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がんになって得たもの
2009年31 歳になったばかりで乳がんと診断されました。その後、2013年には局所再発の診断を受けました。家族歴や治療中の再発だったため、「遺伝性のがん」を疑って遺伝カウンセリングを受けた後、遺伝子検査を受けました。検査の結果「遺伝性のがん」である「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」と診断されました。診断を受け、「そう言う体質みたいなものだから仕方ない」と受け入れたと同時に「一生がんとは切っても切れない関係にあるのだ」とも感じました。
そこで、「遺伝性のがん」であるという事実を悲観しているだけでは前に進めないと思い、がんと関わる「何か」をしたいと考えるようになりました。とは言うものの、仕事をしながら、治療を続けながらできる「何か」は何だろうと模索しつつ色々なことに挑戦してみることにしました。
国内外の患者も参加できるがん関連の学会に参加したり、講座を受講したりし、そこでたくさんのがん患者支援活動をされている方と知り合うことができました。そのような方々と交流することで、自分が最初にがんになった時の孤独感や、あったらいいなと思っていたものを思い出し、2015年に地元で若年のがん患者さんらが集まれる会を始めることにしました。最初は人が集まるか不安でしたが、始めてみると今まで出会うことのできなかった多くの若年の患者さんたちに出会うことができるようになりました。決してがんになったことを「良かった」とは思えませんが、がんになったからこその出会いや経験はたくさんあります。
2017年執筆