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1.清潔ケア・口腔ケア

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以下に示すのは利用者と家族に対する自分自身の日頃の看護活動を振り返るチェック項目です。各項目について普段行っている看護活動内容に照らし合わせて次の4つのうち1つを選んで回答してください。(必ずできている:4, おおむねできている:3, あまりできていない:2,全くできていない:1)

清潔ケア質指標

アセスメント

1 利用者や家族の「こんなふうに生きたい」という意向を在宅療養の基本とし、看護職はその意向に沿い在宅療養のパートナーとしてケアを提供している。
  • 利用者の身体的な清潔の状態について(入浴や清拭の頻度,爪の状態,頭皮の汚れ,耳垢や眼脂の有無等)
  • 利用者の清潔ケアの能力について
  • 利用者の清潔習慣について(入浴や歯磨きの頻度、方法、きれい好きか等)
  • 介護者の介護力について(入浴介助や清拭などを安全に行えるか、入浴介助や清拭が負担になっていないか、経済的に他の介護サービスが利用可能か等)
  • 浴室や洗面所などの住環境について
  • 他の清潔ケアに関係する介護サービスの利用状況について
  

ケア

2 ケアの実施に際しては利用者の基礎疾患、病状、それまでの生活習慣、利用者および家族の希望、介護者の介護力などに応じてその時点で最善を思われる方法と頻度を決定をする。
3 訪問看護師が入浴・シャワー浴、清拭を行う際には、主治医の指示内容、禁忌事項、利用者の状態、バイタルサインを確認して、実施の可否、方法を決定し、必要な場合は、実施中や実施後にもバイタルサインを測定する。
4 入浴・シャワー浴、清拭などの実施中は、快を高める工夫(マッサージやことばがけ、利用者の好みを聞き、それに応じるなど)を行う。
5 入浴・シャワー浴を行えない場合は、1日1回以上陰部の清潔ケア(陰部洗浄や陰部清拭)を行う、あるいは家族や介護職が実施できるようはたらきかける。
6 入浴・シャワー浴を行えない場合は、利用者の状況に応じて部分浴(足浴、手浴など)の可否を判断し、積極的に部分浴を行う、あるいは行うよう勧める。
7 ターミナル期を含む全ての利用者に対して本人の希望や状態に応じて積極的に入浴の可否を判断し、実施する。
8 入浴やシャワー浴の後は水分を補給する、あるいは摂取するよう勧める。
9 皮膚の保湿の必要性が有ると判断した場合は、クリームの塗布などの保湿を行う、あるいは行うよう勧める。
10 洗髪ができない利用者に対しては、ドライシャンプーや頭皮清拭などの代替法を行う、あるいは行うよう勧める。
11 利用者の状況、好みを考慮して、定期的に爪切りを行う、あるいは行うよう勧める。
12 利用者の状況、今までの習慣を考慮して、定期的に耳垢を清掃する、あるいは清掃するよう勧める。
13 利用者の状況、今までの習慣を考慮して結髪、髭剃りを行う、あるいは行うよう勧める。
14 入浴・シャワー浴、清拭、爪切りなどを実施中に皮膚の異常を発見した場合は、専門医の受診の必要性を判断し、必要ならば受診につなげる。

フォローアップ

15 訪問ごとに清潔の状態、清潔ケアの能力、清潔ケアの方法・頻度の適否についてアセスメントを行う。
16 行った清潔ケアについて以下の点について期限を決めて評価する。
  • 身体的な清潔の状態(項目1①参照)が改善されたか
  • 清潔な状態が維持されているか
  • 利用者が快適な状態にあるか
  • 清潔ケアの実施により利用者に良い変化があったか(よく眠れる、積極的に人と会うようになった、痛みが緩和された等)

口腔ケア質指標

アセスメント

1 訪問開始時には全ての利用者に対して以下の項目についてアセスメントを行う。
  • 口腔の状態(齲歯、歯垢、歯石、歯肉炎、舌苔、口腔内乾燥などの有無、栄養摂取の方法、義歯使用の有無や義歯の状態などを含む)について
  • 口腔ケアの実施に影響する要因(口腔の状態に影響を及ぼす基礎疾患、服用中の薬剤、開口障害の有無や嚥下障害、麻痺など)の有無について(①および②については必要に応じて、歯科医師、歯科衛生士など専門職にアセスメントを依頼する。)
  • 口腔ケアの必要性について
  • 実施している口腔ケアの方法(口腔ケア用品を含む)の適切性について
  • 利用者の口腔ケア能力について
  • 利用者の口腔ケアに対する考え方について
  • 介護者の口腔ケア能力について
  • 口腔ケアに関係する他の職種の利用状況について
  

ケア

2 自分で口腔ケアができない利用者や口腔ケアの実施が困難な利用者に対しては、その状態で最も適切と考えられる口腔ケアの方法を工夫し、1日1回以上実施する、あるいは実施できるよう介護者に方法を提示する。
3 経口摂取をしていない利用者に対しては、経口摂取をしている利用者以上に積極的に口腔ケアを行う、あるいは実施できるよう介護者に方法を提示する。
4 誤嚥の可能性があるかを判断し、可能性がある場合は口腔ケアを行う際には以下のことに配慮し、介護者に方法を提示する。
  • 仰臥位の場合は、上体を挙上し、頸部を前屈した状態で行う
  • 顔を横に向け、側臥位にする場合には、健側を下にする
  • 座位の場合には、頸部を前屈した姿勢で行う
  
5 利用者に口腔内乾燥がある場合は、うがいや唾液分泌を促すようなケアを行う、あるいは介護者に方法を提示する。
6 利用者、介護者に対して舌苔の発生の可能性、それによる影響、舌の清拭などの対処方法を説明し、提示する。
7 ブラッシングの可否を判断し、可能な場合は、ブラッシングを行う、あるいは介護者に方法を提示する。
8 歯ブラシ以外の口腔ケア用品の使用についても検討したり、家庭内にあるものを利用するなどの工夫を行う。
9 スポンジブラシを使用している場合は、頻回にスポンジブラシに付着した汚れを落としながら口腔ケアを行なっている。理想的には、コップの中でスポンジブラシを洗い、こまめに汚れた水を交換する。
10 利用者が義歯を使用している場合は、義歯の手入れを行う、あるいは利用者、介護者に方法を提示する。
義歯の手入れの方法:できれば義歯用のブラシを使用し、粘膜に当たる面もブラッシングを行なう。 義歯用の洗浄剤に浸漬する。
11 利用者が義歯を使用している場合は、経口摂取、非経口摂取にかかわらず、日中は義歯を装着する。
12 利用者の開口が困難な場合も、口腔ケアが実施できるよう以下のようなアプローチを行なう。
  • 最初は唇や内頬に少し触れる程度から開始し、まず利用者に口に触られることになれてもらう。オトガイ筋など口腔周囲菌のマッサージが効果的。一度に開口までもっていくのではなく、利用者の反応を見ながら少しずつ進めていく。
  • 利用者の反応をみて、口角から指やあらかじめ湿らせた綿棒やスプーンなどを挿入する。
  • 指や綿棒を挿入することができたら、頬の内側を伝ってKポイント(臼後三角最後部内側にある開口反射を起こすポイント)まで指・綿棒をすべらせる。
  • 開口状態を保持するために物理的に閉口を阻止する器具(バイトブロックや指ガードなど)の使用は破損したときに誤嚥のリスクがあるため避ける。
13 うがいができない場合は、口腔ケア実施後に清潔なガーゼなどで口腔内を清拭し、ケアによって剥離した口腔粘膜や口腔内細菌などを回収する。
14 歯茎や頬、唾液腺のマッサージが口腔の清潔保持に効果的と考えられる場合は、マッサージを行う、あるいは介護者に方法を提示する。
15 歯科医師や歯科衛生士への連絡の必要性を判断し、必要な場合は連絡をとる、あるいはとるようはたらきかける。

フォローアップ

16 月に1回以上項目1の①~⑦についてアセスメントを行う。
17 実施した口腔ケアの効果について、利用者ごとに期限を決めて齲歯や歯肉炎、誤嚥性肺炎の発生、発熱の回数、食事の摂取量の変化などを指標として評価する。

関連書籍

高齢者訪問看護の質指標

―ベストプラクティスを目指して―

日本看護協会出版社

ISBN-10: 4818013404

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