胆道閉鎖は(一部の症例を例外とし)完全肝外胆管閉塞であり、先天性胆管拡張症は不完全肝外胆管閉塞の病態を示す。胆道閉鎖でも胆道系の一部がのう腫状あるいは円筒型に拡張することがあるが、先天性胆管拡張症では必須の所見である。不完全肝外胆管閉塞では最小限以上の胆汁の流れが確保されているが、未治療の場合(胆汁うっ滞が長期間持続する結果)、肝線維症から肝硬変へ進展することがある。
閉塞性黄疸(黄疸、濃尿、灰白色便)、肝脾腫、脂溶性ビタミン欠乏症(くる病、出血傾向など)などの徴候がある。まれに、右上腹部(肋骨弓下)のう腫を触知できることもあるが、腹部超音波検査で「のう腫」或いは「拡張した胆管」を認める時に、先天性胆管拡張症(あるいは胆道閉鎖)と診断する。嘔吐、体重増加不良、進行性の腹部膨満、臍あるいは鼠径ヘルニアの黄染、(黄染した)腹水を認める場合には総胆管穿孔(胆汁性腹膜炎)を考える。肝組織像は、胆道閉鎖と同様の所見(門脈域の線維化、小葉間胆管の増生、胆汁栓などの胆汁うっ滞像)を示す。
総胆管嚢腫の治療は外科的手術である。胆道穿孔例を例外として、緊急手術は必要ではないが、胆道閉鎖と同様に、早期手術が望まれる。手術時期の遅れは、線維化から肝硬変へ進展させる要因となる。特に、胎児診断されている場合には、適切な(早期の)手術時期を選択する必要がある。
Copyright©2011 Alagille syndrome and infantile cholestasis in Japan. All Rights Reserved.