表 心室頻拍の手術適応
(日本循環器学会 不整脈の非薬物治療ガイドラインより抜粋)
ClassⅠ:
1.器質的心疾患に伴う単形性持続性心室頻拍を有し,薬物療法,カテーテルアブレーション,植込み型除細動器が無効ないし使用できず,再現性をもって心室頻拍が誘発される場合
2.薬物療法が無効で,重篤な症状またはQOL の著しい低下を伴う特発性持続性心室頻拍で,カテーテルアブレーションが不成功あるいは再発した場合
ClassⅡa:
1.心筋梗塞に合併した単形性持続性心室頻拍で,心室瘤あるいは左室壁運動異常に起因する心不全や血栓塞栓症を伴う場合 |
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脚注
図1. 心室頻拍に対するDor手術
A: 白色線維化した左室心内膜を全周性に健常部との境界に至るまで広汎に剥離、切除する。
B: 心内膜切除断端を-60℃、2分間凍結凝固する。自由壁側は心外膜側に凍結凝固が達することを確認する。乳頭筋などの左室内構造物に留意する。
C: 梗塞巣と健常部との境界部に3-0 Proleneで巾着縫合を置き、この境界部を縫縮する。
D: 縫縮した境界部を人工血管にてパッチ縫合閉鎖する。
図2. 非虚血性心室頻拍に対する凍結凝固
術中マッピングで同定された最早期部位の左室壁に小切開を置き、切開創から凍結プローブを挿入して心内膜からも凍結し、心外膜面からの凍結とともに全層性の凍結凝固巣を作製する。
図3. ネット型多極電極
ネットに合計64極の双極電極を装着して心室を包む。ネットの伸縮性によって、心拍動下でも電極のコンタクトが保たれる。
図4. 心室頻拍の左室心内膜マッピング
下壁梗塞に合併した心室頻拍で、左室瘤は合併していないため、左室切開を避ける目的で左心房から僧帽弁を通して左室内に電極を挿入して左室心内膜マッピングを行なった。
上段は心室頻拍の心電図で、中段左図は左室を右前方から観察した図で、右図は左前から観察した左室と右室の心内膜である。心室頻拍中の興奮時間を下段のカラーコードに従って表示してある。左室後壁中隔に最早期興奮部位(*)が見られる。
図5. Electro-anatomical (CARTO)マッピング
Location padを患者背面あるいは手術台の下に固定し、マッピングカテーテル(Navistar)を用いて心室表面から直接電位を記録する。多数カ所からの電位を記録中、心室頻拍が安定して持続することが必要であるが、多点同時マッピングと比べて高い空間解像度が得られる。 |