病膏肓に入った件
買っちまったぜ,仏像を
(2013年3月18日)
家のちかくに古道具屋? 骨董屋? アンティークショップ? なんて表現していいのか,古今東西のややあやしげなアンティークをあつかっているちいさな店があって,散歩のついてにときどきひやかしていました.あるときそこの女主人から,「いったいどんなものをさがしているの,リクエストがあればなんでもみつけてくるけど」と聞かれ,思わず「仏像!」とこたえてしまったのです.
1週間くらいあとに連絡があって,店にいったらかざってあったのが写真の仏像です.光背から台座をふくめても60センチくらいのちいさなものです.顔の彫りはやや浅いですが,それでもけっこういいおかお,おすがたをしていると思いませんか? 由来はまったく不明ですが,おそらく檀家制度が成立と念持仏の一般化により,仏像がかずおおくつくられるようになった江戸期までくだるものではないかとにらんでいます.
買っちまったぜ,仏像を.
値段は.........安かったです.安いものしか買えないと女主人にいっておいたので. 最近,有名仏像の精巧なレプリカがインテリアとして人気がありますが,その一般的な価格よりも安いのです.もし同じ値段だとしても,どんなにもとがすばらしい仏像でもその精巧なレプリカを買うくらいならば,時代がどんなにくだってもオリジナルな仏像のほうをわたしは選びます.
台座にはほこりがうずたかくつもっていました.購入するときにわたしがそのほこりを拭きとろうとしたら,女主人があわててそれをとめました.「百年以上かかってつもったこのほこりが価値があるのだから」.なるほど骨董の世界は奥がふかい.
家族には当然ですが不評であり,最初に家にもちこんだときには議論がはじまりました.
「おとうさんが死んだらこれどうする?」
「燃えるごみ?」
「いや粗大ごみじゃないか? でもバチがあたりそう」
「棺おけにいれて一緒に焼いちゃったら?」
「なくなったこどもの人形じゃないんだから」
「お寺にひきとってもらえばいいじゃない」
どうやら衆議は一決したようです.
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カウンタ 2224 (2013年3月18日より)