2.栄養管理
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以下に示すのは利用者と家族に対する自分自身の日頃の看護活動を振り返るチェック項目です。各項目について普段行っている看護活動内容に照らし合わせて次の4つのうち1つを選んで回答してください。(必ずできている:4, おおむねできている:3, あまりできていない:2,全くできていない:1)
栄養管理質指標
基本的姿勢
1 |
利用者および家族の栄養に関する捉え方を尊重し,かつ配慮しつつ,適切なアセスメントおよびケアを行う。 |
2 |
アセスメントおよびケア方法の決定に際しては,栄養管理サービスとともに以下の事項を考えあわせ,その時点で最善と思われる決定をする。
- 他疾患の状況
- 利用者の心身の状況
- 家族の心理・社会・経済状態
- 利用者および家族の主観的判断
- 現在に至るまでの対処方法
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栄養管理体制づくり
3 |
栄養スクリーニングから実施・評価に至るまでの栄養管理サービスの提供にあたり,多職種からなるチームで取り組めるように,栄養管理体制づくりについて検討する。 |
栄養スクリーニング
4 |
以下の時点で,利用者の栄養状態について確認し,看護記録に記載する。
- 訪問看護開始時,それ以降は定期的(年に1回以上)
- 利用者の栄養状態に変化が認められたとき
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5 |
PEMのスクリーニングを行うため,以下の2項目のいずれかに該当するか査定する。
- 意図しない体重減少が,過去1か月間で5%以上,あるいは過去6か月間で10%以上である
- 血清アルブミン(Alb)値が,3.5g/dl以下である (脱水状態でないことを前提として評価)
中等度リスク者:2.5~3.5g/dl,高リスク者:2.5g/dl以下
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6 |
PEMのリスクを把握するため,以下のリスク要因に関する項目についても査定する。
- 浮腫や褥創の有無(身体兆候)
- 以前に比べ筋肉や脂肪が減退(身体状況) ※過去6か月間の本人や家族の知覚的評価で可
- 下痢の継続や,下剤常用の有無(身体状況)
- 認知機能の低下(認知症の診断の有無)
- 栄養補給法(経口か非経口か,栄養補助食品の使用の有無など)
- 年齢が75歳以上
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<経口摂取の場合には,さらに下記8項目についても査定>
- 歯や口腔の問題の有無(身体状況)
- 摂食・嚥下機能の問題の有無(身体状況)
- 食事姿勢や動作に関する不自由さ(身体活動の自立)
- 食事の支度や買い物に関する不自由さ(生活活動の自立)
- 食事回数が1日2食以下(食習慣)
- 主食(ご飯など)や肉・魚などを食べる量の減少(食習慣)
- 食べる気力や楽しみの減退(メンタルヘルス)
- 経済的問題による食事への影響(経済面)
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栄養アセスメント
7 |
スクリーニングの結果,低栄養状態やリスクがあると判定された利用者に, 原因・誘因を明確にするために上記5,6に加え,以下の項目a~lについてアセスメントを行い,ケアの方向性を見出す。
- 覚醒状態,摂食・嚥下機能,食欲に影響を及ぼす疾患:意識障害,抑うつ,認知症,脳神経系疾患, 消化器系疾患,糖尿病,感覚器系疾患,骨折など整形外科的疾患など
- 生化学的検査データ
- 食事状況(食事時刻と食事に要した時間,食事内容・量などの食事記録をつける)
→とくに利用者のエネルギー必要量とタンパク必要量を算出し,栄養補給方法を査定
- 一日の水分摂取量,便秘の有無
- 内服している薬物とその副作用の有無(とくに多剤服用時には要注意)
- ストレスなど心理的問題の有無
- 感覚・知覚機能(視力・味覚・嗅覚など)
- ADLについて(既存の評価尺度の活用や記述記録)
- IADLについて(既存の評価尺度の活用や記述記録)
- 食環境について(食卓やイスの高さ,食器,色彩・照明・音など)
- 本人や家族の栄養管理に関する意識や考え方と希望するケアの方向性
- その他
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8 |
栄養状態の改善・予防に向けて,家族の協力の必要性と介護力,および社会資源活用の必要性に関するアセスメントを行う。 |
9 |
低栄養状態にある場合には,今後のケア方針について,主治医と相談する。 |
10 |
非経口的な栄養補給(経腸栄養法や経静脈栄養法)を行っている利用者について,実施された理由や期間,栄養法や栄養剤の種類・量・回数,経口摂取再開の目途などを確認し,記録する。 |
栄養ケア 1)予防的介入
11 |
利用者や家族介護者の意向をふまえ,低栄養状態の予防の重要性や予防方法について話し合う。状況に応じて,地域で開催している高齢者のための低栄養予防教室などの情報も提供する。 |
12 |
低栄養のリスク要因がある利用者に対して,以下のような観点から介入方法を検討し,本人や家族介護者の意向を確認した上で実施し,低栄養状態になることを予防する。
- 必要なエネルギー量とタンパク量を充足・維持するための栄養補給法を検討し,実施。その際,食事回数・量や食品バランス,好物など,利用者や家族介護者の意向をケアに導入
- 浮腫や褥創がある場合には,その軽減・治癒に向けたケア
- 食事への影響が考えられる疾患の治療とケア
- 排便コントロール
- 歯や口腔の問題がある場合には,必要に応じて歯科受診へとつなげる。
- 摂食・嚥下機能の問題がある場合には,必要に応じて作業療法や言語療法と協働して介入
- 認知機能の低下による摂食困難や,食事姿勢や動作に関する不自由さがある場合には,それを補う環境づくり
- 食事の支度や買い物に関する不自由さがある場合には,家族介護力や社会資源(配食サー ビスや訪問介護など)の活用などについても検討し,実施
- 食べる気力や楽しみの減退への対応。背後に隠された疾患にも留意
- 食事に経済的問題が影響している場合には,ソーシャルワーカーなどとも協働しながら対応
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13 |
12の実施にあたっては,家族介護者や他職種と協働し,ケア方法を相談・調整しながら実施する。 |
栄養ケア 2)低栄養状態の改善にむけた介入
14 |
低栄養状態にある利用者や家族介護者に対しては,現在の栄養状態について説明し,低栄養状態の改善の必要性と方法について話し合う。その際,不安をもたらさないよう細心の注意を払う。 |
15 |
低栄養状態にある利用者や家族介護者に対しては,上記11の観点からも介入方法を検討し,本人や家族介護者の意向を確認した上で実施し,低栄養状態の改善に向けて介入する。 |
16 |
15の実施にあたっては,家族介護者や他職種と協働し,ケア方法を相談・調整しながら実施する。 |
17 |
血清アルブミン値2.5g/dl以下や体重減少率が6か月間で10%以上など生理的変化が生じる危険性が高いPEMの場合には,主治医はじめ専門医と相談しながら進める。 |
18 |
経口摂取が困難になった場合には,原因を究明し,状況に応じて主治医はじめ専門医と相談し,代替栄養について検討する。 |
栄養ケア 3)経腸栄養法または経静脈栄養法を実施中の利用者に対する介入
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経腸栄養法を実施している利用者に対して,以下の点について把握・管理する。
- 栄養法や栄養剤の種類,注入量・回数・時間・温度(処方以外の注入物にも注意)
- チューブ閉塞や逆流などの観察
- 実施から実施後に至る利用者の姿勢
- 便の性状(下痢など)や消化器系症状(嘔気・嘔吐など)の確認
- トラブル時の対処(滴下不良時の対応など)
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20 |
経静脈栄養法を実施している利用者に対して,以下の点について把握・管理する。
- 処方内容の確認(使用薬剤の種類・量・時間など)
- 感染予防
- トラブル時の対処(滴下不良時の対応など)
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21 |
家族介護者が実施する場合に,以下の項目について確認・指導する。
- 家族介護者の手技の確認と適正(処方通りに実施されているかなど)
- 在宅経腸栄養法や経静脈栄養法中の副作用やトラブル発生時の具体的な対処の仕方,など
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22 |
在宅経腸栄養法や経静脈栄養法に関する物品供給体制を確立しておく。
- 器材器具,使用栄養剤ないし薬剤,衛生材料などの入手方法
- ポンプなどの医療機器のメンテナンス
- 医療廃棄物(使用済み器具器材)の回収システムの確立
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モニタリング・評価
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実施したケアについて期限を決めて,目標がどの程度達成されたか評価する。 |
24 |
栄養ケアプランの内容や実施上の問題がなかったかどうか評価し,ケアプランの修正・追加が必要な場合には実行する。 |
25 |
モニタリングや評価にあたっては,本人や家族の意向・意見についても確認し,評価に取り入れる。 |