「筋強直性ジストロフィー 日常に役立つヒント集」日本語版を作ってみました
イギリスの筋強直性ジストロフィー患者会(Myotonic dystrophy support group)が作られた、「筋強直性ジストロフィー 日常に役立つヒント集」(“100 Helpful Hints and Tips to help people who have myotonic dystrophy and their families”)を見て、こんな物が日本にもあったら良いと思いました。生活習慣の違いや国による制度の違いのため、日本では通用しないものもありますが、役立つヒントも多いと思い日本語に訳してみました。和訳は国立病院機構刀根山病院神経内科の皆様にご協力をいただきました。手作業のため。まちがいや不適切な表現があるかもしれませんがご容赦下さい。番号は原本通りですが、必要な情報に早くたどり着けるよう、項目を追加してみました。一部、項目と内容が不一致の部分がありますが、この点もご容赦下さい。また、分かりやすくするため、できるだけ図を添付しましたが、これも原本からではなくウェブから引用した物です。使用許諾確認の取れていない物もありますが主旨をご理解の上ご了解いただければ幸いです。
皆様が日頃工夫されていることで、これは便利と思うものがありましたら事務局(office@dmctg.jp)へお送り下さい。良い物が集まれば当ホームページにて紹介させていただきたいと考えています。
1. ホワイトボードに「やることリスト」を書いて、家族全員に家事や片付けるべき用事といつまでに済ませる必要があるかを知ってもらいましょう。
2. 一週間・一月の予定が一目で分かる週単位・月単位のカレンダーを使って、病院の受診日など予定を書き込みましょう。そのカレンダーは家族全員が集まる部屋(居間など)の壁に掛けて、家族全員が情報を共有しましょう。病院の予約をもらったら、直ぐに予定日に書き込みましょう。もし、通院のために交通手段(介護タクシーなど)やヘルパーの手配が必要な場合は、そのカレンダーに予約を取る日も書き込みましょう。カレンダーや手帳に受診日を書いたら、予約の変更が必要な時に備えて電話番号も書いておくと良いでしょう。
3. 休日に外出する準備をする時に、手紙を出す時のために宛先を書いたシールを作っておくと良いでしょう。アドレス帳を持ち歩くより軽くて済みますし、時間の節約にもなります。特に、子供さんだけで旅行する場合に、自宅に手紙を書かせるのに良いですよ。国内旅行であれば、切手も準備しておくとさらに良いですね。
4. 骨折してギブス固定が必要な場合には、できるだけ軽いもの(石膏)を使ってもらえないか頼んでみましょう。
5. 電気毛布の膝掛けがあると、長時間座っている時や寒い日に外から帰った時に足や手を暖かく保つのに役立ちます。
6. 小さな懐炉は数時間(色々なタイプがあります)発熱します。使い捨ての物、再利用可能なものがあります。スポーツ観戦や買い物、旅行など外出の時に持参すると良いでしょう。
7. “ライ麦袋”はライ麦を入れた織物袋で、電子レンジで短時間(通常2.5分程度)に温めることができます。注意書きを丁寧に読みましょう。湯たんぽと同様に使えて、お湯よりも安全で素早く使えます。温めた”ライ麦袋”は寒い日の車椅子や車での外出時に手を温めるのに役立つでしょう。帰宅の際にも誰かに温め直してもらうことを忘れないようにしましょう。(日本では使い捨てカイロが役立ちます)
8. クッショントレイ(またはラップトレイ;トレイの下にクッションが付いた物:例右図)は膝の上に置ける快適な小さなトレイです。トレイの下のポリスチレンビーズが膝の上にトレイを快適に固定してくれます。トレイは織物で覆われていることもあり、物を書いたり、カードゲームをしたりするのに便利です。お菓子や飲み物も縁を持って綺麗に拭き取れます。あちこちのお店を物色してみて下さい。デザインや値段も様々なものがあります。(日本でも通販等で購入可能です)
9. 大きなポケットの付いたエプロンやジャケットはコードレス電話やその他の小物をポケットに入れて持ち運べるので、部屋の移動の時に手がふさがれることがなく、安全に移動できます。
10. ショルダーバッグは階段の上り下りや部屋の移動の際に色んなものを入れて運べ、手がふさがれないので便利です。
11. 昼間居眠りしても,真っ暗な部屋で目が覚めることのないように、光感知式かタイマー式の照明を使いましょう。真っ暗な部屋で目が覚めて、十分に目が覚めるまでに照明のスイッチを付けるために移動する際に転倒がよく起きるのです。
12. 背もたれの高い椅子は頭や首を支えてくれるのに役立ちます。
13. 肘掛け椅子に深く腰掛けるようにすると、背中や首を支えてくれて、頭が垂れ下がるのを防いでくれます。
14. a) 肘掛け椅子に座る・肘掛け椅子から起き上がるのを補助するのにプラスチック製の高さ調整具(4個セットで売っています)を使いましょう。これにより安楽椅子へ座る・安楽椅子から起き上がることに役立ちます。
b) 車椅子を使っている人は屋内ではもっと快適な椅子に移ることを好むことがあります。他人の家を訪問するときは,あなたの車椅子のクッションを使って、安楽椅子の高さを高くするようにしてください。
15. 他人の家を訪問した場合、ソファーや床ではなく、起立が容易な食卓椅子や背の高い肘掛け椅子に座らせてもらうよう頼みましょう。
16. 椅子の肘は立ち上がる時につかむに十分な長さがあるか確認しましょう。背もたれから椅子の前端まである長い肘掛けがベストです.短い、または斜めになっている肘掛けはおすすめではありません。
17. 読書の時に、壁掛け照明やスポットライトを使って、背中側から本に十分な明るさの光が当たるようにしましょう。ライトは椅子や他の室内調度品から十分離しておきましょう。火事にならないようにね。
18. 寝室には小さな明かりや床照明があると、トイレに降りる時に安全です。具合の悪い時には明かりが有った方が安心ですし、介護の時にも助かります。
19. タッチセンサー式のベッドサイドやテーブル照明はスイッチを探して迷うことを防いでくれます。
20. 朝起きるのが苦手なら、家族の方に決まった時間に電話をかけてもらって電話に出るのを確かめてもらいましょう。特に若者が学校に遅刻することや早い時間の約束を守るのに有効です。
21. 振動式の目覚まし時計を枕の下に置いておくととても役立ちます。この方法は、耳が聞こえにくい人に限らず、みんなに有効です。
22. 可能であれば、ベッドの傍に電話を置いておきましょう。そして家族や仲間に番号を知っておいてもらいましょう。その電話を目覚まし時計代わりに使う場合は、電話の後にまた居眠りしてしまわないように、両足を床に下ろしてから電話に出るようにしましょう。
23. 普段電話する相手には、あなたが電話に出るのに長い時間がかかることがあることを伝えておきましょう。
24. ベッドの購入を計画する時には、あらゆる選択枝を考慮しましょう。高さ調節の幅が広いとベッドに入る時やベッドから立ち上がる時に助けになるだけで無く、ベッド上でケアしてもらう時にも役立ちます。頭を持ち上げられるベッドでも、膝の部分も挙上できるかどうか確認しましょう。この機能があると頭を上げた時に体がずり下がるのを防いでくれます。スライドシーツはベッド上で体の向きを変えるのに役立ちます。購入前にベッドの長さや幅、高さ(最小・最大)、附属機能について実際に試して評価させてもらえるようお願いしましょう。
25. 光沢のあるサテン生地の寝衣やシートはベッドで体の向きを変えるのを楽にしてくれます。
26. 夜中によだれが多い場合は、枕をビニールでカバーしてから枕カバーをすると良いでしょう。マイクロファイバーの布が便利で頻繁に交換するのに適しています。
27. シープスキンの布を敷布として、また、車椅子のクッションや背もたれの上に使うと心地よく暖かくしてくれます。
28. ボタンや複雑な留め具の付いた服はできるだけ避け、かぶり服を選びましょう。
29. シャツやブラウスのボタンをマジックテープに変えましょう。
30. ゴムのウエストバンドが付いたジョギングパンツはズボンより履いたり脱いだりするのが楽です。軽いものはパジャマのズボンとしても使えます。
31. 女性は、平底かローヒールの靴を履く方がハイヒールよりも安全ですし,ファッショナブルです。
32. a) ファスナーはつまんで引っ張るのが難しい時があります。キーホルダー(革製のタグはあなたの好みで有っても無くても)の輪をファスナーの金属製タグの穴に着けましょう。こうすることでファスナーをキーホルダーの輪や革製のタグを使って簡単に引っ張ることができるようになります。
b) 服のファスナーのタグに細い紐か糸を通しておき、使ったら見えないように隠しておきましょう。きれいなナイロンやシリコン製のファスナー引き手(例:右図)も入手可能です。
33. 眼鏡を作る時には、転倒して割っても顔を傷つけないように、ガラスレンズよりプラスチックレンズにしましょう。
34. 眼鏡には、首にかける紐かチェーンを着けている方がいいでしょう。そうすればあなたがうたた寝しているときにも眼鏡は転がり落ちません。
35. a) 近所の図書館には大きな字で印刷された本や、オーディオ、テープやCD, DVDが有り、貸し出しもしてくれるでしょう。
b) 録音図書の定期購読を考えてみましょう。色々なジャンルの本がありますよ。
36. 抱えるのが大変な大きな本を読む時、本を膝の上に置いて読むと頭を前に傾けないといけません。高いテーブルの上に本を置いて良い姿勢で読むように心がけましょう。ダイニングチェアを使うともっと快適に読めますよ。本立てやブックチェーンを使うと本を開いた状態で保てます。
37. 電話機はダイアルボタンが大きい物が便利です。あなたが使いやすくなる機補助器具や改造品が無いか尋ねてみましょう。携帯電話もボタンが大きい物が便利ですよ。
38. 障害のために電話を使うのが難しい時は、電話の補助制度で利用できるものが無いか調べてみましょう。
39. a) 字を書く時はペンを持っていない方の手を紙の上に置いて、紙が動かないようにしましょう。これが難しい場合は粘着ゴムやテープを使うと良いでしょう。
b) 粘着テープを取り出しにくいストレスを避けるため、テープの引き出しやすいテープカッター(例:右図)を探しましょう。
40. ペンは握りの太い物が良いです。滑り止めの付いた握りもあります。他には(リウマチの人が使う)握り手を大きくしたプラスチック製のペンやシャープペンシルもあります。こうした物を使うことでペンが使いやすく、読みやすい均一な字が書きやすくなります。
41. ボールペンを使う時は垂直に立てると、インクの流れがよくなり、ペン先にむらのない力がかかるようになります。
42. じゅうたん、ゆるいカーペットやマットは自宅での転倒の原因になります。できるだけこれらは取り払いましょう。お風呂のマットも同様です。使ったら片付けましょう!
43. 家の中や外に高い段差がある場合には、作業療法士と「半分の踏み段」を作るべきか相談しましょう。場所によって木製でもコンクリート製でもかまいませんが、段の幅全体をカバーするものが理想的です。段の両側に手すりがあると役立ちます。
44. 段の上からかがみこんで(牛乳)瓶を取り上げるようなことは避けましょう。長い取っ手のついた(牛乳)瓶入れ(例:右図)を使うことで、あなたと(牛乳)瓶が倒れることを防げます。
45. コンセントの位置を腰の高さまで上げることができますが、日曜大工のレベルではありません。コンセントの近くに椅子を置きましょう。そうすれば、座ってからプラグの抜き差しができます。
46. プラグをコンセントに差し込んだり抜き取ったりしやすいようにしっかりした取っ手をつけましょう。
47. 腰の高さにフック(留め具)を取り付けてコンセントに差し込まれていないコードとプラグを引っかけておきましょう。こうすることで、プラグが必要な時に床を探す必要がなくなります。プラグを探してテレビや他の電子機器の後ろにかがみ込むことは避けましょう。
48. a) 雑誌の山や色んなものを床に置かないようにしましょう。つまずいて転ぶ原因となりますよ。
b) 階段には物を置かないようにしましょう。
49. 転びやすい人が家にいる場合には、たまにしか使わない(ガラス板天板の)テーブルなどは片付けておくべきでしょう。もっと言えば、不必要な家具はできるだけ減らして、動きやすいすっきりした部屋にしましょう。
50. 窓のブラインドの「引き手」を長くして、遠くに手を伸ばさなくてもすむようにしましょう。これは単純に、固定された部品にコードやひもを取り付けるだけでできます。
51. 蛇口にフィットしたプラスチックの蛇口レバー(例:右図)を用意しましょう。
52. 蛇口の取っ手を(病院で見られるような)レバー式のものに付け替えることを検討しましょう。力を使わずに楽に操作できますし、たくさんの種類から選ぶことができます。
53. 階段の手摺りは片側だけでなく両側にある方がいいです。作業療法士にあなたの自宅の階段に適したものがないか相談しましょう。
54. a) 手摺りはつるつるしたものより、ざらざらまたは突起のある物のほうがつかみやすいです。手摺りは便利なものですが、しっかり固定されていなくてはいけません。あなたの安全を支える大切なもののですから、あなたのいる時に取り付けてもらうようにしましょう。
b) お風呂場やトイレに手摺りを取り付ける時は、座った時と立った時の両方に適した高さを確かめましょう。将来シャワーチェアーを使う可能性があることを考えて、お風呂場に椅子を持ってきて、座った時の手の届く範囲と高さを確かめましょう。つるつるした手摺りは避けましょう。ざらざらしたものの方が、濡れた手でも滑りにくいです。
55. 脱衣室と浴室(シャワールーム)の間には段差がない方が安全です。初めて風呂場を改修するのであれば、長い先のことも考えて行い、高価な無駄遣いを避けるようにしましょう。(作業療法士が相談に乗ることができます)
56. 浴室用全身乾燥機(全身を温風で乾燥させる物:例右図)には、足で使える(電動でない)安全なコントローラーが付いていることがあります。浴室乾燥機を使って、入浴前に浴室(脱衣所ではなく)を温めておくこともできます。
57. 安全な滑り止めマットをお風呂場とシャワー室にしきましょう。滑りやすい全ての範囲に敷き詰めるようにしましょう。
58. タッチセンサー式のコントローラーを使うとシャワーを一人でしやすくなります。
59. 衛生用品では、薬局やスーパーで買えるウェットティッシュを使いましょう。値段や1パックの枚数、品質には様々な種類がありまですがトイレでとても役立ち、あらゆる年齢の方に使えて、トイレに流すこともできます。
60. 旅行用にはポケットやカバンに入れて持ち運べる個別包装の折りたたみ式ボトルやおしりふきがあります。衛生用品は、作業療法士にアドバイスを求める最優先項目の一つです。
61. あなたのニーズに応えてくれるトイレがありますよ!洗浄・乾燥機能は個人に合わせた調整が可能です。昇降式便座(例:右図)も利用可能です。こうしたトイレは簡単に操作でき、動きづらくても簡単に操作でき、通常のトイレとしても使えます。
62. 電動歯ブラシや歯石除去剤は口腔衛生を簡単で効果的にしてくれ、歯磨きの苦労を軽減してくれます。歯医者さんで相談すると良いですよ。
63. 電動缶切り器(例:右図)は便利ですが、色々な種類があるので試用してみましょう。電池を入れるとかなり重くなるものもあります。磁石の蓋ホルダーが着いているかどうかも確認しましょう。
64. プルトップの缶を空けるのが大変ですか?多くのプルトップ缶は缶切り器でも開けることができます。台所用品にも、プルトップのリングをレバーで持ち上げて蓋を開ける物(例:右図)があります。メールオーダーやカタログ通販で取り寄せることもできます。
65. 野菜の皮むき器や他の台所用品は大きくて握りやすい持ち手が付いた物を探しましょう。作業療法士がアドバイスしてくれます。
66. 電気器具を使う時はキッチンタイマーを使う習慣を身につけましょう。部屋を離れる時はタイマーを持って動きましょう。鍋やフライパンを火にかけっぱなしにすると、食べ物が焦げたり台無しになったりするだけで無く火事の危険もあります。
67. ジャガイモ皮むき器は可動刃の方が、固定刃のものより使いやすく、軽い力でむくことができます。
68. ナイフやフォーク、スプーンは太い柄のものが握りやすいでしょう。重さやバランスも確かめましょう。
69. ナイフは鋸刃のものの方が簡単に切ることができます。
70. 小さくて軽い鍋を選びましょう、中身の入った重たい鍋を抱えるのは持てたとしても避けましょう。鍋を流し台に移す前に、食べ物を穴あき杓子で取り出しておきましょう。安全のため直ぐに水で冷やしましょう。調理(煮炊き)に水を使わないよう蒸し器の利用も考えましょう。
71. コップの大きさや取っ手が握りやすいかどうか確認しましょう。重心が上になるようなデザインの食器もあります。陶器類の食器は扱いやすい重さかどうか確認しましょう。
72. 取っ手の大きい断熱性のマグカップは、熱い飲み物を入れても、指や手のやけどを防いでくれます。
73. 取っ手の大きい軽い断熱性のプラスチック製マグカップを選ぶとよいでしょう。マグカップを一杯に注ぐとどれくらい重くなるか思い出して下さい。カップにあふれるほど満たす必要はありませんよ!
74. (ミルクティーを作るときは)牛乳を先にカップに入れましょう。そうすれば、熱い紅茶をカップからあふれさせることなく適量混ぜることができます。
75. (全周に)縁のある、持ち手つきのトレイを使えば、こぼしてしまうのを減らせますし、ひっくり返した飲み物でカーペットを台無しにしてしまうのを防げます。滑り止めシートの利用も考慮しましょう。
76. 慣習にとらわれず、重さを気にしてください!重い陶器類は、使う時も収納する時も抱えるのが大変です。ガラス食器や全ての陶器に同じことが言えます。賢く選びましょう。ピクニック用品は軽量ですし、日常使いに適した様々なデザインのものがあります。
77. 台所の作業台の上は、日々使うやかんやお鍋のためにスペースを空けておきましょう。そうすれば、食器棚から持ってくる労力を節約できます。
78. a) 大型の炭酸飲料ボトルは開けにくいばかりでなく、持ち上げて注ぐにも重いものです。通信販売会社で、ボトルに取り付けて、持ち上げたり傾けて注いだりしやすくする、再使用可能なハンドルを販売しています。より小さい容器、缶、ボトルを使用することも考えましょう。
b) ボトルを開けやすくするための道具には、様々なデザインのものがあります。購入する前に試して見ましょう。缶のプルタブのリングを持ち上げるための道具(例:右図)は、大変安価で購入できます。
79. しゃっくりは時に悩ましいものです。試しに、泡立つレモネードドリンクや、炭酸飲料を飲んで見てください。こうすれば「げっぷ」が出て、しゃっくり発作もおそらく治まるでしょう。
80. 洗濯物を外に干すときは、ドリーペグ(伝統的な木製の人形型の洗濯ばさみ:右図)を使いましょう。バネ式の洗濯ばさみは使いにくいかもしれません。寒い日には洗濯物を外に干すのは避けた方がよいでしょう。乾燥機を投資するか、家族や友人に協力を求めましょう。協力してくれる人たちには、洗濯物はまた出てくるものだということを覚えておいてもらいましょう!
81. 手をポケット(内ポケット・外ポケットどちらも)に入れて歩き回ってはいけません。転びそうになって手で支えないといけないことがあります。
82. 階段の縁が目立つように白いテープを貼りましょう。外の階段は縁を白く塗りましょう。
83. 鍵を回すのが困難な時、楽にしてくれるキーホルダーがあります。ハンドルがレバーになって鍵を楽に開けられるようにしてくれます。作業療法士に尋ねてみましょう。
84. 常に足場の悪いところを避けるようにしましょう、特に石畳やあれた舗装路、コンクリートの細道など。深い芝や泥地を避けることも転倒を防いでくれます。
85. T字型の取っ手のねじ回し(例:右図)は日曜大工を作業しやすくしてくれます。
86. 連絡を取り合いましょう。もし、入院する予定がある場合、宛名を書いて切手を貼った封筒と、便箋を用意しておきましょう。これがあると手紙を書きやすくなります。(または、病院の公衆電話が使えるよう小銭を用意しましょう)。病棟で携帯電話が使えるか確認しましょう。
87. a) 病院に行く時は筋強直性ジストロフィーについての情報を携帯しましょう。Alart Card(特定の疾患や緊急処置に特殊な配慮が必要なことを知らせるカード:右図)の情報を赤い紙に書いておくと簡単に見つけてもらえます。このようなものがあると、関心のある他の医療スタッフにも配ることができ、Alart Cardを作るより安上がりです。一つはベッド脇の机の上やベッドに掛けておくと良いですよ。
b) こうした赤い紙は看護スタッフや学校でも使うことができます。
88. 時計バンドは伸縮式の物が通常のベルトより便利です。
89. ネックレースは短い物より、継いだまま頭が通る長い物を選ぶと結んだまま着け外しできて良いです。
90. a) Alart Cardを常にファスナー付きのポケットかバックに入れて携帯しましょう。緊急の際に役立ちます。
b) 緊急時に備えて医療緊急用ネックレースやブレスレット(必要な医療情報を刻印したもの:例右図)を着けても良いでしょう。(学校の体育など)これらを体から外さなければならない時はブラやベストの紐に鎖で取り付けるか、ポケットなど邪魔にならないところにしまっておきましょう。こうした利用が快適にできるスポーツウェアを探しましょう。
あるいは、Alert Cardを上着やズボンのファスナー付ポケットに入れておきましょう。
91. お出かけした時、その場でちょっと座りたいな、と思うことはありませんか?2輪の軽量買い物カート(例:右図)は、座面が折りたためるようになっていて背もたれもついていれば、外出した時、しょっちゅう、ちょっとだけ「休憩」が必要な人にとって、理想的な必携品になります。他にも、折りたためる座面つきの歩行介助具があります。買う前に、ご自分で使いやすいかどうか試してみること、もっといいのは作業療法士にチェックしてもらうことです。歩行介助具にブレーキをかけるのが難しい方の場合は、専門家のアドバイスを受けましょう。
92. 衣類は軽くて薄いものを重ね着した方が、分厚いものを一枚着るより暖かいですよ。
93. 入浴やシャワーの時には、声が聞こえる範囲に誰かにいてもらうようにしましょう。何か助けが必要な場合に備えて。
94. 浴槽から出るのが難しい場合、下向きになって、膝立ちになります。そうすると、手で身体を引っ張り上げるのから、押し上げる形になります。適切な高さに手摺りを着けておくことはとても大切です。
95. お風呂から出られなくなった時は、お湯が冷める前にまず抜いてしまって、手の届くところにあるタオルや衣服を体に巻きつけで、誰かが助けに来るまでできるだけ体を冷やさないようにしましょう。
96. 貴重品はジャケットやコートのチャックつきポケットに入れるようにしましょう。小銭はマジックテープの付いた袋やチャックのついたかばんの大きなポケットを利用してもよいです。コートの深いポケットに財布を入れると取り出すのが大変ですよ。
97. 歩行用ストックは歩行介助具の代替品として役立ちます。歩行の補助だけで無く、上体を起こしてもくれます。使用については作業療法士と相談しましょう。様々な種類があり、値段も様々です。買う前に試してみましょう。
98. 公衆トイレにいつでも入れるレーダーキーを、障害者なら安く買うことができます。それを外出する時に持ち歩くとよいですよ。詳しくはレーダーキーカンパニー(01395 22588)にお電話を。(英国の制度で、日本にはありません)
99. ベッドサイドにしびんやポータブルトイレを置くと、夜トイレまで歩かなくてすみます。特に、外泊する時には検討しましょう。安全第一ですよ。
100. 英国赤十字は医療貸付金、必要物品の提供、基本的に24時間対応の救急サービスを用意しています。具体的には、車いす、背もたれ、バスマット、ポータブルトイレ、上昇式トイレシートなどです。貸付は無料ですが、赤十字への寄付はいつでも大歓迎。くわしくはお近くの赤十字センターまでお電話を。(英国の制度ですが、日本にも様々な制度があります。保健師や行政、ソーシャルワーカーなどにご相談下さい)
101. 長い折れ曲がりストロー(右図)が市販されていますが見つけにくい場合があります。これがあれば重い飲み物を持ち上げなくていいし、こぼれにくいし、なにより見かけがかっこいいです。
102. 処方箋の注意書きは大きな字で印刷して下さい、と頼みましょう。
103. 蓋が開く形のコインケースはとても便利です。
-翻訳に協力いただいた人々-
独立行政法人国立病院機構刀根山病院神経内科
中嶋容子、松井未紗、森 千晃、齋藤朋子、山寺みさき、遠藤卓行、齊藤利雄、松村 剛