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10.家族支援

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以下に示すのは利用者と家族に対する自分自身の日頃の看護活動を振り返るチェック項目です。各項目について普段行っている看護活動内容に照らし合わせて次の4つのうち1つを選んで回答してください。(必ずできている:4, おおむねできている:3, あまりできていない:2,全くできていない:1)

家族支援質指標

アセスメント

1 訪問看護を開始する際には、利用者・家族員及び介護支援専門員等からの情報収集により、以下の項目を徐々にアセスメントし記録する。
  • 家族の希望するケアの方向性・各種サービス利用希望意向
  • 家族介護力(心身・社会・経済;問題解決能力・ソーシャルサポート・介護技術習得可能性を含む)
  • 家族員(特に主介護者)の介護負担(心身・経済・社会)と介護意欲
  • 現在の介護状況における危険
  • 家族内の人間関係
  
2 家族の状況が変化した場合は再アセスメントし記録する。
3 高齢者虐待の可能性を常に念頭におき、その危険性をアセスメントし記録する。

予防的介入

4 介護負担の悪化や高齢者虐待の可能性を念頭におき、予防的に介入する。
  • 介護負担の今後の変化を予測し記録する
  • 予測にもとづき余裕を持って介護力・家族関係調整等の支援を開始するなど
  

家族との関係構築

5 必要があれば特にコミュニケーションを図るなどして、家族員との関係構築を行う。
6 家族員がなんでも聞きやすく、感情を表出しやすいように、以下の事を行う。
  • 疑問の有無を尋ねる
  • 感情を表出しやすい場を作り、言葉をかけるなど
  

家族の主体性の尊重

7 多様な家族のありようを受け入れ、家族の主体性を尊重する。このため、家族の希望するケアの方向性・サービス利用意向を安全な範囲で可能な限り尊重し、希望に沿って支援する。
8 看護目標及び計画の策定に家族が参加するように働きかける。

介護力の維持・管理

9 家族員の心身の健康を守るするために、以下の事を行う。
  • 家族員の健康状態を尋ねる
  • 必要に応じて受診を勧める、または健康を守る対処方法を相談する
  • 介護負担感や不安が強い場合は、情緒的な支援を行うため特に時間を取って思いを傾聴する、など
  
10 訪問看護開始後早期に、以下の外部資源について家族に情報提供し、利用可能性について家族と相談する。
  • 活用できる手当・制度
  • 介護保険内外の各種保健福祉サービス
  • 家族会やその他のボランティア組織による支援
  • 親族・近隣からの支援など
  
11
    家族員の介護負担が強い場合または強くなると予測される場合、介護負担軽減に努める。
  • それまでの介護方法や目標について話し合い、現実的・効率的な介護方法を検討する
  • タイミングを見計らい、家族員が愚痴をこぼした時などニーズが顕在化した時に外部資源について説明・相談する
  • 外部資源利用について家族が納得の行く意思決定をできるよう家族間のコミュニケーションを促すなどして支援する
  • 適切な外部資源を特定し、利用できるように働きかける(介護支援専門員への連絡、外部資源への紹介、親族・近隣への働きかけなど)など
  
12 家族員の介護負担が改善しない場合、以下の事を行う。
  • 介護負担の発生機序や外部資源利用上の障害をアセスメントし記録する
  • 上記アセスメントに添って介入の焦点を定め実施するなど
  
13 家族支援の地域ネットワーク作りのために、以下の事を行う。
  • 介護支援専門員・ヘルパー・医師・民生委員・保健師・その他の介護保険施設などとの相談・カンファレンスの実施・参加など介護技術の指導
  

介護技術の指導

14 介護方法や医療処置の手技を教育するために、以下の事を行う。
  • タイミングを見計らい、家族員が困難を訴えるなどニーズが顕在化した時に指導する
  • 家族員の知識及び学習能力・意欲に適した方法で指導する
  • 必要に応じ、パンフレット・ビデオなど学習を助けるものを用いる
  • 家族員と共に実施し、その後家族員が一人でできるか確認する
  • 家族員の実施した内容には肯定的なフィードバックを行い、励ます
  • 家族員の実施状況を随時確認し、必要なフォローアップをするなど
  
15 以下の事柄について、必要に応じて援助する。
  • 利用者に関する現状と今後の見込みの説明
  • 医療福祉関係者への相談内容の整理・うまく相談できるような段取りのアドバイス など
  
16 緊急時の対応方法に関し、以下のように説明する。
  • とるべき対応方法を繰り返し説明する
  • とるべき対応方法を書き出し、わかりやすいところに貼るなどして、緊急時にすぐ見られるようにしておく
  • 医療機関など必要な連絡先を書き出して電話のそばなどに貼る
  • 対応方法は定期的に確認し、状況に合わせておく
  

意思決定支援

17 家族の意思決定支援を支えるために以下のことを行う。
  • 意思決定できる心身の余裕を持てるよう、家族の介護負担の軽減等に努める
  • 正確な情報を整理して提供する・情報の整理を手伝う
  • 家族の自由な意思による決定ができるように言葉をかけ
  • 家族が決定を後悔しないよう、意思決定後も状況を確認しフォローするなど
  

人間関係の維持・改善

18 利用者と家族員に、利用者の在宅療養に関し何らかの緊張関係がある場合は、以下の事を行う。
  • 情緒的な支援を行うためにそれぞれの思いを傾聴する
  • お互いの気持ちがより正確に理解できるように、コミュニケーションを促す
  • 必要に応じ介護支援専門員などとも相談するよう促すなど
  
19 利用者・家族員とその他の親族に、利用者の在宅療養に関し何らかの緊張関係がある場合には、以下の事を行う。
  • 主介護者以外の家族員とも話し合うために特に時間を設ける
  • 家族および親族間のコミュニケーションを促す
  • 必要に応じ介護支援専門員などとも相談するよう促す など
  
20 家族システム理論など一定の枠組みにもとづく家族に対する働きかけかたを習得し、家族間に利用者の在宅療養に関し何らかの緊張状態があるなど、必要な場合に活用する。

家族の生活の維持・管理

21 家族の行事やそれまでの生活スタイル(冠婚葬祭・旅行・子どもの運動会など)を可能な限り維持するように勧める。
22 個々の家族員の気分転換や自己実現の追求が可能となるように支援する。

虐待への対応

23 虐待が懸念される・明らかな場合には、以下のことを行う。
  • 地域包括支援センター・介護支援専門員に相談し、支援の進め方を検討する
  • 訪問介護等外部資源の活用をすすめ、第三者の目を増やして予防に努めるなど
  
24 虐待への対応のための地域のネットワークに積極的に参加する。

フォローアップ

25 何らかの介入を実施したら、問題や介入の性質により期限を決めて(たとえば3ヵ月後など)、その効果・影響を評価する。

関連書籍

高齢者訪問看護の質指標

―ベストプラクティスを目指して―

日本看護協会出版社

ISBN-10: 4818013404

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