田口 歩 Ayumi Taguchi
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- 出身地
- 京都府
- 略歴
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2008年 東京大学医学部卒業 2008年 がん研究会有明病院 研修医 2009年 東京大学付属病院 研修医 2010年 国立国際医療研究センター 2011年~現在 東京大学医学部医学科 大学院在籍 2013年~現在 JCHO東京新宿メディカルセンター 勤務
これから研修を受ける方へのメッセージ
平成20年卒の田口歩と申します。
産婦人科は出産から更年期、腫瘍、さらにはリプロダクションと女性の一生と関わっていく科であり、広い分野の中でそれぞれの専門性の高い領域でもあります。
私が産婦人科を志した原点は癌研究会有明病院での初期研修一年目の経験が大きかったように思います。そこで、婦人科癌の治療に触れたことや腹腔鏡手術に魅了されたことが最初のきっかけとなりました。研修2年目は東大病院ローテーションであったため、9ヶ月の産婦人科研修を選択し、腫瘍・周産期・生殖の3分野を3ヶ月ずつ研修しました。その後、国立国際医療センターで後期研修を行い、4年目から大学院に進学しました。現在は大学院に所属しながら、JCHO東京新宿メディカルセンターで臨床業務を行いつつ研究を行っております。
医局に入って良かったことはたくさんありますが、私にとって一番大きかったのは、何と言っても知的好奇心が満たされる環境が整っていることです。日々の疑問点やアイディアが、医局の豊富なカンファレンスあるいは身近な先生方とのディスカッションの中で、解決・昇華され全てが意味付けされていきます。これは、長い伝統と豊富な人材という基盤の上に、最先端の知識を日々更新し続けてきた組織ならではの大きな強みであると感じます。
産婦人科は外科学の一分野であり、手術やお産など、その多彩な臨床に魅力があるのは言うまでもありません。一方で、基礎研究の観点から見ても、非常に面白い分野です。基礎研究の3本柱に、周産期、内膜症、腫瘍がありますが、その全てにおいて「炎症」や「免疫」といった現在の医学研究のメイントピックが深く関わってきます。
例えば妊娠と癌を、免疫の観点から見てみましょう。胎児は母体にとって半分は異物であり、これを母体内で維持するには、胎盤における免疫を抑制する必要があります。一方、癌は人体に害でなす異物であり本来は排除されるはずですが、癌が宿主の免疫を様々な方法で抑制することで、排除されずに生き延びます。このように、妊娠と癌という、一見まったく関係なさそうな現象の裏に、同じような機序が働いていることが分かります。我々人間が異物を排除して生き延び、子孫を残していく営みは、一見何でもないように見えますが、非自己を排除する機構と許容する機構の絶妙なバランスの上に成り立っているのです。このように、人体の本質そのものに迫れる可能性を持っているのも産婦人科の大きな魅力の一つだと思います。
知的好奇心と熱意がある方は、是非この医局の門を叩いてみてください。きっと想像もしなかった世界があなたを待っていると思います。
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