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The way to do is to be

"The way to do is to be"

                                   (室月 淳 2014年8月10日)

現代カウンセリングの創始者であるカール•ロジャースのことばです。古本で買った全集第2巻の口絵に彼の色紙の写真があって、彼の座右の銘であったことがわかります。

もともとは老子の英訳からだそうですが、オリジナルでは何といっているのか? そもそもこれはどう意味なのか? 日本の研究書では「カウンセリングは技術ではなく人間性である」とか「いかになすべきかを追求していくと最終的にはいかにあるべきかに至る」などと解説されています。

でもそれはほんとうなのでしょうか? あまりにも道徳主義的な臭いがします。「相手のまえで自分がどういられるかが問われる」などとする捉えかたもあります。しかし原典が老子とすると、これは「無為自然」をわかりやすく言いかえているのではないでしょうか。

すなわち「あなたのなすべき道はそのままでいることである」、わかりやすくいうと、"Let it be"ですね(笑). ロジャースは、このことばをカウンセラーの心得として言ったのではなく、クライアントへのだいじなアドバイスとしたのだとわたしは思います。

あなたは問題をかかえてここに相談にきました。その解決法をアドバイスしてもらいたいと願っています。しかし実はあなたは解決への道を知っています。それはあなた自身のうちにすでにあるのです。カウンセラーはあなたを全面的に受け入れ、あなたの話を傾聴します。

カウンセリングとはアドバイスすることでも説得することでもありません。なすべき道はそのままでいること。答えはすでに全部こころのなかにあるのです。自分自身でいるためにはあえて何もせず、何もしないがゆえにものごとは自然におこり成就していきます。

"The way to do is to be" にはロジャースが提唱したクライアント・センタード・カウンセリングのエッセンスがあります。よくもわるくもロジャース理論の要諦です。すなわち,「こたえは全部あなたの心の中にある.だから迷う必要はない」というわけです.だから「ゆっくりとできることをやっていこう」.

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カウンタ 5502 (2014年8月10日より)