シンポジウム「災害下のソーシャル・キャピタルと健康 -復興に向けて」

2月15日に行われるシンポジウムに登壇します。
参加お申込み・詳細はこちら:http://www.jages.net/

研究者向けシンポジウムのお知らせ

”Social capital and Health in disaster-toward restoration”
災害下のソーシャル・キャピタルと健康ー復興に向けて

開催日時:2015年2月15日(日) 13:00~17:00
場所:東京国際フォーラム ホールD7(7階) アクセス  ※受付は6階です.ご注意ください.

挨 拶  近藤 克則 (千葉大学予防医学センター・教授)
講 演 災害下のソーシャル・キャピタルと健康 Ichiro Kawachi (ハーバード大学公衆衛生大学院・教授)
報 告
1.災害復興に向けたソーシャル・キャピタル醸成のための環境整備 近藤 尚己 (東京大学大学院医学系研究科・准教授)
2.東日本大震災後の健康とソーシャルキャピタル 相田 潤 (東北大学大学院歯学研究科・准教授)
3.東日本大震災被災地における地域の結びつきとPTSD  引地 博之 (千葉大学予防医学センター・特任助教)
4.災害とソーシャルキャピタル:実験経済学・行動経済学の見地から 澤田 康幸 (東京大学大学経済学研究科・教授)

17:30~ 懇親会  ※事前振込制,申込みフォームをご参照ください
参加のお申し込みはこちらからどうぞ。
http://www.jages.net/

論文執筆関係のセミナーに登壇します(1月21日)

Journal of Epidemiology 編集委員に聞く! ~いい論文を書くには~

1月21日名古屋で行われる日本疫学会学術総会の関連企画「Journal of Epidemiology 編集委員に聞く! ~いい論文を書くには~」に演者として登壇します。

日時 2015年1月21日(水) 18:00~20:00
場所 ウインクあいち・小ホール
参加費 無料(年齢、会員・非会員問わず、どなたでもご参加いただけます)
演者 ・井上真奈美先生(JE編集委員長・東京大学)
・松尾恵太郎先生(JE副編集委員長・九州大学)
・近藤尚己先生(JE編集委員・東京大学)
・浅尾啓子先生(University of Tennessee Health Science Center)
内容 ・論文査読、採否の仕組み(どうしたら”通る”論文が書ける?!
・たくさん論文を書いている人のお仕事術(どうしたらたくさん書ける?)
・総合討論
司会 伊藤ゆり(大阪府立成人病センター)
詳細 こちらをご覧ください(PDF)

論文出版:高齢の被災者―買い物環境までの距離が遠いと閉じこもりに:陸前高田市健康生活調査

2011年の東日本大震災の津波で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市では、同市が実施した調査データを分析したところ、小売店やバス停、移動販売などが行われる場所までの距離が遠い自宅に住んでいる高齢者ほど、外出頻度が少なく「閉じこもり」になりやすいことがわかりました。

一方で、一部の地域では、震災後、地元スーパーなどが開始した買い物バス等により、買い物環境までのアクセスが大幅に緩和しているケースも見られました。災害復興における、官民のパートナーシップが良い効果を生み出している事例といえるかもしれません。

復興住宅の建設が進むなど、コミュニティの再生が正念場を迎えています。新たな地域環境の整備を進める際の参考になればと思います。

論文は、15日に老年学の最高峰のひとつである英国のAge and Ageing誌から出版されました。

論文はこちら(無料でダウンロードが可能です)

所属研究グループより:(日経記事)男性のうつ7分の1に 趣味の集まりで中心メンバー

日本老年学的評価研究 高齢者の社会参加状況を調査し、その後の要介護の発生を観察しました。ボランティアやスポーツ関係、老人クラブなどのグループに参加しいること、さらにその中で世話役などをするなど、積極区的に参加しているほど自立した生活を長く営めることがわかりました。

日経新聞電子版記事: http://www.nikkei.com/news/print-article/?R_FLG=0&bf=0&ng=DGXLASDG0402Q_V00C14A9CR0000&uah=DF_SOKUHO_0010

NHK NEWSWEBで報道:育児休暇が取れないと子どものワクチン接種がおろそかに

2014年9月5日金曜日のNHK NEWSWEBで、研究結果が報道されました。

日本では、生後2歳までに政府が接種を強く推奨し、無料で受けられるワクチンが14種類ありますが、すべてを完了できていない子どもがいます。

所属講座の主任である東京大学大学院橋本英樹教授を中心とするメンバーで実施した、東京近郊の子どものいる世帯を対象とした追跡研究のデータを用いて、ワクチンの接種状況、および摂取状況と関連する世帯の状況との関係を統計的に検証しました。

その結果、生後36か月までに終了できていないワクチンがある子どもが、BCGで1.3%、ポリオが5.8%、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の混合ワクチンが22.9%。いることがわかりました。

また、両親の就業状況都の関連について検討したところ、専業主婦など母親が働いていない世帯の子どもにくらべて、産後育児休暇をとらずに働きはじめた母親の場合、ワクチン接種を予定通りで来ていない世帯が、世帯の経済状況やお母さんの学歴、子どもの出生順などとは無関係に、2.9倍も多いことがわかりました。父親の就労状況などとの関連はあまり見られませんでした。現状では、子育ての中心がお母さんにあることから、このような関係がみられたのだと思います。

番組では、今後子どもを持つ場合の条件として、働きながら子育てできる職場環境が必要と答えた人が62%もいるという少子化社会対策白書のデータが紹介されました。

番組では、私のコメントとして「育児休暇が取りにくい職場環境が影響している。仕事と家庭のバランスに苦しむ母親への支援や、環境整備が重要」との言葉が紹介されました。

一方で、番組中のツイートの中には「日本には母子家庭しかないわけじゃなかろうに、父親はなにやってんだよ? なんで母親だけの責任になってんの? @yuki_bateauivre」という興味深いものがありました。これは要な指摘だと思います。

今後、ワクチン接種や乳幼児健診などを含め、子育てに責任を持つ父親が増えれば、父親、母親にかかわらず、育児休暇を積極的にとりやすいような職場の雰囲気や環境整備、国の制度のアレンジなどが、子どもが適切な保健サービスを受けるためにも重要になってくると思われます。

関連する論文は、特任研究員の上田路子を筆頭とした学術論文としてPreventive Medicine誌に掲載されています。

http://www3.nhk.or.jp/news/newsweb/

関連するウェブ上の記事:http://e.jcc.jp/news/8713277/

論文が学術誌のジャーナリスト向けニュースレターに掲載されました:ワクチン接種の社会経済格差

先月、予防医学に関する国際学術誌「Preventive Medicine」に掲載された、日本の子どもにおけるワクチン接種の格差についての論文が、同雑誌が発行しているジャーナリスト向けニュースレターに掲載されました。

概要
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タイトル「母親の就労状況、社会経済状況、学歴と子どものワクチン接種の関係:日本の世帯調査データより」

出産後、多くの女性が職場復帰することに難しさを感じています。今回「予防医学」誌より報告された新しい研究では、1727名の子どもの親に対してインタビュー調査がされ、母親の産後の就労状況や育児休暇の取得状況と子どものワクチン接種の状況との関係が統計的に検証されました。その結果、生後36か月時点で就労している母親のほうが、子どもへのワクチンを制度によって推奨されているスケジュール通り接種できていないことがわかりました。

特に、育児休暇をとらずに就労しているお母さんは、育児休暇をとったあと就労しているお母さんの場合よりもさらにワクチン接種がされていないという結果でした。これらは、お母さんの年齢や学歴、両親からの支援、子どもの年齢や出生順などの影響を除いても確認された傾向でした。

さらに、母親の学歴(高校卒業未満)、年齢(若い) 、母親の母からの支援が少ない、なども、子どもがスケジュール通りワクチンを打てていないことと統計的に有意に関連していました。
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ニュースレターURL: http://kaizo.cmail1.com/t/ViewEmail/r/FED8C3015AF03F3F2540EF23F30FEDED
雑誌URL: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0091743514001844

新しい論文が出版されました:スウェーデンの就労世代の健康格差拡大

多くの先進国で、近年健康格差の拡大が懸念されています。

本日、英国の学術誌Journal of Epidemiology and Community Healthより出版され論文で、福祉国家として最も長い歴史を持つスウェーデンの就労世代の男女でも、所得階層間の死亡率が90年台から上昇していることが示されました。

論文はこちら(無料で読めます):http://jech.bmj.com/content/early/2014/08/20/jech-2013-203619.full

スウェーデンでは、一定の許可のもとで、全国民の様々な統計情報を研究等の目的で使用することができます。今回、1990年から2004年までの間の住民票の情報や所得情報等を、30歳以上65歳未満の全国民について取得し、3年後の生存の有無の情報と結合することで、繰り返しの追跡調査、というデザインの分析を行いました。その結果、男性では90年代以降、緩やかに所得階層による死亡率の格差が拡大たことがわかりました。つまり、低所得の人と高所得の人それぞれが3年以内に死亡する確率の差が拡大したということです。特に低所得者の死亡リスクが上昇している傾向が観察されました。

さらに、女性では、男性以上に、特に1995年以降上昇のスピードが高まったことがわかりました。

同国では90年台前半に深刻な経済不況が起こり、社会保障制度や税制改革が行われ、経済弱者への保護施策に一定の減弱が起きたことが知られています。今回観察された結果は、そういった制度の影響によるかのうせいが考えられ、今後検証を進めていくことが必要と思われます。

女性のほうで顕著に格差が拡大していることに理由としては、スウェーデンの女性は約8割が公的機関で働ていることが関係している可能性が考えられます。公的機関の労働者は、民間企業の労働者よりも、そういった制度の影響を直接受けやすいからです。

お知らせ:日本疫学会サマーセミナー2014 – 臨床研究の理論と実践 –

日本疫学会サマーセミナー2014 – 臨床研究の理論と実践 –

本セミナーは、臨床研究の実践に結びつく計画立案までを、疫学の基礎的事項と具体例に基づいて学ぶことを目的に、下記のように実施します。皆さま奮ってご参加ください。非会員の方の参加も歓迎します。

詳細は以下:
http://jeaweb.jp/activities/seminars/20140830.html