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 フランス筋ジストロフィー協会(AFM)のテレソンの時に行われた世界の患者会と専門家のQ&A和訳

2015年6月フランスで開かれたAFMテレソンに参加してきました。その時に各国の患者会から寄せられた質問に、筋強直性ジストロフィー国際学会(IDMC-10)に参加していたエキスパート達が答えておられました。班員の皆様のご協力をいただいて、Q&Aを翻訳してみました。できるだけ、実際の応答に基づいて訳していますが、聞き取りにくい部分や本邦の実情に合わない部分については追記や訳者の理解に基づいて記載されている部分があることをご了解下さい。
ビデオについてはYouTube (https://www.youtube.com/watch?v=k3ipCOtXKsY)でも視聴可能です(英語)。

Q1: Fatigue, hypersomnia: effects at school, and social contacts. Effect of Ritaline or else?
Wide difference of prescripted drugs from one country to another
Q1: 疲れやすさ・過眠に対してリタリンという薬は効果がありますか?
A: リタリンは過眠や疲労に効果がありますが、短期的に限定して使用しており、継続的には使用しません。患者さんに、その薬はパーティーへ行くために目を覚まさなければならないような時に用いるようにお伝えしています。なぜなら、これらの薬剤には依存性があるので、毎日、継続して使用するべきではないからです。しかし、効果はあり、特に使用当初、「疲労」と「過眠」にはよいです。
<追記>
リタリン®(一般名メチルフェニデート)という薬剤は、日本での保険適応病名としてはナルコレプシーという病気のみであり、さらに、処方できる医師や施設が限定されています。使用の可能性については主治医とよく相談して下さい。

Q3: Are there average life expectancy charts for people with DM?
Q3: 筋強直性ジストロフィーの平均余命はどの程度ですか?
A: 一般の人と比べると患者様の平均寿命は短くなります。しかし、症例により様々で、高齢発症例は生命予後も良好であるのに対し、若年発症例では多くの併発症により生命予後も不良です。近年ケアの質が向上しており、心臓の定期検査により突然死が予防され、呼吸や消化管の症状に対する治療も適切に行われることで、予防可能な死亡が減少すると予後が改善すると期待されます。先天性あるいは小児発症例においても、重症者に対する医療管理の進歩により、従来であれば死亡していたような症例の生存も増えています。平均すると寿命は短いですが、今後はさらなる予後の改善が期待されています。

Q4: I there a specific dermatologic affect in DM1?
Q4: 筋強直性ジストロフィー(1型)に特徴的な皮膚の合併症はありますか?
A: 男性では前頭の禿頭が早期から多く見られます。色素沈着、脂漏性皮膚炎、マルヘルベ石灰化上皮腫(後頭部に多い)または毛母腫などの良性腫瘍も合併することがあります。悪性腫瘍や悪性黒色腫が一般に比べて多いという証拠はありません。

Q7: Synthesis of questions about infections
Q7: 感染についての質問
A: 筋強直性ジストロフィーの患者さんでは、感染症の予防が非常に重要です。呼吸器感染症で命を失う方もおり、病気の予後に深刻な影響をあたえる可能性があります。感染症の予防には充分注意しましょう。
筋強直性ジストロフィーの患者さんでは、免疫を担うタンパク質の免疫グロブリンが低下するといわれていますが、その値の程度と感染症の合併との間には、関連性があるという証拠はみつかっていません。

Q8: Synthesis of questions about cancers

Q8: 悪性腫瘍(癌)についての質問
A: 正確な答は判りません。
筋強直性ジストロフィーと腫瘍の関連性を示す報告がありますが、ほとんどは良性腫瘍に関するもので、悪性腫瘍に関するものは少しみられるだけです。
筋強直性ジストロフィーと癌の関連性を調べることは非常に困難です。筋強直性ジストロフィーに癌の合併が多いかどうかをある施設で調べようとしても、専門施設には患者さんが多く集まるけれども、一般の病院では患者さんが少なく、調査を行う施設によってバイアスがかかってくるという問題があるからです。
正確な結論を導き出すには、しっかりした疫学調査や癌の発生と筋強直性ジストロフィーの発症機序にリンクした研究を進めて行くことが求められています。従って、現時点においては筋強直性ジストロフィーと癌の関連については正確なことは判っていない、というのが回答です。

Q9: Synthesis of questions about exercise and muscle fatigue
Q9. 運動や疲労感について
A: 強い負荷をかける運動や過用は好ましくありませんが、無理のない軽い運動は心肺機能にも良い効果をもたらしQOL改善や疲労感の軽減にも有効です。週3-4回20分以上の軽い運動を行うことを勧めています。

Q10: Is it common to be unbalanced?
Q10: バランスを崩しやすいですか?
A: バランスを崩しやすいことが多く有ります。足底の筋力低下によるバランス低下、足の挙上不良によるつまずき、膝折れ、などが原因としてあげられます。

Q12: Is early hearing loss attribute in any way to DM? If yes, can you explain how the ears are affected?
Q12: 筋強直性ジストロフィーでは早くから難聴が起きますか?もしそうなら、なぜ耳が冒されるのですか?
A: 難聴は重要な合併症です。頻度は明らかでありませんが、筋強直性ジストロフィー2型では筋強直性ジストロフィー1型より高頻度に見られます。鼓膜の障害では無く、内耳が冒されます。難聴を認めた場合、筋強直性ジストロフィー以外の原因がないか耳鼻科を受診して調べてもらうことが大切です。複数の人が別々にしゃべった場合は聞き取れても、同時にしゃべると聞き分けるのが困難になります。難聴のある患者ではバランスの障害を認めることもあります。

Q13: People with DM, are their throat constricted (different shape of mouth)
Q13: 筋強直性ジストロフィー患者は喉が狭くなっていますか?
A: 誤嚥が見られることが多いため、食形態や姿勢に注意して下さい。食事中には他のことに気を取られないようにしてください。液体と固体を同時に飲み込むのは危険です。嚥下機能の検査を受けて食形態のアドバイスを受けて下さい。

Q14: I easily become short of breath. Is it due to heart or lung?
Q14:息切れがしやすいが、これは心臓によるものか肺によるものか?
A: 本症では、患者様ご自身が呼吸障害を自覚されることは少ないのが特徴です。

Q15: Efficiency of breath physiotherapy in a preventive mode?
Q15: 予防的な意味での呼吸理学療法の効果
A: 呼吸理学療法により、咳の改善、感染の減少、突然死の予防が期待されるので大いに推奨されます。

Q16: Synthesis of questions about GI problems
Q16: 消化器症状についての質問
A: 消化器症状としては、便秘、腹痛、下痢などがみられ、非常に頻度が高いです。疾患自体による腸の平滑筋や神経機能障害などの一次的要因と、歩行障害や食事制限などの二次的要因によるものが考えられます。1000人を超える全国的な大規模調査によれば84%の筋強直性ジストロフィー患者様が消化器症状を示していましたが、消化器専門医に診てもらっている例は少数でした。専門医の問診および検査により消化器症状の原因が容易に判明し有効に治療できることがあります。腸管運動が低下することが多いです。消化管の通過時間を改善させるためにポリエチレングリコールやネオスチグミンといった薬が、上部消化管症状に対しドンペリドンなどの薬が使用されています。まれに通過時間の亢進による症状を有する患者もおられます。消化器内科専門医へ相談することも重要です。

Q18: I have trouble keeping my eyelids closed and it makes it difficult to sleep. Is there anything that can be done?
Q18: 目を閉じ続けることが難しいため睡眠に障害があります。何かできることがありますか?

  1. 目が開いてしまう人では、角膜の乾燥を防ぐために眼軟膏や点眼薬を使用します。就寝時に眼帯などで目を覆うこともあります。高度な場合は手術も考慮します。

Q19: What cause cardiomyopathy in DM? Is it treatable by new drugs?
Q19: 筋強直性ジストロフィーの心筋症の原因は何ですか? 新しい薬で治りますか?
A: 心筋症とは、さまざまな原因で起こる病態です。筋強直性ジストロフィーでは、心筋症は合併しますが、頻度は少ないです。心筋症とは心臓の筋肉に障害が起こり収縮の低下した状態です。非常に稀ですが、心臓移植を必要とするような重症例も存在します。心臓の筋肉の収縮低下とは別に、心拍が乱れる、時には心臓が停止してしまうことがあります。その場合にはペースメーカーや、稀ですがペースメーカーに似た装置で頻脈のコントロールもできる除細動器が用いられます。心筋収縮低下に対する薬物治療としては、アンジオテンシン変換酵素阻害薬とβ遮断薬があります。筋強直性ジストロフィーの心筋症は少ないため、効果は証明されていませんが、一般的な心不全に対しては有効であることが示されています。しかし、心筋症を完治させるものではなく、治癒可能な新薬は今のところありません。

Q20: Pacemaker/ defibrillator. How to make homogeneous the practices?
Q20: ペースメーカーと除細動器はどのように使われていますか
A: ペースメーカーの有用性は明らかです。徐脈性の不整脈のコントロールができます。除細動器は頻脈性の不整脈を治療する装置ですが、対象となるのは心室の心筋障害があり致死的不整脈の危険性が想定される少数の患者です。除細動器は手術や植え込み後の合併症があり、適応は慎重にすべきです。実際、多くの不整脈の問題はペースメーカーで解決します。

Q21: How to handle pain of skeletal muscle and back pain?
Q21: 筋肉痛や腰痛はどの程度で見られますか?

  1. 筋強直性ジストロフィー1型では筋肉痛の頻度は5-6割で認められ、腰痛が多く見られます。

Q23: Neuropsychological treatment for children and young adults to handle communication problems? Alternative ways of communication to overcome lack of reactivity of the face
Q23: 表情が乏しいなどコミュニケーションに問題があります、どのように対処したら良いでしょうか?
A: コミュニケーションとは二人の間の交流を意味します。コミュニケーションは通常、言語により伝えられたメッセージにもとづきますが、潜在的なものとして言葉以外により伝達されるものも含まれます。
表情は、我々に他者が何を考えているかヒントを与えてくれます。筋強直性ジストロフィー症では表情が乏しくなるので、コミュニケーションに影響します。重要な事は、何を言語化しようとしたのかを説明することです。これにより全ての伝えられるサインを明示的にすることです。人々は表情により伝えられた潜在的なものを明示的なものとして理解できるようになります。
患児に、なぜ構音が難しくなるのか、顔面筋を動かしにくくなるのか、なぜ表情が乏しくなるのか、場合によっては学習障害の理由や困っている症状を理解しておいたほうがよいことを説明するのは重要です。

Q24: When and how do you explain DM to a child who has congenital DM1?
Q24: 先天性筋ジストロフィーの子供にいつ・どのように病気のことを伝えるのが良いですか?
A: 小さな子供はきちんと表現できなくても、障害について様々なことを感じています。彼らの理解できる範囲で、彼らの障害(なぜ不自由な筋があるのか、表情が乏しいのかなど)を説明することが大切です。

Q25: How to cope with loss of independence? How to cope with not being able to plan?
Q25: 自立能力を失うことにどう対処すれば良いのでしょうか?計画を立てられないことにどう対処すれば良いのでしょうか?
A: 私達は筋強直性ジストロフィーの患者様が計画を立てられないことをどのようにサポートできるか研究を行ってきました。多くの患者は主導権をとることが苦手です。認知行動療法がこうしたことの改善に有効であると考えて研究を続けています。

Q26: Do brain and thinking problems get worse?
Q26: 脳や考える機能は次第に悪化していきますか?
A: 筋強直性ジストロフィー症では認知機能障害が出現します。また精神科的な変化も出現することがあります。しかし、非常によいニュースとして、今回の国際学会で報告されたことは、認知プロフィールには大きな障害はないことで、これはとても重要な点です。私の知る限りでは、ドイツの研究者達が頭部MRIでも大きな障害はないことを示しています。これはとても重要なメッセージです。

Q28: What are some ways that we can get better support for developing accurate cognitive profiles in schools for children with congenital DM
Q28: 先天性筋強直性ジストロフィーの子供が学校で認知機能発達をサポートしてもらうのに良い方法はありませんか?
A: これは難しい質問です。先天性筋強直性ジストロフィーの子供は認知機能に色々な程度の障害を持っています。障害が重度から中等度の場合、障害の特徴を明確にする事がサポートの上で大切です。われわれが行った研究の結果では、情報処理能力や視空間認知が障害されやすいようです。個々のレベルでは、詳しく認知機能の程度を調べて、それに合わせたサポートを考慮することが大切です。

Q31: Specificity of DM1 versus other neuromuscular diseases
Q31: 筋強直性ジストロフィー(1型)と他の神経筋疾患の違いは?

  1. 筋強直性ジストロフィーが他の神経筋疾患と異なる点は、筋強直性ジストロフィー(1型)は中枢神経疾患でもあることで、顔面肩甲上腕型、デュシェンヌ型や脊髄性筋萎縮症では中枢神経が冒されないことと対照的。特に先天性・小児期・若年発症の筋強直性ジストロフィーでは中枢神経障害が障害されることが多いが、気付かれていないことも多いので、その存在に注意して適切に診断しケアすることが大切。

Q. 筋強直性ジストロフィーが中枢神経系を冒す疾患だとすると、どのような機能が冒されるのでしょう。どのような記憶が障害されるのですか
A. 筋強直性ジストロフィーでは認知機能が冒されます。特に重症の小児で顕著に見られます。成人では障害の程度は幅がありますがAlzheimer病などと同様に記憶力の低下が見られます。一度に複数のことを同時に記憶するワーキングメモリーが障害されるので、多数の仕事を並行して行うことが苦手です。実行機能の障害によりスケジュールを管理や計画等複雑な作業が苦手です。認知機能障害がある患者様でも決まった作業は上手くこなせ、イベント記憶は保たれていることが多いです。現在中枢神経障害に対する単純な治療はありませんが、これらを補う手段として、メモをとる、アイホンなどスケジュール管理できるデバイスを利用して、すべきことを思い出せるようにすることを勧めます。喜ばしいニュースとしてIDMCでは神経障害の著明な進行は見られないとの報告があったため、将来治療により中枢神経症状が改善する可能性が期待できるかもしれません。
Q. 中枢神経障害では新しい画像検査の進歩も重要です。筋強直性ジストロフィーでおこる中枢神経の変化を鋭敏に評価するどのような新しい技術が開発されているのですか?
A. 通常のMRI検査でも筋強直性ジストロフィーの脳の構造異常を検出しますが機能障害の検出感度は高くありません。より鋭敏な検査法としてDTI (diffusion tensor imaging)が開発されています。まだ現在のところ研究目的で実施されており、臨床段階ではありません。

Q32: Does the disease affect memory? If yes, which kind of memory is most affected? Is there any way of action?
Q32:この病気は記憶機能に影響しますか?もし影響するとしたらどのような記憶に影響しますか。何か対応方法はありますか?
A:筋強直性ジストロフィー症は認知機能や行動に大きな影響をもたらします。これは特に障害の程度の強い小児で顕著です。成人ではどの程度障害がおきるかは非常にバリエーションがありますが、記憶機能については、アルツハイマー病やその他の認知症と同様なタイプの記憶障害はみられません。専門用語で作業記憶(ワーキングメモリー)と呼ばれるタイプの記憶の問題が起こりえます。作業記憶とは二つ以上の事柄を同時に心のなかに保持する機能です。これが障害されると、一度に複数のことを行うこと(マルチタスキング)・考えをまとめることが困難になります。あるいはまた専門用語で「実行機能」と呼ばれる機能に問題がある場合には、スケジュールをたてたり、複雑な仕事をまとめたりすることが難しくなります。筋強直性ジストロフィー症患者さんで認知機能障害が有意に存在する方でも、ある出来事に関する記憶はよく保たれていたりします。作業記憶の障害に対して一つの対処法で有効なものは現在得られていません。私達が患者さんにお勧めすることは、書き留めておくことや、スマホのようなスケジュールを記憶してくれて必要なタイミングでアラームしてくれるデバイスを有効利用することで、困っている機能低下を代償していくことです。実行機能障害については現時点でよい治療法がありません。しかし非常によいニュースは、この学会で複数回報告されてきたことですが、ある決まった領域の脳や神経が減少しているわけではないことです。私たちは、どのように治療すればよいかについて研究が進めば、脳機能の問題の多くは様々な治療に反応する可能性があるという希望をまだ持っています。認知機能障害は患者さんにより様々であり、全員に起こるわけではないと思いますが、起きてもいくらかの対処方法は現在存在しており、近い将来に治療法もみつかると希望を持っています。

Q33: Are researchers looking at lifestyle factors in the manifestation of symptoms or even as a therapeutic strategy?
Q33:症状に影響するライフスタイル、あるいは治療戦略としてとるべきライフスタイルが検討されていますか?
A:年齢を重ねるにつれて、比較的長い期間、変化がない人もいれば、機能低下を経験する人もいます。1-2年の期間だけむしろ機能が改善する人もいます。このような差が何によりもたらされるかを見出すための研究は、現在たくさんなされているところで、どのように生活を組み立てるべきか、どうしたら進行を遅らせることができるかについて確定的なお勧めの方法はまだありません。私が思うに大事なことは、いつものペースで定期的な運動を行うことです(言うは易しく、行うのは難しいことですが)。栄養については、この病気について良いとされるものはありませんので、一般的なお勧めになりますが、ヘルシーな食事をして体重コントロールを心がけることが重要です。なぜなら、筋力低下があるうえに体重増加があると日々の行動が制限されるからです。

Q34: How can two identical twins brothers be so differently affected? Could environmental and lifestyle choices play a role in how this genetic condition affects people? Would the gene repeats have expand faster in one twin than the other?
Q34: どうして一卵性双生児で症状が異なるのでしょう?環境やライフスタイルの違いが症状の違いにつながるのでしょうか?リピート数の伸び方が二人の間で異なるのでしょうか?
A: この問いに答える前に、まず筋強直性ジストロフィーの症状がなぜこれほど違いがあるのかということを理解しないといけません。すでに聞かれたように、筋強直性ジストロフィーはCTGの繰り返しの数の増大と関係する遺伝性疾患です。一般の人は50回以下、患者さんでは50回以上です。この繰り返しの長さと重症度が相関することが知られています。より長い繰り返しを受け継いだ人は、より重症となります。この繰り返しの長さは世代を重ねるごとに長くなる傾向があることが分かっています。これにより先ほどのビデオに出てきたドミノ効果が説明できます。また、この繰り返しの長さは、同じ患者さんの中でも生きている間により長くなっていくこともわかっています。特に筋肉などで速く長くなっていくことから、筋肉に症状が出やすいのではと考えられていますし、人生の中で症状が進行していくことにも関係しているのではと考えられています。
質問に戻ります。一卵性双生児は、一つの精子と、一つの卵子が一つの受精卵を形成し、通常一つの個体がつくられるところ、発生の初期に二つに分かれてしまい、二つの個体になったものです。ですから、遺伝的には全く同じと考えられ、病気の症状も同じと予想されるところです。筋強直性ジストロフィーの双子に関する研究はあまりありませんが、リピート数が同じで症状も似ていたという報告に加え、リピート数が異なり症状が異なっていたという報告があります。どうして症状が異なったのか、どうしてリピート数が異なっていたか、いくつかの可能性があります。発生の初期の細胞分裂の際に何らかの原因でリピート数が異なるようになってしまった可能性、先ほど話に出てきたライフスタイル、食事・運動などがリピート数の変化するメカニズムに影響を与えた可能性がありますし、ライフスタイルそのものが遺伝的なものとは全く別のメカニズムで症状を変化させたというような可能性もあります。

Q36: I am very close to the threshold limit of 50 CTG. Do I need to make the test several times in my life to check that I am still on the good side?
Q36: 50回の近いリピートの場合、年を取ってから何回か検査して、50未満であることを確認すべきでしょうか。
A: 50というのは大体です。51なら症状が必ず出て、49なら絶対症状がでないというようなものではありません。50回付近では、どんな症状が出てくるとしても、非常に年を取ってからですし、症状が出たとしても非常に軽いことは間違いないです。そのような非常に少ないリピート数の場合には、深刻な症状が出てくる危険性は非常に低いです。
リピートの数が変化するのではということに関してですが、人生の間にリピートの数が伸びていくと先ほど述べました。確かに数百以上のリピートの場合にはリピートの数は明らかに伸びていきますが、80回以下のリピートでは非常にゆっくりしか伸びませんし、伸びていくスピードも遅いです。
ですから境界の50を若干下回る方が、再度検査する必要はありません。再検査しても大きく変わっている可能性はないです。そのような可能性も考慮に入れて境界の50を決めています。

Q37: What is the accuracy of the blood test?
Q37: 血液での遺伝子検査の正確さは?
A: 正確性には二つの面があります。まずひとつは、発症する可能性があるかどうかを予測できるかについてですが、先ほども述べたように50回を超える方は人生の間に何らかの症状が出てくる可能性は非常に高いです。そういう面では、大変正確です。なお、まれですが検査で陰性になる患者さんがいますが、ほかの方法で確認することが出来ます。
もう一つの面は、リピートの数の正確さについてです。リピート数は生きていくうちに変化しますし、細胞ごとにリピート数が違いますので、解析しているのはその時点での血液での平均のリピート数です。この数は症状の相対的な重症度予測するのにある程度は有用ですが完全ではありません。どうしたら重症度を正確に予測できるか、研究が進められています。

Q38: Is the ISIS drug expected to be efficient the same way everywhere in the body or is it targeted to dedicated parts?
Q38: 治験されているISISの薬は筋肉だけに効くのでしょうか?
A: この薬は、腕や足などの皮膚1か所に注射されます。注射された薬は、そこから血液循環系に取り込まれ、全身に広がります。これが意味する重要なことは、薬を1か所にのみ投与したとしても、すべての筋に薬が届く可能性があるということです。筋肉ほどではないにしても、心臓にも入る可能性があり、心臓でよい効果がみられる可能性があります。腸にも入る可能性があり、腸で効果が認められる可能性があります。皮下注射した場合に1か所だけ薬剤が届かない場所があります。それは脳神経系です。脳にはいろいろな薬が入ってこないように守る特別なシステムがあり、この薬も脳に到達しません。もし、この薬がほかの組織で良い効果が認めら、脳に何とか薬を到達させたい場合には、方法はあります。それは、脳をひたしている脳脊髄液に直接投与するという方法です。極端なように聞こえるかもしれませんが、ほかの病気の治療でおなじような核酸医薬(アンチセンス薬)の投与方法として実際に使われていますので、可能性はあります。