東京医科歯科大学国際健康推進医学分野 特別研究員の伊角彩さんが中心となって執筆を進めた論文が国際雑誌 JAMA Netw Openに掲載されました。
幼少期の被虐待経験はその後の健康に長期的な影響を与え、高齢期にまで及ぶ可能性が示唆されています。では、被虐待経験は高齢期の医療費にまで影響を与えるのでしょうか。
本研究では、政令指定都市A市において、要介護認定を受けていない高齢者への質問紙調査と2012・13年度の医療レセプトデータを連結したデータを用いて、被虐待経験の有無による高齢期の医療費の相違を検討しました。
その結果、家庭内暴力の目撃、身体的虐待、心理的ネグレクト、心理的虐待いずれかの虐待を18歳までに受けていた高齢者(N=176, 18.0%)の年間医療費は、被虐待経験のない高齢者と比べて116,098円高いことが示されました。
この結果から幼少期の被虐待経験によって生じる高齢者の医療費は日本全体で約3,330億円に上ると試算できます。
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