代謝障害
1.耐糖能障害
筋強直性ジストロフィーではインスリン受容体に異常が見られ、インスリンの効き目が悪くなります(インスリン抵抗性)。このため、本症の患者様は病初期にはインスリンを沢山分泌して血糖を維持しています(高インスリン血症)。加齢や運動機能低下、肥満などはインスリンの効き目をさらに低下させ糖尿病のリスクが高くなります。一方、筋肉は糖分の貯蔵庫としても大きな役割を果たしています。筋肉が萎縮(減少)すると糖分の貯蔵能力が低下するため、食後には血糖が高く、空腹時には血糖が低くなるなど血糖変動が大きくなります。このため、糖尿病でも空腹時の血糖は正常な場合があるため、糖負荷試験や日内血糖変動を測定することが重要です。何よりも、適切な栄養管理が重要で、糖分の摂取を控えめにすることが大切です。
2.脂質代謝障害
筋強直性ジストロフィーでは中性脂肪やコレステロールが上昇していることが多く見られます。体脂肪率は上昇し、内臓脂肪も多く、脂肪肝が多く見られます。高脂血症治療薬の多くは骨格筋に影響を及ぼすことが有り、本症の患者様ではそのリスクが高くなると言われています。糖尿病と同様に適切な栄養管理が最も重要です。高脂血症の薬剤を服用する場合は、投与前後で採血してもらい血清CK値(骨格筋の障害を測定する検査)に変化が無いか確認していただくと共に、筋肉痛などに注意して普段より強い症状が出たときは主治医に相談し検査や適切な処置を受けるようにしましょう。
3.必要栄養量についての注意点
筋肉が萎縮する病気では運動量の減少、体脂肪率の上昇などのため、同じ身長・体重・性の一般人に比べると必要栄養量が低下します。適切な必要栄養量および栄養素の構成については栄養士と適宜相談ください。レントゲンや体脂肪計等を用いた体組成分析を受けるとより適切な栄養指導が行いやすくなります。日常生活においては、こまめに体重測定することが大切です。できれば毎日体重測定して食事量を調整しましょう。