観音の里の祈りとくらし展
観音の里の祈りとくらし展(東京藝大美術館)
(室月 淳 2014年4月12日)
観音の里の祈りとくらし展−びわ湖・長浜のホトケたち(東京芸術大学大学美術館)に行ってきました.上野公園の桜はほぼ散っていて,国立科学博物館のところにひとつだけ満開にさいている木がありました.
藝大美術館はほんとうに何年ぶりだろう.新しい建物となっていて,最初ははいるのにとまどいました.公園のひとの多いなかを足早に通り,なんとか美術館までたどりついて展示室にはいると,そこはすでに仏像がならぶ静謐な空間となっていて,そこになじむためには深呼吸を何回かしなければなりませんでした.気持のきりかえです.
「観音の里の祈りとくらし展」は,藝大美術館ということで宣伝も地味でしたが,ほんとうにいい企画展だったと思います.白洲正子も絶賛した湖北の観音像の名品が集められていて,このような仏像が一堂に集まるのはなかなかありません.長浜にはこれまで2度ほど行ったことがあり,ポスターの重文の千手観音像は拝観したことがありますが,それ以外はほとんど初見のものばかりでした.
東京国立博物館でもかつてはこのような精選され珠玉のような企画展があったのですが,独法化されて以来,よくも悪くも企画展はどんどん大型化,網羅化してきて,大規模な広告と入場料の値上げにより大味な特別展が多くなりました.それにひとが多すぎてゆっくりみることもできません.
「栄西と建仁寺展」もまわってきました.海北友松の水墨画といった発見はありましたが,あまりにも詰め込みすぎており,自分自身のテーマをよほどしっかりともってみないと,一般人には散漫な印象しか残らないのではないかと思いました.
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カウンタ 1347 (2014年4月13日より)