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胎児病名標準化の試み

胎児病名標準化の試み−胎児医療の確立にむけて

                                (室月 淳 2016年8月29日)

電子カルテの導入にともない,診療目的に加え臨床研究や医療連携のために医療情報の標準化が求められるようになりましたが,そのなかでも病名は患者状態を端的に把握するうえで最も重要な情報を提供する重要な概念です.成人や小児を対象とした一般医療ではICD-10をベースとした標準病名マスターという形で整備されてきましたが,周知のとおり,そこには胎児については考慮されていません.胎児医療という視点から,診療目的にくわえ臨床研究や教育にも使える胎児病名の標準化を目指すことが必要です.

そこでわれわれは,胎児診断胎児治療といった出生前胎児臨床の場で使用される病名を,1疾患概念に1標準用語として整理して表にしました.これを仮に「胎児標準病名マスター」と名づけました.シソーラスのようなツリー構造メニューとはせず,臓器別,病態別のおおきなグループ分けにとどめる方針としています.病名は原則的に日本医学会の医学用語辞典にしたがいましたが,「ニューイングランド周産期マニュアル」などの既存の教科書を参考にして,専門性の見地から胎児標準病名を定めました.臨床の場でふたつの病名が使われている現状がある場合には,標準病名表記にくわえ互換語の存在も認めました.

最終的に19グループ300程度の胎児標準病名を定めました.産科部門システムであるFINDEX社MapleNote?を当院に導入するにあたって,この胎児標準病名マスターをもとにした胎児カルテ上の病名検索と登録機能を組み込むことになっています.

胎児病名を標準化する作業では,病名によって表現されている疾患概念とはいったい何か,といった根本からの検討が必要となってきます.胎児標準病名マスターの作成は,「胎児医療」というものを改めて問い直し,ひとつの医療分野として確立させるための契機となりました. 今後の課題としては,先天異常にみられる症状によって定義される「症候群」といった一連の病名についての取り扱いにさらなる検討が必要なことであす.

また胎児病名を標準化し,症状や検査異常との関連の記述を深めることにより,将来的には診断支援システムなどにも発展させることが期待されます.今後とも新しい疾患の発見や疾患概念の提唱が続くこの分野では,新たな病名の追加など継続したアップデート作業が必要です.今後は胎児医療の志を同じくする施設に広く呼びかけて,全国的な規模での胎児病名の標準化を実現していきたいと思っています.

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カウンタ 1023(2016年8月29日より)