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一攫千金濡れ手に粟の件

一攫千金濡れ手に粟の件

                             (2013年4月19日 室月 淳)

この写真は東京国立博物館(東博)のホームページから勝手にダウンロードしてきたものです<(_ _)> 伝浄瑠璃寺所蔵の十二神将立像のうち五体です(のこり七体は静嘉堂文庫にあります).東博本館の仏像(彫刻)室に常設でよく展示されている有名な作品ですので,ご覧になったことのあるかたもおおいでしょう.わたしも東博所蔵のなかではお気に入りの仏像のひとつ(ひとくみ)です.

この十二神将立像が,な,なんと運慶作らしいという話題です.像内に「大仏師運慶」という銘文があるらしいのです.比較的ちいさな作品群ですが,像の内面からにじみだす力感はほんとうに半端なものではなかったので,さもありなんという感じがしました.

運慶の真作の仏像というのはあまりおおくなく,全国でも30体くらいのものでしょうか.平成19年に横浜市金沢にある称名寺で,大威徳明王坐像の修理の過程で銘文がみつかり,運慶作と確認されたということがありました.この仏像は金沢文庫で展示されています. ただしてのひらにのるほどの小さな像で,わざわざとおくからきたのでやや拍子抜けでした.

また数年前にもクリスティーズのオークションで真如苑が14億円で落札した大日如来坐像が話題となっていましたね.いまのところその像も東博でみることができます.こちらはていねいな補修がなされて,なかなかみごたえのある仏像でした.

じつはこの大日如来像は,あるサラリーマンがなじみの古美術商から35万円で購入したものだそうです.後世の稚拙な修理のためにだいぶ原形がそこなわれていたようで,その時点ではだれもその像の価値に気づいていなかったわけです.購入者が運慶研究の専門家のところに像をもちこんで鑑定を依頼し,そこではじめて運慶の真作という可能性が指摘されることになりました.

35万円が14億円にばけたわけであり,まさに濡れ手に粟というわけです.14億円というのは,いくら運慶作の可能性がある仏像としても法外な金額です.オークションだから相場をはるかにこえる値がついたのでしょうし,いまをときめく新興宗教の教団だからこそ落札可能だったともいえます.とりあえず海外流出の最悪の事態は回避され,まがりなりにも東博でみることができるのは幸運ともいえます.

仏像を鑑定した専門家は,運慶作の可能性のある仏像が海外に流出する可能性を憂いて,所有者につよく働きかけるのと同時に,国に買い取りの可能性を打診したようです.しかし国の文化財購入の予算というのは,上記落札価格よりもひとけたどころかふたけたも安いものだったようです.所有者の愛国心にいくらはたらきかけたとしても,これではどうしようもないというものですね.

さてさて,わたしの仏像はどんなものでしょう.ここで思いきって解体してみようかなあ.もしかすると像内になんかの銘文が,もし「鞍作鳥」なんて書いてあったら,,もう即国宝指定で,うん十億円の値が.............あるいは胎内からなんかお宝がでてくるといいけどね.一攫千金濡れ手に粟をめざしています.

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カウンタ 1957 (2013年4月19日より)