あかちゃんのお見送り
あかちゃんのお見送り
周産期センターのなかでは無数の誕生と死があります.あかちゃんを亡くしたご家族がいらっしゃいます.短いいのちをおえたあかちゃんとそのご家族の悲しみを目のまえにして,わたしたち医療者にできることははたしてなにか.その悲しみ自体をいやすことはとてもできないでしょう.実際にやっていることはほんのささいなケアにしかすぎません.いつもなにができるのか自問しています.
あかちゃんが病院から退院するときにお見送りする部屋.「いのりのへや」とよばれています.スタッフみなでおわかれのごあいさつをいたします.
昨日今日の2日間で3人の赤ちゃんのお見送りがありました.子宮内胎児死亡あり,染色体異常や致死的重症奇形の人工死産ありと状況はさまざまです.
県内外の胎児異常が紹介されてくるこども病院産科の宿命とはいえ,中のスタッフは間違いなく疲弊しています.昨日の午後はお棺のなかにいれる折り紙を黙々と折っているスタッフがいました.
乳幼児用の特製のお棺です.しかし妊娠中期に死産した赤ちゃんにとっては,それでも大きすぎます.お父さんお母さんがたくさんのお花を用意してくれました.
流産,新生児死亡,胎児死亡,自然死産,人工死産,.......われわれにとって,こどもの死は日常的な光景です.日常的な光景ですがいつまでもそれに慣れることはありません.児の死亡退院をお見送りするとき,いつも後悔するのです.死がさけられないことだったにしても,われわれにできることはなかったか.
写真は赤ちゃんのお見送りのあと.
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カウンタ 29518 (2013年2月18日より)