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9.感染予防

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以下に示すのは利用者と家族に対する自分自身の日頃の看護活動を振り返るチェック項目です。各項目について普段行っている看護活動内容に照らし合わせて次の4つのうち1つを選んで回答してください。(必ずできている:4, おおむねできている:3, あまりできていない:2,全くできていない:1)

感染予防質指標

アセスメント

1 訪問看護開始時には全て利用者に対して、利用者の同意の上で、感染および感染症に関わる情報を把握し、利用者にかかわる他の職種と共有する。
[把握すべき感染および感染症MRSAなどの薬剤耐性菌による感染・感染症]
  • MRSAなどの薬剤耐性菌による感染・感染症
  • 緑膿菌感染・感染症
  • 結核
  • HBV,HCV,HIV,梅毒などの血液体液媒介感染症
  • 疥癬(通常の疥癬と角化型疥癬(ノルウェー疥癬)を区別)
  
2 訪問開始時には全ての利用者に対して、以下の項目について把握し、感染症のリスクについてアセスメントする。
  • 医療施設への入院歴
  • IVHや膀胱留置カテーテル、ドレーンなどのルートの有無
  • 人工呼吸器の使用
  • 嚥下障害の有無や食事の摂取方法(経口摂取かどうか)
  • 栄養状態
  • 褥瘡の有無
  • 人工透析や腹膜透析を行っているか
  • 糖尿病など感染症をおこしやすい基礎疾患の有無など
  
3 訪問看護開始時および訪問看護開始後には、全ての利用者に対して、過去の服薬状況も含む抗菌薬の服薬状況について把握し、不適切な抗菌薬の使用がないか、必要な抗菌薬が適切に服用されているかアセスメントを行なう。

ケア 全ての利用者に共通するもの

4 訪問看護開始時に、手袋やマスクの着用、手洗い(手指消毒を含む)など、訪問時に行なう感染防止対策について説明し、同意を得ている。
5 全ての利用者に対して訪問の前後で手洗い(消毒薬による擦り込み式手洗いを含む)、うがいを行う。
6 全ての利用者に対して以下のものに接触する場合は、手袋を着用し、使用後手洗いを行う。また、これらのものに触れた場合は、手洗い(消毒薬による擦り込み式手洗いを含む)を行う。
  • 血液
  • 体液、分泌物、排泄物(汗を除く)
  • 褥瘡など傷のある皮膚
  • 粘膜
  
7 項目4にあげたものに接触する可能性がある場合は、エプロンや予防衣、マスクなどで、予防する、あるいはこれに準じた対策(接触後ユニフォームを着替えるなど)を行う。
8 項目4にあげたものに接触した器具、物品は、周囲のものを汚染しないように適切に運搬し、処理を行う。また利用者、家族に対しても処理の仕方を提示する。
9 疥癬など利用者宅の床に感染源が存在するような場合は、あらかじめ靴下を着用し、訪問終了後に履き替えるなど、感染源を持ち運ばないようにする。
10 利用者に接触により伝播する感染・感染症(MRSAを含むブドウ球菌,緑膿菌,大腸菌,疥癬など)がある場合、以下の接触感染予防策を行う。また利用者、家族、他の介護サービスに対しても予防の方法を提示する。
  • 利用者や利用者に由来する感染源と考えられるものに接触する場合は、手袋エプロンなどの予防衣を着用する。
  • 利用者や利用者に由来する感染源と考えられるものに接触した後は、消毒薬を用いて手洗いを行う。
  • エプロンや器具などを利用者専用とする、あるいは利用者に接触した場合は消毒を行う。
  
11 利用者に飛沫により伝播する感染症(呼吸器感染症、インフルエンザなど)がある場合、以下の飛沫感染予防策を行う。また利用者、家族、他の介護サービスに対しても予防の方法を提示する。
  • 可能な場合は、利用者にマスクの着用を依頼する
  • 利用者と接近する場合にはマスクを着用する
  • 利用者の唾液や鼻汁、痰などのついたものは感染源として処理する
  
12 利用者に空気により伝播する感染症(麻疹,水痘,結核)がある場合、その感染症の感染経路(接触感染,飛沫感染、空気感染)に応じた予防策を行う。また利用者、家族、他の介護サービスに対しても予防の方法を提示する。
  • 可能な場合は、利用者にマスクの着用を依頼する
  • 部屋の換気を十分に行う
  
13 無菌操作が必要な処置では、滅菌した物品を使用している。
  • 膀胱留置カテーテルの交換
  • 導尿
  • IVHの刺入部の交換など
  
14 利用者のケアに必要な滅菌物が確保されている。
15 利用者、家族が物品などの消毒や保管を行う場合は、その方法を提示する。
16 利用者や介護者を含む家族、利用者に関わる他の介護サービス従事者に以下のような感染症の兆候がみられた場合は主治医、専門医に連絡して対応を依頼する。
  • 疥癬
  • 結核
  • インフルエンザ
  • 麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺炎
  
17 感染兆候を早期に発見するために、以下の項目の有無について観察し、感染兆候がみられたときは主治医、専門医に連絡して、対応を依頼する。
  • 発熱の有無(どの程度の発熱がみられたら感染症を疑うかは参考資料参照)
  • IVHなど血管内にカテーテルを留置している利用者の発熱や刺入部の発赤圧痛、排膿などカテーテル関連血流感染の兆候
  • 咳、喀痰や吸引物の増加性状の変化、発熱など呼吸器感染症の兆候
  • 膀胱留置カテーテル挿入者における発熱、尿の性状の変化、尿量減少など尿路感染症の兆候
  • 下痢や嘔吐など消化器感染症の兆候
  • 皮疹の有無など皮膚感染症の兆候
  • 褥瘡などの創部の発赤、熱感、腫脹、浸出液の増加などの感染兆候
  • 高齢者は感染兆候に乏しいため、上記以外にも、錯乱や失禁、食事摂取量や運動量の減少など、ふだんと異なる様子がみられる場合にも感染をうたがう(参考資料参照)
  
18 訪問看護師は、自分を感染症から守り、同時に感染を媒介しないために、以下のことを行う。
  • B型肝炎,結核,麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺炎に対して免疫をもっているか把握する
  • B型肝炎,麻疹,風疹,水痘,流行性耳下腺に対して免疫の無い場合は予防接種を行う
  • インフルエンザワクチンの接種を行い、利用者、介護者にも接種を勧める
  • 定期的に健康診断を行い、結核の罹患の有無について把握する
  
19 利用者の感染・感染症の状況を考慮して、訪問のスケジュールを組む。
  • 褥瘡からMRSAが検出されている利用者や疥癬を持つ利用者への訪問を最後にするなど
  

特に対応を要する感染症 [結核]

20 利用者が結核であり、排菌していることが明らかになった場合は、家族や利用しているサービスなどの接触者を把握し、結核予防法に準じた対応をとる。

特に対応を要する感染症 [疥癬]

21 利用者が疥癬であることが明らかになった場合は、家族や利用しているサービスなどの接触者を把握し、濃厚に接触したものについては予防的治療などの対応をとるよう主治医に依頼する。

フォローアップ

22 定期的に利用者の感染・感染症に関わる情報、感染症に罹患しやすい要因、抗菌薬の使用状況を把握する。(項目についてはアセスメントの1,2.3を参照)

関連書籍

高齢者訪問看護の質指標

―ベストプラクティスを目指して―

日本看護協会出版社

ISBN-10: 4818013404

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