神経芽腫 neuroblastoma

  • 神経芽腫は幼児に多い固形癌ですが,実際には脳にはほとんど発生しません
  • 神経芽腫は副腎や交感神経節に発生するので,小児血液腫瘍科で診断と治療がなされ,脳外科の先生がみることはほとんどありません
  • 小児の大脳腫瘍の場合は病理診断で神経芽腫のようであれば,PNET ピーネットと診断されます
  • かつては松果体神経芽腫という診断もありましたが,近年では松果体芽腫 pineoblastomaとされて治療がなされます
  • 小脳にできるものをcerebellar neurblastomaといいますが,髄芽腫の一部として捉えられ治療されます
  • 真の神経芽腫は,前頭部(前頭蓋底)の嗅神経のところにできるものがほとんどであり,嗅神経芽腫と呼ばれます
  • これは中年以降の成人の腫瘍で鼻腔内から前頭葉の方に伸びてとても巨大になります
  • 悪性の腫瘍で播種転移をしやすい腫瘍です
  • 手術で病理診断がついたら,化学療法と放射線治療をします
  • 手術で播種や転移を誘発することがあるので,生検手術をしたら,まず化学療法と放射線治療をして,それから残存腫瘍を手術で摘出するのが普通です
  • 化学療法はICE化学療法を使用できます
  • 放射線治療は,局所照射にとどめる場合と,全脳脊髄照射をする場合があります
  • 治る確率の高い悪性腫瘍です

esthesioneuroblsatoma, olfactory neuroblastoma 嗅神経芽腫

  • 40代から50代くらいに多い成人の腫瘍です
  • 嗅神経から発生するので基本的には篩骨洞を中心として発生します
  • 3分の1くらいの例で硬膜内伸展(前頭蓋底)が生じるとされています
  • 耳鼻科(頭頚部腫瘍科)での治療が多い腫瘍です
  • 悪性腫瘍でありリンパ節転移や全身転移もあり得ます
  • 全5年生存割合は80%ほどであり,脳から発生する神経芽腫より良いといえます
  • Modified Kadish stageで予後が推定され,Stage Aの鼻腔に留まるものの5年生存割合は90%ほど,Stage Cの鼻腔と副鼻腔を越えて伸展するもの(頭蓋内伸展)は50%ほどとされます
  • 病理診断で,Hyams histological grading I – IVまで分類されます
  • 最初から全摘出をめざす大掛かりな前頭蓋底手術をするべきではありません
  • Hyamsのグレードが低いものは化学療法感受性も高いので,特に大きな頭蓋内伸展(両側前頭葉浸潤)があるものには無理な手術をしません
  • 脳神経外科に受診するような巨大なものには化学療法での縮小をはかり前頭葉機能の温存をめざします
  • 耳鼻咽喉科で発見されるStage Aのものは内視鏡手術で全摘出できることも多いです
  • 大きなものでは,生検術(鼻腔内視鏡)で病理組織診断をして,化学療法あるいは放射線治療を先行させるneoadjuvant thrapyが推奨されています
  • それで残存腫瘍があればsecond-look surgeryで全摘出を行います
  • 陽子線治療が行われていますが,はっきりした長期成績は不明です
テモゾロマイドの神経芽腫への効果について

Rubie H, et al: Pahse II study of temozolomide in relapsed or refractory high-risk neuroblastoma: a joint Societe Francaise des Cancers de l’Enfant and United Kingdom Children Cancer Study Group-New Agents Group Study. J Clin Oncol 24: 5259-5264, 2006

脳腫瘍ではない小児悪性腫瘍に対する効果を見たものです。ヨーロッパで行われた臨床試験の結果です。いろいろな治療をしてもさらに転移したり再発してとても困った状態になってしまった25人の小児の神経芽腫neuroblastomaの患者さんにテモゾロマイドが投与されました。5人(20%)の患者さんにはっきりした効果が見られました(CR+PR)。とても希望の持てる結果です。神経芽細胞腫は髄芽腫や松果体芽腫やPNETに似た腫瘍ですから,テモゾロマイドがこれらの脳腫瘍にも有効かもしれないという期待が持てます。でもまだたくさんの研究が行われないとはっきりしたことは言えません。

文献

Tajudeen BA, et al.: Esthesioneuroblastoma: an update on the UCLA experience, 2002-2013. J Neurol Surg B Skull Base 76: 43-49, 2015

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