<医療面>
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<医療面>
医療面での効率的な対応のひとつとして、組織的・統一的にトリアージを実施しなければいけない。トリアージが実施されないと、必要な患者に必要な医療を供給する作業(すなわち効率)が著しく低下する。現在のトリアージの問題点として、1)多数患者発生時のトリアージ集計結果の全体像が不明確なため、医療資源の有効利用・割当に障害となる点、2)搬送先。転送医療施設等が不明なため、各患者・家族がばらばらになる危険性、患者の取り違えの危険がある点、3)トリアージの基準、権限・責任の問題、などがあげられる。
1)発災から48時間
2)48時間から1週間
発災後48時間を経過すると被災地外から救援の医療チームが派遣される。多くの救援チームが活動を同時に開始しようとするため、被災地の情報が一番混乱する時期である。
3)後方支援活動
被災地近隣の被害を受けていない病院や、ヘリコプターにより搬送受け入れ可能な病院は、入院患者の受け入れの準備や、受け入れが可能であるという情報発信をしていく。
4)看護師である前に一人の人間として
重要なのはまず、自己の安全確保、家族の安全確保・安否確認、近隣の地域住民の助け合いである。看護師は、事故の被災状況よりもケアや救助に目を向けるように日常的に訓練されている。そのため、自分が被災者であること、看護師としての使命感を持つことでさまざまな葛藤やストレスを感じ、心身ともに影響を及ぼしてしまいやすい。だが、特に自己の安全・家族の安全確保ができていなければ、看護活動より自己・家族の安全確保を優先する必要がある。
1)病院看護師の役割
2)避難所の場合
1)病院の場合
2)避難所・仮設住宅・復興住宅の支援
1)静穏期の病院における看護師の役割
2)静穏期の一市民として防災対策
阪神・淡路大震災の被災地に位置した神戸大学附属病院において、地震発生当日(平成7年1月17日)から7日間に行った救急診療対応についての報告である。
ライフラインの途絶状況は以下のとおりである。
震災当日と翌日に搬送されたDOA患者の総数は31例あり、その死因は外傷性クモ膜下出血、脳内出血が12例、頸髄損傷10例、胸部外傷4例、窒息4例、外傷性クモ膜下出血と胸部内臓損傷の合併が1例の順で、全例胸部より頭側の外傷であった。
7日間の入院患者191名は、外傷131例(68.6%)、疾病60例(31.4%)であった。外傷131例の内訳を見ると、単発の外傷では四肢38例(29%)、頭部23例(17.6%)、骨盤・腰部19例(14.6%)、脊椎骨折ないし損傷12例(9.1%)の順で、胸部、腹部単独の外傷は少なかった。2部位以上にわたる多発外傷例は24例(18.3%)であった。
反省と課題としては、1)情報収集の不足、2)救急隊、前線病院、後方病院との情報の交換、伝達の不足、3)病院外への積極的な医師の派遣と遅れ、4)病院群の構成員としての有機的な働きの欠如、が挙げられる。これらの問題点をせんじ詰めれば、このような大災害時にいかにコミュニケーションをとるかということになろう。災害時における病院、救急隊、行政相互のコミュニケーションについての方法論を再検討することが今後の課題であり、そのためのシステムをつくる基礎はやはり平時の救急医療体制の充実にあると考える。普段からのよりよいコミュニケーションをはかることにより、災害医療システムを構築すべく努力が必要である。
【情報収集と準備】
【対応】
各傷病者の情報が全ての医療機関で統一した様式で行われることが望ましい。この連絡票は二次被ばく医療機関とのスムーズな連携、他機関との情報交換に役立つ。
多数の傷病者の発生時には混乱が予想され、正確な情報を得てからの対応が望ましい。家族の心理面を考慮すると、専用の控え室、家族対応の看護師の対応が期待される。
予め担当者、控え室(会見会場)などを決めておくことが大切。プライバシー保護の観点から撮影、インタビュー等の制限についての検討、準備が必要。
【二次被ばく医療機関への搬送手段】
二次被ばく医療機関への搬送手段としては、救急車およびヘリコプターが考えられる。
【ヘリコプターを利用する主な理由】
【出動前の汚染拡大防止措置】
【機内への収納時の対応】
【空路搬送後の対応】
最近、世界各地でおこる災害、紛争において各国から被災地に対して援助の手がさしのべられるようになってきた。こういった援助を行う機関は政府組織(GO)と非政府組織(NGO)に分けられる。日本のGOでは自然災害に対する公的援助(ODA)を行う組織が国際緊急援助隊(JDR)でその中でとくに医療貢献を行うのが国際救急医療チーム(JMTDR)である。わが国のODAは特殊法人である国際協力事業団(JICA)をその実行主体機関としておりその中にJDR、JMTDRは事務局をおいている。
わが国のGOという形で国際緊急援助活動を行ったのは1979年のカンボジア難民救済事業が初めてで、3年後にはJICAの中にJMTDRが組織され、以後日本の国際災害救援は、JMTDRが派遣されるようになった。JMTDRは医療支援を中心としていたが災害救援には捜索と救助、ロジスティックス、学術的調査なども不可欠であることが明らかになり1987年にこれらを統合した組織としてJDRが発足した。JDRには救助チーム、専門家チーム、医療援助を行うJMTDRと三つのチームが存在する。このなかで救助チームは警察庁・消防庁・海上保安庁・防衛庁から、専門家チームは関係各省や研究機関からそのつど人材が派遣されているがJMTDRは事前の登録制となっている。登録は医師・看護士・医療調整員の3分野に別れており一回に派遣されるのは医師3名、看護士6名、医療調整員3名の計12人が原則である。活動期間は出発から帰国までが2週間と決められている。
このように始まったわが国の国際救急援助は現在では自然災害のみが対象とされており、難民支援や紛争地域への公的支援は行われていない。このような戦乱にかかわる地域の公的支援はNGOとの連携という形で行われてはいるが最近では複合災害の増加などで現在のJDRの枠組みでは適切な対処ができない事態が増えてきている。2001年の米国同時多発テロでは被災者支援という名目でJDRを招集したが合衆国政府の要請がなかったため派遣は見送りとなった。今後日本政府がどのようにGOを運営していくかは大きな課題である。
NGOの運営は民間でおこなわれているが公的な資金援助をうけていたりGO組織と連携して活動したりしている。国境なき医師団(MSF)は1971年にフランスで設立され看護婦、助産婦、技術者、物資調達委員など各種職員のボランティアが年間3000人、世界80カ国で活動している。現在40カ国以上からボランティアが派遣されているがフランス、ベルギー、オランダ、スイス、スペインの5カ国が医師団を編成し医療援助プログラムを計画する組織をもっている。本部は存在せずそれぞれが独立して行う緩やかなネットワークを形成している。アムダは1979年1人の日本人医師と2人の医学生がカンボジア難民救済に駆けつけたが現地で全く歓迎されなく、このときの反省から現地での医療従事者事前に連絡をとりあうことが重要だと認識され1984年に結成された。現在では世界最大規模のNGOの一つであり医療分野のみならず非医療分野にも活動を広げている。
現在の国際緊急援助ではNGO間、GOとの連携が広がっておりジャパンプラットホームはその代表格である。これはNGO、経済界、政府が対等に三社一体となりそれぞれの特性・資源をいかし、協力・連携して迅速かつ効率的に救済活動を行うためのシステムである。この組織の緊急支援の対象として想定されているのは難民支援、紛争下の被災者支援、大規模自然災害である。現在このジャパンプラットホームには17のNGOが参加している。
国際赤十字とは赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟、各国の赤十字社・赤新月社の三つを総称した言い方である。赤十字国際委員会は主に戦争および紛争地域での医療援助、食料援助などの救援活動を行っている。財政は各国政府、寄付金によって支えられている。国際赤十字・赤新月社連盟は災害の救援や発展途上国などの健康増進や疫病予防などの活動をおこなっている。
赤十字は1859年スイス人のジャン・アンリー・デュナンがイタリア統一戦争にて国際的救護団体の創設を訴えたことがきっかけとなり誕生した。1863年には16カ国が参加して国際会議が行われ赤十字規約が、翌年にはジュネーブ条約が調印された。回宗国ではクロスマークを嫌うため三日月のマークの赤新月社が活動することになった。戦争における救援だけでなく平時にも健康の増進、疫病予防などのため1919年にパリで各国赤十字社の国際的連合として赤十字社連盟が設立され、その後1986年に国際赤十字・赤新月社連盟と名称を変更している。
国際機関の中で人道支援を行っている組織がありWHO、UNOCHA、UNHCRなどが代表でありこれらは国際連合に属している。これらの機関はGO、NGO組織を統括して活動の調整を行ったり計画を作成するといった活動をしている。WHOは非戦闘地域での保険活動、UNHCRは難民支援、UNOCHAは災害時などの人道支援の調整を行っている。
災害サイクルと看護の役割
弘中陽子:インターナショナルナーシングレビュー 28: 45-49, 2005
■【災害サイクルとは】
■【急性期:災害が発生した直後から1週間】
■【亜急性期:災害発生から2〜3週間】
■【慢性期・復旧復興期:2〜3ヶ月から2〜3年目の時期】
■【静穏期:災害の備えをしていく重要な時期】
■【前兆期】
神戸大学病院
中山伸一:立道 清・編、検証 そのとき医師たちになにができたか、清文社、大阪、1996、p.84-95
■<病院の被災状況>
■<神戸大学附属病院救急部の構成>
■<震災時救急診療体制の概要>
■<救急診療状況の概要>
■<挫滅症候群>
■<反省と課題>
初期被ばく医療機関の準備および傷病者の収容
原子力安全協会:緊急被ばく医療初動対応の手引き、p.13-19、2006)■初期被ばく医療機関の準備および傷病者の収容
1)1時間以内の嘔気、嘔吐 2)24時間以内にリンパ球が50%以下に減少■二次被ばく医療機関への搬送
国際救急医療
冨岡譲二:救急・集中治療 13: e54-57, 2001