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周産期医療の特徴

周産期医療の特徴

                                    (2017年6月23日 室月淳)

周産期とは「妊娠22週から生後7日未満」までの期間を指す.「周産期医療」とはこの期間中の妊産褥婦および胎児・新生児を対象とし,母児の生命に関わる緊急事態への対応も含む,産科・小児科の一貫した総合的な医療を意味する.

周産期は母体と児のそれぞれに特徴がある.まず母体側の特徴として,第一に,妊娠中の生理的な変化により正常妊婦でもさまざまな症状が出現することがあげられる.つい先ほどまで全く正常に経過していたのに,突然急変して重篤な状態におちいることもしばしばである.第二に,周産期におこる不安やストレスなどにより情動の変化がおこりやすいく,はたからみるとささいなことにでも,不安や焦り,悩み等が生じて,敏感になったり,感情が高揚したりすることがある.周産期は母子関係確立にもっとも重要な時期ともいえる. 胎児新生児側の特徴としては,胎内環境から胎外環境への適応の時期であり,出生直後に適応不全(症候群)をおこすことがある.また新生児は小さく脆弱であり,未熟性に起因する問題がおこりやすい.その反対に非常に急速に発育・発達する時期でもあることが特徴的である.

それではその周産期の医療にはどのような特徴があるか.通常の医療と異なるのは,妊産婦(母親)と胎児新生児というふたつの医療対象をふくむことである.さらに,一般的な妊娠分娩管理,新生児管理という正常管理と,母児ともに正常からの逸脱を示したときの集中治療(MFICUとNICU)という異なった医療内容を含む.医療には救急医療の要素がきわめて大きいことも特徴的である.母子ともに突発的異常が生じる可能性は常にあり,母児双方に対応できる産科・小児科の一貫した医療体制が必要とされる.周産期センターでは産科小児科のみならず,他科との連携が必要となってくることが多い.また地域医療の要素がきわめて重要な医療である.医療技術の進歩とより安全な医療の希求,ハイリスク妊産婦と早産未熟児の増加などにより,周産期医療の仕事量も急増し慢性的なマンパワー不足がみられている.

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カウンタ 22466(2017年6月22日より)