植込み型補助人工心臓について
植込み型補助人工心臓とは、心臓の中の血液を全身に送り出してくれる機械のことです。薬の効果がなくなってしまうほど心臓の機能が非常に悪くなってしまった患者さんは、ご自身の心臓(左心室)で全身に十分な血液を送ることが出来なくなります。そうなってしまうと、機械の力を使って全身に血液を送る治療法が必要になってきます。植込み型補助人工心臓を左心室に装着することで、機械の助けで左心室から血液を吸い出し、全身に血液を送ることができるようになります。植込み型補助人工心臓は心臓移植と同様に、非常に重症な心不全患者さんに対して適応となる「最終的な治療法」の一つです。
日本では心臓移植までの待機期間が非常に長いため、かなりの数の患者さんが植込み型補助人工心臓を装着した状態で心臓移植を待機しているのが現状です。2011年から、「心臓移植までの橋渡し」として「心臓移植適応」と判断された患者さんに対して、植込み型補助人工心臓の治療ができるようになりました。2021年には適応が拡大され、心臓移植適応の「ない」方に対しても、一定の基準を満たせば、最終治療(DT; Destination Therapy)として植込み型補助人工心臓治療が可能となっています。
植込み型補助人工心臓の装着イメージをお示しします(図, HeartMate 3, Abbott社の1例)。人工心臓本体は、体の中に植込まれます。電力を供給するためのドライブライン(電線)は、脇腹から体の外に出るようになります。ドライブラインには血液ポンプを動かすためのコントローラーが接続され、コントローラーには携帯型バッテリーが接続されます。近年では合併症も非常に少なくなってきており、殆どの患者さんで復学/復職などの社会復帰が可能となっています。