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伝えたいことば

不遇のひとや失意のひとに伝えたいことば

                                (室月 淳 2016年3月24日)

 

4月は残酷な月,人事異動のシーズンですね.新しい職場にうつったり,責任ある立場となって,希望と決意に胸を膨らませているひとがいます.しかし反対に左遷させられたり,望まない立場に追いやられて,自らの不遇をかこっているひともいるだろうと思います.正直わたしにも覚えがあります.それも痛いほど.だからこそそんなひとのための内容です.

自らの意にそわぬ立場におとされ,望まないところに飛ばされると,すべてがこの世の終わりという気分になってしまいますが,実はそこにはたいした深刻な原因や理由があったわけではありません.直接の上司と人間的にそりが合わなかったり,求めるポストやチャンスにたまたま時宜的に巡りあわなかったり,といったほとんどが単なる運不運によるものです.すなわちこれは偶然に支配されたわれわれの人生そのものといえます.

自らのキャリアの決定的なときに運に恵まれなかった.しかし自分の人生はその後も続くのです.そしてまったくおなじようにして今度は運がまわってくるときがきます.不運な段階で人生がおわらせない限り,まちがいなくそういうときはきます.長い人生でめぐってくる運不運の総量はだれにも違いはありません.これを大数の法則といいます.

たいせつなのは,そのだいじなときに自分の準備ができているか,幸運の女神の前髪を見のがすことはないかです.そのためにやらなければならないことは,不遇な時期にこそ,自分をいかに見つめ直し,自分自身のことをどこまで知るかではないかと思います.つらく悶々とした気持をだきながら,それでも自分がほんとうにやりたいことを自問しつづけ,その上で自分ができることとできないことを冷静に把握する.

現在の自分のほんとうの姿と,自分がこうありたいと願っている理想の自分とのあいだには,必ず乖離があるのが当然ですが,順風満帆のときはそれがわかりません.むしろ不遇や逆境のなかでこそそれが見えてきます.さまざまな執着からはなれてはじめて,自分のやりたいことややるべきことがわかってくるのです.不遇や逆境をのりこえ,それをチャンスにかえるためには,不満や愚痴を言っているだけではだめで,自分自身をみつめなおすことが必要です.

人間万事塞翁が馬,チャンスは必ずめぐってきます.そのときに行動をおこすのですが,仮に最大の逆境におかれ,自分のすべてが奪われ,すべての機会が邪魔や妨害をされたとします.そんなときでも自分のやりたいことをはじめるためには,自分のもつスキルや資格はすべての基盤となりますし,自分の仲間や友人がいろいろと助けてくれるでしょう.そしてすべては必ずうまくいくはずです.

スキル•資格と仲間•友人というこのふたつだけは,この世のどんな権力者でも奪うことの決してできない自分の真の財産です.だから常日頃からスキルだけはきちんと磨いておくこと,そして仲間や友人はたいせつにしておくことです.順境逆境はみなに順にめぐってくるのだから,そんなときはたがいに助け合いたい.不遇のときこそ仲間や友人のほんとうのありがたさが理解されます.

不遇のとき,逆境にあるとき,挫折を経験したとき,そんなときにはじめてわかってくることはまちがいなくあります.ほんとうの自分の姿,そして自分がもつかけがえのない宝,これらはいつもは見えること,気がつくことがなかなかありません.だからどんなときでも人生には生きる意味と価値があるのです.

なんだかヘタな人生論みたいになったな.でも10数年前のわたしに伝えたいことばとして書きました.支えてくれた友人たちに感謝こめて.

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カウンタ 1402(2016年3月24日より)