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先天性胆管拡張症

<診断のポイント>

  • 胆汁うっ滞性黄疸(閉塞性黄疸)がある。
  • 胎児期の超音波検査により出生前に診断されていることも多い。
  • 胆道閉鎖との鑑別診断が必要であるが、時間を浪費しない。
  • 開腹下の胆道造影で最終診断を行う。
  • 適切な時期(早期)の外科的手術につなげることが重要である。

【Clinical Pearls】
* 胆道系の穿孔例では、胆汁性の腹水・腹膜炎を合併する。病因不明の黄色腹水を認めた場合は、胆道系の穿孔例を疑う。


<病  態>

 胆道閉鎖は(一部の症例を例外とし)完全肝外胆管閉塞であり、先天性胆管拡張症は不完全肝外胆管閉塞の病態を示す。胆道閉鎖でも胆道系の一部がのう腫状あるいは円筒型に拡張することがあるが、先天性胆管拡張症では必須の所見である。不完全肝外胆管閉塞では最小限以上の胆汁の流れが確保されているが、未治療の場合(胆汁うっ滞が長期間持続する結果)、肝線維症から肝硬変へ進展することがある。


<診  断>

 閉塞性黄疸(黄疸、濃尿、灰白色便)、肝脾腫、脂溶性ビタミン欠乏症(くる病、出血傾向など)などの徴候がある。まれに、右上腹部(肋骨弓下)のう腫を触知できることもあるが、腹部超音波検査で「のう腫」或いは「拡張した胆管」を認める時に、先天性胆管拡張症(あるいは胆道閉鎖)と診断する。嘔吐、体重増加不良、進行性の腹部膨満、臍あるいは鼠径ヘルニアの黄染、(黄染した)腹水を認める場合には総胆管穿孔(胆汁性腹膜炎)を考える。肝組織像は、胆道閉鎖と同様の所見(門脈域の線維化、小葉間胆管の増生、胆汁栓などの胆汁うっ滞像)を示す。

【Clinical Pearls】
* 灰白色便が観察されない(あるいは間欠的に観察される)症例がある。
* 穿孔部位は総胆管・胆嚢管合流部に好発し、穿孔遠位部に総胆管の狭窄や閉塞を認めることが多い。


<治療と予後>

 総胆管嚢腫の治療は外科的手術である。胆道穿孔例を例外として、緊急手術は必要ではないが、胆道閉鎖と同様に、早期手術が望まれる。手術時期の遅れは、線維化から肝硬変へ進展させる要因となる。特に、胎児診断されている場合には、適切な(早期の)手術時期を選択する必要がある。


<参考文献>

1. 田澤雄作. 新生児胆汁うっ滞―新生児肝炎及びシトリン欠損による新生児肝内胆汁うっ滞の臨床を中心として. 日本小児科学会雑誌 2007;111:1493-1514.
2. Stringer MD et al. Choleduchal cyst: lessons from a 20 year experience. Arch Dis Child 1995;73:528-531.
3. Sela-Herman S, et al. Choleduchal cyst, a disease for all ages. Lancet 1996;347:779.

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