目次: CAMPUS HEALTH、 エマージェンシー・ケア、Endocrine Journal、 ER Magazine、Expert Nurse、 Heart View、JHAC、 Medical Digest、 Medical Gases、 Modern Media、 The Tohoku Journal of Experimental Medicine、 Therapeutic Research、旭中央病院医報、赤穂市民病院誌、麻布大学雑誌、 医学と医療、医学のあゆみ、 石川看護雑誌、 医道の日本、茨城県母性衛生学会誌、 医療、医療放射線防護Newsletter、 岩手県立大学看護学部紀要、 インターナショナルナーシングレビュー、 愛媛県立病院学会会誌、大阪府理学療法士会誌、 香川県内科医会誌、鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要、家畜診療、学校保健研究、神奈川医学会雑誌、看護、看護学雑誌、 看護教育、看護研究、 看護情報研究会論文集、看護展望、 看護部マネジメント、感染制御、 感染防止、感染と消毒、北関東医学、救急・集中治療、救急医療ジャーナル、九州救急医学雑誌、京都市立病院紀要、共立女子短期大学看護学科紀要、緊急被ばく医療初動対応の手引き、群馬県救急医療懇談会誌、群馬パース大学紀要、月刊福祉、血液事業、検査と技術、公衆衛生、高知女子大学紀要、国立病院看護研究学会誌、呼吸器科、呼吸と循環、 国際保健医療、こころの科学、こころの健康、心と社会、最新医学、作業療法ジャーナル、自衛隊札幌病院研究年報、小児科、小児内科、 食品衛生研究、助産師、心身医学、心的トラウマ研究、腎と透析、 砂川市立病院医学雑誌、精神医学、精神科看護、精神認知とOT、精神療法、整形・災害外科、整形外科と災害外科、生命倫理、全国自治体病院協議会雑誌、綜合ケア、 綜合臨床、高崎医学、 地域医学、地域医療、地域救急災害医療研究、千葉大学看護学部紀要、チャイルド ヘルス、中国四国地区国立病院機構・国立療養所看護研究学会誌、中毒研究、中濃厚生病院年報、中部日本整形外科災害外科学会雑誌、治療、治療学、電子情報通信学会技術研究報告、デンタルハイジーン、東京医科大学雑誌、 東京慈恵会医科大学附属柏病院医学年報、東京都歯科医師会雑誌、 東京都病院薬剤師会雑誌、透析ケア、鳥取医学雑誌、トラウマティック・ストレス、 ナーシング、ナーシング・トゥデイ、 ナース専科、長岡看護福祉専門学校紀要、長崎医学会雑誌、長野県看護大学紀要、長野県透析研究会誌、新潟医学会雑誌、新潟県医師会報、 新潟大学医学部保健学科紀要、 新潟薬科大学研究報告、西尾市民病院紀要、 西九州大学・佐賀短期大学紀要、 日赤検査、新田塚医療福祉センター雑誌、 日独医報、日本足の外科学会雑誌、 日本医師会雑誌、日本医事新報、日本遠隔医療学会雑誌、日本看護学会論文集、 日本看護科学会誌、 日本看護学教育学会誌、日本救急医学会関東地方会雑誌、日本救急医学会中部地方会誌、日本胸部臨床、日本航空医療学会雑誌、日本呼吸器学会雑誌、日本呼吸管理学会誌、日本在宅ケア学会誌、日本災害看護学会雑誌、日本歯科医師会雑誌、日本社会精神医学会雑誌、日本手術医学会誌、日本手術看護学会誌、日本獣医師会雑誌、日本集団災害医会誌、日本小児科医会会報、 日本職業・災害医学会会誌、日本食品微生物学会雑誌、日本精神科病院協会雑誌、日本赤十字豊田看護大学紀要、日本赤十字広島看護大学紀要、日本赤十字武蔵野短期大学紀要、日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会誌、日本透析医会雑誌、日本病院会雑誌、日本病院薬剤師会雑誌、日本放射線技師会雑誌、日本保健科学学会誌、日本未熟児新生児学会雑誌、ハートナーシング、病院・地域精神医学、兵庫県立大学地域ケア開発研究所研究活動報告集、広島医学、プラクティス、プレホスピタルケア、へき地・離島救急医療研究会誌、 防衛衛生、放射線防護医療、 北海道医療大学看護福祉学部学会誌、 保健物理、ほすぴたる らいぶらりあん、 保団連、薬学雑誌、 薬事、薬事新報、 薬局、山形保健医療研究、 山口県看護研究学会学術集会プログラム、 リウマチ科、理学療法ジャーナル、 臨床看護、臨床スポーツ医学、 臨床精神医学、臨床透析、 臨床と研究、臨床麻酔、臨床リウマチ 連携医療、老年社会科学
■CAMPUS HEALTH
■EMERGENCY CARE
特集・地震を巡って
Abstract:2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故に対する,日本集団災害医学会の調査結果のうち,「プレホスピタルケア」「被災傷病者と搬入病院」「転院搬送」「医療救護活動の特徴」などについて報告した.
■ER Magazine
■Endocrine Journal
■Expert Nurse
■Heart View
■JHAC
■Medical Digest
■Psychiatry and Clinical Neurosciences
■Modern Media
■The Tohoku Journal of Experimental Medicine
■Therapeutic Research
■赤穂市民病院誌
■麻布大学雑誌
■医学と医療
■医学のあゆみ
■石川看護雑誌
■医道の日本
■茨城県母性衛生学会誌
■医療
■医療放射線防護Newsletter
■岩手県立大学看護学部紀要
■インターナショナルナーシングレビュー
■愛媛県立病院学会会誌
■オペナーシング ■大阪府理学療法士会誌
■香川県内科医会誌
■鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要
■家畜診療
■学校保健研究
■神奈川医学会雑誌
■看護
■看護学雑誌
■看護教育
■看護研究
■看護情報研究会論文集
■看護展望
■看護部マネジメント
■感染制御
■感染防止
■感染と消毒
■北関東医学
■救急・集中治療
■救急医療ジャーナル
■九州救急医学雑誌
■京都市立病院紀要
■共立女子短期大学看護学科紀要
■緊急被ばく医療初動対応の手引き
■群馬県救急医療懇談会誌
■群馬パース大学紀要
■「緊急被ばく医療」ニュースレター ■月刊福祉
■血液事業
■公衆衛生
■検査と技術
■高知女子大学紀要(看護学部編)
■国立病院看護研究学会誌
■呼吸器科
■呼吸と循環
■国際保健医療
■こころの科学
■こころの健康
■こころと社会
■最新医学
■作業療法ジャーナル
■自衛隊札幌病院研究年報
■小児科
■小児内科
■食品衛生研究
■助産師
■心身医学
■心的トラウマ研究
■腎と透析
■砂川市立病院医学雑誌
■精神医学
■精神科看護
■精神認知とOT
■精神療法
■整形・災害外科
■整形外科と災害外科
■生命倫理
■全国自治体病院協議会雑誌
■地域救急災害医療研究
■千葉大学看護学部紀要
■総合ケア
■総合臨床
■高崎医学
■地域医学
■地域医療
■千葉大学看護学部紀要
■チャイルド ヘルス
■中国四国地区国立病院機構・国立療養所看護研究学会誌
■中毒研究
■中濃厚生病院年報
■中部日本整形外科災害外科学会雑誌
■治療
■治療学
■電子情報通信学会技術研究報告(MEとバイオサイバネティックス)
■デンタルハイジーン
■東京医科大学雑誌
■東京慈恵会医科大学附属柏病院医学年報
■東京都歯科医師会雑誌
■東京都病院薬剤師会雑誌
■日本赤十字武蔵野短期大学紀要
■日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会誌
■透析ケア
■鳥取医学雑誌
■トラウマティック・ストレス
■ナーシング
■ナーシング・トゥデイ
■ナース専科
■長岡看護福祉専門学校紀要
■長崎医学会雑誌
■長野県看護大学紀要
■長野県透析研究会誌
■西九州大学・佐賀短期大学紀要
■日赤検査
■新田塚医療福祉センター雑誌
■日独医報
■日本足の外科学会雑誌
■新潟医学会雑誌
■新潟県医師会報
■日本医師会雑誌
■新潟大学医学部保健学科紀要
■新潟薬科大学研究報告
■西尾市民病院紀要
■日本医事新報
■日本遠隔医療学会雑誌
■日本看護学会論文集
■日本看護学会論文集
■日本看護学会論文集
■日本救急医学会関東地方会雑誌
Abstract:2004年10月、新潟県中越地方にM6.8の大地震が発生し、強い余震が2ヵ月間続いた。この地震が、さまざまな内分泌障害を有する患者計229例[中枢性尿崩症(CDI)6例、汎下垂体機能低下5例を含む副腎不全(AI)16例、ACTH単独欠損症10例、Addison病1例、Graves病145例、橋本病62例]に及ぼした影響を分析した。CDIおよびAIを有する患者には地震による悪影響はみられなかった。Graves病の28例では甲状腺機能亢進症の重症度が増し、橋本病の3例ではTSH濃度が上昇した。PTSDスコアはCDI患者と橋本病患者が有意に高く、AI患者は精神状態のサブスコアが他の患者に比して有意に低かった。橋本病患者は甲状腺機能低下が亢進した患者の方が安定していた患者よりも総合スコアおよび環境影響スコアが有意に高かった。甲状腺機能亢進症について分析したところ、血清TRAbが同疾患の危険因子であることがわかった。災害時に備え、患者は常に病歴、薬歴等のメモを持ち歩く必要があり、マスメディアをはじめとするあらゆる手段により適切な情報が提供されるべきでる。
特集・災害、そのとき何が起こった?何を備えるべきか?
Abstract:地震がもたらす心理学的影響について検討した.対象は1999年8月17日にトルコのマルマラで起きた地震を体験した学生3609名で,鬱病や他の心理・病理的状態のレベルを評価するためにBeck鬱病評価尺度(BID)を使用した.BIDスコアは13以下を軽度,25以上を重度,その間を中等度に分類すると,学生の鬱病レベルは軽度及び重度が各々71.5%及び9.6%であった.本研究における自殺念慮の割合は16.7%であったが,自身や親族が医療処置を受ける程度の重度の障害を受けた学生では1.76倍になった.また,親族を亡くした学生及び被害を経験した学生の自殺念慮は各々1.57倍及び1.35倍になった.更に,性別による影響も受け,女性は男性より0.71倍低かった.以上より,地震による自身や最愛の人への障害,自宅や不動産への損害,家族の喪失の体験は,自殺念慮を促進すると思われる.
Abstract:地震2日後の2004年10月25日から11月30日までに長岡市内の医療機関を受診し採血された被災者486名の凍結保存血漿を試料として凝血分子マーカーの測定を行い,避難形態の違い(車中泊・非難所・自宅)による差異と経時的変化について検討した.また,地震6ヵ月後の2005年4月20日から12月20日までに受診した被災者335名に下肢静脈エコー検査を行い,血栓の頻度を調査した.地震直後(7日目まで)のフィブリンモノマーコンプレックス(FMC)値は車中泊群で基準値より高値を示し,また同群は避難所群・自宅群に比べて有意に高値であった.車中泊群について泊数とFMC値の関連を調べたところ3泊以上になると有意に上昇していた.地震直後のD-dimer値は3群とも基準値より低かった.地震1ヵ月後のFMC値は地震直後に比べ車中泊群と避難所群で有意に低下していた.下肢静脈エコー検査の結果,血栓を認めたものは49名(14.6%)と高頻度であり,震災後6ヵ月経過しても影響が残っていることが示唆された.避難形態別で血栓陽性率を比較したところ有意差は認められなかった.
Abstract:地震後約1年経過した2005年9月30日〜10月2日に被災経験者278名(長岡市157名,小千谷市121名)に下肢静脈エコー検査を行い,深部静脈血栓症(DVT)の頻度を調査した.長岡市の被災経験者(長岡市群)において被災時に車中泊避難した割合は80.3%,小千谷市群は100%であった.DVT陽性率は長岡市群5.7%,小千谷市群12.4%と後者が有意に高く,車中泊がDVTの発生に影響を及ぼした可能性が示唆された.下肢静脈エコーにおけるヒラメ静脈最大径(以下A)とDVTとの関連について検討したところ,DVT有り群は無し群に比べてAが有意に大きかった.被災経験者のA平均値を対照群(新潟大学病院の看護師59名)と比較したところ被災経験群が有意に大きかった.
Abstract:石川県内の医療施設の災害に備えた取り組みの実態を明らかにすることを目的に,看護管理者を対象にアンケート調査を実施し,85名より回答を得た(回収率76.6%).その結果,石川県内の医療施設における災害に備えた取り組みは,防災訓練,災害遭遇想定マニュアル,避難所の確保,食品や備品の備蓄,ライフラインの確保,の順で整備されていることが分かった.また,医療施設における災害に備えた取り組みには,所在地域・設置主体・病床数・災害対応経験が関連していることが分かった.
特集・地震災害時の医療を考える
特集・医療用放射線源に対する安全とセキュリティの対応と課題
Abstract:在宅療養者版パンフレットの活用状況を明らかにし,有効な活用方法を検討し,さらに高齢者や寝たきりの療養者に対する災害時の対策を検討し,訪問看護師及び訪問看護利用者(利用者),家族の防災意識向上に向けた活動を行った.在宅療養者版パンフレットの活用状況に関する調査では,全員が在宅療養者版パンフレットは役立ちそうと回答した.6割以上のものが役立つと回答した項目は「医療面での備えについて」「避難に手助けが必要な方とご家族へ」「災害時にはこんな点に注意しましょう」であった.在宅療養者版パンフレットを読んで災害に向けて何か準備しようと思うかについては89.3%が「はい」と回答した.訪問看護ステーション利用者マップについては「自分のステーションでも作ってみたい」などの反応が得られた.
特集・広域災害と理学療法
Abstract:2004年8月30日,台風16号が香川県西北を通過し想定外の浸水"高潮被害"が戦後最大規模で発生した.市内浸水地域13町のHOT施行者22名の被害状況をHOTプロバイダーと香川県内科医会呼吸器部会の協力を得て検討した.対象患者は,22名(男性12名,女性10名)で,医療機関は5病院2診療所であった.床上浸水11名,床下浸水4名,支障なし7名であった.床上浸水11名のうち酸素ボンベ配送5名,2階へ酸素濃縮器を移設3名,当日酸素濃縮器を交換1名,ボンベ点検のみ1名,入院中1名であった.被害状況の把握とボンベ配送が優先された.高潮被害により6名(27%)に合併症がみられ,入院などを余儀なくされた.患者側で今後の対策を立てたのは5名(23%)であった.診療所・病院で対策を立てたのは2施設(29%)であった.高潮被害は,台風の風水害による直接被害とは異なり認識不足のため,浸水被害の程度が事前に予想しにくく対策が難しかった.想定外の高潮被害を経験し,HOT患者の今後の危機管理に役立てる目的で検討を行った.
Abstract:鹿児島県の特定給食施設における非常用食料の実態を調査した。鹿児島県内の集団給食施設に2004年(平成16年)10月から11月にかけて155施設にアンケート調査を依頼し,124施設(回収率80%)から回答を得た。施設の内訳は,病院(52施設),学校給食(32施設),保育園(20施設),社会福祉施設(14施設),寮(4施設),自衛隊(2施設)である。災害に備えての施設ごとの備蓄状況については,備蓄のある施設が37%(46施設),備蓄のない施設が63%(78施設)であった。非常食のある施設における設置時期は1997年(平成7年)に発生した阪神・淡路大震災以降が多く,全体の85%を占めていた。備蓄食品例については主食,主菜,副菜,果物,飲み物・スープ,特殊食品,その他に分類した。保存量については52%において2〜3日分を備蓄していた。非常食の条件では「調理にあまり手間のかからないもの」が44%,「長期保存に耐えるもの」が37%であった。非常食の更新については「品質保持期限または賞味期限の範囲内で行う」が55%,「適宜行っている」が35%であった。備蓄への考えについては学校・学校給食センター,保育所においては非常時,休校となるため,現時点では特に非常食の備蓄は検討していないと言える。全施設においては非常食を利用するような事態への遭遇は7%であった。
特集・災害看護の現場から 災害看護学構築に向けて
Abstract:著者らがWeb上に開発・作成した「災害看護文献検索システム」について報告した.同システムの特長は,一般住民や専門家といった対象に応じた検索機能,研究者が文献を追加登録できる機能,データ抽出とテキストマイニングツールとの連携機能の付加,ユーザー管理画面の設定が可能などで,専門家向けのサイトには,著者ら研究者が自身の視点で文献を分析・作成した内容が含まれている.
特集・看護基礎教育で教える災害看護 新たなカリキュラム構築の実現
特集・この事例に学べば災害対策は大丈夫 病院・施設の防災"実戦"ハンドブック
Abstract:新潟県中越地震を契機に発症した重症全結腸型潰瘍性大腸炎の1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で,2003年の検診で便潜血が陽性となったが,大腸内視鏡検査では異常なかった.2004年10月23日の新潟県中越地震後より下痢が続いていた.症状が改善しないため近医を受診し,諸治療を受けるも下痢が改善せず,発熱,血便が加わったため,当科紹介となった.大腸内視鏡検査で,直腸から連続する出血を伴った深掘れ潰瘍が判明し,全身症状,血液生化学検査所見から重症全結腸型潰瘍性大腸炎の活動期と診断した.prednisolone静注,5-aminosalicylic acidの内服とgranulocytapheresis(以下,GCAP)で治療を開始した.発熱や腹痛は徐々に改善したが,下血は続き,GCAP 1クール終了した時点の大腸内視鏡検査所見の改善は乏しかった.手術も考慮したが,GCAP2クール目にazathioprineを併用したところ寛解となった.2005年9月より職場に復帰し,現在は通院加療中である。
特集・救急・集中治療ガイドライン 最新の診療指針
シリーズ・Let's start!災害医療
Abstract:噴火災害における避難所での救護活動のアセスメント能力を明らかにすることを目的に、有珠山噴火災害、三宅島噴火災害、新島噴火災害において避難所での救護活動を行った日本赤十字社の看護師4名を対象に、半構成的面接を実施した。内容分析の結果、以下の3つのカテゴリー、および各サブカテゴリーが抽出された。1)【情報収集に関するカテゴリー】(サブカテゴリー:「ネットワークを作り情報交換を行い、被災地の状況を推測する」)。2)【援助技術に関するカテゴリー】(「環境が与える影響を予測する」「感染に対する知識を活用」「物品の有効活用と調達ルートの活用」「被災者の感情に寄り添う」)。3)【自己認識に関するカテゴリー】(「自分たちの行動の範囲と限界を知る」「自己の役割を認識し自己統制する」「情報収集をもとに自己の救護体制を整える」)。
Abstract:平成16年10月23日の新潟中越地震に対し、10月26日から28日まで当院の医師、薬剤師、事務各1名、看護師2名の計5名が現地入りし、医療活動を行った。活動開始した子育て支援センター及び泉水小学校の一帯は、震災後初めて医療班が入ったvirgin areaであった。子育て支援センターで19名、泉水小学校で19名、老人保健施設末広荘で19名の計57名を診察した。60歳以上の受診が全体の半数以上を占めていたが、10代も6名受診した。疾患別には慢性疾患に対する投薬希望者が24名と最も多く、次いで外傷11名、熱傷6名、感冒5名であり、緊急に転送を要するような重症患者はいなかった。診療内容では投薬を35名、処置を10名に行い、10名には診察のみを実施した。本人ではなく家族が受診して投薬を希望された慢性疾患患者も2名いた。大部分は持参した薬剤で対処したが、特殊な薬剤は別途手配した。小児科関連の患者も意外に多く見受けられ、メンタルケアを要する患者にも遭遇した。
Abstract:新潟県中越地震発生3日後に、当院より医師・薬剤師・看護師2名・事務の計5名を派遣し、自動車で看護物品を搬送した。一次救急終了後の活動であった為、持参した看護物品に不足は無かった。看護物品はダンボール箱に収納したが、瞬時に取り出す事が困難であり、必要最低限度の看護物品と収納方法の検討が必要と考えられた。精神疾患をもつ被災者の対応は、地元保健師との連絡を取り対応した。また、その他被災者の精神的ケアの必要性も感じられた。災害本部との連絡方法は携帯電話が使用できたが、ライフラインの停止を考えて今後は無線機を使用した方が良いと考えられた。災害活動後、収納ケースの物品を瞬時に取り出せるようなケースを購入し、除細動器、トランシーバー、衛生携帯電話、携帯型人工呼吸器、看護物品など災害時に直ぐに対応できる態勢を整え備えた。持参する看護物品に対しては、被災地の情報を聞き物品の増減を図っていく必要があると考察した。
Abstract:「災害時生活体験」の授業の一環として本学(大学保健科学部)1年次の夏休みに実施した生活体験キャンプにおける学生の意識の変化を明らかにすることを目的に,42名のアンケート調査,および体験記録を分析した.その結果,88%の学生が,生活体験キャンプを通して災害に対する意識が変化したと回答しており,影響を与えた要因として,事前学習や準備状況,入浴せずに清潔にしたこと,グループ内の連携,資源の工夫,水の制限,演習による学習,が明らかになった。
特集・災害医療 呼吸器科医への提言
Abstract:国際緊急援助活動(IDR)における看護師の役割は、派遣された医療チームの状況により様々であり、過去には準医師的業務を実施したという報告もある。本研究は、従来あいまいであったIDRにおける看護師の役割を明確にし、どの様な業務を看護師の役割として考えるべきかを検討した。過去にIDRに参加した経験のある医療従事者61名を対象に、自記式質問紙調査票を郵送にて配布した。調査期間は2005年9月1日〜12月31日の4ヵ月間である。調査内容は、先行研究等で実際に看護師が実施したと報告された業務内容17項目を抽出し、それぞれの業務が適切であるか、またIDRで求められる看護師の役割についての意識調査を実施した。回収は53名で、有効回答を得た50名(医師24名、看護師17名、医療調整員等9名)を解析対象とした。調査の結果、適切な災害看護に関する教育やトレーニングを受けていれば、「トリアージ」および「創洗浄」はIDRにおける看護師の役割として可能であるが、「縫合」、「デブリードメント」、「切開」、「抜糸」に関しては、IDRにおける看護師の役割として困難であろうと、調査対象者が考えていることが判明した。
特集・災害と生活支援
特集・災害時の小児医療
Abstract:新潟県中越地方を震源とする震災時に行った食品衛生対策および問題点等から今後の災害発生時の対策について検討した.避難所や災害対策本部の担当者は,食品衛生に関する知識に乏しく,様々な業務を兼務しなければならないことから,初期段階から積極的に衛生管理の知識と重要性および現場における遵守事項について啓発する必要がある.避難所や炊き出し施設の早急な把握と現地指導,衛生対策用品の早期手配と配布等の初期活動,その後の継続した監視指導を行うためには多くの人員が必要となった.食中毒発生のリスクが比較的低い時期であったが,夏期に発生した場合等を想定し,災害時の食品衛生対策を早急に確立しておく必要がある.
特集・災害と助産師の役割
Abstract:当院心療内科は,1995年1月の阪神淡路大震災・被災地での心身医学的ケアを目的に,1996年に開設された.また,震災から約10年後の2004年10月の新潟県中越地震では,心療内科スタッフは日本赤十字社の災害救護の一員として,全員被災地に赴いた.その際,感冒,高血圧,不眠・不安,便秘など,被災というストレスフルな背景に配慮した心身医学的ケアが必要とされた.震災10年後の心療内科受診患者を対象としたアンケート調査では,39%が「震災と今の自分の病気は関係がある」と考えており,特に,転居,失職(転職),家族構成の変化など震災後生活変化の大きかった者に限ると,その割合は68%にも達した.災害においては,急性期から復興期にわたり,身体的,精神的,社会的,スピリチュアルな全人的ケアが必要とされ,今後の心身症を防ぐためにも,長期的視野に立った心身医学的介入が災害直後の急性期から必要と考える.
Abstract:阪神淡路大震災の約4年後の被災者健康調査のデータから,運動と喫煙習慣が被災者の心身の症状と関連しているかを分析した.調査対象とした仮設住宅・災害復興住宅の住民の約半数(7065名)から回答を得た.分析の結果,アルコール依存症以外のすべての症状が女性において重篤度が高かった.アルコール依存症に関しては,性別の違いが重篤度に影響を及ぼすことが確認された.いつも運動をしている人,喫煙習慣のない被災者は比較的心身の症状が少なく,健康であった.喫煙量や運動量そのものより,その習慣の変化が心身症状に関連していることが示唆された.
Abstract:台風被害に遭った6市町村を対象に,被災1年後の心身の健康状態,医療機関の利用,生活の質などに関する調査を実施した.住居被害程度別に1200世帯を抽出し,うち43%から有効回答を得た.床上浸水群のうち約3割が「被災前の生活状況に戻った」と感じておらず,K6を使用したスクリーニングでは,うつ病や不安障害の確率が一般人口の約2倍という結果であった.IES-RによるPTSDのスクリーニングにおいても,床上浸水群では28.2%がハイリスクと判定された.台風被害が甚大であれば,心身への影響は大きく,特に高齢者で影響が遷延する傾向を認めた.医療機関を受診している被災者では,被災による心理的影響が遷延している可能性が高いと考えられた.
Abstract:養育者の外傷反応と子どもの問題行動との関連を検討するため,阪神・淡路大震災の被災地の子どもの心理的影響に関する研究を再分析した.使用した尺度はIES-R,CBCL,CDIである.IES-R及び子どものCDI得点は,CBCLのT得点・内向T得点・外向T得点との間に正の相関を認めた.また,CBCL得点は,CDI得点との相関係数よりもIES-R得点との相関係数において強い関連があった.CBCLは子どもの情緒や行動の問題をとらえる上で有用な尺度であるが,子どもの外傷反応を評価する際は,その報告内容が養育者のPTSD症状と関連する可能性があり,結果の解釈には注意が必要である.
Abstract:JR福知山線脱線事故の乗客すべてを対象に質問紙調査を実施し,243名から有効回答を得た.全体の精神健康度は一般人口に比して良くないことが示唆された.PTSD症状を強く示す者が44.3%,女性の方が高く認められた.乗車位置とPTSD症状に相関はみられず,事故そのものが非常に衝撃度の強い事故であり,乗客全員の長期にわたる支援が必要なことが示唆された.PTSD症状の強い人は,生活面への影響が強く生じていた.PTSD症状の強さに影響する要因として,乗車位置や事故直前の異変の自覚,入院・通院期間に表される具体的外傷度の重傷度ではなく,調査時点での身体的健康の問題や,生活全般の支障の強さなどが強く関連していた.さらにPTSD症状と痛みは強い相関を示した.
Abstract:当院で実施された第一回大規模災害訓練後にアンケート調査を行い,参加した当院職員,消防署職員,看護学生ら96名から回答を得た.今回の訓練では事前のオリエンテーションが不十分であったこと,医師の参加が少なくトリアージ構成に支障があったこと,トリアージ未経験者や訓練初参加者が多かったことなどから混乱が生じた.今後は参加者各々の役割について患者の流れ,訓練の流れなど,事前に十分なオリエンテーションを行う必要があると考えられた.今後必要な訓練,学習としてトリアージ訓練,患者搬送訓練,救急外来での受け入れ訓練・マニュアルの整備が多く挙げられた.今回の大規模災害訓練により,参加職員に災害医療の興味を持ってもらうことができたと考えられた。
特集・災害精神医学の10年 経験から学ぶ
Abstract:雲仙・普賢岳噴火災害被災住民の長期経過後における精神健康問題に関して報告した.今回(第6回2003年)の調査結果を第1回(1991年)調査結果と比較すると,GHQ-30の平均得点,「不安・緊張・不眠」因子,「無能力・社会機能障害」因子,「抑うつ」因子,「快感消失」因子などは有意に改善していたが,「対人関係障害」は悪化したままであった.GHQ-30による避難住民の精神症状群を全体的にみると,「不安・緊張感」関連症状や「社会的無能力感」関連症状は,避難生活開始から12ヵ月以内に改善した.「抑うつ」関連症状は3.5〜4年も遷延し,「対人関係困難感」関連症状は避難生活開始から8年が経過しても改善を認めなかった.
特集・トラウマの精神療法
Abstract:救急医療現場のシームレス無線通信環境での医療システムの研究開発とその実証実験について報告した.実験方法は,横須賀市内で事故があり,患者を高規格救急車で市内の一次搬送先に搬送したが,高度医療が必要との判断で横浜市大病院に転送し,搬送距離は16kmに及んだ.デモ会場正面の大型スクリーンの6画面に搬送中の救急車や伴走中継車からの情報が上映され,全行程でモニター心電図や救急車内に固定したウェブカメラでの患者の映像配信は良好で,シームレス通信が可能であった.一部区間に設置したマルチメディア無線アクセス網(自営網)と公衆携帯電話網のハンドオーバーは順調になされたが,患者の映像は公衆網に比し自営網ではるかに精細な画像が得られた.画像伝送速度は,公衆電話網では5フレーム程度であったが,自営網では平均30フレームが得られた.最終的には,画像伝送機能付き携帯電話による通信と自営網との併用により,救急患者の救命率向上が期待できると考えられた.
Abstract:シームレス無線技術を利用して,医師がエコーロボットを遠隔操作することでエコー診断が行えるかどうかを公道を走行する救急車を使って公開実証実験した.方法は公道を24km移動中に救急車内のエコーロボットを操作し,得られたエコー画像を病院側に無線伝送した.その結果,著者等が構築したマルチメディア無線アクセス網(自営網)は公衆携帯電話網(公衆網)と比べ,患者のエコー画像でより詳細な画像が得られた.また,画像伝送速度は公衆網では毎秒2フレーム程度であったのに対し,自営網では毎秒30フレームが可能であった。
Abstract:新潟中越地震における医療支援活動に際し,当院のスタッフ4名がバッテリー方式の携帯型超音波装置を持参し,避難所を中心に実施した活動について報告した.胸痛を訴えた中年男性に携帯型超音波装置による心臓検査を実施し,救急隊により市内の病院へ搬送した事例を経験しており,このほか,震災時に多くみられる座滅症候群による循環不全の重症度評価や,高齢者の車中泊に多くみられる下肢腫脹に伴う肺塞栓の診断にも有用であると考えた.
Abstract:阪神淡路大震災10年後の看護職の心理への影響を明らかにすることを目的に,神戸市内の病院3施設に在籍する看護職員を対象に,IES-R(PTSD症状の有無)などを用いたアンケート調査を実施し,825名(うち,看護師767名.平均年齢35.8±10.2歳)より有効回答(82.5%)を得た.その結果,82%が震災後3日以内に出勤し,40%が震災当時の精神的影響を覚えており,IES-Rでは109名(13.2%)がPTSDのハイリスク者であることが分かった.
Abstract:阪神淡路大震災を契機に指定された県下12の災害拠点病院の一つである当院における,災害拠点病院としての体制整備および救護活動(「台風23号但馬地域水害救護活動(平成16年10月)」「JR福知山線列車脱線事故(平成17年4月)」)について報告した.
Abstract:平成16年10月23日17時56分,台風一過の土曜日,新潟県を大きな揺れが襲った.新潟県中越地方を震央とし深さ13kmを震源とする,マグニチュード6.8の平成16年新潟県中越地震(以下中越地震)である.最大震度7は平成7年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)に匹敵し,有感地震は累計961回を超えた.人的被害は死者59名,負傷者4,795名であったが,建造物被害は160,935棟で,避難被災者は最大で103,178名に及んだ.中越地震では,圧死は16名で焼死はなかったが,避難生活に伴う健康被害が目立った.とくに,肺血栓塞栓症(以下PTE),たこつぼ型心筋症は,震災時の健康被害としては,今回特記すべき病態であろう.中山間地を襲った直下型の強い本震と長期余震活動が,多くの被災者に車中泊を含めた長期避難生活を強いることになり,これら病態の背景をなしたとみなせる.本稿では,中越地震におけるPTEと深部静脈血栓症(以下DVT)の実態を報告し,今後preventable deathとして対応が必要なDVT/PTEの予防対策を講じる.
Abstract:災害時の対処法を見直し,各スタッフ・患者が具体的に行動できるように行動指針について検討し,患者には災害時に向けての心構えとしてパンフレットを新たに作成,配布した.また,災害時に当院において透析ができなかった場合を想定,他施設での患者の受け入れが可能か調査した.緊急災害時の対処法,透析中に災害が発生した場合の対処法を完全に答えられる患者はいなかった.スタッフは,災害時の対処法をマニュアルに沿って具体的に行動できるようになった.被災時に多施設を希望した場合の受け入れ施設が確保できた.
Abstract:学生の学びの内容と,授業選択の動機および授業への意見・感想から,自由選択科目「災害と地域看護活動」の開講年度における授業実施方法の評価を行い,今後の改善点を検討した.学生の希望により水害事例4例,地震事例5例のグループを編成した.学びの内容は32項目に整理された.地域住民のヘルスニーズに関する学びの内容は5項目で,多くの学生が,災害が住民に与える影響を多面的に捉えた.看護職の活動内容に関する学びの内容は14項目であった.講義を聴くだけではなく,フィールドワークや災害図上訓練を取り入れ,体験型の授業科目として設定したことが災害看護活動のイメージ化に有効であった.学生は,就職してからの実践に結びつくような学習内容の整理・まとめを主体的に目指し,このことと看護職の活動内容の記述から,実践的な学びの獲得につながった.
Abstract:災害に関する危機感・関心と備え・計画性の有無と程度を把握することで、今後の防災に対しての課題を明らかにした。国立療養所大島青松園に勤務する職員269例を対象とした。アンケートの回収率は250例で、医療関係100%、事務関係89.3%、福祉関係82%、介護員93.4%、看護師94%であった。災害に対して、どちらかといえば危険52%、危険32.4%と回答し、インフラ49%、地理的側面85%に危機感を感じていた。災害発生時の対応に対して理解していると回答した内容は、通報や連絡の仕方21%、入所者の避難場所15.2%、誘導方法18%などで、すべての項目に対して解らないと50%が回答した。防火訓練には92%が参加した経験があり、消火器の場所と使用方法61.6%、防火服の場所と使用方法53.2%が理解していたが、消火栓については76%が知らないと回答した。
特集・急性中毒と災害 事例研究から
Abstract:症例1:65歳男,症例2:51歳男,症例:38歳男で,いずれも硝酸ガスポンプ解体作業6時間後に呼吸困難を訴えた.症例1は血液検査で肝逸脱酵素および白血球の上昇,低酸素血症,高乳酸血症を認め,胸部X線,CTで両側びまん性に斑状影を認めた.症例2は血液検査で白血球の上昇,低酸素血症,高乳酸血症を認め,胸部X線およびCTで両側びまん性に粒状から斑状影を認めた.症例3は解体作業途中に気分不良となり,以後作業を行っていなかったが,血液検査で胆道系酵素の上昇を認めた.胸部X線,CTで異常は認めなかった.3例とも硝酸ガス吸入化学性肺炎と診断し,メチルプレドニゾロン投与を開始し,各々19,11,4病日に軽快退院した.血清SP-D,KL-6の推移を検討したところ,症例1は血清SP-D,KL-6は経過と共に上昇し,第6病日をピークにその後血清SP-Dが低下した.症例2は血清SP-Dは第3病日にピークを示し,その後低下し,血清KL-6は緩やかに上昇した.症例3に明らかな上昇は認めなかった.
Abstract:当院人工透析センター勤務の看護師20名を対象として、独自に作成した「災害発生時チャート」を用いた学習会、透析従事者用災害対策ビデオによる学習会を開催し、学習会前後に理解度調査を実施してスタッフの意識・知識の変化を観察した。その結果、記述式の設問では、地震の際に返血する必要のある状況について、緊急離脱の必要な状況についての正解率は10%から90%へと大きく向上した。火災に関する設問は、火災発見時の対応などについて、正解率は25%から80%へと向上した。総合の設問では、患者・スタッフ間の連絡方法について連絡網の置いてある場所や、自分が誰に連絡をするかなど正解率は15%から75%へと向上した。それにより、記述式の平均正解率は27%から80%へと上がった。自己評価について、第一回理解度調査では、全ての項目について「よく知っている」もしくは「だいたい知っている」との答えが多かったが、記述式の解答を採点・返却後の第二回理解度調査では大きく評価が下がった。学習会開催後の第三回理解度調査では評価は高くなった。学習会開催時に研究対象者より、「災害発生時チャート」を使って「一連の流れがよくわかる」、「患者に何を伝えればよいか分かりやすい」、「行動が分かれば自信もついてきた」との感想が得られた。
Abstract:当院救命救急センターにドクターヘリ収容され,脊髄・馬尾損傷と診断された29例を対象に,搬送時間原因,実施した緊急処置について検討した.覚知からヘリ出動までは平均4分22秒で,飛行時間は平均28分16秒,現地活動時間は平均16分28秒であった.受傷原因は交通事故が13例,転落が12例,転倒が3例,その他1例で,頸椎レベルでの損傷は23例,胸椎は4例,腰椎は1例であった.酸素投与は27例で,静脈確保は23例,バックボード固定は26例,ネックカラー固定は23例,気管内挿管は4例に実施した.又,心肺停止状態であった3例は現地で蘇生,搬送し救命し得た。
Abstract:2004年は中越地震やインド洋沖大津波など大規模自然災害に見舞われた年であった.中越地震では,1995年の5000人以上の犠牲者を出した阪神淡路大震災の教訓を活かせたために,地震による二次災害も少なく,犠牲者が51名程度となっている.このような大規模自然災害が起きた場合,ライフラインも途絶え,通常診療機器やカルテなども使用不可能な状況になると考えられ,現場の医師は緊急診療を実施しなければならない.本研究では,大規模自然災害等においても血圧・体温・脈拍などの最低限のバイタルサインを簡易に計測・記憶・伝送が行え,なおかつ堅牢性,操作性等を備えている機器の開発が必要であることから,まず災害時におけるバイタルサイン計測機器に着目し,数種類の血圧計を対象とした基本的性能試験を行った.その結果を踏まえた上で,災害時バイタルサイン計測機器における必要条件の検討を行うことを目的とし,本研究を基礎としてessential drugとその常備方法などのハード面および,緊急時医療通信システムなどのソフト面を網羅する総合的な災害時医療支援システム及び機器の開発をその最終目的とする.
Abstract:2004.10.23の新潟中越大地震において,長岡技術科学大学福本一朗教授は医師として震災救急診療に携わったその貴重な経験から『被災地医療の孤立化を防ぐ救急診療支援システム』の確立が急務であることを強く認識して構想したものである.それは,救急医療活動では不眠不休で多数の被災者を治療しなければならず,その結果治療関連情報の蓄積も出来ず,支援・連携連絡も出来ない状態となった.この状況の中では,バイタルサイン機器,携帯電話等電源・通信網停止で使えず,これに対応する手段,すなわちシステムが不可欠であると思った.本研究は,災害時の救急診療に向く特別な医療機器,通信機器,記録機器,電力供給源を創り,これらと医薬物質等の一式を抗堪性,耐火性,耐水性のキャリーボックスに収納した,いわゆる災害時救急診療支援システムの開発実用化に向けた基礎研究である.災害時の人命救助には是非とも必要で,なんとしても開発・実用化すべきというものであるとの認識の下に,本課題への強い協力の意志を持ち,永年医療・福祉機器の開発に従事してきた経験を基にして企業として当"災害ME研究会"に参画し,基礎研究から着手している.
Abstract:ロールプレイを活用した「災害時のこころのケア」の学びを明らかにすることを目的に、第7回日本赤十字看護学会学術集会におけるテーマセッション「赤十字と災害看護」で、「災害時のこころのケア」をテーマに実施した「こころのケア」指導者養成のためのロールプレイの参加者へ自由記述によるアンケート調査を実施し、14名より有効回答(46.7%)を得た。内容分析の結果、【被災者理解の深まり】【自己発見】などのカテゴリーが抽出され、ロールプレイを「こころのケア」の学びに活用することの有効性が示唆された。
Abstract:2006年5月27日にインドネシア共和国のジャワ島中部で発生した地震による被災地であるジョグジャカルタに、特定非営利組織団体より派遣され看護活動を実施した体験について、とくに、緊急支援の中でも最終班の派遣で、撤退の時期に関わったことからその特徴を中心に報告した。緊急支援においては被災者の救援活動が優先されるため、外国人スタッフが主体となって活動することも多く、そのような場合、現地スタッフへの技術移転については撤退の時期に関わるスタッフがその役割を担うこととなる。短期間に効率的に引き継ぎを行うためには、現地の文化や習慣への理解が必要であると考えた。
Abstract:日本オストミー協会愛知県支部会員279名(A群)と東京都内のストーマ装具販売店利用者1500名(B群)を対象に災害対策状況についてアンケート調査を行い、A群190名・B群465名・合計665名について分析した。その結果、対象者の平均年齢は全体;67.1±14.9歳・A群;70.1±11.1歳・B群;65.9±15.9歳で、平均ストーマ保有年数は全体;8.4±8.6年・A群;13.4±9.7年・B群;6.5±7.2年であった。何らかの災害対策では、対策をしている;54.0%・していない;32.4%で、対策内容では非難時の手持ち用装具を1〜2週間分準備;38.8%・使用装具名や購入先の電話番号メモの携帯;27.5%・緊急・病院連絡先の電話番号をメモ;23.4%して携帯;7.2%であり、以上の全てを準備;3.8%であった。また現在は準備していないが今後は対策予定;23.5%・なるようになるので未対策;11.9%であった。災害対策の有無の関連要因ではA群の方がB群より有意に災害対策準備をしており、年齢では災害対策している割合が50歳以上で高い傾向があり、70歳代では有意に高かった。以上より災害対策に至らない現状に対し具体的なアプローチが必要と考えられた。
Abstract:2004年9月,台風の豪雨により床上浸水などの被害に遭った鳥取県智頭町市瀬地区を対象に,健康・メンタルヘルス相談会を2度行った.その際,被災21日目の第1回目には21名,被災2ヵ月目の第2回には13名が来所したので,これらを基に身体的所見,精神的所見,その他の症状,訴えなどについて調査した.第1回目において身体的症状では,体の痛みや風邪症状等体調不良の訴えがあり,精神的所見は疲れやすい,夜眠れない,やる気がないなどの訴えが多かった.19歳以下では災害時とよく似た状況下では不安が高まる傾向にあり,それが母親の不安にもつながっていた.一方,第2回では精神的所見として不眠や憂鬱感が残っていたが,災害直後に増強した症状は軽くなっていた。
Abstract:石油化学関連工場での爆発炎上による火災発生後2ヵ月後に従業員178名を対象とし,PTSD症状とうつ病症状を中心に心理的影響を調査した結果を報告した.対象者のうちIES-RでPTSD危険群に該当したのは24名(13.5%),SDSでうつ病危険群に該当したのは42名(23.6%)であったが,両者を併存したのは10名であった.属性ごとの比較では,若年者・技術職・出火工程所属においてIES-R,SDSとも有意に高値を示した.PTSDとの関連因子をロジスティック回帰にて分析したところ,問題飲酒,情緒優先対処が有意な項目としてあげられた.災害後のストレス対処行動によってPTSDとうつ病の症状発現に差が生じる可能性が示された.
Abstract:本稿では,船舶,航空機,鉄道など輸送機関の大規模事故に遭遇した被災者の精神医学的問題について,内外の文献を通覧しまとめた.輸送災害においては,自然災害よりもしばしば死傷率が高いためか,PTSDやうつ病などの発生が多く,しかも長期間精神医学的問題を有し続けるという報告も少なくない.さらに被災者の救援や遺体回収に従事した救援者の精神医学的問題も多い.その一方で,主として事故後被災者が離散してしまうなどの理由で,自然災害に比べると精神医学的調査や介入に困難が認められる.輸送災害が発生した場合には,被災者に適切な精神医学的サービスを提供するために,広範囲にわたる地域精神保健ケアシステムを構築する必要があると考えられる.
Abstract:新潟県中越地震後の最初の2ヵ月間においては、日本各地から派遣された、こころのケアチームが精神保健対策の中心として活発に活動した。阪神・淡路大震災から10年を経て、災害時の精神保健福祉対策が大きく前進したことは確かであるが、こころのケアチーム活動のコーディネートや支援者のメンタルヘルスの問題など、あらたな課題が浮かび上がった。被災から1年6ヵ月を過ぎ、被災者の生活には格差が生じつつあり、心の健康への影響が懸念されている。中長期ケアの主体となる市町村のケア体制には、徐々に違いが生じ始めており、広域的な視点における対策の見直しが求められている。今回、中越地震後の精神保健対策を、急性期と中長期ケアに分けて報告するとともに、被災者支援における課題について若干の考察を加えた。
Abstract:新潟県中越地震(2004年10月23日発生)では、震災直後から新潟県から要請を受けた臨床心理士が、小中学生を対象とした"こころのケア"に関わった。それらは、(1)ショックを受けた子どもたちへの対応や、心理教育の進め方についての教職員を対象とした説明会の実施、(2)児童・生徒ととりまく大人たちの心理的状況の継続的な把握と分析、(3)震災後のこころのケアを目的としたカウンセリングの開始と継続(2006年も継続中)からなっていた。これらの活動の経過と成果について、この震災の特徴との関連から論じ、さらに、学校現場への緊急支援と、それに続く臨床心理学的支援としての学校カウンセリング活動のあり方について考察した。
Abstract:新潟県中越地震(2004年10月23日発生)では、震災直後から新潟県から要請を受けた臨床心理士が、小中学生を対象とした"こころのケア"に関わった。それらは、(1)ショックを受けた子どもたちへの対応や、心理教育の進め方についての教職員を対象とした説明会の実施、(2)児童・生徒ととりまく大人たちの心理的状況の継続的な把握と分析、(3)震災後のこころのケアを目的としたカウンセリングの開始と継続(2006年も継続中)からなっていた。これらの活動の経過と成果について、この震災の特徴との関連から論じ、さらに、学校現場への緊急支援と、それに続く臨床心理学的支援としての学校カウンセリング活動のあり方について考察した。
Abstract:2004年10月23日に発生した新潟県中越地震では、全国から多くの精神保健医療チームが派遣され支援活動を行った。その活動の実態を把握するため、派遣されたチームを対象に2005年2月自記式のアンケート調査を行い、86チームから回答を得た。派遣チームの活動は、避難所や在宅被災者への巡回訪問が活動時間全体の約70%を占めていた。また震災後4週間未満に派遣されたチームでは、4週間以降のチームに比べ有意に派遣日数が長く(z=-2.3,p=0.02)、在宅精神疾患患者の診察・相談件数(z=-2.2,p=0.03)、処方箋数(z=-2.2,p=0.03)、他の医療からのコンサルテーション件数(z=-3.8,p<0.01)が多く、抗精神病薬(z=-2.1,p=0.03)および身体疾患治療薬(z=-2.4,p=0.02)の需要が高いなど時期によって活動内容に違いがあることが示された。被災地外部からの精神保健医療活動は、基本的にはアウトリーチ活動が中心であるが、被災後の時期に合わせた柔軟な対応を行うことが必要である。
特集・阪神・淡路大震災から節目の10年 災害看護のこれからの「進展」へ向けて 災害看護メッセージ 備え
特集・培った経験を「トリアージ」に活かす しっかり聞いて,見て,送る
特集・災害看護師は駆けめぐる! 災害看護の現在と未来
Abstract:中越地震を体験した看護学生120名が心的外傷ストレスを生じているか、今後の学習意欲へ
の影響をきたしているかについてアンケート調査を実施した。その結果、全学年において震災後のス
トレスをもっていない学生は28名であり、ストレス度が1点以上の学生92名は、今後何らかの負荷がか
かると不安やストレスを抱えやすい傾向にあるため、震災後のトラウマ反応が出現するおそれがあ
る。ストレス度が13点の1名は今後の学生生活への影響に注意が必要である。3年次生は震災後、ボラ
ンティア実習を実習場や避難所で体験し、被災者と交流したことで自らの被災したストレスを被災者
と共有したことで学生自身が癒やされたのではないかと考えられた。また、アンケートの実施時期が
長い実習期間と国家試験を終えた時であったことから、学生のストレスが減少し、開放感のあった時
期であったことと関連していると考えられた。
Abstract:スリランカ津波被災地の飲用水と汚物の処理等衛生状況について調査した.スリランカ南部の津波被災地であるAmbalangoda,Galle,Mataraの給水タンク水と井戸水の水質検査およびトイレの設置・管理状況等衛生調査を行った.給水タンクの水は,塩素消毒がなされ概ね細菌学的には良好であった.井戸水は細菌学的汚染と塩分化を認めた.トイレは比較的衛生的に管理されていた.スリランカ政府は適切かつ迅速に安全な飲用水と衛生的なトイレの供給を行った.被災後の下痢症を中心とした急性感染症流行の抑制には,消毒された飲用水および衛生的な住環境の供給が,基本かつ重要であることが示唆された.
Abstract:行政組織に属する保健師の,水害時の保健活動の状況を明らかにすることを目的に,平成12年9月に長野県の中山間地域に位置するA村で発生した水害時の活動状況について,A村の唯一の保健師とA村を管轄するB保健所の看護師の2名を対象に面接を実施した.その結果,保健師は乳幼児や高齢者など災害要支援者に対する援助を優先的に行うとともに,災害による健康や生活への影響を的確に捉え,長期にわたり援助を継続していることが分かった.
Abstract:当院では平成16年度より、透析中の災害発生を想定した集団避難訓練を実施しており、今回、訓練後の患者(平成16年度36名、17年度35名)へのアンケート調査を分析、検討した。その結果、16年度では、訓練開始当初の4月に10名が離脱部の接続が外せず離脱できなかったが、そのうち9名は9月までにできるようになり、介助の必要な患者7名も全員離脱できるようになった。また、17年度では、「避難訓練で難しかったところは」の質問に、35名中34名が「むずかしいところはなかった」と回答した。
Abstract:当血液浄化療法センターでは、「患者自らが自分の命を自分で守る行動がとれる」をコンセプトに、2004年から離脱訓練を年2回実施している。離脱訓練の結果で変更される、離脱が必要な場合のスタッフが離脱を行う優先順位を表示したネームプレートは患者が保管するとともに、緊急連絡カードを患者に配布し、緊急時には常に持ち歩くよう指導している。また、環境設備面では、2005年10月の新規移転に伴い、コンソールが設置してあるカウンターを患者のベッド柵より低くし、コンソールの下に耐震マットを敷くなどの対策をとった。そのほか、地震体験装置による疑似体験を、スタッフ全員が行った。
Abstract:災害初期時における総務課職員の行動マニュアル作成を試みた.行動マニュアル作成前には,自分のとるべき行動が不明なこと,非常持出袋がないため,非常持出物品が不明確なこと,書類の量が莫大で,かつ重要書類等の優先順位がないことが問題点として挙げられた.災害発生時には火元確認,電話応対,負傷者(総務課職員)確認,避難経路の確保・ドアの開放,患者の安全確保の後,人員点呼を行うこととした.又,非常持出物品の一覧表・チェックリスト,非常時連絡先一覧表,電話応対時の記録表を作成し,鍵の保管場所を決定した.地震発生から人員点呼までの時間は,行動マニュアル作成前の5分から3分30秒に短縮した.行動マニュアルにより災害時の対処方法が明確になり,総務課職員の行動時間の短縮,災害に対する意識を高めることができた。
Abstract:新潟県中越地震発生から12日間に著者らの施設へ来院した外傷患者453名の受傷内容を分析し,足部外傷を中心に報告した.その結果,1)受傷部位は下肢206例,上肢111例,体幹104例,頭部顔面外傷46例であった.2)下腿より遠位の外傷は139例で,内訳は挫創63例,熱傷21例,打撲21例,骨折18例,捻挫16例,腓骨神経麻痺3例であった.3)骨折の部位は踵骨6例,前足部6例,下腿骨,足関節6例であった.4)施設において震災後4日目までは単純X線撮影ができず,その中で手術の必要性があると思われた症例は,被災をまぬがれた近隣の病院へ転送となった.尚,今回の震災で来院した患者は軽症者が大半であり,病院においてトリアージタッグを使いトリアージを行う必要はなかった。
特集・災害医療の実情と展望 新潟県中越地震の経験から
Abstract:2004年10月23日(土曜日)に発生した中越地震に対し,新潟大学整形外科は発生早期から対応に当たった.まず,医歯学総合病院の整形外科病棟入院患者の異常がないこと,医局員の安否に問題ないことを確認した.また当科の方針として,第一線で救急対応に当たる中越地区の整形外科医を応援することとした.一方で医歯学総合病院には活用できる対応マニュアルがないとのことから,当科単独で早急に情報を集めることとした.しかし,電話が通じない病院が多く,地震当日は,小千谷病院,長岡中央病院,立川病院と連絡が取れなかった.新潟県の福祉保健部とも相談したが,道路状況等不明な点が多く2次災害の危険性もあり,残念ながら当日は応援には行くことを断念した.翌日(10月24日,日曜日)は,中越地方の各病院だけでなく県庁の福祉保健部や病院局とも連絡を取り,被害状況だけでなく移動手段等の情報を集めた.公用車を提供していただき,計13名の整形外科医が,小千谷,十日町,長岡日赤,長岡中央,立川病院に応援に出かけ,第一線で救急対応に当たった.十日町病院には陸路では到達できず,最終的にはヘリコプターで移動した.中越地区の整形外科医は自らが被災者であるにもかかわらず,献身的な医療を行っており,そこに連絡を密にして人的な応援ができたことは,非常に有意義であったと感じている.発生後6日間にわたり,昼夜にわたり応援を行った.また当科の初期対応のノウハウ,各地域の情報を,院長ならびに医歯学総合病院へ提供することで,病院としての対応,各科の対応の一助となったものと確信している.
Abstract:新潟県中越地震(H16.10.23)に見舞われた新潟県は,山間地域の大規模自然災害としての未曾有の被害を被った.容赦なく続く余震のなか,新潟大学医歯学総合病院のスタッフは被災した医療機関ならびに被災者への医療支援活動を開始した.被災地へのアクセスや医療班の二次災害など多くの問題を抱えながらの最大限の活動を行った.しかし,多くの課題も浮き彫りにされた.この度の支援活動を通して学んだ教訓は,今後の大規模災害医療に役立つものと考える.
Abstract:平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震で新潟県立十日町病院,新潟県立松代病院,新潟県立小出病院,新潟県立六日町病院が被災しました.10月26日から11月4日まで,第一内科,第二内科,第三内科,神経内科の4内科のボランティア医師で構成された医療チームは,これらの県立病院の医療支援をさせていただきました.この経験で得られたこと,明らかにできた課題の解決を通して,院外への医療救護班の派遣活動の質を高めることができると考えられました.
Abstract:新潟中越地震の車中泊では地震による心的ストレス,窮屈な下肢屈曲姿勢,そして脱水により下肢深部静脈に血栓が発生しエコノミークラス症候群(肺塞栓症)が多発した.10/31,11/3,11/7には厚生連佐久総合病院の診療チームと計69名(男性4名)にポータブルエコーで,11/15から12/20までは厚生連魚沼病院に通常のエコー装置を設置しマスコミを通じて呼びかけ82名(男性13名)に下肢静脈エコー検査施行した.2005/2/28から3/31まで再度魚沼病院で検査した方を対象に再度下肢静脈エコーを行った.10/31-11/7に検査した69名中車中泊経験者は60名で,8名にヒラメ静脈浮遊血栓(そのうち1名はCTで肺塞栓症を認めた),14名に壁在血栓を認め,血栓陽性例は全員車中3泊以上であった.11/15-12/20の検査では車中泊は66名(6名は30日以上連泊),そのうち60名が下肢の疼痛や腫脹を訴えヒラメ静脈の充満血栓1名,9名で壁在血栓を含めた血栓を認め,血栓陽性例は全員震災直後から車中4泊以上であった.血栓陽性率は震災後からの経過時間とともに低下し12/20では10%であったが2/28から3/31の診療結果では新たな血栓も認め血栓陽性率は21.9%と上昇を認めた.11/7までの下肢静脈エコーにおける車中泊者のヒラメ筋最大静脈径は8.8±2.5mm(車中泊経験の無いヒラメ筋最大静脈径7.1±2.0mm)より有意に大(n=55,p<0.05),また血栓を認めた被災者のヒラメ静脈最大径10.0±2.6mmで血栓の無い被災者(7.5±4.4mm)より有意に大であった(n=67,p<0.0001).本診療調査により大災害時における車中泊は急性期に肺・静脈血栓塞栓症を起こすだけでなく,静脈の損傷により慢性期に反復性の血栓を生じて血栓後症候群になる危険性も大であることが示唆された.
Abstract:本稿では,シンポジウム「災害医療の実情と展望:新潟中越地震の経験から」の中で,新潟大学精神科(以下,当科)が行った「こころのケア対策」について述べる.地震発生の翌24日,当科の染矢教授と新潟県福祉健康部健康対策課とで協議が行われ,被災地での精神科医療の一元化を図るために「こころのケアチーム」を編成し,それによる統制のとれた支援を行うことが決定された.更に同日には,精神保健福祉センターに「こころのケアホットライン」を開設.翌25日,当科と県立精神医療センターを中心に「こころのケアチーム」が編成され,我々のチームは情報収集を行いつつ,26日に現地入りした.当科の「こころのケアチーム」の活動エリアは長岡市の山古志村避難所で,当初は小千谷市も担当した.活動内容としては,各避難所を巡回・診療と,広報活動である.また,人口の多い小千谷市では,精神医療センターと協力し"こころのケア診療所"を開設した.山古志村の各避難所においては,延べ193件(93名)の巡回診察を行い,継続治療が必要な方は全て紹介状を作成して地域の医療機関での通院をして頂いている.主訴としては,不眠が一番多く,余震に対する過度の不安,食欲不振,抑うつなどもみられた.12月に入ると,被災者の方々が徐々に仮設住宅に移られ,新たな生活が始まった.この時点で災害時精神科初期医療はほぼその目的を終え,今後は中長期的な「こころのケア」を考えていく必要がある.そこで,我々新潟大学精神科では,以下の4つのケアプランを立て,村民の皆さんの負担にならないよう十分配慮し,かつ健康対策課とも密に連携しながら実践する予定である(著者抄録).
Abstract:新潟県中越地震の体験記録「震度7新潟県中越地震を忘れない」を題材にして,被災者の心情とその様相を分析した.総数71のデータから一人の被災者の心情として「混乱」「衝撃」「恐怖」などの13個の様相が明らかとなった.これらの心情が表現された時期をみると,「混乱」「衝撃」「恐怖」は被災直後から見られ,その後それらは一旦消失し,地震に伴い変化した状況を目の当たりにした時点で再び表現されていた.「あきらめ」「怒り」「解放」は被災初期にみられたのみであった.「心配」は被災3日目から見られ,その後も続いた.「諭旨」「期待」「受容」は被災1ヵ月後の被災者との会話や地震前と変わらない自然に触れた際に表現されていた.
Abstract:外来看護師57名に対して災害時のトリアージに関する意識調査(A)を行い、学習会を行った後の調査(B)の結果と比較した。調査Aでトリアージという言葉を聞いたことが「ある」は95%で、トリアージの目的は「知っている」が93%であったが、調査Bでは「知っている」が100%となった。調査Aでトリアージ・タッグを「見たことがある」は72%、「使用したことがある」は12%で、分類方法は「知っている」が59%であったが、調査Bでは「知っている」が100%となった。学習会でスタート式トリアージの問題が「解けた」は87%で、そのほとんどが勉強会への参加で理解できたと答えた。災害発生時に「トリアージできると思う」は調査Aで21%、調査Bで47%、定期的なトリアージトレーニングは「必要だと思う」はそ各々96%、88%であった。外来勤務中災害が起こったとき不安が「ある」は98%で、その内容は「災害が起きた時指揮をとってくれる人がいるか」「訓練していない」「多くの患者の優先順位を決められるか」などであった。
Abstract:災害医療のモデルとしてのトライアスロン大会で衛星を用いた遠隔医療が可能かつ有効かどうかの実証実験を行い、問題点を検討した。実証実験の全体像は溺水等の重症患者の胸部デジタルX線撮影をスイム救護所で行い、衛星回線を用いて琉大救急部に画像伝送した。琉大救急部には放射線科専門医が待機して胸部X線像を読影し、画像と所見をスイム救護所および県立宮古病院へ伝送した。溺水現場の救護所から基幹病院へ患者が搬送される15分前に関係箇所で胸部X線画像と所見が閲覧でき、同時に行った地上網を用いたテレビ会議システムの画像から現場の状況を把握できた。トライアスロン大会において衛星回線等を用いた遠隔医療は発災現場医療救護の安全性を高め、災害医療での応用にも有効であることが示唆された。
Abstract:災害時等において、山間地等の通信が途絶えた被災地域等との間で、大容量の双方向通信網を迅速に構築し、防災情報等を伝送できる長距離無線LANの研究開発を進めている。長距離通信が可能なIEEE802.11g方式の2.4GHz帯の無線LANを開発した。今回、通信速度54Mbpsで30km程度の通信が可能で、この無線LANを利用し最長41kmの無線区間を持つ無線LANネットワークによる実証実験を行った。テレビ画質に近い動画像が得られた。複数のエンコード・デコードを行っているため、映像の遅延が1秒程度発生した。VoIPによる電話システムは、映像伝送と同時に使用可能で、良好な音声通信が行えた。遠隔医療支援に活用可能であることが示唆された。
Abstract:2006年5月27日にインドネシアのジャワ島を襲ったジョグジャカルタ-中央ジャワ地震において、災害地域を相互接続するためにワイヤレスIPを提唱した。この地震では、インドネシアの大都市5市が罹災し、政府の電力供給、固定電話線、移動電話線が全て故障し、遠隔医療ネットワークのインフラに固定電話や移動電話を使用できなかった。ワイヤレスIPは、医療及び避難ポイントを相互接続するために、簡便で経済的なテレコミュニケーション系として代用できる。
Abstract:HF帯(短波)のNVIS(近垂直放射空間波)を用いた無線通信は、天頂付近の電離層反射を利用するため、建築物、山岳に遮蔽されず常時安定で、かつ極めて安価な通信回線の確保ができる特徴を有する。このNVISを用いた遠隔医療用の通信方式について検討した。有線及び無線を利用した公衆回線と比較し、災害時に安定な通信システムを提供できた。回線料は無料であるため、パッケージ・メディアと組み合わせることが可能な長距離(100-200km)の遠隔医療支援には極めて有効な通信方式であることが示唆された。
Abstract:大規模災害直後の災害現場における負傷者に対する救助者の望ましい関わり方を検討することを目的に、航空機事故訓練に負傷者役として参加した看護専門学校生40名(3年課程1年生)が訓練翌日に提出したレポートの内容を分析した。その結果、救助者の関わりで負傷者役に引き起こされた感情には、安心・落ち着き・期待などの「正の感情」と、怒り・嫌悪感・不安・恐怖などの「負の感情」があり、「正の感情」をもたらした関わりとして【負傷者を尊重した関わり】【一人ではないと感じさせる関わり】【助かる見通しをもたらす関わり】が抽出され、いずれも共感的対応がその基盤にあった。一方、「負の感情」をもたらした関わりは、【救助者本位の関わり】【負傷者に対する無視・無関心な関わり】【早く助けてもらえないと思わせる関わり】【未熟な救助技術による関わり】であった。
Abstract:著者等の施設の全職員1303名の同意を得て、災害直後を想定した意識調査を行い回収された73%について解析した。その結果、災害マニュアルの存在を知っていた者は39%で、実際にマニュアルを見たことがある者は20%であり、更に災害時に設置される対策本部の場所を知っていた者は14%に減少していた。以上より災害直後を想定し、災害時の役割意識に働きかけ、より現実的な行動がとれる災害マニュアルの再構築が必要であり、被災直後を想定したより現実に即した訓練を重ねることの重要性が示唆された。