人迎脈口診
- 医論異論
- by shenquzhai
- 2006/05/28
人迎脈口診は『霊枢』五色篇にも有る。ここには『太素』の文章によってあげる。
脈口は浮いてくれば回復に向かっており、沈んでくれば悪化している。その病は中つまり蔵府に在る。
人迎は沈んでくれば回復に向かっており、浮いてくれば悪化している。その病は外つまり肌肉に在る。
病が蔵に在るときに、脈が沈んでいる。この脈は脈口であって、その沈んでいたのが、浮いてくるのは吉である。大きければ、已え易い。逆は良くない。
病が府に在るときに、脈が浮いている。この脈は人迎であって、その浮いていたのが、沈んでくるのは吉である。小さければ、已え易い。
人迎が盛堅となるのは肌肉に問題があるのであり、寒に傷なわれたのである。
脈口が盛堅となるのは蔵府に問題があるのであり、飲食に傷なわれたのである。
中外を蔵と府とするのと、蔵府と肌肉とするのが混在している。
「脈之浮沈及人迎與寸口氣小大等者,其病難已」は、おそらくは夾雑物であろう。これを除けば、ここには人迎と脈口の比較の要素は全くない。
雷公曰:病之益甚與其方衰何如?人迎にせよ脈口にせよ、滑緊あるいは盛堅なるものは病む。
黄帝曰:外内皆在焉。切其脈口滑①小緊以沈者,其病益甚,在中;人迎氣①大緊以浮者,其病益甚,在外。其脈口滑而浮者,病日損②;人迎沈而滑者,病日損。其脈口滑以沈者,其病日進,在内;其人迎脈滑盛以浮者,其病日進,在外。脈之浮沈及人迎與寸口③氣小大等者,其病難已。病之在藏,沈而大者,易已,小為逆;病之在府,浮而大者,其病易已。人迎盛緊者,傷於寒;脈口盛緊者,傷於食飲。
①滑と氣は、釣り合いからいえば、どちらかが誤り。
②損、『霊枢』は進に作る。
③前後は脈口なのに、ここだけは寸口。あるいは出所が異なるのではないか。
脈口は浮いてくれば回復に向かっており、沈んでくれば悪化している。その病は中つまり蔵府に在る。
人迎は沈んでくれば回復に向かっており、浮いてくれば悪化している。その病は外つまり肌肉に在る。
病が蔵に在るときに、脈が沈んでいる。この脈は脈口であって、その沈んでいたのが、浮いてくるのは吉である。大きければ、已え易い。逆は良くない。
病が府に在るときに、脈が浮いている。この脈は人迎であって、その浮いていたのが、沈んでくるのは吉である。小さければ、已え易い。
人迎が盛堅となるのは肌肉に問題があるのであり、寒に傷なわれたのである。
脈口が盛堅となるのは蔵府に問題があるのであり、飲食に傷なわれたのである。
中外を蔵と府とするのと、蔵府と肌肉とするのが混在している。
「脈之浮沈及人迎與寸口氣小大等者,其病難已」は、おそらくは夾雑物であろう。これを除けば、ここには人迎と脈口の比較の要素は全くない。
でも、これは「自分と戦って勝った者を夫とする」という古典的なパターンです。中国の俗文学には、この上を行くやつが有る。『楊門女将』、日本ではあまり馴染みがないけれど、中国では『三国演義』に匹敵するか、ひょっとするとそれ以上の人気が有る。私も京劇の舞台では何度も観た。宋朝のために戦いに明け暮れる楊業とその一族の物語です。その楊業の孫の宗保の話がすごい。穆桂英という女山賊を退治にいって逆に生け捕りにされて、でも彼の美貌を惚れた穆桂英に求婚される。勿論、穆桂英だって美人なんですよ、小説なんだから。この夫婦の間に生まれた文広というのも、女山賊の杜月英に奪われた宝物を取り返しに行くんだけど、彼女は文広の美貌を前もって知っていて、生け捕りにして結婚するつもりでいる。ところがうっかりと義姉妹のこれも女山賊の竇錦姑というのに話したので、横取りされる。当然、杜月英はむくれる、喧嘩になる。で、どうするか。仕方がないので両方とも女房になる。さらにもう一人女山賊の鮑飛雲というのにも生け捕りにされて、やっぱり求婚される。勿論、三人とも美少女なんですよ、小説なんだから。楊文広だってそんなに弱いわけはないんです、何たって楊家の跡継ぎなんだから。でも、つぎつぎと美少女に負けて、生け捕りにされて、逆に惚れられて求婚される話にした。つぎつぎに生け捕りにして女房にする、妾にするでもよかったろうに。古典的なパターンのパロディのつもりなのか、行き着くところまで行ってしまう大衆文学のパワーなのか。
楊上善注:相五色於目謂壹其形也相目之形有五色別以知一形也調尺寸之脉六謂聽其動靜也聽動靜者謂神思脉意也