と、まばゆいばかりのクラスメイトを比較して、
悲しみと劣等感に押しつぶされる毎日でした。
「自分の居場所はどこにもない」そう感じました。
私にとって、学校は単に勉強する場所だけでなく、自分の居場所そのものでした。
学校に居場所がなくなったと感じてしまったことは、自分の存在価値が無いように思え、
がんになったショックよりも大きかったと記憶しています。
「ひとりじゃない」そう思える感覚、治療中も学校やクラスメイトと繫がっていることは、
治療を前向きに取り組むエネルギー、未来を考えられるチカラになります。
「がんになった」ただそのことだけで、すべての喪失につながらないようにと、
切に願います。
2017年執筆