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 多くの患者様が今できる治療を受けておられない!

筋強直性ジストロフィー医療における重要な問題の一つは、患者様の専門医療機関への受診率が低い(受診中断率が高い)ことです。本症ではデュシェンヌ型筋ジストロフィーなどに比べて、生命予後の改善が乏しい現実があります。これは、本症に多彩な合併症が併発することにもよりますが、できる治療をきちんと受けておられない(病院を受診されない・受診を中断される)方が多いことも大きな理由です。

患者様が、受診を中断されるには色々な理由があると思います。代表的と思われるものを挙げてみました。

  1. 筋強直性ジストロフィーの根本的治療法がない
  2. 症状や機能障害に対する自覚が乏しい(困った感が乏しい)
  3. 治療を受けても改善したという自覚が乏しい(2の裏返し、元々苦しい感じが乏しいため治療しても楽になった感じが無く、治療の効果が感じにくい)
  4. 受診や検査にお金と手間がかかる(指定難病に認定されたことで、一定の基準を満たした患者様は医療費助成を受けられるようになりました)

このように考えると、病院を受診する意義を感じにくいことにも、無理からぬ点があると思います。しかし、それは明らかな間違いです。魔法の薬を求める人には現在の医療は不満足なレベルかもしれませんが、できることは沢山有ります。きちんと医療機関を受診し、今できる治療をきちんと受けましょう。

 専門科(神経内科・小児神経科)を核とした集学的医療が重要です!

私達は筋強直性ジストロフィーこそ、定期的な専門医療機関の受診が大切と考えています。その理由は、本症の患者様では自覚症状が無くても、治療を必要とする機能障害・合併症を認める方が多いこと、運動機能障害が軽くても合併症が見られる方が多いこと、それらの多くは定期的な機能評価・検査により早期対応が可能なためです。本症で見られる合併症については別項(「一般の方へ」「筋強直性ジストロフィーとは」「筋強直性ジストロフィーは全身の病気」)でも述べていますが、生命予後への影響が大きいものには以下のようなものがあります。

  1. 低酸素血症、睡眠時無呼吸: (呼吸機能とは無関係に生じる)
  2. 心伝導障害・不整脈
  3. 嚥下障害、誤嚥性肺炎
  4. 代謝障害(糖尿病、高脂血症等)
  5. 腫瘍

これらは、無自覚に進行していくため定期的な検査を受けなければ、重篤な段階まで見過ごされ、突然死の原因ともなります。また、こうした問題を抱えた患者様は、ふだん普通に暮らしておられても、軽い風邪で重篤な呼吸不全を呈す、全身麻酔手術でトラブルを起こすこと等があります。分かっていれば予防可能な問題ですが、気付いていなければ深刻な事態を招きかねません。早期発見と早期対応により、最善の健康状態を維持することが大切です。

本症には様々な合併症がありますが、本症の全体像について最も理解しているのは専門科(神経内科・小児神経科)です。合併症のために複数の診療科を受診されている患者様も多いですが、神経内科・小児神経科を核として連携を取ることで、集学的医療が容易になります。

 リハビリテーションも大切です

定期受診に合わせてリハビリテーションも受けましょう。本症でのリハビリテーションの目的は、いわゆる筋力増強や運動機能改善では無く、機能障害に合わせた訓練(運動、呼吸、嚥下訓練等)や装具・自助具の処方,環境調整等により安全を図りつつ生活レベルを維持することや、誤嚥性肺炎・栄養障害など二次性の障害を予防することにあります。学校や職場との調整も、できるだけ無理をかけずに生活レベルを維持するために、リハビリテーションが関わることのできる重要な仕事です。

 ローマは一日にしてならず(継続的な医療が大切です)

筋強直性ジストロフィーに対して、現在の医療ができることは決して少なくありませんが、その一つ一つは地道なものであり、単独でめざましい効果をもたらせるものはありません。しかし、地道なことをきちんと積み重ねることでより良い状態を維持することができます。これは、生活習慣病など慢性疾患の治療全体に通じることです。時として、治療や処置がうっとうしいと感じることがあるかもしれませんが、きちんと治療を継続して受けましょう。本症のような稀少疾患では疾患に精通した医師も貴重な存在です。できれば専門医療機関を受診し、疾患全体を把握してもらいながら、様々な診療科や職種に関わってもらうことが望まれます。さまざまな保健福祉制度が利用可能な場合もあります。指定難病になったことで、基準を満たす方は医療費助成も受けられるようになりました。ソーシャルワーカーや保健師、行政などへの相談も考えてみましょう。

 仲間とのつながりも大きな力

同じ病気の仲間と連絡を取り合うことは、他人に理解されにくい悩みを理解できて心の支えになる他、知識や生活の工夫など情報交換が図れることなど大きなメリットがあります。本ホームページに掲載している「筋強直性ジストロフィー 日常に役立つヒント集」はイギリスの患者団体が作成したものです。さらに、社会に対する病気の理解や治療開発を進めていくためにも、患者様と医療者・研究者が協力していくことは重要です。本邦における筋強直性ジストロフィーの支援団体としては、日本筋ジストロフィー協会(HP: www.jmda.or.jp)に加え、筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)(連絡先メール:myotonica.info@gmail.com)も設立準備中です。各地域でもサポートグループが作られていることがあります。関心のある方はご連絡してみてはどうでしょうか。

 明日を変えるために

筋強直性ジストロフィーでも、現在新しい治療法が開発されつつあります。新薬が保健薬として承認されるためには、その有効性と安全性を患者様で確認する「治験」という作業が必要です(詳細は「一般の方へ」「治療開発の現状」を参照下さい)。筋強直性ジストロフィーのような稀少疾患での治験には多くの困難があり、円滑な成功には以下のような条件が必要です。

    稀少疾患治験成功の条件
  1. 製薬会社による新薬開発
  2. (国際協調的な)患者登録
  3. 治験を遂行できる医療機関・スタッフ
  4. 標準的医療の実践
  5. 自然歴データ(疾患、機能障害、合併症等)
  6. 鋭敏な臨床評価法・検査法

本症の患者登録は本邦でも2014年10月から開始されました(詳細は「一般の方へ」「患者登録について」を参照下さい)。患者登録は治験推進だけで無く、自然歴データの蓄積や標準的医療の構築を目指した臨床研究にも必須のものです。本症の医療は変革期を迎えつつありますが、医療者と患者様の双方が協力しなければ扉は開きません。患者登録や臨床研究・治験に対する皆様のご理解とご協力をお願いします。皆様と共に努力し新しい医療を「一日も早く」届けられることを期待しています。