筋強直性ジストロフィーの治療
現時点では本症の根本的な治療薬はありません。過剰な運動負荷は筋障害を助長するリスクがありますが、過度な安静も廃用による筋萎縮の原因となります。本症は部位により筋力の障害程度が異なるため、リハビリで評価をしてもらった上で適切な運動量について相談しましょう。基本的には疲労や筋肉痛が無い範囲の運動は制限しませんが、呼吸状態や心機能、合併症の状態も踏まえて考慮する必要があります。リハビリでは関節の拘縮・変形予防、適切な装具・自助具の導入、嚥下訓練や呼吸理学療法などを行い、生活レベルの維持や感染予防を図ります。
本症では多彩な合併症がありますが、その多くは治療可能な疾患です。合併症の存在を念頭に定期的検査を行い、早めに対処すること、疾患の特殊性を理解した治療がとても大事です。突然死が多いことも知られており、誤嚥や呼吸障害(低酸素血症、睡眠時無呼吸)、不整脈などが原因として挙げられています。嚥下機能や睡眠時の呼吸検査、24時間心電図などの定期的評価と早期の対応が予防策として重要です。
症状に無自覚なことが多いため、対応が後手に回りがちなことも問題です。例えば、呼吸障害の存在が認識されずにちょっとした風邪から重篤な呼吸不全をおこしたり、病気の存在に気付かずに手術を受けてトラブルになったりすることが知られています。体調に変化無くても定期的な受診が大切です。