困難な道
困難な道
(室月 淳 2014年4月1日)
NIPTを希望してきたひとが,ダウン症候群の児はもちたくない,中絶したいというのに対し,それは倫理的にゆるされないと決めつけると,対話はそこでとまってしまいます.もちたくないのですね,不安を感じているのですねと応答すれば,話はとぎれずに続きます.一方的に支持されたり批判されたりしない状況で,クライアントが自分たちの思いを自由に語っていけば,自分たちの感情や不安の内容が次第にあきらかになっていきます.
自分たちがいったいなにを不安と感じているのか,なにをもとめているのか.そういったことがわかってくると,ふたりは自然に自分たちで解決の方向を見つけ出していきます.そして問題をのりこえたとき得られるものは,問題の解決のみならず,自分たちでのりこえたという自信です.それが親となるためのおおきな力になります.
NIPTを選択したことによってときにおこりえる選択的中絶と,胎児の尊厳をたもちながら生きていくことの妥協点を見出すことは困難ですが,それでもなおひとつの道をもとめつづけなければならないと思います.
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無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)(いわゆる新型出生前診断) にもどる
カウンタ 1360(2014年4月1日より)