日本赤十字看護学会

学会出版物・報告

東日本大震災における赤十字看護師の活動経験知と今後の課題

第12回日本赤十字看護学会学術集会 交流セッション
主催:日本赤十字看護学会災害看護活動委員会

【はじめに】

今回の未曾有の大震災において、日本赤十字社は発災直後から日赤DMATやこころのケアチーム、赤十字救護班、病院支援チームなどを現地に派遣し、救護活動を行っています。日本赤十字看護学会災害看護活動委員会では、被災地(仙台、石巻、気仙沼、塩釜)における健康・生活状況の把握と支援活動に続き、災害時の救護を業務とする赤十字がこれまで培ってきた赤十字災害看護の技と伝承への課題を探るため、指定交流集会を開催しました。実際に被災地で赤十字救護班やこころのケアチームの一員として支援救護活動を行った看護師、さらに被災地災害拠点病院の看護師の方々が一同に会し、救護の実際について話題提供していただき、赤十字の災害看護の技と伝承、その課題について意見を交換しました。約70名の参加者があり、救護活動の詳細を知るとともに、被災地病院、救援者双方の災害救護や災害看護に対する疑問を解き、理解する機会になりました。参加された多くの方々から「大変良かった」「良かった」というご意見があり、さらに多くの方々にお知らせするため話題提供者2名の方の発表を掲載します。

日本赤十字看護学会災害看護活動委員会

小原真理子(日本赤十字看護大学)
大和田恭子(日本赤十字社医療センター)
小林洋子(日本赤十字社幹部看護師研修センター)
谷岸悦子(杏林大学)
前田久美子(大森赤十字病院)

【指定交流集会概要】

日 時:平成23年6月29日(日),10:30~12:00
場 所:医療福祉大学福岡看護学部(福岡市中央区長浜)
テーマ:「東日本大震災における赤十字看護師の活動経験知と今後の課題」

【話題提供者】

  • 災害急性期の現場救護班
    櫻井 美枝(武蔵野赤十字病院 看護師長、日赤DMAT看護師)
  • こころのケアチーム第1班
    武口 真里花(大森赤十字病院 看護副部長、こころのケア指導員)
    資料power point版
  • 被災地災害拠点病院
    高橋 純子(石巻赤十字病院 看護副部長)
    資料power point版

【まとめ : 課題として述べられた内容】

  • 赤十字救護班活動を通して:
    • 超急性期を担う日赤DMATから赤十字救護班への指揮命令系統の切り替
    • 後続赤十字救護班への引継ぎ
    • 災害支援者としてのやりがい
    • 主事を対象にした災害救護のトレーニングの必要性
  • こころのケア要員として:
    • 現状の把握とケア優先度の決定
    • 想像力と交渉力を最大限に駆使する
    • 活動を安定的に継続させる
  • 防災、マニュアルにない事態への対応:
    • 増床
    • 要介護者の受け入れ
    • ホットセンターの設置
    • 透析患者の受け入れ
    • 産科センターの設置
    • 精神科患者への対応
    • 避難住民への対応
    • 支援ナースの受け入れ