げんきちゃん
がんを受け入れるまで
がんの告知を受けたのは16歳、高校2年の夏休みでした。
突然、「がん」といわれても、まるで他人ごとのように思えて、心が追い付かないまま治療が進んでいきました。抗がん剤の副作用で、体調は悪化し、病室の天井を眺めるだけの生活となりました。ただこの苦しい時間が早く過ぎ去ってくれればいいと願うばかりで、
将来の夢を考えることなんて一度もない10代を過ごしました。
治療後、がんになったことは、極力隠して生活しました。
当時は、「がん患者=死」のイメージが強くあって、周りからそう思われることが、耐えられなかったからです。しかし、今になって振り返ると、自分自身も、がんに関してマイナスなイメージを持っていて、「私は違う」と、思いたかったのだと思います。
がんになった事実を受け入れることは、勇気が必要で、怖いことでした。
複雑な感情を友達や家族に理解してもらうことは、簡単ではありませんでしたが
がん経験を持つ人達との出会いが、大きな転機となりました。
困難を抱えながらも、それを笑いに変える強さ、前をむく姿を知り、うまくいかないことがあると、がんになったことを言い訳にしてきた自分を恥ずかしく思いました。
と同時に、人には知られたくないと思っていた、弱い自分は、実は、頑張り屋でもあったと、気づきました。
悲しい。ツライ。悔しい。でも諦めたくない。生きたい。
溢れ出るあらゆる想いを、素直に受け止められた時、今まで背負い込んでいた重たい荷物を、ようやく降ろせました。
がんを(自分)を受け入れることに、長い年月がかかりましたが、
その年月の葛藤・経験は、ひとつも無駄なことなどなく、私の誇れる宝物だと思っています。
2017年執筆