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新出生前診断容認79%

新型出生前検査,8割が容認!?

                                (2013年10月13日 室月 淳)

NIPTに関する世論調査の結果が報道されていました.とくに重要な内容をふくみ,資料的価値も高いと考えられるので,河北新報2013年10月13日の記事をそのまま掲載します.日本世論調査会とは,共同通信社と全国地方新聞加盟社で作る世論調査の全国組織だそうです.

社会の8割の人間がNIPTを容認している,というのは予想外の数字で驚きです.この趨勢はおそらく欧米とも遜色のないものでしょう.あれだけさまざまな議論をおこなったうえではじまった検査にもかかわらず,検査開始半年ですでに社会に受け入れられたということでしょうか.それともあれだけ議論をおこなったからこそといったらいいのでしょうか.逆に否定派は世代にかかわらず約15%という数字でした.

ただひとつだけ腑におちないのは,検査をうけてもし胎児が染色体の病気だったらどうするか,という問題です.支持・容認の最大の理由として,「異常がわかれば出産後の準備に役立つから」というものでした.この調査結果では,かならずしも人工妊娠中絶を前提とはしないというのが多数派のようですが,実際はどうなのか? ここには建前と本音の乖離がほの見えています.

わたし自身がNIPTをおこなう立場でありながら,これだけの多数の容認がなされているというのは,正直そら恐ろしい気がします.この1年のあいだで日本人の出生前診断,選択的中絶にたいする意識がおおきく変化したのか,いや,むしろサイレントマジョリティは以前からこのような意識をもっていたのかもしれません.

いま求められるのは,このことについての問題意識を機会をとらえてたえず喚起していくこと,議論をタブーとせずに続けていくことだと思います.静かに容認していく,いつのまにか自然なうけいれているではなく,いつもわれわれ自身の問題として,影の部分にも目をそむけることなく,真正面からとりくんでいく決意,姿勢を忘れない.みながいう遺伝リテラシーの向上はそこにある..........逆にいえば,しかし,そんなことしかできないような気がするのです.

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カウンタ 6152(2013年10月21日より)