ワクチンのシェディングについて①

はじめに

COVID-19およびそのワクチンに関する情報を目にする中で、比較的知識があると思われる方々でさえ、いわゆる陰謀論や科学的根拠の乏しい情報に惑わされているように見受けられます。これは一つには、疫学データの解釈が非常に難しいことに起因しています。一見簡単に見えるデータであっても、疫学特有の手法や癖により誤解を生むことがあります。異業種で経験を積んだ方々が疫学データを解釈する際、疫学特有の罠に陥り、独自の理論を展開してしまうことがしばしば見受けられます。

したがって、情報源としては、疫学研究の実績があり、疫学データの解釈に豊富な経験を持つ専門家、あるいは実際の臨床現場で当該診療領域の経験を持つ専門家の発言を重視する必要があります。用語一つをとっても、その領域での使用方法には歴史があり、特定の意味があります。用語だけを流用し、具体的な意味が曖昧なまま使用することは避けるべきです。例えば、インターネット上で見かける「シェディング」という言葉の使い方についても、注意深く検討する必要があります。

ワクチンのシェディングとは?

ワクチン接種が進む中で、「ワクチンのシェディング」という言葉を耳にすることが増えてきました。これは一体何を意味するのでしょうか?一般の方々にとっては少し難しい概念かもしれませんが、ここではできるだけ分かりやすく説明してみたいと思います。

一般的にはワクチンのシェディングとは、ワクチンを接種した人が、ワクチン由来のウイルス粒子を体外に排出する現象を指します。これは特に生ワクチンに関連して見られることが多いです。例えば、ロタウイルスワクチンに関する研究では、シェディングが一般的であり、長期間にわたって続くことがあると報告されています。

具体的な例を挙げると、五価ロタウイルスワクチン(RV5)の初回接種後、21.4%の乳児で最大9日間にわたってシェディングが確認されました(Yen et al., 2011)。また、別の研究では、初回接種後5〜10日で93%の乳児がワクチン関連の粒子を排出し、その中でG1という遺伝子型が主に見られました (Markkula et al., 2019)。

RV5とRotarix(RV2)という2種類のロタウイルスワクチンを比較した研究では、シェディングの割合は似ているものの、RV2を接種した人の方がより多くのウイルスを排出していることが分かりました(Hsieh et al., 2014)。

一方で、経口狂犬病ワクチン(SPBN GASGAS)に関する研究では、様々な動物種において24時間以上感染性ウイルスの活発なシェディングは見られず、水平感染のリスクは最小限であることが示唆されています (Vos et al., 2018)。

これらの研究結果は、ワクチンの種類や接種を受ける種によって、シェディングのパターンが大きく異なることを示しています。ワクチンのシェディングについて理解を深めることで、ワクチン接種に関する不安を軽減し、より安心して接種を受けることができるでしょう。

新型コロナウイルスワクチンではどうでしょうか

世の中で数多くの医学・生物学の論文が公開されているのですが、その多くの論文を網羅的に検索できるPubMedと言う米国NLMが提供するデータベースがあります。多くの研究者がPubMedを利用しており、また、論文を投稿する際には自信の研究を世に広く認めてもらおうと、PubMedに登録される雑誌に論文を掲載するように投稿先を考えます。私がそのPubMedを利用して調査した限りでは、新型コロナウイルスワクチンに関するシェディングが発生したことを示す学術論文は見つかりませんでした。生ワクチンとは異なり、現在日本で広く接種されているmRNAワクチンや遺伝子組換えタンパク質ワクチンは、ウイルスの一部の成分のみを使用しているため、ワクチン由来の遺伝子だけではウイルス粒子を構築するために必要な構成要素が揃いません。このため、ワクチン由来のウイルス粒子が構築されることは理論的に考えにくいです。

下の図は報告されたSARS-CoV-2ウイルス起源株の遺伝子配列(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 isolate Wuhan-Hu-1, co – Nucleotide – NCBI (nih.gov))を基に遺伝子の配置を色分けしたものです。図ではORF1abを一つの色で塗っていますが、ORF1abの領域にはさらにいくつかのタンパク質をコードする領域が含まれています。多くの遺伝子が揃って初めてウイルス粒子としての構造が構成されるため、Sタンパク質をコードする遺伝子だけでウイルス粒子の構造を形成することは難しいと考えられます。

それにもかかわらず、レプリコンワクチンにシェディングの懸念があると主張するウェブサイトが存在しますが、根拠データは直接は示されていません。当該声明では、Seneff, S., & Nigh, G. (2021). Worse than the disease? Reviewing some possible unintended consequences of the mRNA vaccines against COVID-19. International Journal of Vaccine Theory, Practice, and Research, 2(1), 38-79.の文献を引用していますが、この文献はPubMedには掲載されていないため、検索にかかりません。

Seneff氏の所属はComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory, MIT, Cambridge MA, 02139, USAであり、ウイルスやワクチンの専門施設ではありません。文献内にも、実験や臨床試験で直接ウイルスのシェディングを確認したデータは記載されていません。また、ワクチンの領域で問題となっているのはウイルス粒子のシェディングですが、Seneff氏の文献ではタンパク質のシェディングについて論じています。膜タンパク質が細胞膜表面で切断されて細胞から離れる現象をシェディングと呼ぶ研究領域もありますが、人から人への伝播を問題にしているため、膜タンパク質のシェディングとは異なる意味合いです。根拠の有無は引用文献を確認する必要がありますが、仮にスパイクタンパク質が被接種者から放出されたとしても、それがウイルスとして感染し、COVID-19を発病するとは考えにくいです。

Seneff氏は、従来のワクチンの安全性で問題になるシェディングとは異なる意味で「シェディング」を使用していることが明らかになりました。異業種間で同じ言葉を異なる意味で使用することはあり得るため、その言葉の共通認識を持たない限り議論は成立しません。まず、この研究者がどのようなデータを基に、どのような現象を「シェディング」と称しているのかを明確にする必要があります。

もう一点気になる点があります。それはSeneff氏の論文はmRNAワクチンを対象にして記述されている点です。レプリコンワクチンでの懸念に直に結びつけて良いものか。少なくとも、従来のRNAワクチンでは問題としなかったにもかかわらず、レプリコンワクチンでは懸念であるとするのであれば、違うワクチンについての情報を引用して根拠とすることの正当性の説明は見てみたいところです。

Seneff氏は、レプリコンワクチンについて論じている訳ではないのですが、mRNAワクチンでの「スパイクタンパク質のシェディング」を論じていました。その直接的な根拠となるような観察の記録データは記載されておらず、代わりにLucchetti氏らの論文(Lucchetti et al., 2021) を引用しています。Lucchetti氏らの論文はPubMedに掲載されていますので、この記事でもReferencesの中に書誌事項を記載しておきます。Lucchetti氏らの論文ではどのような研究がなされているのかは別記事にしようと思いますが、このSeneff氏の文献のシェディング周りの部分をもう少しだけ見ておこうと思います。

この部分を機械翻訳しました。

インターネット上では、ワクチン接種者が近くにいる未接種者に病気を引き起こす可能性についての議論が多くあります。これは信じがたいかもしれませんが、脾臓の樹状細胞から誤って折りたたまれたスパイクタンパク質を含むエクソソームが放出され、他のプリオン再構成タンパク質と複合体を形成することで起こり得るというもっともらしいプロセスがあります。これらのエクソソームは遠くまで移動することができます。肺から放出され、近くの人が吸い込むことも不可能ではありません。エクソソームを含む細胞外小胞は、痰、粘液、上皮内液、気管支肺胞洗浄液において呼吸器疾患と関連して検出されています(Lucchetti et al., 2021)。

「もっともらしいプロセス」があると言い切っています。それぞれの現象があるとして、そのプロセスが実際に起こるのか、想像の中でつないだだけなのかはわからないものなのですが、新型コロナウイルスのワクチンを接種したヒトに実際に起きたというデータは明記されていません。あと、プリオンと言えばクロイツフェルト・ヤコブ病や狂牛病を引き起こすことで知られていますが、mRNAワクチンの副反応や新型コロナウイルスの病態に関連しているという話は聞いたことがありません。

私がここまで見てきた範囲では、Seneff氏の文献は、自然現象や実験環境での現象を観察して、その観察結果を解釈するという科学的なプロセスに基づいたロジックは読み取れない文書であることが理解できました。

References:

Hsieh, Y.-C., Wu, F.-T., Hsiung, C. A., Wu, H.-S., Chang, K.-Y., & Huang, Y.-C. (2014). Comparison of virus shedding after lived attenuated and pentavalent reassortant rotavirus vaccine. 32(10), 1199–1204. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2013.08.041

Lucchetti, D., Santini, G., Perelli, L., Ricciardi-Tenore, C., Colella, F., Mores, N., Macis, G., Bush, A., Sgambato, A., & Montuschi, P. (2021). Detection and characterisation of extracellular vesicles in exhaled breath condensate and sputum of COPD and severe asthma patients58(2), 2003024. https://doi.org/10.1183/13993003.03024-2020


Markkula, J., Hemming-Harlo, M., & Vesikari, T. (2020). Shedding of oral pentavalent bovine-human reassortant rotavirus vaccine indicates high uptake rate of vaccine and prominence of G-type G1. 38(6), 1378–1383. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2019.12.007


Vos, A., Freuling, C., Ortmann, S., Kretzschmar, A., Mayer, D., Schliephake, A., & Müller, T. (2018). An assessment of shedding with the oral rabies virus vaccine strain SPBN GASGAS in target and non-target species. 36(6), 811–817. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2017.12.076


Yen, C., Jakob, K., Esona, M. D., Peckham, X., Rausch, J., Hull, J. J., Whittier, S., Gentsch, J. R., & LaRussa, P. (2011). Detection of fecal shedding of rotavirus vaccine in infants following their first dose of pentavalent rotavirus vaccine. 29(24), 4151–4155. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2011.03.074

Vaccine Refusal and Information Disregard

Vaccine refusal, particularly for COVID-19, is a complex issue influenced by various factors. Studies suggest that refusal may be reinforced by informational rewards, increased self-esteem, and tribal identity (Brakel & Foxall, 2022). Some argue that vaccine refusers can be epistemically rational and responsible for their beliefs, challenging the legitimacy of compulsory vaccination policies (Meylan & Schmidt, 2023). Research in Ethiopia found that factors such as age, perception of the vaccine, eHealth literacy, information sources, and internet use significantly influence vaccine acceptance (Kalayou & Awol, 2022). Myths, conspiracy theories, and misinformation spread through various channels contribute to vaccine hesitancy, potentially impacting global vaccine programs beyond COVID-19 (Ullah et al., 2021). These findings highlight the multifaceted nature of vaccine refusal and the need for targeted interventions to address hesitancy, considering factors such as information sources, digital literacy, and individual perceptions.

ワクチン拒否の問題は複雑で、多くの要因が関係しています。

  1. 情報の影響:(Brakel & Foxall, 2022)
    • ワクチンを拒否する人は、特定の情報を得ることで自分の選択が正しいと感じたり、トレンドに逆らう事で自尊心を増加したり、自己評価が高まったりすることがあります。
    • また、同じ考えを持つグループに属することで、安心感や一体感を得ることもあります。
  2. 合理的」な信念:(Meylan & Schmidt, 2023)
    • 一部の研究者は、ワクチンを拒否する人々が自分の信念に対して合理的で責任を持っていると考えています。
    • そのため、強制的なワクチン接種政策には異議を唱える意見もあります。
  3. エチオピアでの研究:(Kalayou & Awol, 2022)
    • エチオピアでは、年齢やワクチンに対する認識、デジタルリテラシー(インターネットや電子情報の理解度)、情報源がワクチン受け入れに影響を与えることがわかりました。
  4. 誤情報の影響:(Ullah et al., 2021)
    • 神話や陰謀論、誤った情報が広がることで、ワクチンに対する不安や疑念が生まれます。
    • これらの誤情報は、COVID-19以外のワクチンプログラムにも悪影響を及ぼす可能性があります。

結論とか議論の意味は分かるものの、この領域の研究手法は私の理解が及ばないところ

ワクチンの証拠に関する情報を処理するさまざまな方法により、個々の i がワクチン v を受け入れる確率 (P(accept) で表されます)。パスaは、完全な意図的な無知を表しています。ワクチンの証拠はまったく検査されず、決定は、個々のiとワクチンv(βで示される)に関連する他の要因に基づいています
βiv.

パスbは確率無視を表しており、ワクチンの可能な結果のみが獲得され、その確率は獲得されない部分的な意図的な無知の一種です。このような場合、人々は通常、結果が確実に起こると認識します。しかし、原理的には、確率値を無視して、対応する結果が発生することは不可能であると認識することも可能である。パスcは意図的な無知を表していません。すべての情報が検査されますが、確率情報は非線形確率重み付けによって認知的に歪められる可能性があります。確率重み付け関数の曲率は、このような歪みの程度を測定します。パス (b) から (c) では、無視された確率と重み付けされた確率 w(p) は、対応する結果の主観的値と統合され、モデルでは影響評価 a によって数値的に表され、値関数 v で変換されます。ワクチンの副作用とベネフィットに対する価値関数の傾きの差は、損失回避の尺度を構成し、これは私たちの調査で考慮された2番目の認知の歪みです。

まとめ:

ワクチン拒否の問題を解決するためには、情報源やデジタルリテラシー、個々の認識などを考慮した対策が必要です。

Vaccine Refusal: A Preliminary Interdisciplinary Investigation – PubMed (nih.gov)

Full article: Refusing the COVID-19 vaccine: What’s wrong with that? (tandfonline.com)

https://doi.org/10.2147/RMHP.S366730

Myths and conspiracy theories on vaccines and COVID-19: Potential effect on global vaccine refusals – PMC (nih.gov)

COVID-19 vaccine refusal is driven by deliberate ignorance and cognitive distortions – PubMed (nih.gov)

What are the molecular targeted drugs for cancers with BRCA1 and BRCA2 gene mutations?

What are the molecular targeted drugs for cancers with BRCA1 and BRCA2 gene mutations?

BRCA1およびBRCA2遺伝子変異を持つがんに対する分子標的薬で注目されているのはPARP阻害剤(PARPi)です。現在、FDAに承認されているPARPiは4種類あり、これらはBRCA1/2欠損がんの治療に利用されています(Ragupathi et al., 2023)。

最初に承認されたPARPiであるオラパリブは、BRCA変異を持つ卵巣がん患者の治療において非常に有望な結果を示しています(Venkitaraman, 2009; Tangutoori et al., 2015)。PARPiは、がん細胞のゲノム不安定性を利用してDNA損傷応答を標的とし、従来の化学療法と比較してより腫瘍細胞選択的なアプローチを提供します(O’Connor, 2015)。

PARPiの細胞毒性は、BRCA1/2変異腫瘍の複製が困難なゲノム領域に過剰な複製ストレスを誘導することによると考えられています(Ragupathi et al., 2023)。現在進行中の研究では、PARPiと免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせて臨床結果を向上させる方法が探求されています(Ragupathi et al., 2023)。さらに、PARPiは他のさまざまながんタイプに対しても、単独療法および他の治療法との併用療法としての利用が検討されています(Tangutoori et al., 2015)。

このように、PARP阻害剤はBRCA1/2遺伝子変異を持つがん患者にとって新たな希望となる治療法であり、今後の研究と臨床応用が期待されています。

Molecular targeted drugs for cancers with BRCA1 and BRCA2 gene mutations primarily focus on PARP inhibitors (PARPi). Four FDA-approved PARPi are currently available for treating BRCA1/2-deficient cancers (Ragupathi et al., 2023). Olaparib, the first approved PARPi, has shown promise in treating ovarian cancer patients with BRCA mutations (Venkitaraman, 2009; Tangutoori et al., 2015). PARPi exploit the genomic instability of cancer cells by targeting the DNA damage response, offering a more selective approach compared to traditional chemotherapy (O’Connor, 2015). The cytotoxic effect of PARPi is believed to result from inducing excessive replication stress in difficult-to-replicate genomic regions of BRCA1/2 mutated tumors (Ragupathi et al., 2023). Ongoing research explores combining PARPi with immuno-oncology drugs to enhance clinical outcomes (Ragupathi et al., 2023). Additionally, PARPi are being investigated for use in various other cancer types, both as monotherapies and in combination with other treatments (Tangutoori et al., 2015).

References

O’Connor, M. J. (2015). Targeting the DNA Damage Response in Cancer60(4), 547–560. https://doi.org/10.1016/j.molcel.2015.10.040

Ragupathi, A., Singh, M., Perez, A. M., & Zhang, D. (2023). Targeting the BRCA1/2 deficient cancer with PARP inhibitors: Clinical outcomes and mechanistic insights11, 1133472. https://doi.org/10.3389/fcell.2023.1133472

Tangutoori, S., Baldwin, P., & Sridhar, S. (2015). PARP inhibitors: A new era of targeted therapy81(1), 5–9. https://doi.org/10.1016/j.maturitas.2015.01.015

Venkitaraman, A. R. (2009). Targeting the molecular defect in BRCA-deficient tumors for cancer therapy16(2), 89–90. https://doi.org/10.1016/j.ccr.2009.07.011

図の解説:PARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)は、主に一重鎖DNA切断(single-strand breaks, SSB)の修復に関与しています。具体的には、以下のようなDNAダメージを修復します:

  1. 一重鎖切断(SSB: DNAの片方の鎖が切断される損傷です。PARPはこの損傷を検出し、修復プロセスを開始します。
  2. 塩基除去修復(BER: DNAの塩基が損傷を受けた場合、PARPはこの修復経路に関与し、損傷した塩基を除去し、新しい塩基を挿入するプロセスを助けます。

PARPは、これらの損傷を修復することで、細胞のゲノム安定性を維持し、細胞の生存を助けます。しかし、BRCA1やBRCA2遺伝子に変異がある場合、これらの修復経路が正常に機能しないため、PARP阻害剤(PARPi)はこれらのがん細胞に対して特に効果的です。PARPiはPARPの機能を阻害することで、がん細胞に蓄積するDNA損傷を増加させ、最終的にがん細胞の死を誘導します。

PARP分子と、Olaparibの結合を結晶構造で眺めてみました。この構造だと、PARPたんぱく質に結合したOlaparibは分子の中に深く埋もれているように見えます。(結合した後にたんぱく質の構造変化が起きる?)緑色の分子がolaparibで、それ以外が human PARPのcatalytic domain。下図は下記文献のデータを基にわたくしが作図しました。

Ogden, T. E. H., Yang, J.-C., Schimpl, M., Easton, L. E., Underwood, E., Rawlins, P. B., McCauley, M. M., Langelier, M.-F., Pascal, J. M., Embrey, K. J., & Neuhaus, D. (2021). Dynamics of the HD regulatory subdomain of PARP-1; substrate access and allostery in PARP activation and inhibition49(4), 2266–2288.
https://doi.org/10.1093/nar/gkab020

M pox (monkeypox)

M pox

Mpox(旧称:monkeypox)は、天然痘に似た症状を呈するが、より軽度なウイルス性人獣共通感染症です(Jarrell & Perryman, 2023)。動物から人間へ、また人間同士の直接接触、呼吸器飛沫、汚染物を介して伝播することがあります(Jarrell & Perryman, 2023)。2022年の最近の世界的な流行により、WHOはこれを国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態と宣言しました(Afzal, 2023; Aden et al., 2023)。Mpoxは通常、発熱性の発疹性疾患として現れ、ポリメラーゼ連鎖反応検査によって診断が確認されます(Kumar et al., 2023; Aden et al., 2023)。予防および曝露後予防のために、JYNNEOS®およびACAM2000®の2つのワクチンが利用可能です(Jarrell & Perryman, 2023)。ほとんどの症例は自己制限的ですが、テコビリマット、ブリンシドフォビル、およびシドフォビルなどの抗ウイルス治療がリスクのある集団に対して利用可能です(Jarrell & Perryman, 2023; Afzal, 2023)。この流行は、変化した伝播パターンと世界的な準備および対応努力の必要性についての懸念を引き起こしました(Kumar et al., 2023; Aden et al., 2023)。

References

Aden, D., Zaheer, S., Kumar, R., & Ranga, S. (2023). Monkeypox (Mpox) outbreak during COVID‐19 pandemic—Past and the future. 95(4), e28701. https://doi.org/10.1002/jmv.28701

Afzal, M. F. (2023). MPOX: A RE-EMERGING INFECTION. 34(02), 58–59. https://doi.org/10.51642/ppmj.v34i02.608

Jarrell, L., & Perryman, K. (2023). Mpox (monkeypox): Diagnosis, prevention, and management in adults. 48(4), 13–20. https://doi.org/10.1097/01.NPR.0000000000000025

Kumar, S., Guruparan, D., & Karuppanan, K. (2023). Recent Advances in Monkeypox (Mpox): Characterization, Diagnosis, and Therapeutics – A Multidimensional Review. https://www.semanticscholar.org/paper/Recent-Advances-in-Monkeypox-(Mpox)%3A-Diagnosis%2C-and-Kumar-Guruparan/f14cc79d55402024d5d362dfcdb18c9d9947170b

咳喘息

「咳喘息」についてAI検索してみました

要約してもらった結果が次

咳喘息(Cough variant asthma,CVA)は、慢性的な咳が唯一の症状であり、喘鳴や呼吸困難といった典型的な症状が見られない喘息の一形態です(Johnson & Osborn, 1991; Uryasjev et al., 2020)。
CVAは、気道過敏性、好酸球性炎症、気道リモデリングといった古典的な喘息の特徴を共有しています(Niimi, 2011; Uryasjev et al., 2020)。
これは慢性的な咳の一般的な原因であり、治療しない場合、成人患者の30-40%が古典的な喘息に進行する可能性があります(Niimi, 2011)。
診断にはしばしば気管支拡張薬の経験的試用が含まれ、肺機能検査は正常であることが多いです(Johnson & Osborn, 1991)。
CVA患者は古典的な喘息患者よりも喘鳴の閾値が高く、喘鳴が聞こえる前により大きな気道閉塞が必要です(Koh et al., 1993)。
吸入ステロイドは主要な治療法であり、咳を改善し、気道リモデリングや慢性的な気流閉塞を防ぐことで古典的な喘息への進行リスクを減少させます(Niimi, 2011)。

References

Johnson, D., & Osborn, L. M. (1991). Cough Variant Asthma: A Review of the Clinical Literature. 28(2), 85–90. https://doi.org/10.3109/02770909109082732

Koh, Y. Y., Chae, S. A., & Min, K. U. (1993). Cough variant asthma is associated with a higher wheezing threshold than classic asthma. 23(8), 696–701. https://doi.org/10.1111/j.1365-2222.1993.tb01796.x

Niimi, A. (n.d.). Cough and Asthma. 7(1), 47–54. https://doi.org/10.2174/157339811794109327

Uryasjev, M. O., Михайлович, У. О., Ponomareva, I. V., Борисовна, П. И., Bhar, M. F., Фарес, Б. М., Glotov, S. I., & Иванович, Г. С. (2020). The cough variant asthma. 92(3), 98–101. https://doi.org/10.26442/00403660.2020.03.000404

Vujnović, S. D., Domuz, A., Petrović, S., Vujnović, S. D., Domuz, A., & Petrović, S. (2018). Cough Variant Asthma as a Phenotype of Classic Asthma. IntechOpen. https://www.intechopen.com/chapters/59911

Diabetes mellitus as a long COVID-19 syndrome

Diabetes mellitus as a long COVID-19 syndrome

最近の研究では、COVID-19と新たに発症する糖尿病との間に有意な関連があることが示唆されています。COVID-19後の糖尿病の発症率は1000人年あたり15.53であり、非COVID個体と比較して相対リスクが1.62倍高いことがわかりました(Zhang et al., 2022)。このリスクはすべての年齢層および性別で上昇しており、感染後最初の3ヶ月間でピークに達しました(Zhang et al., 2022)。糖尿病はまた、long COVID-19症候群を発症するリスク要因と考えられています(Kreutzenberg, 2023; Harding et al., 2022)。COVID-19と糖尿病の関係は双方向性であり、糖尿病患者はlong COVID-19を発症しやすいです(Kreutzenberg, 2023)。COVID後の糖尿病の病因は多因子性であり、膵臓のβ細胞への直接的なウイルス効果、自己免疫、および全身性炎症が関与している可能性があります(Kim et al., 2023)。新たな証拠に基づき、一部の研究者はCOVID-19後に発症する新たな糖尿病を独自のpost-COVID症候群として分類し、さらなる研究を提案しています(Kim et al., 2023)。

Recent studies suggest a significant link between COVID-19 and new-onset diabetes. The incidence of diabetes after COVID-19 was found to be 15.53 per 1000 person-years, with a 1.62 times higher relative risk compared to non-COVID individuals (Zhang et al., 2022). This risk was elevated across all age groups and genders, peaking within the first three months post-infection (Zhang et al., 2022). Diabetes is also considered a risk factor for developing long COVID-19 syndrome (Kreutzenberg, 2023; Harding et al., 2022). The relationship between COVID-19 and diabetes is bidirectional, with diabetic patients more likely to develop long COVID-19 (Kreutzenberg, 2023). The etiology of post-COVID diabetes is multifactorial, potentially involving direct viral effects on pancreatic β-cells, autoimmunity, and systemic inflammation (Kim et al., 2023). Given the emerging evidence, some researchers propose classifying new-onset diabetes after COVID-19 as a distinct post-COVID syndrome for further study (Kim et al., 2023).

References

HARDING, J. L., ALI, M. K., GANDER, J. C., & PATZER, R. E. (2022). 174-LB: Diabetes as a Risk Factor for Long-COVID-19—A Scoping Review. 71(Supplement_1), 174-LB. https://doi.org/10.2337/db22-174-LB

Kim, S. H., Arora, I., Hsia, D. S., Knowler, W. C., LeBlanc, E., Mylonakis, E., Pratley, R., & Pittas, A. G. (2023). New-Onset Diabetes After COVID-19. 108(11), e1164–e1174. https://doi.org/10.1210/clinem/dgad284

Kreutzenberg, S. V. de. (2023). Long COVID-19 and diabetes mellitus: a short review. 3(1), N/A-N/A. https://doi.org/10.20517/mtod.2022.30

Taylor, K., Eastwood, S., Walker, V., Cezard, G., Knight, R., Arab, M. A., Wei, Y., Horne, E. M. F., Teece, L., Forbes, H., Walker, A., Fisher, L., Massey, J., Hopcroft, L. E. M., Palmer, T., Coronado, J. C., Ip, S., Davy, S., Dillingham, I., … Zhu, J. (2024). Incidence of diabetes after SARS-CoV-2 infection in England and the implications of COVID-19 vaccination: a retrospective cohort study of 16 million people12(8), 558–568. https://doi.org/10.1016/S2213-8587(24)00159-1

Zhang, T., Mei, Q., Zhang, Z., Walline, J. H., Liu, Y., Zhu, H., & Zhang, S. (2022). Risk for newly diagnosed diabetes after COVID-19: a systematic review and meta-analysis. 20(1), 444. https://doi.org/10.1186/s12916-022-02656-y

ZoteroをWordのツールバーから削除する方法

こんにちは、皆さん!今日は、文献管理ツールについてお話ししたいと思います。特に、私が最近経験したちょっとしたトラブルと、その解決方法についてシェアしますね。

まず、私は長い間「Academic Blogger’s Toolkit」というWordPressプラグインを使っていました。このプラグインは、文献管理からブログの作成まで幅広くサポートしてくれる優れものです。しかし、最近になってこのプラグインがうまく動かなくなってしまいました。何度も手を加えてみたのですが、どうにもならず、ついに別のツールを探すことにしました。

そこで目をつけたのが「Zotero」という文献管理ツールです。試しにインストールしてみたのですが、どうも私には使いにくく感じました。結局、Zoteroをアンインストールすることにしました。

ここで問題が発生しました。通常の方法でZoteroをアンインストールしても、Microsoft WordのツールバーにZoteroのアイコンが残ってしまったのです。これが気持ち悪くて、どうにかして完全に削除したいと思いました。

その方法を見つけたので、皆さんにもシェアしますね。以下の手順でファイルを削除すれば、WordのツールバーからZoteroを完全に消すことができます。

  1. エクスプローラーを開きます。
  2. 次のパスに移動します:
    c://Users/●●●●(ユーザー名)/AppData/Roaming/Microsoft/Word/Startup/
  3. その中にある Zotero.dotm というファイルを削除します。

これで、WordのツールバーからZoteroが消え、スッキリしました!

文献管理ツールはたくさんありますが、自分に合ったものを見つけるのはなかなか大変ですよね。私もまだまだ試行錯誤中ですが、皆さんの参考になれば嬉しいです。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!

Role of GM-CSF in lung balance and ILD

タイトルと同名の文献の一部を紹介​1​。この論文は、顆粒球マクロファージ コロニー刺激因子 (GM-CSF) は、もともと骨髄前駆細胞の顆粒球とマクロファージへの分化を誘導する刺激物として同定された造血増殖因子です。 GM-CSF は現在、多起源の多面発現性サイトカインであると考えられています。 GM-CSF 受容体シグナルは JAK2 を活性化し、JAK-STAT、MAPK、PI3K、およびその他の経路を通じて核シグナルを誘導します。肺サーファクタントの代謝と肺胞マクロファージの成熟と分化を促進することに加えて、GM-CSF は間質性肺疾患、アレルギー性肺疾患、アルコール性肺疾患、肺の細菌、真菌、ウイルス感染症において重要な役割を果たします。

サーファクタントとGM-CSFによる界面活性の恒常性

肺サーファクタントは、約 90% の脂質と 10% のタンパク質で構成されています。脂質の約 80 ~ 90% はリン脂質で、界面活性剤関連タンパク質には SP-A、SP-B、SP-C、および SP-D が含まれます。これらのタンパク質はリン脂質成分の細胞内輸送に関与し、肺胞における界面活性剤特性の維持に寄与します ​2,3​。界面活性剤のリン脂質とタンパク質はⅡ型肺胞上皮細胞(AT2)によって合成され、分泌されます​4,5​ 。界面活性剤は気液界面で単層および多層を形成して表面張力を低下させ、肺胞の崩壊を防ぎます。界面活性剤は、機械的または生物学的作用によって不活性な小さな凝集粒子となり、AT2および 肺胞マクロファージ(AM) によって吸収、再利用、または分解されます​6​

GM-CSF欠損マウスにおける代謝研究では、GM-CSF欠損マウスの肺胞における界面活性剤の蓄積は、GM-CSFシグナル伝達の欠如が界面活性剤の異化作用を損なう一方、界面活性剤の異化作用が損なわれないことが原因であることが示されている。そのリン脂質およびタンパク質の合成または分泌を直接変更します​7​ 。 GM-CSF欠損マウスから単離されたAMのin vitro研究では、SP-Aおよび界面活性剤リン脂質の異化における重大な欠陥、ならびにAMによるSP-AおよびDPPCの分解の顕著な減少が確認された​8​。さらに、肺における GM-CSF 発現が増加したマウスは、AM におけるサーファクタント異化速度の増加を示しますが、GM-CSF 欠損マウス AM によるサーファクタント成分の取り込みは妨げられません​7​ 。これらの結果は、GM-CSFシグナル伝達が存在しない場合、界面活性剤のホメオスタシスにおける主な欠陥は、AMによる界面活性剤タンパク質および脂質の異化作用が不十分であることによって引き起こされることを示唆しており​7​、これは、細胞の増殖のためにAT2からのGM-CSFシグナル伝達が必要であることと関連している可能性がある。 AM の開発と分化。これは、AT2 と AM の間に相互に有益な共生関係があることも示しています。 AT2 由来 GM-CSF は、PU.1 および PPAR-γ の発現を促進することで AM の発生を誘導します。次に、成熟した AM は、AT2 によって生成される界面活性剤を分解し、肺胞環境のバランスを維持するために不可欠です (図2)。

CCBY authors of the literature

CCBY Chen, Li, Hua, Liang, Song​1​

GM-CSFと間質性肺疾患

間質性肺疾患 (ILD) には、肺実質の炎症と線維症を特徴とする一群の不均一性肺疾患が含まれます。 GM-CSF は肺線維症の進行に関与しています。気管支肺胞洗浄液中の GM-CSF 産生は、肺線維症患者で増加します ​9​。 GM-CSFはマクロファージを刺激して線維化促進性サイトカインを産生させ、気道平滑筋細胞の線維化を直接誘導することができます​10,11​ 。自己免疫または炎症機構は、ILD に関連する結合組織病 ( CTD – ILD) の病因において重要な中心的役割を果たしています​12,13​

自己免疫性関節炎のモデルである SKG マウスを酵母多糖類で治療すると、慢性進行性 ILD が発症します。これらのマウスは、肺線維症を伴う、Th17 細胞、GM-CSF 産生 CD4+ T 細胞、CD11b+Gr1+ 好中球の大量の肺浸潤を示します。ナイーブ SKG マウス T 細胞は GM-CSF 産生細胞に分化します。これらはマクロファージによるIL-6およびIL-1βの産生を増強し、それによってIL-17Aおよび/またはGM-CSF産生T細胞の分化と肺への好中球の浸潤を促進します。 GM-CSFの中和はILDの発症を阻止するが、IL-17Aの中和は阻止しないことから、SKGマウスにおけるILDの発症にはIL-17AではなくGM-CSFが重要であることが示唆される​14​。また、GM-CSFがILD発症において重要な役割を果たすことも示したが、これらの著者らは、IL-17A+GM-CSF+好中球がカードラン処理SKGマウスの肺に浸潤した主な炎症細胞であると信じていた​15​

SKGマウスにおける重度の間質性肺疾患の発症には、IL-17ではなくGM-CSFが重要である​14​

ザイモサンで治療した SKG マウスにおける ILD の病理学的および臨床的特徴は、ヒトの重度 CTD-ILD の特徴と類似していました。このマウスの ILD は、Th17 細胞、GM-CSF 産生 CD4 + T 細胞、および線維化を伴う CD11b + Gr1 +好中球の大量浸潤を特徴としていました。ナイーブ T 細胞は GM-CSF 産生細胞に分化するように偏っており、T 細胞によって分泌される GM-CSF はマクロファージによる IL-6 および IL-1β の産生を増強し、その結果、IL-17A および/または GM の分化が増強されました。

Fig4 A SKG T 細胞は、IL-17A 産生細胞と GM-CSF 産生細胞に分化するように偏っていました。​14​

GM-CSF の中和により、浸潤した総 CD4 + T 細胞(特に IL-17A、GM-CSF、および IL-6 産生 CD4 + T 細胞)、CD11b + Gr1 +好中球、および IL- 6 – CD11b + Gr1 マクロファージ/単球を生成します。対照的に、IL-6 シグナルの遮断により減少したのはCD11b + Gr1 +好中球の細胞集団のみであり、IL-17A 中和ではいずれも減少しませんでした。注目すべきことに、主要なGM-CSF産生細胞であるGM-CSF + IL-17A  CD4 +細胞の数は、GM-CSFの中和および部分的にIL-6シグナルの遮断によって減少した。+ IL-17A +細胞は GM-CSF 中和によってのみ減少しました。これらの結果は、このマウスの ILD を治療する最も強力な分子標的は GM-CSF であり、IL-17A、GM-CSF 産生 CD4 + T 細胞、IL-6 産生 CD11b + Gr1 マクロファージの浸潤であることを実証しました。 単球、およびCD11b + Gr1 +好中球は、ザイモサン処理SKGマウスにおけるILDの発症においてGM-CSFアップレギュレーションに続いて進行し、GM-CSFの中和によって阻害することができた。

GM-CSFの中和は、ILDの発症後であってもザイモサン処置SKGマウスにおけるILDの進行を阻害した。これらの結果は、GM-CSFの中和がヒトの重度CTD-ILDの治療戦略として高い可能性を示唆する。

Fig 8 SKGマウスにおけるILDの発症におけるGM-CSFの役割のモデル。 ( A ) ザイモサン処理した BALB/c マウスの T 細胞は、マクロファージ刺激に応答して産生する GM-CSF または IL-17A の量が減少し、IL-17A および GM-CSF 産生 T 細胞の増殖の悪循環は生じません。悪化した。 ( B ) ザイモサン処理した SKG マウスの T 細胞は、マクロファージのサイトカイン産生を刺激する GM-CSF を優先的に産生し、その結果、IL-17A および GM-CSF 産生 T 細胞増殖の悪循環が悪化しました。 ( C – E ) ザイモサン処理 SKG マウスにおける IL-17A 中和 (C)、GM-CSF 中和 (D)、および抗 IL-6R Ab (E) 処理のモデル。​14​

References

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Communicating Risks and Benefits: An Evidence-Based User’s Guide (1)

“Communicating Risks and Benefits: An Evidence-Based User’s Guide”は、リスクと利益のコミュニケーション手法に関する洞察に富んだガイドであり、FDA(アメリカ食品医薬品局)が公表しています。製品やポリシー、サービスのリスクと利益に関連する情報を提供する組織の責任について、経済的観点、法的観点、そして倫理的観点から詳細に解説しています。

この記事では、この書籍PDFをAIに読み込ませて、要約を聞き出して記載しています。引用文献等も付していますが、これもAIが提示したものです。存在までは確認していますが、引用文献等の内容を詳しく確認した訳ではありません。

Introduction

このガイドは、リスクコミュニケーションという概念を用いて、情報の質が人々の健全な選択に影響を与えるシチュエーションを描き出しています。これは公共関係のコミュニケーションとは異なり、真実性への強いコミットメントと情報の歪曲を避けることで特徴付けられています。

具体的には、以下の3つの要素に注目しています:
1. 科学が人間行動のどの側面について語っているのか。
2. それらの科学的発見が実際にどのような意味を持つのか。
3. その科学的知見を基にしたコミュニケーションをどう評価するべきなのか。

このガイドは、コミュニケーションは科学的証拠に基づいているべきであり、既知の問題を無視せず、既知の事実を適切に活用すべきだという前提に立っています。さらに、たとえ最高の科学が提示されていても結果は必ずしも保証されないため、コミュニケーションの評価は必要不可欠であると指摘しています。

冒頭部では、製品、ポリシー、サービスのリスクと利益についての情報を伝える組織が負うべき経済的、法的、そして倫理的な義務が詳述されています。

この責任を果たすことが怠られた場合に生じる高額なコストとして、スリーマイル島、ハリケーン・カトリーナ、ビオックスといった事例が示されています。これらは、重要な情報が適切に提供されなかったと受け取られた場合に生じる事態の極端な例で、これには不適切に取り扱われた製品のリコール、誤ったラベル付けの家電製品、混乱を招く薬の使用指示などが含まれています。

また、序論部ではリスクコミュニケーションという概念が解説されています。これは、人々が適切な判断を下すために必要な高品質な情報を伝える状況を示す語で、その情報の精度へのコミットメントと誤解を避けるための手法で、公共関係のコミュニケーションとは別のものとして描かれています。

最終的に、このガイドが目指すものは、リスクコミュニケーションにおける科学的な結果と、その科学的根拠に基づくコミュニケーションの評価についての理解を深めることであると述べられています。

リスクコミュニケーションと言う概念

リスクコミュニケーションという概念は、特定のリスクに関する情報の伝達を指します。これは、公共の健康や安全に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、意思決定者や一般の人々に情報を提供するための手段として設計されています。

このガイドによれば、リスクコミュニケーションは、人々が健全な選択を行うために必要な高品質の情報を提供する状況で用いられる語彙です。これは公共関係のコミュニケーションとは異なるもので、その特徴は情報の精度へのコミットメントとスピン(情報操作や誤導)の排除にあります。情報が歪んだり、誤解を招くような形で提供されると、それは既に問題を抱えている人々をさらに混乱させ、傷つける可能性があると指摘されています。

リスクコミュニケーションは、リスクの決定がもたらす可能性のある利益(例えば、投資からの収益や医療処置からの健康改善など)とリスク自体を扱う必要があります。したがって、この語彙はある意味で誤解を招く可能性があり、より包括的な語彙よりも扱いやすいとされています。

公共関係のコミュニケーションとリスクコミュニケーションは、いずれも情報伝達の手段ではありますが、目的と対象は異なります。

公共関係のコミュニケーションは、組織のイメージを形成し維持し、そのメッセージを大衆や特定のステークホルダーに伝えることを重視しています。公共関係の活動は、プレスリリースの作成、メディア関係の管理、イベントの企画、企業の社会的責任の実行など、組織の評判向上を目指す多岐に渡る活動を含みます。しかし、公共関係のコミュニケーションは、情報を「スピン」する(つまり、特定の視点や解釈を強調する)ことで批判を受けることがあります。

一方で、リスクコミュニケーションは、特定のリスクについての情報を明確に伝えることに焦点を当てています。これは、人々が自身の健康、安全、環境に影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、適切な意思決定を行うための情報を必要とする状況で使用されます。リスクコミュニケーションは、情報を「スピン」することなく、事実とデータに基づいて正確な情報を提供することにコミットメントを持っています。

したがって、公共関係のコミュニケーションとリスクコミュニケーションの主な違いは、前者が組織のイメージと評判の形成・維持に焦点を当てているのに対し、後者がリスクに関する正確で明確な情報を提供することに焦点を当てている点にあります。

スリーマイル島の事例

スリーマイル島の事例は、アメリカの原子力発電所で発生した重大な事故です。1979年3月28日、ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所で、冷却装置の故障が原因で部分的な炉心溶融が発生しました。これは、原子炉の心臓部である「炉心」が高温化し、制御不能に陥る現象で、原子力事故の中でも最も危険な状態の一つです。

この事故は、事故の発生からその後の対応に至るまで、多くの問題を浮き彫りにしました。特に、原子力関連のリスクコミュニケーションが適切に行われなかったことが大きな問題となりました。

具体的には、事故が発生した際の初期対応が遅れ、住民への適切な情報提供がなされなかったこと、さらには、事故の重大性を低く見積もるなどの誤った情報が流れたことなどが指摘されています。

これらの結果、住民は混乱と不安に陥り、信頼の喪失、パニックの発生、健康への懸念、避難の混乱など、多くの問題が発生しました。

この事例は、リスクと利益についての情報を適切に伝達することの重要性、そしてその際に科学的な根拠に基づいた正確な情報を提供することの重要性を改めて浮き彫りにしました。

スリーマイル島の事例について詳しく記述された文献としては、次のようなものがあります:
1. Walker, J. Samuel. “Three Mile Island: A Nuclear Crisis in Historical Perspective.” University of California Press, 2004.
この書籍では、スリーマイル島の事故がどのように発生し、それがどのように対応されたかについて詳しく記述されています。

2. “The Three Mile Island Nuclear Accident: Lessons and Implications.” Annals of the New York Academy of Sciences, 1981. この論文では、スリーマイル島の事故から得られた教訓とその意味するところについて詳しく議論されています。

これらの文献は、スリーマイル島の事例についての詳細な情報と、その事例から得られる科学的な洞察を提供しています。ただし、直接アクセスするためには購入やサブスクリプションが必要な場合があります。

vioxxの事例

Vioxx(一般名:ロフェコキシブ)は、メルク社が製造販売していた非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)で、関節炎や急性疼痛の治療に使用されていました。Vioxxは、2004年に心臓発作や脳卒中のリスクを高める可能性があるという証拠が明らかになったため、世界中で市場から引き揚げられました。この事件は、薬のリスクと利益に関する情報の透明性と、製薬企業と規制当局の役割についての広範な議論を引き起こしました。

リスクコミュニケーションの目標

“Communicating Risks and Benefits: An Evidence-Based User’s Guide” 第2章では、リスクメッセージが単に情報を共有するためだけでなく、人々の信念や行動を変えることを目指すべきだと強調しています。リスクコミュニケーションのプランニング専門家は、達成したい結果を最初に考え、それらの特定の結果がリソースに合わせて目標を洗練することを提案します。

  1. 情報の共有:リスクコミュニケーションの最も基本的な目標は、リスク情報を伝達することです。これは、人々が何をすべきかについての明確なメッセージを提供することや、情報を瞬時に理解できる形で提供することを必ずしも求めているわけではありません。
  2. 信念の変化:リスクコミュニケーションの次の目標は、人々の知識や信念を変革することです。これは新しい事実を理解することや、リスクに対する認識を変えることを意味します。
  3. 行動の変化:最も高度なリスクコミュニケーションの目標は、人々の行動を変えることです。これはリスクに対する理解を深めるだけでなく、その理解を基に具体的な行動を起こすことを推奨することを指します。

これらの目標は、リスクコミュニケーションの取り組みが何を達成しようとしているのか、そしてそれがどのように評価されるべきかを明らかにするための重要なガイドラインとなります。

第3章「Evaluation」では、コミュニケーションの評価の重要性とその方法について説明しています。形成的評価(コミュニケーションが開発される段階で行われる)、プロセス評価(コミュニケーションがどの程度効果的に配信されたかを評価する)、そして結果評価(コミュニケーションがその目標を達成したかどうかを決定する)という3つの主要な評価方法があります。

  1. 形成的評価:これはコミュニケーションが開発される段階で実施され、最適な内容、形式、配信チャネルを特定するための有用な手法です。
  2. プロセス評価:これはコミュニケーションがどれだけ効果的に配信されたかを評価するもので、リーチ、一貫性、実施などの要素が考慮されます。
  3. 結果評価:これはコミュニケーションがその目標を達成したかどうかを判断するためのもので、リスク認識の変化、行動の変化、またはその他の具体的な成果を測定します。

これらの評価は、コミュニケーションの開発から実施までの各段階で行われ、その効果を最大化するためのフィードバックと改善の機会を提供します。リスクコミュニケーションの目標設定は、達成を目指す具体的な成果に基づいて行われます。

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