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ある意味、体力勝負
普段とは違うエネルギーを使っているからか、治療中は毎日すごくお腹が空きました。わたしは内臓系のがんではなかったため、食事も喉を通るし、歩きづらい、だるいなどは一切なく、生活に何ら支障がありませんでした。
でもすごくお腹が空きました。おそらく自分では気が付かなくても、保険の人と会ったり、病院の中を検査で駆けまわったり、毎日放射線治療に通うことでいつもの倍以上歩いたりと、エネルギーを使っていたのだと思います。
また、治療を受けることでも体力を奪われて、身体が「食べなきゃサイン」を出していたのかもしれません。でも不思議と、お腹が空いても食べたくはありませんでした。「そんな風に食べている場合じゃない。わたしはがんであるからいろいろ考えなければならないし。」と思い、食べませんでした。
そして、一カ月で 5 キロ痩せました。
がんになって痩せるのは、つらい治療により、食べ物がとれないだけではありません。「ストレスで食べられない」、また私のように「お腹が空くけど食べたくない」という普通ではない自分であるためだと思います。
「がんは、体力勝負。」これはみなさん言っています。治療では、遠くの病院に通う方もいるでしょう。食べられる人は、食べる。お金が許せば、タクシーに乗ったり楽をする。早く寝る。
がんになって、やることは通常の何倍にも増えます。それを通常の「忙しさ」に重ねないで、「病人」ということを自己認識して、体の SOS を察知してあげることが大切かな、と思います。
2022年執筆